本年度も脚色賞の行方は? USCスクリプター2019 受賞結果

 第31回USCスクリプターの受賞結果:が発表になりました。(2月9日)

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 USC スクリプターとは、正しくは、南カリフォルニア大学図書館スクリプター賞(The University of Southern California (USC) Libraries Scripter Award)のことで、南カリフォルニア大学図書館が、映画化された原作本の原作者と脚本家、および脚本を表彰するものです。

 30年も続けていればそれだけで十分に価値がありますが、この映画賞がいろんな映画情報サイト(アメリカの)に取り上げられるのは、たぶんそういう理由より、この賞がアカデミー賞脚色賞を占うもの、というポジションを築きつつあるからだろうと思われます。

 2001年以降のUSCスクリプターとアカデミー賞脚色賞との合致度を調べてみると、以下のようになっています。

 2018年:『君の名前で僕を呼んで』〇
 2017年:『ムーンライト』〇
 2016年:『マネー・ショート 華麗なる大逆転』〇
 2015年:『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』○
 2014年:『それでも夜は明ける』○
 2013年:『アルゴ』○
 2012年:『ファミリー・ツリー』○
 2011年:『ソーシャル・ネットワーク』○
 2010年:『プレシャス』○
 2009年:『スラムドッグ$ミリオネア』○
 2008年:『ノーカントリー』○
 2007年:『トゥモロー・ワールド』×(アカデミー賞は『ディパーテッド』)
 2006年:『カポーティ』×(アカデミー賞は『ブロークバック・マウンテン』)
 2005年:『ミリオンダラー・ベイビー』×(アカデミー賞は『サイドウェイ』)
 2004年:『ミスティック・リバー』『シービスケット』×(アカデミー賞は『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』)
 2003年:『めぐりあう時間たち』×(アカデミー賞は『ピアニスト』)
 2002年:『ビューティフル・マインド』○
 2001年:『ワンダー・ボーイズ』×(アカデミー賞は『トラフィック』)

 アカデミー賞との合致度はそんなには高くありませんが、ここ10年は同一作品が受賞していて、しかも2010年はアカデミー賞での予想が難しかった『プレシャス』で受賞しています。

 本年度のノミネーション(ファイナリスト)&受賞結果は、以下の通り。

 なお、2015年度からテレビ部門が新設されています。

 【映画部門】

 ・『ブラックパンサー』(Disney and Marvel Comics)
 脚本家:ライアン・クーグラー、ジョー・ロバート・コール キャラクター:スタン・リー(Stan Lee)、ジャック・カービー(Jack Kirby)

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 ・“Can You Ever Forgive Me?”(Fox Searchlight and Simon & Schuster)
 脚本家:ニコール・ホロフセナー、Jeff Whitty 原作:Lee Israel

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 ・『スターリンの葬送狂騒曲』(IFC Films and Titan Comics)
 脚本家:アーマンド・イアヌッチ、イアン・マーティン、デイヴィッド・シュナイダー 原作グラフィック・ノヴェル:ファビアン・ニュリ(Fabien Nury)、Thierry Robin “La mort de Staline”

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 ・『ビール・ストリートの恋人たち』(Annapurna Pictures and Vintage International)
 脚本家:バリー・ジェンキンス 原作:ジェームズ・ボールドウィン

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 ◎“Leave No Trace”(Bleecker Street and Mariner Books)
 脚本家:デブラ・グラニック、アン・ロッセリーニ(Anne Rosellini) 原作:Peter Rock “My Abandonment”

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 『ブラック・クランズマン』、『アリー/スター誕生』、『妻たちの落とし前』、『ファースト・マン』、『クレイジー・リッチ!』、“Wildlife”などが落選。

 【テレビ部門】

 ・『アメリカン・クライム・ストーリー/ヴェルサーチ暗殺』(FX and Bantam Books)
 脚本家:トム・ロブ・スミス(Tom Rob Smith) エピソード‘The Man Who Would Be Vogue’ 原作ノンフィクション:モーリン・オース(Maureen Orth) “Vulgar Favors: Andrew Cunanan, Gianni Versace, and the Largest Failed Manhunt in U.S. History”

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 ・『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』(Hulu and Anchor)
 脚本家:ブルース・ミラー(Bruce Miller)(エピソード‘Holly’) 原作者:マーガレット・アトウッド
 『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』は2年連続ノミネート。前回、受賞。

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 ・『倒壊する巨塔-アルカイダと「9.11」への道』“The Looming Tower”(Hulu and Penguin Random House)
 脚本家:ダン・フッターマン(Dan Futterman)、Ali Selim エピソード‘9/11’ 原作ノンフィクション:ローレンス・ライト(Lawrence Wright) 『倒壊する巨塔 <上><下> ― アルカイダと「9.11」への道』

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 ・『パトリック・メルローズ』(Showtime and Picador)
 脚本家:デイヴィッド・ニコルズ(David Nicholls) エピソード‘Bad News’ 原作:エドワード・セント・オービン(Edward St. Aubyn)が発表した小説のシリーズ

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 ・『KIZU -傷-』“Sharp Objects”(HBO and Broadway Books)
 脚本家:マーティ・ノクソン(Marti Noxon) エピソード‘Vanish’ 原作:ギリアン・フリン 『KIZU -傷-』“Sharp Objects”

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 ◎『英国スキャンダル〜セックスと陰謀のソープ事件』“A Very English Scandal”(Amazon Studios and Other Press)
 脚本家:ラッセル・T・デイヴィス(Russell T Davies) 原作:ジョン・プレストン(John Preston)

