KONG IS KING!『キング・コング』

画像 2006年お正月映画の中で最高のスペクタクル映画と言えば、やっぱり『キング・コング』。
 日本では、一部での熱狂もありながら、「でも、なんで今『キング・コング』?」という冷ややかな感触も感じられましたから、まあ、期待半分、あまり期待してはいけないという思い半分というところで観に行きました。
 事前にオリジナル版を観て、最新版とどう違うのかもチェックしたかったのですが、そう思う人も多いらしく、事前にオリジナル版を手に入れることはできませんでした。その代わりと言ってはなんですが、あらかじめ考えていたことは、

 (1)これは、本当に「美女と野獣の物語」(野獣が美女に恋をする物語)なのか? だとしたら、どうしてそうなるのか? それはどのようにして描かれるのか? そもそも野獣にとって「美女」とはなんなのか?生贄なのか?キング・コングは人を食うのか?

 (2)ナオミ・ワッツは、“絶叫の女王になんかなれないし、そんなに叫んではいません”という趣旨の発言をしていますが、果たして彼女は何回くらい叫ぶのか?

 (3)キング・コングは胸をたたくのか? たたくとしたら何回くらいたたくのか?(1976年版では、いつたたくかいつたたくかと期待していたら、結局たたかなかったような気がしました。)

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 観た結果、どうだったかというと、上の3つについては後述することにして、ピーター・ジャクソン版の『キング・コング』は、様々な観点から鑑賞できるように作ってある、ということでした。

 ①『キング・コング』は恐怖心をあおる(ドキドキさせる)映画である
 キング・コング自体は、先入観があるためか、最初からあまり怖いと感じさせないのですが、映画としてはそのほかの様々なバリエーションでドキドキさせてくれます。まず、a)襲い来る恐竜、続いて、b)大きかったりグロテスクだったりする虫、そして最後にc)高所。高所に関しては、クライマックスのエンパイア・ステイト・ビルディングの部分だけでなく、他にも何シーンかあって、映画としても随分タテ(上から下へ)の動きが多い作品であると感じました。虫が苦手な人、高所恐怖症の方であれば、かなりドキドキできると思います。ナオミ・ワッツが叫ぶシーンも実はこのa)~c)にあります。

 ②『キング・コング』はサバイバルものである
 メインのキャラクターこそ少ないものの、総勢では結構な数の登場人物がいるこの『キング・コング』。パニックものの映画でおなじみのパターンですが、中盤以降は、誰が生き残って誰が生き残れないのか、次は誰がやられるのかという物語になります。
 登場人物は以下の通り。まだご覧になっていない方は、役柄とキャストのキャリアから、誰が生き残るのかを予想して楽しむこともできます。
 ・アン・ダロウ(売れない女優):ナオミ・ワッツ(『ザ・リング』『マルホランド・ドライブ』『21g』『ハッカビーズ』『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』『ザ・リング2』)
 ・カール・デナム(映画監督):ジャック・ブラック(『ケーブル・ガイ』『ジャッカル』『ハイ・フィデリティ』『愛しのローズマリー』『スクール・オブ・ロック』)
 ・ジャック・ドリストル(脚本家):エイドリアン・ブロディ(『ブレッド&ローズ』『戦場のピアニスト』『ヴィレッジ』)
 ・イングルホール船長:トーマス・クレッチマン(『U-571』『戦場のピアニスト』「24 セカンド・シーズン」『マイ・ファーザー』『ヒトラー 最期の12日間』『Uボート 最後の決断』)
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 ・プレストン(デナムのアシスタント):コリン・ハンクス(「ロズウェル」「バンド・オブ・ブラザーズ」、トム・ハンクスの息子)
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 ・ジミー(船員 元は密航者):ジェイミー・ベル(『リトル・ダンサー』『デス・フロント』『ディア・ウェンディ』)
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 ・ブルース・バクスター(ハリウッドの主役級のタフガイ男優):カイル・チャンドラー(『狼たちの街』、TVM多数)
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 ・ランピー(コック):アンディ・サーキス(『キャリア・ガールズ』『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ『デス・フロント』『24アワー・パーティ・ピープル』)
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 ・ヘイズ(一等航海士):イヴァン・パーク(『サイダー・ハウス・ルール』『リプレイスメント』『PLANET OF THE APES 猿の惑星』)
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 ・チョイ(中国人コック):チャン・ロボ
 ・ハーブ(撮影技師):ジョン・サムナー(数多くのテレビ・ドラマで活躍するベテラン俳優)
 ・マイク(撮影スタッフ):クレイグ・ハール

