『ルクソーJr.』 ジョン・ラセター
『カーズ』で第64回ゴールデン・グローブ賞アニメーション賞を受賞したジョン・ラセター。
『ルクソーJr.』は、アニメーション作品で学生アカデミー賞を受賞したりしていたジョン・ラセターがピクサーで発表した初めての作品で、ピクサーが(CM作品や他の作品の一部などではなく)独立した作品として発表した初めての作品でもあります。ピクサーにとって、まさに記念すべき作品で、このキャラクター(卓上スタンド)が現在のピクサーのトレードマークにもなっています。
ただの卓上スタンドを映像的に手を加えることなく、動きだけで、擬人化して見せる手際が素晴らしい。ルクソーJr.が愛らしく、母子(?)間の感情さえも伝わってきます。
2007年1月現在、この作品はYou Tubeで観ることができますが、権利元からの要請があればすぐに削除されてしまうので、いつまで観られるという保証はありません。なので、ここでは補足情報を充実させておきたいと思います。
◆監督について
ジョン・ラセター
1957年 米国・カリフォルニア州ハリウッド生まれ。
早くからアニメーションに魅せられていた彼は、高校時代に、ディズニーにアニメーションの仕事に就きたいと手紙を出す。ディズニーは人物描写やデザイン、色などを勉強するよう返事を送る。
彼が高校を卒業するのに合わせたかのように、ディズニーはthe California Institute of the Artsに新たにアニメーション・プログラムを設け、彼はそこに入学(クラスメートにティム・バートン、ブラッド・バード、ジョン・マスカーがいる)。
学生時代に“Lady and the Lamp”“Nitemare”を作り、ともに学生アカデミー賞(アニメーション部門)を受賞(http://www.oscars.org/saa/winners/winners.pdf)。
そのままディズニーに入社し、『キツネと猟犬』“The Fox and the Hound”(1981)、『ミッキーのクリスマス・キャロル』(1984)などに関わる。
1982年の実写映画『トロン』で、彼は、CGに目覚め、アニメーターのグレン・キーンとともに、モーリス・センダックの『かいじゅうたちがいるところ』“Where the Wild Things Are”を映像化した30秒のテスト作品を制作。そこで、手書きのキャラクターをコンピューターとカメラで合成して制御する技術を開発。
彼はコンピューターに興味を持って、ルーカスフィルムのILMを訪れるようになり、1984年にディズニーを辞めて、1ヶ月だけという予定でルーカスフィルムに加わる。1ヶ月の予定は半年に延びるが、この時に手がけた作品が『ヤング・シャーロック ピラミッドの謎』(1985)で、彼はステンドグラスから騎士が現れる部分のCGに関わる。
ルーカスフィルムは、コンピューター・アニメーション部門を立ち上げ、それが1986年に独立して、ピクサー・アニメーション・スタジオとなるが、ラセターはその創立に関わり、ピクサーの監督に就任。彼は、数多くのCMの製作・監督を務めながら、1986年に『ルクソーJr.』を発表。アカデミー賞短編アニメーション賞にノミネート。
『ティン・トイ』(アカデミー賞短編アニメーション賞受賞)、『Knick Knack ニック・ナック』を経て、1995年にセル画を全く使用しないフルCG 3-Dアニメーション『トイ・ストーリー』を完成させる(アカデミー賞特別賞受賞)。
ディズニーを辞めても、ラセターはオリジナル・ストーリーやキャラクター担当の作家としてディズニーとの関係は続いていて、それが、『トイ・ストーリー』でディズニーとピクサーが組むきっかけになる。(ここまでYahoo!Movies参照:http://movies.yahoo.com/movie/contributor/1800019798/bio)
その後の活躍はご承知の通り。現在は、ピクサーの副社長(Vice President)。
