モンペリエ地中海国際映画祭2018 受賞結果!

 第40回モンペリエ地中海映画祭(10月19日-10月27日)の受賞結果です。

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 【モンペリエ地中海国際映画祭】

 モンペリエ地中海国際映画祭(Cinemed Montpellier International Festival of Mediterranean Films)は、地中海周諸国の作品に限った映画祭で、日本ではそんなに知られてはいないと思いますが、今年で40回を迎えます。(似たような趣向を持った映画祭には、アジア太平洋映画祭(今年復活)、ハワイ国際映画祭(今年で38回)、フィルムズ・フロム・ザ・サウス映画祭(オスロ、今年で28回))などがあります。)

 地中海をはさんで、国どうしが向かい合っているとはいえ、およそ40年間、国家間レベルではいろいろあったはずで、そうでありながらも、この映画祭が現在まで続いているというのは、たぶん、政治や信条、国境を超えて、個人レベルではわりと簡単に交流ができ、実際にいろんな形で近隣諸国の人々とつきあいがあるからであり、また、開催地が移民を受け入れるのにわりと積極的な(という風に見える)フランスだからこうした催しがやりやすい、ということもあるのでしょうか。

 個々の特集も充実していて、今回は、以下の特集が組まれています。

 ・40周年記念名誉賞クロチルド・クロー(Clotilde Courau, invitée d'honneur du 40e Cinemed:5本)
 ・ゲディギャン・ファミリー(La famille Guédiguian:ロベール・ゲディギャン全長編20本)
 ・ホセ・ルイス・ゲリン(中編・長編8本)
 ・レバノンのヤング・シネマ(Le jeune cinéma libanais:長編4本、ドキュメンタリー4本)
 ・イタリアン・コメディー(50~70年代のコメディー13本)
 ・地中海映画傑作集(Les chefs-d'oeuvre du cinéma méditerranéen:『甘い生活』『情事』『アッカトーネ』『ビリディアナ』『山猫』『革命前夜』『サン・ロレンツォの夜』『ル・バル』『ジプシーのとき』)
 ・Nuit en enfer(地獄の夜):長編5本
 ・Cinemed des enfants(児童映画):長編2本
 ・Le Capitole s'anime:2000年以降の短編アニメーション6本
 ・Les Virgules d'ArtFx:2018年の地中海短編アニメーション9本
 ・Films stage pédagogique La Tortue rouge+9e Festival de films lycéens:2本+短編7本、長編1本

 本年度のコンペティション部門のラインナップ&受賞結果は以下の通りです。

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 【長編コンペティション部門】(Longs Métrages)

 ◆最優秀作品賞/Antigone d’or de Montpellier Méditerranée Métropole €15 000

 ※審査員:ロベール・ゲディギャン(審査員長)、ローラ・ネマルク(Lola Naymark:コメディエンヌ)、ジャック・ブーデ(Jacques Boudet :コメディアン)、ジェラール・メイラン(Gérard Meylan:コメディアン)、ロバンソン・ステヴナン(Robinson Stévenin)

 ◎“Fiore Gemello(Twin Flower)“(伊) 監督:Laura Luchetti [ワールド・プレミア]
 物語:16歳のAnnaは逃走中だった。それは、彼女にとってトラウマになるほどの暴力的な出来事(それは観客には見せられない)で、彼女は声が出せなくなっていた。その途上で、彼女は、コートジボワールからやってきた16歳の不法移民Basimに助けられる。彼は、ヨーロッパの北に向かっていた。2人は、互いを必要としていて、サルジニアの、荒涼とした土地や森、村、息をのむような風景を抜けて、一緒に危険な旅をしていく。
 第2監督長編。
 トロント国際映画祭2018 DISCOVERY部門出品。国際批評家連盟賞 DISCOVERY部門オナラブル・メンション受賞。
 釜山国際映画祭2018 フラッシュ・フォワード部門出品。
 BFIロンドン映画祭2018 Journey部門出品。

