ライバルはベネチア! 第4回ローマ国際映画祭 受賞結果!

 ローマ国際映画祭(International Rome Film Festival/ Festival internationale del Film di Roma)は、トライベッカ映画祭に呼応する形で2002年に単発の映画祭として開催されたのが最初ですが、それが契機となって、2006年より毎年開催される映画祭として正式スタートしたまだ若い映画祭です。
 正式スタート以来まだ4回目ですが、ホストが首都ローマであり、イタリア経済のバックアップもあって、数多くの有名映画人が参加する映画祭となって、メディアの注目も集めています。

 部門は、インターナショナル・コンペティション部門(Competizione)のほか、いわゆるスターが出演しているような話題の最新作を上映するプレミア部門(Première/Anteprime)、ドキュメンタリーから特定の俳優のレトロスペクティヴまでなんでもありのエクストラ部門(Extra/ L'Altro Cinema-Extra)、児童向け作品を上映する「都会のアリス部門」(Alice in the City/ Alice nella città)、特集上映のフォーカス部門(Focus/Occhio sul Monde)があります。
 今年は、メリル・ストリープとルイジ・ザンパのレトロスペクティヴが行なわれ、フォーカス部門は環境と気候変動がテーマでした。

 コンペ部門を見る限りでは、2ヶ月以内にベネチア国際映画祭があるのにもかかわらず、そして全世界的な映画祭ラッシュの真っ只中にあるにもかかわらず、注目度の高い(プレミア感のある) 作品が集まってきています。(当然、ベネチア国際映画祭を十分に意識し、張り合ってプログラミングに力を入れた、その成果なのでしょう。)

 コンペ部門としては、本数的にはベネチアの約半分しかありませんが、このレベルのラインナップであれば、ベネチアのコンペ出品作の半分と入れ替えても全く見劣りしない期待作がたくさん集められている、と言ってもいいのではないでしょうか。

 以下が、第4回ローマ国際映画祭2009(10月15日~23日)の受賞結果です――

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 ◆インターナショナル・コンペティション(International Competition)

 ・“After”(西) 監督:Alberto Rodriguez
 ・“Alza la testa”(伊) 監督:Alessandro Angelini
 ・“Broderskab”(デンマーク) 監督:Nicolo Donato
 ・“Chaque jour est une fête”(レバノン・仏・独) 監督:Dima El-Horr
 ・“Dawson Isla 10”(チリ・ブラジル・ベネズエラ) 監督:Miguel Littin
 ・“L' uomo che verrà”(伊) 監督:Giorgio Diritti
 ・“Les Regrets”(仏) 監督:セドリック・カーン
 ・“Plan B”(アルゼンチン) 監督:Marco Berger
 ・“Qingnian”(中) 監督:Jun Geng
 ・“The Last Station”(独・ロシア・英) 監督:マイケル・ホフマン(Michael Hoffman)
 ・“Triage”(仏・アイルランド・西) 監督:ダニス・タノヴィッチ
 ・“Up in The Air”(米) 監督:ジェイソン・ライトマン
 ・“Viola di Mare”(伊) 監督:Donatella Maiorca
 ・“Vision”(独) 監督:マルガレーテ・フォン・トロッタ

 ◎作品賞/マルクス・アウレリウス金賞(Golden Marc’Aurelio Jury Award for Best Film):“Brotherskab / Brotherhood”(デンマーク) 監督:Nicolo Donato

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 ◎審査員賞/マルクス・アウレリウス銀賞(Silver Marc’Aurelio Grand Jury Award):“L’uomo che verrà”(伊) 監督:Giorgio Diritti

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 ◎最優秀男優賞/マルクス・アウレリウス銀賞(Silver Marc’Aurelio Jury Award for Best Actor):セルジョ・カステリット “Alza la Testa”(伊)

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 ◎最優秀女優賞/マルクス・アウレリウス銀賞(Silver Marc’Aurelio Jury Award for Best Actress):ヘレン・ミレン “The Last Station”(独・ロシア)

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 *審査員:ミロシュ・フォアマン(審査員長)、ガブリエル・ムッチーノ(Gabriele Muccino)、 Gae Aulenti、Jean-Loup Dabadie、パーヴェル・ルンギン、Senta Berger

 ◆観客賞(Audience Award)

 ◎作品賞/マルクス・アウレリウス観客賞(Golden Marc’Aurelio Audience Award for Best Film):“L’uomo che verrà”: 監督:Giorgio Diritti