各映画賞に、長編アニメーション部門が設置されたのは最近なので(アカデミー賞は2002年(2001年度)から、ゴールデン・グローブ賞は2007年(2006年度)から)、これまでは『トイ・ストーリー』でアカデミー賞特別賞、『トイ・ストーリー2』でゴールデン・グローブ賞ミュージカル/コメディ部門の作品賞にとどまっていた。
『カーズ』は、ゴールデン・グローブ賞にアニメーション部門が設けられて初めての受賞作品となったわけで、これまではアニメーション賞のノミネートの機会すらなかったアカデミー賞で、CGアニメの第一人者であるジョン・ラセターがアニメーション賞を受賞するかどうかが注目されている。
【監督作品】
1979年 “Lady and the Lamp”[短編]
1980年 “Nitemare” [短編]
1986年 『ルクソーJr.』[短編]
1987年 『レッズ・ドリーム』[短編]
1988年 『ティン・トイ』[短編]
1989年 『Knick Knack ニック・ナック』[短編]
1995年 『トイ・ストーリー』[長編]
1998年 『バグズ・ライフ』[長編]
1999年 『トイ・ストーリー2』[長編]
2006年 『カーズ』[長編]
2006年 『メーターと恐怖の火の玉』[短編]
2008年 『トイ・ストーリー3』[長編]
【その他】
1984年 「アンドレとウォーリーBの冒険」[モデルの1人として]
1985年 『ヤング・シャーロック ピラミッドの謎』[コンピューター・アニメーション]
1997年 『ゲーリーじいさんのチェス』[製作総指揮]
1998年 “It’s Tough to Be a Bug” [製作総指揮]
2000年 『フォー・ザ・バーズ』[製作総指揮]
2000年 『バッグス・バニーは永遠に! ~チャック・ジョーンズの贈り物~』[出演]
2001年 『千と千尋の神隠し』[製作総指揮]
2001年 『モンスターズ・インク』[製作総指揮]
2002年 『マイクとサリーの新車でGO!』[製作総指揮]
2003年 『バウンディン』[製作総指揮]
2003年 『ラセターさん、ありがとう』[出演]
2003年 “Exproring the Reef”[製作総指揮]
2003年 『ファインディング・ニモ』[製作総指揮]
2004年 『ハウルの動く城』[製作総指揮]
2004年 『Mr.インクレディブル』[製作総指揮]
2005年 『ジャック・ジャック・アタック』[製作総指揮]
2005年 『ワン マン バンド』[製作総指揮]
2007年 『レミーのおいしいレストラン』[製作総指揮]
◆データ
1986年/2分/台詞なし
1986年オタワ国際アニメーションフェスティバル 5分以内作品部門2位、1987年アカデミー賞短編アニメーション賞ノミネート、ベルリン国際映画祭 短編部門銀熊賞受賞。
『トイ・ストーリー2』(1999)劇場公開時に併映
DVD『トイ・ストーリー2』に併録
『世界と日本のアニメーションベスト150』(ふゅーじょんぷろだくと)で70位。
ピクサー公式サイト(米国):http://www.pixar.com/index.html
ピクサー公式サイト(日本):http://www.pixar.com/jp/
いずれのサイトでも冒頭1分余りを鑑賞することができ、iTunesからダウンロードして購入すれば、全編を観ることができます。
【物語】
大きなスタンド(ルクソー)の前にゴム・ボールが転がってくる。ルクソーはボールを転がってきた方向に返すが、また転がってくる。ルクソーJr.がボールで遊んでいたわけで、ルクソーJr.がボールを追いかけて、ルクソーの前を通り過ぎてフレーム・アウトする(ピクサーの公式サイトで観られるのはここまで)。
その後、ルクソーJr.はボールの上でホッピングをするが、ボールはつぶれてペシャンコになってしまう。遊び相手がなくなってしょんぼりするルクソーJr.。それを暖かく見守るルクソー。
しかし、ルクソーJr.はもっともっと大きいボールを転がして、ルクソーの前を通り過ぎるのだった……。
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・『Knick Knack ニック・ナック』
・ピクサーの短編作品についてまとめてみました
・短編アニメーション ベスト100!
