モスクワ国際映画祭2013 受賞結果!

 第35回モスクワ国際映画祭(6月20日-29日)の各賞が発表されました。

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 【コンペティション部門】

 ◆グランプリ(Main Prize“Golden George”for the best film)
 ◎“Zerre(Particle)”(トルコ) 監督:Erdem Tepegöz
 物語:イスタンブールにあるタルラバシ地区。ここでは多くの人が生きるためにもがいている。Zeynepもその1人で、織物工場をクビになった彼女は、仕事を求めて、家と町をさまよう。
 CMでいくつも賞を受賞しているErdem Tepegözの初監督長編。

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 ◆審査員特別賞(Special Jury Prize“Silver George”)
 ◎『さよなら渓谷』“The Ravine Of Goodbye”(日) 監督:大森立嗣

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 ◆監督賞(“Silver George”for the best director
 ◎Young-heun Jung “Lebanon Emotion”(韓)

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 “Lebanon Emotion”(韓) 監督:Young-heun Jung
 物語:男が女の後を追う。都会から田舎へ。女は別の男に会う。荒涼とした風景。沈黙と余白。「言葉では説明できない感情を表現したかった」と監督。
 全州国際映画祭2013 韓国映画コンペティション部門出品。CGV MovieCollage Prize 次点。初監督長編。

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 ◆男優賞(“Silver George”for the best actor)
 ◎Aleksey Shevchenkov “Iuda(Judas)”(ロシア)(監督:Andrey Bogatyryov)

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 “Iuda(Judas)”(ロシア) 監督:Andrey Bogatyryov
 物語:熟練の泥棒、ユダは、市場の広場で、キリストがサーモンを配り、使徒たちが施し物を集めているところに遭遇する。ユダは、彼らの後についていき、彼らのお金を盗み、現行犯でつかまる。それでも、キリストは、彼を許して、仲間に入れ、さらにグループの会計の仕事につけてくれる。ユダは、それに驚くが、結局、使徒たちに加わることに決める。徐々に彼は、キリストのメッセージを理解するようになるが、一方で、使徒たちは盲目的にキリストについていっているだけではないかという疑念を抱くようになる。彼は、使徒たちと議論し、神の真実が本当かどうか見定めることがあってもいいのではないかと主張する。しかし、彼の言っていることに理解は得られず、キリストの教えは、人類の役に立たずに、無に帰しているにはないかと思うようになる。彼が出した結論は、キリストを裏切ることだった。
 初監督作品“BUGgY”で、モスクワ国際映画祭2011パースペクティヴズ・コンペティション部門審査員特別賞を受賞したAndrey Bogatyryovの最新作。

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 ◆女優賞(“Silver George”for the best actress)
 ◎Jale Arikan “Zerre(Particle)”(トルコ)(監督:Erdem Tepegöz)

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 ◆観客賞
 ◎“Matterhorn”(オランダ) 監督:Diederik Ebbinge
 物語:フレッドは、54歳で、妻と死別してから独りで暮らしている。息子は随分前に彼の人生から去っている。彼は、ローカルのバスに乗り、教会に通い、毎日6時ちょうどに緑豆とポテトと肉の食事をとる。そんな彼の前に放浪者テオが現れる。フレッドも、最初は、彼に対し猜疑心を抱いていたが、やがて家へと招き入れることになる。フレッドは、テオの中にある才能を見出し、それが彼をこれまでのルーティーンの生活から抜け出させることになる。
 初監督長編。
 ロッテルダム国際映画祭2013 観客賞受賞。

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 ◆国際批評家連盟賞
 ◎“A Memória Que Me Contam(Memories they told me)”(ブラジル) 監督:Lúcia Murat
 物語:かつて軍事独裁に対して一緒に抗議運動をしていた仲間たちがいる。そのうちのひとりが死に瀕していて、彼らとその子供たちは、彼らが目指したものと現在の生活を比べて、心に葛藤を感じる。
 監督のLúcia Muratは、1949年生まれで、ブラジル左翼‘guerrilha’に属し、ブラジルの軍事独裁時代には、抗議活動を行なって、逮捕投獄されたという経歴を持つ監督で、リオ・デ・ジャネイロ国際映画祭監督賞、マル・デル・プラタ国際映画祭作品賞など、数々の受賞歴を誇る。

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 ◆ロシア映画批評家賞(Prize of the Russian Film Critics Jury)
 ◎“Matterhorn”(オランダ) 監督:Diederik Ebbinge
 ◎『さよなら渓谷』“The Ravine Of Goodbye”(日) 監督:大森立嗣

 ◆ロシア映画クラブ連盟賞(The prize of the Russian Film Clubs Federation)
 ◎“Matterhorn”(オランダ) 監督:Diederik Ebbinge

 【ドキュメンタリー・コンペティション】

 ◆グランプリ(“Silver George”for the best film of the documentary competition)

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 ◎“Ojciec I Syn(Father And Son)”(ポーランド) 監督:Paweł Łoziński
 Marcel ŁozińskiとPaweł Łozińskiは、父と息子で、ともにドキュメンタリーの監督をしている。この2人が、父の生まれ故郷へと、ヨーロッパを横切る旅をする。それは、父Marcelにとって、母親を失った辛い子供時代や自分が行なった人生の選択を思い出す旅でもあった。
 クラクフ映画祭2013 ドキュメンタリー・コンペティション部門出品。銀賞(Silver Horn)受賞。

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 【短編コンペティション】

 ◆グランプリ(Prize for the best film of Short Films Competition)