 ◆ドキュメンタリー・コンペティション部門

 ・“American Prince/American Boy: A Profile of Steven Prince”(米) 監督:マーティン・スコセッシ、Tommy Pallotta
 ・“Con Artist”(米) 監督:Michael Sládek.
 ・“Fratelli d'Italia”(伊) 監督:Claudio Giovannesi
 ・“Garbo, the Man Who Saved the World”(西) 監督:Edmon Roch
 ・“I Knew It Was You”(米) 監督:Richard Shepard.
 ・“L' Italia del nostro scontento”(伊) 監督:Elisa Fuksas、Francesca Muci、Lucrezia Le Moli
 ・“Latta e Cafè”(伊) 監督:Antonello Matarazzo
 ・“Mamachas del Ring”(ボリビア・米) 監督:Betty M Park
 ・“PiN2011 - Erinnerung an die Straße”(独) 監督:Torsten Königs
 ・“Severe Clear”(米) 監督:Kristian Fraga
 ・“Sons of Cuba”(英) 監督:Andrew Lang.
 ・“The One Man Beatles”(伊) 監督:Cosimo Messeri

 ◎最優秀ドキュメンタリー賞/マルクス・アウレリウス銀賞(Silver Marc’Aurelio for the best documentary):“Sons of Cuba” 監督:Andrew Lang

 ◎スペシャル・メンション(Special Mention):“Fratelli d’Italia” 監督:Claudio Giovannesi

 ◎スペシャル・メンション(Special Mention):“Severe Clear” 監督:Kristian Fraga

 * 審査員:Folco Quilici(審査員長)、Francesco Conversano、Salvo Cuccia、Giovanna Gagliardo、Gianfranco Pannone、Franco Piavoli、Sherin Salvetti

 ◆演技賞(Acting Award)

 ◎最優秀演技賞/マルクス・アウレリス金賞演技賞(Golden Marc’Aurelio Acting Award):メリル・ストリープ

 ◆ヤング審査員賞(Prizes Awarded By The Children And Teen’s Juries)

 ◎12歳未満部門/マルクス・アウレリウス銀賞都会のアリス賞12歳未満部門(Silver Marc’Aurelio Award Alice nella città under 12):“Last Ride” 監督:Glendyn Ivin

 ◎12歳以上部門/マルクス・アウレリウス銀賞都会のアリス賞12歳以上部門(Silver Marc’Aurelio Award Alice nella città over 12):“Oorlogswinter / Winter in Wartime” 監督:Martin Koolhoven

 ◎スペシャル・メンション(Special Mention):“Vegas” 監督:Gunnar Vikene

 ◆並行部門賞(Collateral Awards)

 ◎La Meglio Gioventù賞/若年層政策省賞("La Meglio Gioventù" Award for Best Film in Competition awarded by the Ministry of Youth):“L’uomo che verrà” 監督:Giorgio Diritti

 ◎L.A.R.A.賞/最優秀イタリア女優賞("Libera Associazione Rappresentanza di Artisti (L.A.R.A.)" Award for best Italian actress):Anita Kravos “Alaza la testa”

 ◎Enel Cuore賞(Enel Cuore Award for best film dealing with social issues):“H.O.T. – Human Organ Traffic” 監督:Roberta Orazi

 ◎"Farfalla d’oro" (Agiscuola)賞:“Brotherhood” 監督:Nicolo Donato

 ◎最優秀ヨーロッパ・プロジェクト(Best European Project- (La Fabbrica dei Progetti)): "LEVI’S a No one’s child" 監督:Stefan Arsenijevic

 ◎IKEA賞:『ザ・コーヴ』“The Cove” 監督:ルイ・シホヨス(Louie Psihoyos)

 ◎HAG賞:“Latta e caffè” 監督:Antonello Matarazzo

 ◎特別賞(Special Award):"10eLotto" アルバ・ロルヴァケル

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 以下、受賞作品/上映作品の中からいくつかピックアップして、紹介します――

 ・“Brotherskab / Brotherhood”(デンマーク) 監督:Nicolo Donato
 物語:軍隊から戻ってきたラースは、アラブ人や同性愛者を襲ったりしているネオナチのグループに入る。グループの一員と認められるための通過儀礼は厳しいものだったが、古株のジミーが何かと面倒を見てくれる。2人の感情は、いつしか友情を超えたものになるが、それはグループでは許されない感情であり、2人はそれを他の仲間に秘密にする。しかし、やがて、グループを選ぶか、自分の気持ちに素直になるか、いずれかを選択しなければならない時がやってくる……。