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 本年度の脚色賞は、
 ナショナル・ボード・オブ・レビュー:バリー・ジェンキンス 『ビール・ストリートの恋人たち』
 ニューヨーク映画批評家協会賞:『ROMA/ローマ』 アルフォンソ・キュアロン
 ロサンゼルス映画批評家協会賞:『ブラック・クランズマン』 スパイク・リー、Charlie Wachtel、デイヴィッド・ラビノウィッツ(David Rabinowitz)、ケヴィン・ウィルモット(Kevin Willmott)
 サンディエゴ映画批評家協会賞:アーマンド・イアヌッチ、デイヴィッド・シュナイダー、イアン・マーティン、ピーター・フェローズ、ファビアン・ニュリ(Fabien Nury) 『スターリンの葬送狂騒曲』
 ラスベガス映画批評家協会賞:デブラ・グラニック、アン・ロッセリーニ “Leave No Trace”
 クリティクス・チョイス・アワード:バリー・ジェンキンス 『ビール・ストリートの恋人たち』
 などと、票が割れていますが、MCN(Movie City News)のオスカー予想だと『ブラック・クランズマン』が1位ということになっています。

 『ブラック・クランズマン』は、USCスクリプターのノミネーションには入っていないので、『ブラック・クランズマン』が脚色賞に選ばれると、2007年以来のUSCスクリプターと不一致ということになります。
 『ブラック・クランズマン』が、USCスクリプターのノミネーションに入らなかった理由はわかりませんが、本当にそうなっちゃうんでしょうか。

 ちなみに、映画部門は90作品、テレビ部門は55作品の中から選ばれたと発表されています。

 米・脚本家組合賞(WGA)2019 脚色賞ノミネーション
 ・『ブラック・クランズマン』 Charlie Wachtel、デイヴィッド・ラビノウィッツ(David Rabinowitz)、ケヴィン・ウィルモット(Kevin Willmott) スパイク・リー 原作:Ron Stallworth
 ・『ブラックパンサー』(Disney and Marvel Comics)
 ライアン・クーグラー、ジョー・ロバート・コール 原作マーベル・コミックス:スタン・リー(Stan Lee)、ジャック・カービー(Jack Kirby)
 ・“Can You Ever Forgive Me?” ニコール・ホロフセナー、Jeff Whitty 原作:Lee Israel
 ・『ビール・ストリートの恋人たち』 バリー・ジェンキンス 小説:ジェームズ・ボールドウィン
 ・『アリー/スター誕生』 エリック・ロス、ブラッドリー・クーパー 原典:モス・ハート(1954年脚本) ジョン・グレゴリー・ダン+ジョーン・ディディオン+フランク・ピアソン(1976年脚本) ストーリー:ウィリアム・A・ウェルマン(William Wellman)、ロバート・カーソン(Robert Carson)

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 本年度のUSCスクリプターの受賞作は、米国アカデミー賞2019脚色賞のノミネーションには含まれなかったで、本年度のUSCスクリプター受賞作と米国アカデミー賞2019脚色賞はこの段階で不一致になりました。

 ◆米国アカデミー賞2019
 ・『バスターのバラード』 ジョエル&イーサン・コーエン
 ・『ブラック・クランズマン』 スパイク・リー、Charlie Wachtel、デイヴィッド・ラビノウィッツ(David Rabinowitz)、ケヴィン・ウィルモット(Kevin Willmott)
 ・“Can You Ever Forgive Me?” ニコール・ホロフセナー、Jeff Whitty
 ・『ビール・ストリートの恋人たち』 バリー・ジェンキンス
 ・『アリー/スター誕生』 エリック・ロス、ブラッドリー・クーパー、ウィル・フェッターズ(Will Fetters)

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 *当ブログ記事

 ・USCスクリプター2019 ノミネーション発表:https://umikarahajimaru.at.webry.info/201901/article_37.html
 ・USCスクリプター2018 ノミネーション発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201801/article_52.html
 ・USCスクリプター2018 受賞結果:https://umikarahajimaru.at.webry.info/201802/article_26.html
 ・USCスクリプター2017 ノミネーション発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201701/article_37.html
 ・USCスクリプター2017 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201702/article_28.html
 ・USCスクリプター2016 ノミネーション発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201601/article_22.html
 ・USCスクリプター2016 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201602/article_37.html
 ・USCスクリプター2015 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201502/article_6.html
 ・USCスクリプター2014 ノミネーション発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201401/article_27.html
 ・USCスクリプター2014 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201402/article_22.html
 ・USCスクリプター2013 ノミネーション発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201301/article_42.html
 ・USCスクリプター2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201302/article_18.html
 ・USCスクリプター2012 ノミネーション発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201201/article_26.html
 ・USCスクリプター2012 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201202/article_33.html
 ・USCスクリプター2011 ノミネーション発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201101/article_10.html
 ・USCスクリプター2011 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201102/article_9.html
 ・USCスクリプター2010 ノミネーション発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201001/article_6.html
 ・USCスクリプター2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201002/article_14.html

 ・全米の映画批評家協会系映画賞について調べてみました:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201101/article_2.html

 ・全米の映画賞について調べてみました:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201001/article_45.html

 ・全米映画賞レース2018 前半戦の受賞結果をまとめてみました:https://umikarahajimaru.at.webry.info/201812/article_77.html
 ・全米映画賞レース2018 後半戦の受賞結果をまとめてみました:https://umikarahajimaru.at.webry.info/201812/article_78.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2019年1月~5月:https://umikarahajimaru.at.webry.info/201901/article_31.html

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