映画音響協会賞(CAS)2020 受賞結果

 第27回米・映画音響協会賞の受賞結果が発表になりました。(1月25 日)

 【米・映画音響協会(CAS:Cinema Audio Society)】
 1964年創立という歴史あるアメリカのミキサーの団体で、550名のミキサーが所属しています。
 アメリカの映画・テレビ業界の約半数がここに属していて、映画のエンドロールで、名前の後に「,CAS」とあるミキサーさんが、米・映画音響協会会員です。
 米・映画音響協会賞自体は、1994年に設けられた賞で、今年で26年目になります。公式サイトには「54th」と記されていますが、これは創立から数えた回数で、「年次」というような意味合いのようです。
 賞は、会員・非会員の別なく選ばれています。

 もう1つ、これに似た賞で、ゴールデン・リール賞という映画賞がありますが、これとどう違うかというと、CASがアカデミー賞録音賞に対応し、ゴールデン・リール賞がアカデミー賞音響編集賞に対応するといえばわかりやすいでしょうか。
 もっと端的に言うと、CASが録音技師の賞、ゴールデン・リール賞が音響編集者の賞ということになります。

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 【実写映画部門】(Motion Picture – Live Action)
 ◎『フォードVSフェラーリ』

 【アニメーション部門】(Motion Picture—Animated)
 ◎『トイ・ストーリー4』

 【ドキュメンタリー部門】(Motion Picture—Documentary)
 ◎“Making Waves: The Art of Cinematic Sound”

 【TV映画/ミニシリーズ部門】(Television Movie or Mini-Series)
 ◎『チェルノブイリ』

 【テレビ・シリーズ 1時間番組部門】(Television Series – 1 Hour)
 ◎『ゲーム・オブ・スローンズ』: "The Bells"

 【テレビ・シリーズ 30分番組部門】(Television Series – 1/2 Hour)
 ◎『バリー』: "The Bells"
 ◎『Fleabag フリーバッグ』: "Episode #2.6"

 【ノンフィクション番組-バラエティー、音楽シリーズ、特別番組部門】(Television Non-Fiction, Variety or Music Series or Specials)
 ◎“David Bowie:” ‘Finding Fame’

 【学生賞】(CAS STUDENT RECOGNITION AWARD)
 ◎Bo Pang (チャップマン大学)

 【プロダクト賞】
 ミキシングに有用な製品やワークフローに贈られる。CASの会員の投票によって選ばれる。

 ◆プロダクション賞(Outstanding Product – Production)
 ◎Sound Devices, LLC: Scorpio

 ◆ポスト・プロダクション賞(Outstanding Product – Post Production)
 ◎iZotope, Inc.: Dialogue Match

 【特別賞・名誉賞】

 ◆シネマ・オーディオ・ソサイエティー・フィルムメイカー賞(The Cinema Audio Society Filmmaker Award)
 ◎ジェームズ・マンゴールド

 ◆キャリア貢献賞(Career Achievement Award)
 ◎トム・フレイシュマン(Tom Fleischman)
 サウンド・エンジニア、リレコーディング・ミキサー。米国アカデミー賞録音賞に5回ノミネート。『ヒューゴの不思議な発明』で受賞。

 ◆プレジデント賞(The President’s Award)
 本年度は該当者なし?

 ◆A service award
 ◎Peter Damski
 サウンド・ミキサー。80年代半ばから2010年まで数多くの作品を手がける。

 ※各受賞作品には、たくさんの対象者がいますが、省略させていただきます。

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 米・映画音響協会(CAS )とアカデミー賞録音賞の過去の受賞結果を比較してみると、以下のようになっています。

 2020年(3/5) CAS:『フォードVSフェラーリ』 AA:
 2019年(4/5) CAS:『ボヘミアン・ラプソディ』 AA:『ボヘミアン・ラプソディ』
 2018年(4/5) CAS:『ダンケルク』 AA:『ダンケルク』
 2017年(3/5) CAS:『ラ・ラ・ランド』 AA:『ハクソーリッジ』
 2016年(4/5) CAS:『レヴェナント:蘇えりし者』 AA:『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
 2015年(4/5) CAS:『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』 AA:『セッション』
 2014年(4/5) CAS:『ゼロ・グラビティ』 AA:『ゼロ・グラビティ』
 2013年(3/5) CAS:『レ・ミゼラブル』 AA:『レ・ミゼラブル』
 2012年(2/5) CAS:『ヒューゴの不思議な発明』 AA:『ヒューゴの不思議な発明』
 2011年(3/5) CAS:『トゥルー・グリット』 AA:『インセプション』
 2010年(4/5) CAS:『ハート・ロッカー』 AA:『ハート・ロッカー』
 2009年(3/5) CAS:『スラムドッグ&ミリオネア』 AA:『スラムドッグ&ミリオネア』
 2008年(3/5) CAS:『ノーカントリー』 AA:『ボーン・アルティメイタム』
 2007年(4/5) CAS:『ドリームガールズ』 AA:『ドリームガールズ』
 2006年(4/5) CAS:『ウォーク・ザ・ライン』 AA:『キング・コング』
 2005年(3/5) CAS:『アビエイター』 AA:『レイ』
 2004年(5/5) CAS:『マスター・アンド・コマンダー』 AA:『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』
 2003年(4/5) CAS:『ロード・トゥ・パーディション』 AA:『シカゴ』
 2002年(4/5) CAS:『ロード・オブ・ザ・リング』 AA:『ブラックホーク・ダウン』
 2001年(5/5) CAS:『グラディーター』 AA:『グラディーター』
 2000年(2/5) CAS:『マトリックス』 AA:『マトリックス』
 1999年(3/5) CAS:『プライベート・ライアン』 AA:『プライベート・ライアン』
 1998年(4/5) CAS:『タイタニック』 AA:『タイタニック』
 1997年(4/5) CAS:『イングリッシュ・ペイシェント』 AA:『イングリッシュ・ペイシェント』
 1996年(3/5) CAS:『アポロ13』 AA:『アポロ13』
 1995年(3/5) CAS:『フォレスト・ガンプ』 AA:『スピード』