 ③『キング・コング』は見世物についての映画である
 『キング・コング』のオープニングの映像は動物園の小猿です。動物園の檻の中で、“見世物”になっている小猿は、のちにやはり見世物になるキング・コングの運命を暗示しています。野生の動物を、人間のためだけに、生息環境とは異なる場所に連れてきて見世物にするのは、何もキング・コングだけではないわけで……。カール・デナムが、映画製作をあきらめて、あっさりキング・コングの見世物化に乗り替えるのは、逆に、映画もまた人間の好奇心を満足させるための見世物であると言っているようでもあります。

 ③『キング・コング』は恐慌時代の物語である
 小猿のシーンに続いて、映画は大恐慌時代の街の風景を映し出していきます。配給の列に並ぶ人など、厳しい現実を映していった後で、お芝居をやっている劇場へと場面は変わります。劇場の出し物は、ウケてはいますが、客入りはよくはありません。アンもそこのステージで踊っているのですが、不景気ゆえに翌日そこも閉鎖。彼女もギャラをもらえないままで、路頭に迷ってしまいます。そこから彼女がデナムの映画に出演することへとつながっていくのですが……。
 今回の『キング・コング』は、オリジナルが作られたのと同じ1933年という設定ですが、当時の人々は、この映画の中で描かれたのと同様の厳しい現実にあえぎながらも、大挙してオリジナル版『キング・コング』を観に映画館に押しかけたわけで、これまでに観たことがない驚異の映像に触れて、驚き、畏怖し、ここだけは現実の憂さを忘れて、映画に見入ったのではないか、と考えられます。
 オリジナル版の『キング・コング』は世界恐慌から4年後に作られ、1976年版の『キングコング』は、オイル・ショックの3年後に作られています。ひょっとすると、不況になると『キング・コング』が登場して、人々に代わって大暴れしてくれるのかもしれません。
 今回の『キング・コング』は、そういう意味では、不況のどん底からはちょっと時間が経ってしまっているような気もしますが、ここ数年の米大手企業倒産のことを考えたら今回もまんざら的はずれではないのかもしれません。

 ④『キング・コング』は作られなかった映画についての映画である
 さんざん準備を進めながら、場合によっては既に撮影にも入っていたのに、様々な理由で完成を見なかった映画というのはたくさんあって、そうした「作られなかった映画」に対する悔いや無念さは多くの映画人の心の中にあるようです。ピーター・ジャクソンにもそういう経験があるのでしょうか?
そんな「作られなかった映画」についての映画もたくさんあって、『キング・コング』もそうした映画の1本にあたります。
 「作られなかった映画」についての映画としては、『ことの次第』『王様の映画』『女優霊』『光の雨』『コリン・マッケンジー物語』『ロスト・イン・ラマンチャ』……。桐野夏生さんの小説『光源』もまたそうした系譜につながりますね。

 ⑤『キング・コング』は、1933年版『キング・コング』へのオマージュである
 エンド・クレジットの最後に、1933年版『キング・コング』は後に続く映画人に勇気を与えてくれた、というようなメッセージがありますが、ピーター・ジャクソン版『キング・コング』は1933年版『キング・コング』とそれを作った人々へのオマージュになっています。
 まずは、設定を1933年にしたこと(1933年版『キング・コング』がまさに作られているということになっていて、「フェイ・レイはRKOで撮影中だ」という台詞もあります)。時代設定が現代に変えられた1976年版での改変事項を元に戻し、クライマックスもエンパイア・ステイト・ビルディングにしたこと、そして最後の台詞もちゃんと再現されています。

 ジャック・ドリスコルの役柄を脚本家に、アンの役柄を舞台女優にし、記録映画を作るために孤島に行く設定だったのを、劇映画を作るために変えていることは、『キング・コング』が「映画についての映画」、「映画人に捧げる映画」であることの証でしょうか。言い換えるなら、役が欲しくても満足な役をもらえない俳優たちや、映画が撮りたくても撮れない(または、撮らせてもらえても自分の思うようにはさせてもらえない)映画監督や映画人を励まし、応援している映画でもあるようです。

 ⑥『キング・コング』は、監督ピーター・ジャクソンが、悲劇より喜劇を、難解な作品より娯楽作品をと、宣言した作品である
 島から帰ってきたジャックは、それまで書いてきたシリアスな作品から一変して喜劇を書くようになります。それはストーリー上では、ジャックが恋するアンに捧げる脚本でもあるからなのですが、ピーター・ジャクソン監督自身による娯楽映画宣言のようにも受け取れます。