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 ◎“Elven Castle(Zamok elfov)”(ロシア) 監督:Rustam Ilyasov
 物語:Maxim Serovは本物のアーティストになりたいと考えた時があった。今、彼は、月曜日から金曜日までオフィスに行って、コンピューター・ゲームのためのモンスターを描き、夜は、ビールを飲んで眠るだけだった。ある朝、妻がついに家を出て行ってしまう。彼は独り残される。あとには自分では認めたくない問題があるだけだった。

 【名誉賞・特別賞】

 ◆ワールドシネマへの貢献賞(Special Prize for An Outstanding Contribution To The World Cinema)
 ◎コスタ=ガヴラス

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 ◆演技人生への貢献および/スタニスラフスキー学校のモットーへの奉仕に対する特別賞(Special Prize for The Outstanding Achievement In The Career Of Acting and Devotion To The Principles of K.Stanislavsky's school)
 ◎Xenia Rappoport(ロシア)

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 受賞結果は、『さよなら渓谷』がどういう受け取られ方をするか読めないところがありましたが、そのほかは、ラインナップと審査員の顔ぶれが発表された時点で予想できる範囲内のもので、意外な結果にはなりませんでした。

 日本作品の審査員特別賞受賞は、1965年の『手をつなぐ子ら』(監督:羽仁進)以来、48年ぶりで、日本映画の受賞としては、2010年に『飯と乙女』(監督:栗山実)がNETPAC賞を受賞して以来です。

 真木よう子は、これでカンヌでの『そして父になる』に続いて、出演作が2作連続で国際映画祭で受賞ということになります。

 さて、ラインナップ記事のところに書きましたが、その後も新人監督部門である「パースペクティヴズ・コンペティション」のラインナップの発表はなく、「パースペクティヴズ・コンペティション」の廃止が確定しました(表向きは「メイン・コンペティション」と「パースペクティヴズ・コンペティション」の統合ですが、事実上は「メイン・コンペティション」の廃止です)。

 かつて栄光の時代があっただけにモスクワ映画祭も廃れた感じがして寂しい気もしますが、国情の変化とともに映画祭が変わるのも仕方ありません。(とはいうものの、新生になった今回のコンペティション部門も、レベルが低いという声が上がっていたようです。)

 コンペティション部門はパワーダウンしたとは言え、モスクワ国際映画祭が特集の充実した映画祭であることには変わりなく、今年も多彩なプログラムが組まれています。
 主なプログラムは以下の通りです。

 ・ガラ部門:『少年H』など7本
 ・特別招待作品(Special Screenings):4本
 ・ワールドシネマ(Films around the World):12本
 ・81/2(カンヌ国際映画祭で上映された話題作の上映):9本
 ・ドキュメンタリー部門(Free Thought Documentary Cinema Program):15本
 ・オリンピック映画特集(The Olympic Movement. The Chronicles):『東京オリンピック』『オリンピア』など8本
 ・ロシア映画の近作上映(Russian Trace):7本
 ・老いを見つめて(The Third Age):『夏の叫び』(監督:戸田博)など3本
 ・ポルトガル映画特集(Portugal Euphoria):9本
 ・ベルナルド・ベルトルッチ特集(Almost all of Bertolucci):11本
 ・コスタ=ガヴラス特集(Costa Gavras Resistance):6本
 ・ウルスラ・メイヤー特集(Meet Ursula Meier):5本
 ・韓国映画ショーケース:『10人の泥棒たち』『私のオオカミ少年』『未熟な犯罪者』“Nobody’s Daughter Haewon”“Jiseul”“New World”など8本
 ・Sex,Food,Culture,Death:『桜姫』(監督:橋本一)など10本
 ・Minor Dutch Artists:10本
 ・Savage Nights:5本
 ・「スターリングラードの戦い」を描いた映画特集:The Battle Of Stalingrad. The Victors And The Vanquished:8本
 ・20世紀フォックス映画コレクション:『イヴの総て』『明日に向って撃て』『カルメン』『クレオパトラ』『ミクロ決死圏』『ハロー・ドリー!』『M★A★S★H』『フレンチ・コネクション』『哀しみの街かど』『哀愁の花びら』の10本
 ・ウルリッヒ・ザイドル PARADISE
 ・ルドルフ・ヌレエフ生誕75年記念特集:3本
 ・アレクセイ・バラバノフ追悼特集(Alexey Balabanov in Memoriam):5本
 ・プラハの夏、チェコ・ヌーヴェルヴァーグとGalina Kopanevaの思い出(Prague Summer. Galina Kopaneva In Memoriam):『ブロンドの恋』『ひなぎく』など6本
 ・フランスシネマテーク・プレゼンツ:『うず潮』『317小隊』『歴史は女で作られる』『ぼくの伯父さんの休暇』『霧の波止場』の5本
 ・短編プログラム

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 *当ブログ記事

 ・モスクワ国際映画祭2013 コンペティション部門ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201306/article_11.html
 ・モスクワ国際映画祭2012 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201207/article_12.html
 ・モスクワ国際映画祭2010 ラインナップその1:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201006/article_20.html
 ・モスクワ国際映画祭2010 ラインナップその2:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201006/article_21.html
 ・モスクワ国際映画祭2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201006/article_27.html
 ・モスクワ国際映画祭2009 ラインナップその1:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200906/article_18.html
 ・モスクワ国際映画祭2009 ラインナップその2:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200906/article_19.html
 ・モスクワ国際映画祭2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200906/article_30.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2013年5月~12月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_9.html

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