『ルクソーJr.』は、アニメーション作品で学生アカデミー賞を受賞したりしていたジョン・ラセターがピクサーで発表した初めての作品で、ピクサーが(CM作品や他の作品の一部などではなく)独立した作品として発表した初めての作品でもあります。ピクサーにとって、まさに記念すべき作品で、このキャラクター(卓上スタンド)が現在のピクサーのトレードマークにもなっています。
ただの卓上スタンドを映像的に手を加えることなく、動きだけで、擬人化して見せる手際が素晴らしい。ルクソーJr.が愛らしく、母子(?)間の感情さえも伝わってきます。
2007年1月現在、この作品はYou Tubeで観ることができますが、権利元からの要請があればすぐに削除されてしまうので、いつまで観られるという保証はありません。なので、ここでは補足情報を充実させておきたいと思います。
◆監督について
ジョン・ラセター
1957年 米国・カリフォルニア州ハリウッド生まれ。
早くからアニメーションに魅せられていた彼は、高校時代に、ディズニーにアニメーションの仕事に就きたいと手紙を出す。ディズニーは人物描写やデザイン、色などを勉強するよう返事を送る。
彼が高校を卒業するのに合わせたかのように、ディズニーはthe California Institute of the Artsに新たにアニメーション・プログラムを設け、彼はそこに入学(クラスメートにティム・バートン、ブラッド・バード、ジョン・マスカーがいる)。
学生時代に“Lady and the Lamp”“Nitemare”を作り、ともに学生アカデミー賞(アニメーション部門)を受賞(http://www.oscars.org/saa/winners/winners.pdf)。
そのままディズニーに入社し、『キツネと猟犬』“The Fox and the Hound”(1981)、『ミッキーのクリスマス・キャロル』(1984)などに関わる。
1982年の実写映画『トロン』で、彼は、CGに目覚め、アニメーターのグレン・キーンとともに、モーリス・センダックの『かいじゅうたちがいるところ』“Where the Wild Things Are”を映像化した30秒のテスト作品を制作。そこで、手書きのキャラクターをコンピューターとカメラで合成して制御する技術を開発。
彼はコンピューターに興味を持って、ルーカスフィルムのILMを訪れるようになり、1984年にディズニーを辞めて、1ヶ月だけという予定でルーカスフィルムに加わる。1ヶ月の予定は半年に延びるが、この時に手がけた作品が『ヤング・シャーロック ピラミッドの謎』(1985)で、彼はステンドグラスから騎士が現れる部分のCGに関わる。
ルーカスフィルムは、コンピューター・アニメーション部門を立ち上げ、それが1986年に独立して、ピクサー・アニメーション・スタジオとなるが、ラセターはその創立に関わり、ピクサーの監督に就任。彼は、数多くのCMの製作・監督を務めながら、1986年に『ルクソーJr.』を発表。アカデミー賞短編アニメーション賞にノミネート。
『ティン・トイ』(アカデミー賞短編アニメーション賞受賞)、『Knick Knack ニック・ナック』を経て、1995年にセル画を全く使用しないフルCG 3-Dアニメーション『トイ・ストーリー』を完成させる(アカデミー賞特別賞受賞)。
ディズニーを辞めても、ラセターはオリジナル・ストーリーやキャラクター担当の作家としてディズニーとの関係は続いていて、それが、『トイ・ストーリー』でディズニーとピクサーが組むきっかけになる。(ここまでYahoo!Movies参照:http://movies.yahoo.com/movie/contributor/1800019798/bio)
その後の活躍はご承知の通り。現在は、ピクサーの副社長(Vice President)。