 ⑦『キング・コング』はやはり美女と野獣の物語であった
 島の原住民はなぜキング・コングにアンを捧げるのか? キング・コングは生贄にされた人間をどうするのか? 生贄にされたものがどうしてロマンスの対象になるのか?
 『キング・コング』がただのモンスターものではなく、あまりにも「美女の野獣」の物語として語られるので、その部分が気になっていたのですが、今回の『キング・コング』は、それを「恋」と呼ぶかどうかは別にして、アンとキング・コングの心のつながりをかなり強調したものに仕上がっていました。

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 ・島の原住民はなぜキング・コングにアンを捧げるのか? キング・コングは生贄にされた人間をどうするのか?――たぶん生贄を捧げるとキング・コングがおとなしくなるということはあったのだと思います。キング・コング側に立って考えると、島には仲間もおらず、孤独なわけで、「新しいおもちゃ」がもらえるとうれしかったりしたのではないでしょうか? 実際、映画でコングがアンを握り締めているシーンでは、アンがバービー人形のように見えることが何度もありました。それはコングがメスなのではないかと錯覚するほどです。
 ・コングは人間を食うのか?――これについての答えも用意されていて、映画にはコングが竹を食べるシーンがあります。草食なんですね。と思っていたら、後半に、怒ったコングが人間の××を噛み千切るシーンもあって驚かされるのですが。
 ・コング自身はアンのことをどう思っているのか?――恐竜との対決の時点では、アンはまだ「オレの獲物」であって、「オレの獲物」を横取りするな、と考えているように見えます。
 ・生贄にされたものがどうしてロマンスの対象になるのか?――アンは、コングの棲み処に着いた時、コングに対して、ただのモンスターとしてではなく、心が通じる相手としてコミュニケーションを取ろうとします。それも舞台女優らしいやり方で。それが通じて、アンとコングの間に心のつながりができます。これをロマンスと呼ぶかどうかは別にして、そういうつながりができたことをアン自身も認識するわけです。だから、コングが見世物にされた時、アンはそこに一緒に出ようとはしないんですね。そこが、オリジナル版の「美女と野獣」の側面をさらに強調した部分です。

 ⑧『キング・コング』は三角関係を描いた物語である
画像 ジャックもまたアンに恋に落ちます。アンは以前からジャックのことを知っていて、ジャックの作品に出たいと考えているらしいのですが、船にジャックが同乗していると知った彼女はジャックだと思い込んだ相手に自分の思いをぶつけ、それをジャック本人に見られ、恥をかいてしまうわけです。ジャックはそんなアンを見て、いとおしく思うんですね。
 ジャックは、デナムがどういう男かも知っているはずで、だから何も知らないアンに対して同情心もあったかもしれません。
 コングからアンを奪い返したジャックはコングにとって憎き「恋敵」になるわけですが、だからニューヨークの街中でジャックの車を大破させたコングは、胸をたたいて、ジャックに自分の力を顕示するわけです。

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画像 (2)ナオミ・ワッツは、“絶叫の女王になんかなれないし、そんなに叫んではいません”という趣旨の発言をしていますが、果たして彼女は何回くらい叫ぶのか?――
 数えてみると、けっこう叫んでいます。
 1回目 原住民の槍によって、マイクが殺された時。
 2回目 キング・コングが姿を見せた時点で。
 3回目 穴倉で大きなムカデに襲われそうになった時。
 4回目 キング・コングvsティラノザウルスのシーンで。ここがちょっと曖昧なのですが、谷に落ちそうになったりして、何度も叫び声を上げるので、数えるのが難しくなります。たぶん4回くらいは叫んでいます。
 8回目 エンパイア・ステイト・ビルディングのはしごを登っている時にはしごがはずれそうになって。

 (3)キング・コングは胸をたたくのか? たたくとしたら何回くらいたたくのか?――
 1回目 死闘の末、ティラノザウルスを倒した後
 2回目 ジャックの運転する車を大破させた後
 3回目 エンパイア・ステイト・ビルディングの上で自分の力を誇示するように2度

 ちなみに、本作の中での活劇的見せ場は、大きく数えて6回あって、
 1.ブロントザウルス群の大坂下りを含む一連のシーン
 2.コングvsティラノザウルス(および一連の恐竜バトル・シーン)
 3.撮影隊in巨大な虫の巣
 4.コングvs大コウモリ
 5.岸辺でのコングvs撮影隊の攻防
 6.コングinニューヨーク