 年の後の数字は、ノミネーションの合致度です。

 受賞作品の合致度は、14/25(56%)で、数字だけ見るとそんなに高いものではありません。
 ただし、受賞作品が異なる年も、ノミネーション段階では、1994年と2015年以外すべて、双方の受賞作をそれぞれのノミネーションに確実にエントリーさせていて、全く異なる性質を持っている賞ではないことがわかります。

 米・映画音響協会(CAS)に比べて、米国アカデミー賞録音賞は、明らかに音楽ものを評価する傾向が強く、また、米・映画音響協会(CAS)が「ドラマ」作品をも評価してきているのに対して、米国アカデミー賞録音賞は、よりスペクタクルものを好むという傾向があるようです。

 ◆米国アカデミー賞2020録音賞(Achievement in sound mixing)ノミネーション
 ・『アド・アストラ』 ゲイリー・ライドストロム(Gary Rydstrom)、Tom Johnson、Mark Ulano
 ・『フォードVSフェラーリ』 David Giammarco、ポール・マッセイ(Paul Massey)、Steven A. Morrow
 ・『ジョーカー』 Tom Ozanich、Dean A. Zupancic、Tod Maitland
 ・『1917 命をかけた伝令』(英・米) Mark Taylor、Oliver Tarney、スチュアート・ウィルソン(Stuart Wilson)
 ・『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』 マイケル・ウィンクラー(Michael Minkler)、Christian P. Minkler、Mark Ulano

 録音賞を持つ映画賞は多くはなく、本年度は、サテライト・アワードは『フォードVSフェラーリ』、米・映画音響協会賞(CAS)は『フォードVSフェラーリ』で、あとはBAFTA英国アカデミー賞が残っていますが、米国アカデミー賞録音賞も『フォードVSフェラーリ』がかなりリードということになるでしょうか。
 ちなみに、ゴールデン・リール賞(音響編集賞)では、長編作品 台詞/ADR部門が『1917 命をかけた伝令』、長編作品 音響効果/Foley部門が『フォードVSフェラーリ』が受賞しています。

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 *当ブログ記事

 ・ゴールデン・リール賞(音響編集賞)2020 受賞結果:https://umikarahajimaru.at.webry.info/202001/article_40.html

 ・米・映画音響協会賞(CAS)2019 受賞結果:https://umikarahajimaru.at.webry.info/201902/article_37.html
 ・米・映画音響協会賞(CAS)2018 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201801/article_42.html
 ・米・映画音響協会賞(CAS)2018 受賞結果:https://umikarahajimaru.at.webry.info/201802/article_61.html
 ・米・映画音響協会賞(CAS)2017 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201701/article_46.html
 ・米・映画音響協会賞(CAS)2017 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201702/article_44.html
 ・米・映画音響協会賞(CAS)2016:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201602/article_39.html
 ・米・映画音響協会賞(CAS)2015:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201502/article_21.html
 ・米・映画音響協会賞(CAS)2014 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201401/article_46.html
 ・米・映画音響協会賞(CAS)2014 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201402/article_45.html
 ・米・映画音響協会賞(CAS)2013 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201301/article_20.html
 ・米・映画音響協会賞(CAS)2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201302/article_30.html
 ・米・映画音響協会賞(CAS)2012 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201201/article_37.html
 ・米・映画音響協会賞(CAS)2012 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201202/article_32.html
 ・米・映画音響協会賞(CAS)2011 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201101/article_16.html
 ・米・映画音響協会賞(CAS)2011 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201102/article_38.html
 ・米・映画音響協会賞(CAS)2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201003/article_2.html
 ・米・映画音響協会賞(CAS)2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200902/article_19.html

 ・全米の映画賞について調べてみました:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201001/article_45.html

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