 監督のNicole Donatoは、これまでミュージック・ビデオやCM、短編を発表してきたが、長編はこれが初めて。

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 ・“Alza la testa”(伊) 監督:Alessandro Angelini
 物語:メロは、造船所で働く熟練工で、シングル・ファーザーであった。息子のロレンツォは、アラブ人女性との間にできた子供で、彼は息子を一流のボクサーに育てるのが唯一の生きがいであった。そんな彼の夢は、ロレンツォの恋と、長らく行方をくらましていた実母デニサの登場で、揺らぎ始めるのだった……。

 セルジョ・カステリットが父親メロ役を演じています。

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 ・“L' uomo che verrà”(伊) 監督:Giorgio Diritti
 物語:1943年の冬。貧しい農家で育った8歳のマルティナは、母親が弟を生むのを楽しみにしていた。しかし、その弟が生後まもなく死んでしまい、彼女はショックのあまり口が利けなくなる。母親はまた妊娠するが、だんだんと戦争の足音が近づいてき、生活は、パルチザンとナチの間で、さらに厳しいものとなる。母親は、1944年の9月28日と29日の間に無事出産するが、その日は、のちに「マルツァボットの大虐殺」と呼ばれることになる事件の起こった日であった……。
 出演:マヤ・サンサ、アルバ・ロルヴァケル、Greta Zuccheri Montanari、Claudio Casadio

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 ・“The Last Station”(独・ロシア・英) 監督:マイケル・ホフマン(Michael Hoffman)
 物語:伯爵夫人ソフィヤは、憤っていた。50年もの結婚生活の後で、別れた夫トルストイが名声をほしいままにしているのに、自分には何の見返りもないからだった。作品の管理は弟子のチェルトコフに任せるというが、ロシア人民のために文学作品を残すことは大切でも、家族のことはどうでもいいというのか! 彼女は戦うことに決め、今まさにトルストイが息を引き取ろうとしている駅に彼に会いに行こうとする……。
 出演:ヘレン・ミレン(ソフィヤ)、クリストファー・プラマー(トルストイ)、ポール・ジアマッティ(チェルトコフ)、ジェームズ・マカヴォイ

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 ・“American Prince/American Boy: A Profile of Steven Prince”(米) 監督:マーティン・スコセッシ、Tommy Pallotta
 マーティン・スコセッシは、親友でもあり、監督作『タクシー・ドライバー』(1976)と『ニューヨーク・ニューヨーク』(1977)にも出演させているスティーヴン・プリンスについてのドキュメンタリー“American Boy: A Profile of: Steven Prince”を1978年に発表している。しかし、この作品は20年もの間、失われてしまったと思われていた。そして、30年後の現在。スティーヴン・プリンスは、ドラッグや犯罪、映画からも(ほとんど)ダメージを受けることなく、生き延びていて、いまや彼は伝説となり、クエンティン・タランティーノが彼の人生からインスピレーションを得ているとも言われる。監督のTommy Pallottaは、スコセッシ作品に、彼の子供時代、絶頂期、武器売買等のエピソードを加え、彼の人生を新たに語り直している。
 出演:スティーヴ・プリンス、マーティン・スコセッシ、Tommy Pallotta、リチャード・リンクレイター

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 ・“Latta e Cafè”(伊) 監督:Antonello Matarazzo
 街角のオブジェやカフェテリア、学校など、ナポリを中心に様々のものをデザインし、イタリアのトップ・デザイナーとなっているRiccardo Dalisiについてのドキュメンタリー。

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 ・“Sons of Cuba”(英) 監督:Andrew Lang.
 ハバナ・ボクシング・アカデミーは、キューバから世界に向けてボクサーを育てていこうという目的で作られた学校で、子供たちは9歳で入学し、泊り込みでトレーニングを積む。ボクシングは子供たちが貧困から抜け出す手段であり、また、キューバ革命のパワーを世界に見せつける機会でもある。監督のAndrew Langは、若きボクサーを3人選び、8ヶ月にわたって彼らを追跡していく。

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 来年のイタリア映画祭の上映作品のいくつかは上記の中にありそうですが、さて、どうでしょうか。

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 *当ブログ記事
 ・映画祭&映画賞カレンダー 2009年5月~2010年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200905/article_6.html

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