ドキュメンタリー映画ブームをつなぐただ1つのキーワードとは?

  昨今、様々なドキュメンタリー映画が公開され、その中のいくつかはヒット、もしくは大ヒットしているわけですが、間違ってはいけないと思うのは、「ドキュメンタリー映画」が面白い、わけではなくて、それぞれの作品が面白いだけっていうことですね。
 確かに、一般の観客に「ドキュメンタリー映画の中にも面白い作品がある」と認識され、「ドキュメンタリー映画を観る」ということに抵抗がなくなったということはあると思うんですが、「SF映画」や「アクション映画」、「恋愛映画」と同じようないい方で、「ドキュメンタリー映画」というジャンルが存在するわけじゃないし、「SF映画ファン」「アクション映画ファン」「恋愛映画ファン」はいても「ドキュメンタリー映画ファン」というのはやっぱりいないわけです。

 こんなことを書くのは、ドキュメンタリー映画の場合、私も「何でこんなものを観に来てしまったんだろう」と思うことが多いからですね(苦笑)。
 私が考える面白いドキュメンタリー映画というのは、①一般の人が知らない世界を、興味深く見せてくれるもの(例えば、『音のない世界で』『痴呆性老人の世界』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』『オランダの光』など)、②対象が人物であれば、そのキャラクターが面白いこと(『ゆきゆきて、神軍』『クラム』『アンジップト』『都市とモードのビデオノート』『ステップ・アクロス・ザ・ボーダー』『ドント・ルック・バック』など)、という(2点のうち少なくともどちらか一方を満たしている)作品のことです。あとは、興味ある内容の作品に、興味を持った人が観に行けばいいだけで……。

 ドキュメンタリー映画がたくさん公開される、ヒットもしているというわけで、いろいろ特集もされたりしてるんですが、結局は「個々の作品が面白い」だけなので、一作品を大きく取り上げるのでない限りは、結果的に「カタログ」になってしまうしかないわけです。(「なぜ今ドキュメンタリー映画なのか」という視点もありますが、それもちょっと……)。

 そんな中、ヒット・ドキュメンタリー映画をつなぐキー・ワードが1つだけあります。それは、そうした作品の多くを石田泰子さんが字幕翻訳している、ということ。
 具体的に作品を挙げてみると、
 1998年 イヤー・オブ・ザ・ホース、FISHING WITH JOHN
 2000年 キューバ・フェリス、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ
 2002年 歌え!フィッシャーマン、ABCアフリカ、カンダハール、DOGTOWN&Z-BOYS
 2003年 デブラ・ウィンガーを探して、ボウリング・フォー・コロンバイン
 2004年 永遠のモータウン、華氏911、ゴッドファーザー&サン、スーパーサイズ・ミー、ソウル・オブ・マン、デビルズ・ファイヤー、ハナのアフガンノート、フィール・ライク・ゴーイング・ホーム、ベルリン・フィルと子どもたち、リヴ・フォーエヴァー、レッド,ホワイト&ブルース、ロード・トゥ・メンフィス
 2005年 インサイド・ディープ・スロート、運命を分けたザイル、ライディング・ジャイアンツ、ライトニング・イン・ア・ボトル
 2006年 RIZE、Touch the Sound

 リストをざっと眺めて、えっ、これもそうなの?っていう作品もあったんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

 もともと石田さんは、音楽ものに強いという定評があるんですが、『ボウリング・フォー・コロンバイン』の大ヒットがきっかけとなって、手がける作品の幅が広がったようです(本当は、幅が広がったのは石田さんが手がける作品というより、日本で公開されるようになったドキュメンタリー映画の方ですが)。
 もっとも石田さんは、ドキュメンタリー映画専門の翻訳家ではなくて(そんな人はいません)、もっともっと幅広いジャンルの映画を手がけるベテラン翻訳家の1人です。『トレインスポッティング』『ラン・ローラ・ラン』『モンスターズ・インク』『スパイ・キッズ』『キル・ビル』『バットマン・ビギンズ』などなど、話題作、ヒット作も多数あります。

 石田さんをとっかかりにして昨今のドキュメンタリー映画ブームをとらえ直すっていうこともできると思うんですが、どうでしょうか?

 私も、いつか何らかの形で石田泰子さんに字幕翻訳についてのあれやこれやについてお話を聞かせてもらえないかなって考えています。

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