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◆そのほか、映画『キング・コング』にまつわる備忘録

 ・キング・コングが登場するまでに約1時間5分、キング・コングがニューヨークに登場するまでに約2時間15分かかります。
 キング・コングが登場するまでが長いという感想が多いんですが、その部分はいろんなことが書き込まれているので私はそうは思いませんでした。むしろモンスター・バトルのシーンがただただバトルしているだけなので、ちょっと食傷気味でしたね。

 ・1933年当時ハリウッド・メジャーの映画会社はハリウッドにあるはずなのに、デナムが交渉している映画会社の重役たちはニューヨークにいます。デナムとアン(ブロードウェイにいる)を会わせるためにわざとそういう設定にしなくてはならなくなったのでしょうか?

 ・セシル・B・デミル 映画会社の重役とのやりとりの中で、デナムの台詞の中に出てくる映画監督の名前。『十戒』などスペクタクル映画を得意としています。

 ・「動物ものならユニバーサルに売れるぞ」。本作の映画の配給会社がユニバーサルなわけですが、当時のユニバーサル映画にはいくつかの“ジャングルもの”はあったようですが、ここで言う“動物もの”が何を指すのかはちょっとわかりません。1930年代前半のユニバーサル映画を特徴づけていたのは、『ドラキュラ』(31)『フランケンシュタイン』(31)『ミイラ男』(32)『フランケンシュタインの花嫁』(35)という一連のホラー映画でした。

 ・デナムが起用する予定になっていたモーリン・コンスタンスという女優は実在しない(たぶん)。

 ・舞台仲間がアンを指して言う言葉は、「運に恵まれない女」。

 ・ドリスコルの手がけた戯曲の1つは“ISOLATION”(孤独)。

 ・アンがプロデューサーに「舞台の仕事が欲しいなら、ここへ行ってみろ。だが、ここでやったことはすぐ忘れるんだな」と言われていったところは、‘ADULT ONLY’という看板のある‘BURLESQUE’というストリップ小屋のようなところ。そこに入る決心が付かず去ろうとしたアンの姿がガラスに映り、その憂いを含んだアンの表情を見て、女優を探していたデナムが彼女を追うことになります。

 ・デナムたちが乗り込むベンチャー号には、大量のクロロホルムと動物用の檻が乗せられています。ベンチャー号は密かに動物の密猟をしているのかもしれません。だから大量のライフルも置いてあったのかも。

 ・ブルース・バクスターが主演した映画の1つは“ROUGH TRADER”。

 ・元々デナムが撮る予定だった映画は、どうやら船上で知り合う男女のロマンスものだったらしい。「運命の出会いがすべてを変えてしまう。しかし、彼女は愛が信じられない。愛が続かないことを知っているから」。

 ・ジミーが読んでいる本は、ジョゼフ・コンラッド『闇の奥』。船乗りのマーロウがかつて奥コンゴで体験したことを同船した仲間に語って聞かせる物語で、オーソン・ウェルズを初め、多くの映画作家が映画化しようとして断念した物語でもあります。フランシス・フォード・コッポラの『地獄の黙示録』のベースになっている作品。

 ・デナムたちが向かった島(スカル・アイランド)はインド洋上にあるらしい。ということはベンチャー号は、パナマ運河を通って太平洋に出て、インド洋に向かったということで、帰りは逆のルートで帰路についたということでしょうか? 何週間もかかるはずの帰路でコングはどうしていたのでしょう?

 ・原住民に連れ去られたアンを助けに行くためにデナムが用意していくのは広角レンズとフィルム3巻。

 ・コックのランピーとチョイ、船員のヘイズとジミー、監督のデナムと撮影技師のハーブが特に親密なようです。特に、一等航海士のヘイズは、元密航者のジミーに昔の自分の姿を重ねるのか、影となり日向となってジミーを見守っているようです。

 ・雪男(snowman)。船員たちは最初、キング・コングの足跡を見て、雪男ではないかと考えます。

 ・原住民の女祈祷師がアンをコングに捧げる時の言葉は、「トレ・コング」。鬼気迫る表情からはなかなかその意味はくみ取れませんが、ひょっとして、「取れ!コング」?

 ・ナオミ・ワッツはこの映画のためにジャグリングを練習した?

 ・大コウモリとコングとの闘いは、クライマックスへの伏線?

