釜山国際映画祭2018 受賞結果!

 第23回釜山国際映画祭の各賞が発表されました。

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 【ニュー・カレント部門】

 ◆ニュー・カレント賞(New Currents Award)
 ◎“SAVAGE(雪暴)”(中) 監督:Cui Si Wei(崔斯韋)
 物語:超然としたリーダーと華やかな弟、ずる賢そうな狙撃手という3人組の犯罪者が、冬の山道を密かに金塊を運ぶ護送車を襲撃するために出発する。雪崩、銃撃戦、車の事故の後、物語の舞台は近くの町に移る。そこでは、2人の警察官ワンとハンが、地元の女医の心を射止めようと争っていた。3人組を追ったハンは、たちまち殺されてしまい、ちょっとした偶然から生き延びたワンは、ルールや自分の安全を顧みないで仕事に臨む警察官へと変身する。3人組がそのエリアに戻ってくると知ったワンは、目を眩ますような白い森や険しい山道を横切って、銃撃戦や戦闘を展開させる。ワンは、3人組を狩るために雇われたガイドによって裏切られてしまい、一方、3人組は昨年の盗品をどのように分け合うでもめていた。
 ワン役をチャン・チェンが演じる。撮影監督は杜傑(Du Jie)。
 Cui Si Wei(崔斯韋)は、ニン・ハオの“瘋狂的賽車(Crazy Racer)”(2009)や『無人区』“No Man's Land”(2013)、『ポリス・ストーリー/REBORN』などの脚本に参加している。
 初監督作品。

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 ◎“Clean up”(韓) 監督:Kwon Man-ki
 物語:Jungjooは、息子を亡くして以来、人生に希望を失い、酒とタバコに逃げていた。教会に通って、祈ることで痛みから逃れようとしたが、それも役に立たなかった。ある日、彼女は、Mingooと出会う。Mingooは、前科者で、覚えている限りでいつ洗濯したのかわからないような汚れた服を着て、持ち物をひとつのプラスチックのバッグに詰めて持ち歩いていた。Jungjooは、彼を見て、12年前のことを思い出す。彼女は、絶望からひとりの少年を誘拐していた。問題なのは、彼が今も貧しく孤独で侮蔑されていることだった。彼女は、彼を無視できなかった。彼は、彼女といれば安心できたことを覚えていなかった。
 初監督長編。

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 ◆KNN 観客賞
 ◎“House of Hummingbird”(韓) 監督:Kim Bora
 物語:Eunheeは、14歳。1994年に聖水大橋が崩壊した時、彼女は、両親や兄たちと大峙洞 (テチドン)に暮らしていた。家族は、あまりEunheeのことを気にかけていないように見える。Eunheeは、親友のJisookと万引きに出かけ、非行少女の行きつけの有名なカラオケバーに出入りしていた。彼女は、同級生と同じように、近隣の学校の男子生徒とデートをし、愛を求めてさまよっていた。しかし、そんな彼女にも彼女の人生を気にかけてくれる人物が現れる。それは、教師のKim Youngjiだった。
 初監督作品。

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 ◆KTH (KT HiTel)Award
 ◎“Clean up”(韓) 監督:Kwon Man-ki

 ◆国際批評家連盟賞
 ◎“The Red Phallus”(ブータン・独・ネパール) 監督:Tashi Gyeltshen
 物語:Sangaiは、10代の娘で、ブータンの内陸に父親と一緒に暮らしている。彼女は、父親との暮らしを不幸に感じていたが、それは父親が、ミステリアスなパワーを持っていると信じる木製の男根像を作っているからであり、地元のお祭りで真っ赤な仮面をつけて道化を演じているからだった。Sangaiは、嫌々ながら近所に男根像を配っていたが、丘を歩いている時、赤い仮面と衣裳をつけた何十人もの男性に追い回されたりした。父親は、跡取りについて考えていて、Sangaiとの諍いは増え、緊張は高まった。また、Sangaiは、既婚の男性と秘密の関係を持っていた。
 初監督長編。
 ロカルノ国際映画祭2016 The Open Doors Grant受賞。

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 ◆NETPAC賞
 ◎“House of Hummingbird”(韓) 監督:Kim Bora