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 ◆批評家賞(Prix de la critique BNP Paribas) €2 000
 ◎『シベル』“Sibel”(仏・独・ルクセンブルク・トルコ) 監督:チャーラ・ゼンジルジ(Çağla Zencirci)、ギョーム・ジョヴァネッティ(Guillaume Giovanetti)
 物語:25歳のSibelは、トルコの黒海地区の山の中の人里離れた村で、父と妹と一緒に暮らしていた。彼女は口が利けなかったが、地域に伝わる口笛言語でコミュニケーションを果たした。Sibelは、仲間の村人に拒まれて、近隣の森の中を徘徊して、村の女性たちに恐怖と妄想をバラましている狼を執拗に追った。そこで彼女は逃亡者と出会う。傷つき、怯え、衰弱した彼は、これまで誰も見たことのない目線で彼女を見た初めての男性になった。
 日本で『人間-Ningen-』を撮影した監督コンビの最新作。第3長編。
 ロカルノ国際映画祭2018 インターナショナル・コンペティション部門出品。エキュメニカル審査員賞、国際批評家連盟賞受賞。ヤング審査員賞第2席。
 トロント国際映画祭2018 CONTEMPORARY WORLD CINEMA部門出品。
 アダナ映画祭2018 作品賞、主演女優賞(ダムラ・ソンメズ(Damla Sönmez))、助演男優賞(Emin Gürsoy)受賞。
 ハイファ国際映画祭2018出品。
 CPH:PIX 2018出品。
 ハンブルク・フィルム・フェスト2018出品。ハンブルク・プロデューサー賞受賞。
 釜山国際映画祭2018 フラッシュ・フォワード部門出品。
 シカゴ国際映画祭2018インターナショナル・コンペティション部門出品。
 東京フィルメックス2018コンペティション部門出品。
 アジア太平洋スクリーン・アワード2018 女優賞(ダムラ・ソンメズ)ノミネート。


 ◆観客賞(Prix du public Midi Libre) €2000
 ◎『シベル』“Sibel”(仏・独・ルクセンブルク・トルコ) 監督:チャーラ・ゼンジルジ(Çağla Zencirci)、ギョーム・ジョヴァネッティ(Guillaume Giovanetti)

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 ◆ヤング観客賞(Prix jeune public des activités sociales de l’énergie)
 ◎“Mafak(Screwdriver)”(パレスチナ・米・カタール) 監督:Bassam Jarbawi
 物語:Ziadは、5年間の刑務所暮らしの後で、誰もが彼をヒーローとして賞賛するように、現代パレスチナの生活になじもうとする。しかし、彼は現実と幻覚の区別ができず、すべてが始まった場所に戻ろうとする。
 2009年の短編“Roos Djaj”で、ナショナル・ボード・オブ・レビュー、ドバイ国際映画祭、スペン短編映画祭など多くの賞を受賞したBassam Jarbawiの初監督長編。
 ベネチア国際映画祭2018 ベネチア・デイズ出品。
 トロント国際映画祭2018 DISCOVERY部門出品。
 El Gouna映画祭2018出品。
 レイキャビク国際映画祭2018コンペティション部門出品。

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 ◆音楽賞(Prix JAM de la meilleure musique) €1 200
 ◎アンドレ・ジェジュク(André Dziezuk) 『テルアビブ・オン・ファイア』“Tel Aviv on Fire“(ルクセンブルク・仏・イスラエル・ベルギー)

 『テルアビブ・オン・ファイア』“Tel Aviv on Fire“(ルクセンブルク・仏・イスラエル・ベルギー) 監督:サメホ・ゾアビ(Sameh Zoabi)
 物語:Salamは、30歳のパレスチナ人で、人気ソープオペラの脚本家の見習いをしていた。毎日、テレビ・スタジオに入る彼は、厳しい検問所を通らなければならない。検問所で、Salamは、司令官のAssiと知り合いになるが、彼の妻はそのソープオペラの大ファンだった。Assiは、Salamに脚本の結末を変えるようにアイデアを出す。すばやくそれを理解したSalamは、そのアイデアのおかげでたちまち脚本家としての出世コースに乗る。ところが、その後、司令官と番組の経済的支援者との間で物語の結末について意見が合わなくなり、Salamは板挟みになってしまう。
 第3監督長編。
 ベネチア国際映画祭2018 Orizzonti部門出品。Interfilm Award、男優賞(Kais Nasif)受賞。
 ハイファ国際映画祭2018出品。
 チューリヒ映画祭2018出品。
 サン=ジャン=ド=リュズ国際映画祭2018出品。
 東京国際映画祭2018 イスラエル映画の現在2018出品。
 アジア太平洋スクリーン・アワード2018 脚本賞ノミネート。


 [その他のエントリー作品]
 ・“Petra”(西・仏・デンマーク) 監督:ハイメ・ロサレス(Jaime Rosales)
 ・“Les Météorites”(仏) 監督:Romain Laguna
 ・『堕ちた希望』“Il vizio della speranza”(伊) 監督:エドアルド・デ・アンジェリス(Edoardo De Angelis)
 ・“Good Day's Work”(ボスニア・ヘルツェゴビナ) 監督:Martin Turk
 ・“Teret”(セルビア・仏・クロアチア・イラン・カタール) 監督:Ognjen Glavonic
 ・“Le Jour où j'ai perdu mon ombre”(シリア・レバノン・仏・カタール) 監督:Soudade Kaadan

 【短編コンペティション部門】(Courts Métrages)

 ◆グランプリ(Grand prix du court métrage Montpellier Méditerranée Métropole) €4000 +€1 000 en prestation de post-production par Force de l’image production
 ◎“Roujoula”(モロッコ・仏) 監督:Ilias El Faris