 ・第8の不思議(The Eighth Wonder)。キング・コングを見世物にした時の、キング・コングに対するキャッチ・コピー。もともとの世界七不思議は、紀元前2世紀にビザンチウムのフィロンが書いた7つの巨大建造物のことで、
 ギザの大ピラミッド
 バビロンの空中庭園
 ロードス島の巨像
 オリンピアのゼウス像
 エフェソスのアルテミス神殿
 ハリカルナッソスのマウソロス霊廟
 アレクサンドリアの大灯台(フィロンが選んだ七不思議には入っていないが、一般的にはこちらが選ばれる)
 バビロンの城壁(フィロンが選んだ七不思議の1つだが、一般的には外される)

 インド映画『ジーンズ 世界は2人のために』(98)の公開時に、ミス・ユニバース・グランプリでもある主演女優アイシュワリア・ライの美しさが「世界8番目の不思議」として宣伝されています。

 ・島での最終的な犠牲者は17人。

 ・キング・コングのお披露目ショーへの出演を断って、アンがコーラスラインの1人として踊っている劇場の名前は‘CRAHAVOC’。

 ・島から帰ってきたジャックが見ているステージ(喜劇を書くために参考にするのに観客として観に来ているらしい)は、THE DE LUX THEATERのもの。

 ・コングが暴れるタイムズスクエアに掲げられる電光掲示板の広告は‘pepsodent’(歯磨き粉のメイカー)。当時を再現?

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 ・エンパイア・ステイト・ビル。1930年竣工。世界貿易センタービルができるまで、世界一高いビルだった。86階と最上階である102階に展望室があり、最上階で381mの高さ。1950年代に加えられた電波塔部分を含めると443.5m。現在アメリカ国内では、シアーズタワーが110階建ての443mでトップ、世界的には、台北の台北101が508mで世界一、次いでマレーシアのペトロナスタワーの452m(2005年9月までは世界一だったのに!)となっています。映画の中のエンパイア・ステイト・ビルは、当時のそのままを再現しているというよりは映画用にデザインされているようです。ちなみに、1976年版キング・コングが登ったのは、世界貿易センタービルでした。
 キング・コングは、ブロードウェイの劇場でショーが催され、そこから逃げて、タイムズスクエアを通ってエンパイア・ステイト・ビルに向かうわけですが、とすると、あの凍った池のある公園はセントラル・パーク(方向が逆)ではなくて、ブライアント公園なのでしょうか?(それともジャックとのチェイス・シーンの間にセントラル・パーク近くまで戻ったのでしょうか?)ブロードウェイ界隈の地図は例えばここ(http://www.citibank.co.jp/atm_abroad/pdf_wcc/america_01.pdf)にあります。
 最初にコングがアンを連れて登ったところは、102階の展望台の真上で、その後、さらに上に登ることになります。エンパイア・ステイト・ビル・シーンの映像クリップはここ(http://theonenetwork.com/movies/King_Kong/6090/Film_Clip_Empire_State_Building_300.html)で観ることができます。←ここには、コングとタクシーを運転するジャックのシーンやコングと再会するアンのシーンもあります。

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 ◆キャスト&スタッフが『キング・コング』に参加したことへの効果について考えてみました。

 ・ナオミ・ワッツ 少々UP。『キング・コング』によって、大作を背負って立つことができることを証明しました。でも「絶叫の女王」というイメージが定着することを嫌って、あえて全くタイプの違った小さな規模の作品を選ぶかも。次回作はエドワード・ノートン、リーヴ・シュレイバー共演の“The Painted Veil”。

 ・ジャック・ブラック UP。アメリカ国内はともかくこれまでは知る人ぞ知るという存在だったのが、『キング・コング』でぐっとメジャーに。本人はきっとこれまで通りコメディーにこだわり続けるのではないかと思われますが、これまでは日本に入って来なかったような彼の出演作が日本でも観られるようになるかもしれません。『ヒューマン・ネイチュア』『エターナル・サンシャイン』等で知られるミシェル・ゴンドリー作品“Master of Space and Time”(主演)等が控えています。

 ・エイドリアン・ブロディ 少々UPか? 本人にその気があれば、ハリウッド大作映画の主演もやれるかもしれないけれど、やっぱり地味目の小さな作品を選ぶかも。次回作はベン・アフレック、ダイアン・レイン共演のスリラー・タッチの作品“Truth, Justice, and the American Way”。

 ・トーマス・クレッチマン 『キング・コング』に出演したこととは特に関係なく、主な活動場所をドイツからハリウッド中心に移行中。次回作は、マーティン・ウェイツ監督(『60セカンズ』)の“Butterfly, a Grimm Love Story”。