各映画賞に、長編アニメーション部門が設置されたのは最近なので(アカデミー賞は2002年(2001年度)から、ゴールデン・グローブ賞は2007年(2006年度)から)、これまでは『トイ・ストーリー』でアカデミー賞特別賞、『トイ・ストーリー2』でゴールデン・グローブ賞ミュージカル/コメディ部門の作品賞にとどまっていた。
『カーズ』は、ゴールデン・グローブ賞にアニメーション部門が設けられて初めての受賞作品となったわけで、これまではアニメーション賞のノミネートの機会すらなかったアカデミー賞で、CGアニメの第一人者であるジョン・ラセターがアニメーション賞を受賞するかどうかが注目されている。
【監督作品】
1979年 “Lady and the Lamp”[短編]
1980年 “Nitemare” [短編]
1986年 『ルクソーJr.』[短編]
1987年 『レッズ・ドリーム』[短編]
1988年 『ティン・トイ』[短編]
1989年 『Knick Knack ニック・ナック』[短編]
1995年 『トイ・ストーリー』[長編]
1998年 『バグズ・ライフ』[長編]
1999年 『トイ・ストーリー2』[長編]
2006年 『カーズ』[長編]
2006年 『メーターと恐怖の火の玉』[短編]
2008年 『トイ・ストーリー3』[長編]
【その他】
1984年 「アンドレとウォーリーBの冒険」[モデルの1人として]
1985年 『ヤング・シャーロック ピラミッドの謎』[コンピューター・アニメーション]
1997年 『ゲーリーじいさんのチェス』[製作総指揮]
1998年 “It’s Tough to Be a Bug” [製作総指揮]
2000年 『フォー・ザ・バーズ』[製作総指揮]
2000年 『バッグス・バニーは永遠に! ~チャック・ジョーンズの贈り物~』[出演]
2001年 『千と千尋の神隠し』[製作総指揮]
2001年 『モンスターズ・インク』[製作総指揮]
2002年 『マイクとサリーの新車でGO!』[製作総指揮]
2003年 『バウンディン』[製作総指揮]
2003年 『ラセターさん、ありがとう』[出演]
2003年 “Exproring the Reef”[製作総指揮]
2003年 『ファインディング・ニモ』[製作総指揮]
2004年 『ハウルの動く城』[製作総指揮]
2004年 『Mr.インクレディブル』[製作総指揮]
2005年 『ジャック・ジャック・アタック』[製作総指揮]
2005年 『ワン マン バンド』[製作総指揮]
2007年 『レミーのおいしいレストラン』[製作総指揮]
◆データ
1986年/2分/台詞なし
1986年オタワ国際アニメーションフェスティバル 5分以内作品部門2位、1987年アカデミー賞短編アニメーション賞ノミネート、ベルリン国際映画祭 短編部門銀熊賞受賞。
『トイ・ストーリー2』(1999)劇場公開時に併映
DVD『トイ・ストーリー2』に併録
『世界と日本のアニメーションベスト150』(ふゅーじょんぷろだくと)で70位。
ピクサー公式サイト(米国):http://www.pixar.com/index.html
ピクサー公式サイト(日本):http://www.pixar.com/jp/
いずれのサイトでも冒頭1分余りを鑑賞することができ、iTunesからダウンロードして購入すれば、全編を観ることができます。
【物語】
大きなスタンド(ルクソー)の前にゴム・ボールが転がってくる。ルクソーはボールを転がってきた方向に返すが、また転がってくる。ルクソーJr.がボールで遊んでいたわけで、ルクソーJr.がボールを追いかけて、ルクソーの前を通り過ぎてフレーム・アウトする(ピクサーの公式サイトで観られるのはここまで)。
その後、ルクソーJr.はボールの上でホッピングをするが、ボールはつぶれてペシャンコになってしまう。遊び相手がなくなってしょんぼりするルクソーJr.。それを暖かく見守るルクソー。
しかし、ルクソーJr.はもっともっと大きいボールを転がして、ルクソーの前を通り過ぎるのだった……。
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