 ◆メンション(Mentions)
 ◎“Matria”(西) 監督:Àlvaro Gago Díaz
 ◎“Le Cadeau de Noël”(ルーマニア) 監督:Bogdan Muresanu

 ◆観客賞(Prix du public Midi Libre-Titra Film) €1 000+€500 en prestation DCP par Titra Film
 ◎“Nefta Football Club”(仏) 監督:Yves Piat

 ◆ヤング観客賞(Prix jeune public Ville de Montpellier) €2 000
 ◎“Entre sombras”(ポルトガル・仏) 監督:Mónica Santos、Alice Eça Guimarães

 ◆メンション(Mention)
 ◎“Nefta Football Club”(仏) 監督:Yves Piat

 ◆Prix Canal +
 ◎“Gardiens”(ベルギー) 監督:Berivan Binevsa

 【ドキュメンタリー部門】(Documentaires)

 ◆最優秀ドキュメンタリー賞(Prix Ulysse CCAS-Montpellier Méditerranée Métropole) €3 000
 ◎“Erased,__Ascent of the Invisible(Tirss, rihlat alsoo’oud ila almar’i)”(レバノン) 監督:Ghassan Halwani
 物語:「35年前、私は知っている人が誘拐されるのを目撃した。それ以来彼は消えたままだ。10年前、私は通りを歩いている彼を見かけた。しかし、それが本当に彼だったどうか、確信は持てない。彼の顔の一部はそぎ取られていたが、事件以来、姿は変わっていなかった。彼が同じ人間ではないとしたら、何かが違うのだ。」
 15年間のレバノンの内戦で姿を消した何千人もの人々を喚起する作品。Ghassan Halwaniは、歴史的に積み重ねられ、個人的に共振するトピックに飛び込んで、時には文字通り、歴史的階層を剥ぎ取って、現代ベイルートのトポグラフィーを再考する。
 写真家からイラストレーションへと転じたGhassan Halwaniの初監督長編。写真、ヴォイスオーバー、オンスクリーン・テキスト、アニメーションと様々な手法を駆使している。
 ロカルノ国際映画祭2018 サインズ・オブ・ライフ部門出品。第1回作品賞 スペシャル・メンション受賞。
 トロント国際映画祭2018 WAVELENGTHS部門出品。
 ハンブルク・フィルム・フェスト2018出品。

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 ◆メンション(Mention)
 ◎“La Voie normale”(仏・チュニジア・カタール・スイス) 監督:Erige Sehiri
 チュニジアの1号線は、国際基準に基づいて建設された唯一の鉄道であるために鉄道士からは“La Voie normale”(ノーマル・ライン)と呼ばれる。しかし、それはしょっちゅう無視されて事故を起こし、乗客と従業員の生命は危険にさらされる。チュニジア革命後の変革の中で、民主的な様式を作り出すのに苦労しているのは、鉄道も同じである。

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 ◆学生賞 第1回作品賞(Prix étudiant de la première œuvre)
 ◎“Amal”(レバノン・エジプト・仏・独・ノルウェー・デンマーク・カタール) 監督:Mohamed Siam
 14歳のAmalが、アラブの春が花開いたカイロのタハリール広場にやってきたのは、14歳の時だった。若さゆえの不遜さで、彼女はストレートに危険に突き進み、権威の男性や抗議する仲間たちに出会う。恐れを知らぬAmalは、国の転換期に自らのアイデンティティーを探し、自分の居場所を求めていく。
 Amal が15歳の頃から彼女を追って6年かけて撮影された。
 アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭2017出品。
 ルクセンブルク・シティー映画祭2018出品。
 テッサロニキ国際ドキュメンタリー映画祭2018出品。
 Biografilmフェスティバル2018インターナショナル・コンペティション部門出品。
 シェフィールド国際ドキュメンタリー映画祭2018出品。ヤング審査員賞受賞。
 アジア太平洋スクリーン・アワード2018 ドキュメンタリー賞ノミネート。


 【特別賞・名誉賞】

 ◆名誉招待(l'invitée d'honneur)
 ◎クロチルド・クロー

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 *当ブログ記事

 ・モンペリエ地中海映画祭2017 受賞結果:https://umikarahajimaru.at.webry.info/201711/article_9.html
 ・モンペリエ地中海映画祭2016 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201611/article_18.html
 ・モンペリエ地中海映画祭2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201311/article_6.html
 ・モンペリエ地中海映画祭2012 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201211/article_15.html
 ・モンペリエ地中海映画祭2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201011/article_8.html
 ・モンペリエ地中海映画祭2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_40.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2018年10月~2019年1月:https://umikarahajimaru.at.webry.info/201810/article_5.html

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