 ・コリン・ハンクス 『キング・コング』に出演したこととは関係なく、キャリアを伸ばしている。主役級の作品が数本控えています。

 ・ジェイミー・ベル 『キング・コング』に出演していたことはあっさり忘れられてしまうかもしれない。主要キャストの中でこの作品のプロモーションに参加していないのは彼だけだし。次回作は、クリント・イーストウッド監督の『硫黄島の星条旗』、デイヴィッド・マッケンジー監督(『猟人日記』)の“Hallam Foe”。

 ・カイル・チャンドラー これまで通りTVMに出演し続けるでしょう。

 ・アンディ・サーキス UP。知名度が上がったので役者としてのランクも上がったはず。初監督作品“Addict”、製作・監督・主演を兼ねる“Muybridge”が控えています。

 ・イヴァン・パーク 特に影響なし。バイ・プレイヤーとしての活躍が続くと思われます。

 ・監督ピーター・ジャクソン 『キング・コング』の興行成績次第では、今後自由に映画を作れなくなる可能性もあり? いずれにしても『ロード・オブ・ザ・リング』で勝ち得た名声はたぶん次回作以降も試されることになるはず。次回作は、アリス・シーボルトのベストセラー小説“The Lovely Bones”(殺された14歳の少女が天国から犯人についてのメッセージを送るという物語)の映画化(製作・監督・脚本)。どうみても大作ではありませんね(笑)。

 1933年版『キング・コング』は、1年も経たないうちにヒロインを除く俳優陣とスタッフで続編『キング・コングの復讐』が作られ、1976年版『キングコング』では10年後に同じ監督によって続編『キングコング2』が作られました。果たして今回の『キング・コング』は続編が作られることになるのでしょうか?

 あ、そう言えば、『キング・コング』には、『タイタニック』のような印象に残るシーンがない、という声も聞きましたが、<朝日に向かって“Beautiful!”とつぶやく>シーンや<氷上のランデブー>のシーンなど、記憶に残る名シーンはいくつかあったように思います。ただ、残念ながらギャグ以外でマネする人はいないとは思いますが。

 [キャッチ・コピーで選ぶ2006年お正月映画]

 [最新版映画『キング・コング』に関するトリビア]

 [小説版『キング・コング』の読み比べ]

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 The Lovely Bones

この記事へのコメント

2005年12月28日 13:22
はじめまして。
すごいですね!卒論をよんでる見たいです。
一冊本が書けそう。勉強になりました。ありがとうございました。
2005年12月28日 20:07
なんとまあ、膨大なキングコング論ですね
感心してしまいました
2005年12月29日 15:32
力作記事ですね~。読みごたえありました。
ドリスコル、完全にコングに負けてますよね。 > 三角関係

最後に彼が見ていたのは自作の戯曲じゃなかったかと思うのですが…、1回しか見てないのでさだかではありませんが…。
KB
2005年12月29日 22:19
rukkiaさま
コメントありがとうございます。
最後の戯曲は、彼が座っていた客席の位置や時間(デナムがすぐに開こうとするであろうコング・ショーに比べ、ドリスコルが新しく書いた戯曲が舞台になるにはずっと時間がかかるはず)を考えると、やはり自作ものではない気がします。
2006年01月25日 17:33
はじめまして☆
TBありがとうございます!

すごいですね!!
見事な解説ぶりに読みふけってしまいました…!
2006年01月26日 00:14
TBありがとうございました。
作られなかった映画についての映画,という視点はなるほど,と膝を打ちました。
特に「王様の映画」とは!南米の健気なプロデューサーの姿が最高だったフィルムで,思い出深い作品です。17~18年前を懐かしく思い出しました。
2006年04月20日 22:58
はじめまして、beraboと申します。
スゴイですね。勉強になりました。
また、寄らせてください。
不具合なのか、TBできませんでした(T_T)

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    Excerpt: キング コング KING KONG 舌の付け根を上あごに付けて、んぐ。 PING PONG 、HONG KONG 、、、なんで「キンコン」じゃないの? 2005年 ピーター・ジャクソン 監督ナオミ.. Weblog: 猫姫じゃ racked: 2006-06-25 11:21
  • 映画『キング・コング』

    Excerpt: 原題:King Kong 長い映画が特別版で201分とさらに長い、オリジナルは1933年、リメイクは1976年版もあるけど、一粒で3度も美味しく楽しめるという優れものの映画だよね・・ .. Weblog: 茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~ racked: 2007-10-18 02:37