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 【アジア映画の窓部門】

 ◆第2回キム・ジソク賞
 ◎“Rona, Azim‘s Mother”(アフガニスタン・イラン) 監督:ジャムシド・マームディ(Jamshid Mahmoudi)
 物語:Azimは、テヘラン・シティー・ホールで用務員として働いているアフガン難民である。彼は、母親の面倒を見、家族でドイツに密入国しようという兄の計画に協力しているが、兄が母を見棄てたため、兄に裏切られたように感じている。それでも、彼は母親の面倒を見続けていて、ついに手術が必要になる。母親を助けるには、腎臓の移植が必要だが、外国人である彼にはイラン社会でドナーを見つけることはできない。彼は、自分の腎臓を移植しようとして、医者に止められる。
 第2監督作品。
 米国アカデミー賞2019外国語映画賞アフガニスタン代表。


 【フラッシュ・フォワード部門】

 ◆BNK Busan Bank Award
 ◎“The Little Comrade(Seltsimees laps)”(エストニア) 監督:Moonika Slimets
 物語:スターリン時代のソ連。Leeloは、快活で愛らしい少女で、教師をしている両親に愛情を注がれて育てられている。ある日、彼女の母親Helmesが、ロシアの支配に抵抗し、エストニアの独立を支援したとして、ロシア連邦保安庁によって逮捕される。父親のFeliksは、なんとかして妻を救い出そうとするがうまくいかない。Feliksは、スポーツ界のヒーローだったエストニア人で、ロシア政府の監視下にある。ロシア警察は、Helmesと別れるなら、よりよい人生を送れるよう約束すると言って、彼を宥めようとする。
 初監督長編。
 ベルリン国際映画祭2016 Euroimages Co-Production Development Award スペシャル・メンション受賞。

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 【韓国映画トゥデイ ヴィジョン部門】

 ◆Citizen Critics’Award
 ◎“Maggie”(韓) 監督:Yi Okseop
 物語:レントゲンで性行為を写したものが見つかって、病院が騒ぎになる。病院が興味を持ったのは、それらを誰が写したのかよりも、レンロゲンに写っているのは誰かということだった。看護婦のYeo Yoon-youngは辞表を書いていた。それは犯人が自分だと疑われると思ったからだったが、彼女が病院に着いた時、病院には代理人以外誰もいなかった。病院がこのように動揺している時、ソウル市内では謎の陥没事故が起こっていた。Yeo Yoon-youngのボーイフレンドを含む若い労働者が、これらの陥没を埋めるべく動員された。
 初監督長編。

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 ◆DGK (Directors Guild of Korea)Award
 ◎“Bori”(韓) 監督:Kim Jinyu
 物語:Bo-riは、海辺の村に住んでいる11歳の少女。彼女は、家族の中で、唯一耳が聞こえた。小学校で、友だちと話すことに慣れていくにつれ、家族と手話でやり取りすることが難しくなっていく。「自分はなぜ家族とは違う風に生まれたんだろう?」 それについて考えれば考えるほどBo-riは疎外感を味わう。彼女は、長期ダイビングによって聴覚障害になった老女をテレビで見る。Bo-riは耳が聞こえなくなることを願って、海に飛び込み、意識を失う。彼女は病院で目覚めて、耳が聞こえないふりをする。
 初監督長編。

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 ◎“Sub-zero Wind”(韓) 監督:Kim Yuri
 物語:12歳のYoung-haは、離婚した母親と一緒に暮らしている。だが、父親と一緒に暮そうと決心する。そうすれば、母親が新しい人生を始めることができるからだ。しかし、父親が突然失踪して、Young-haは、母親の許へ戻る。
 15歳。Young-haの母親は再婚した。母は、家族を養い、外見を保つために懸命に働く。一方、親友でいとこのMi-jinは家族を失い、おじさんの許に預けられる。Young-haは、何もしない。ただ憐れむだけだ。
 19歳。大学入学試験を終えたYoung-haは、母親が忙しすぎたため、継父と過ごすことが多くなった。ある日、継父と過ごしていて、思いがけないことが起こる。彼女はそれを母親に話す。
 初監督長編。

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 ◆CGV Art-house Award
 ◎“Maggie”(韓) 監督:Yi Okseop

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 ◆KBS Independent Film Award
 ◎“Maggie”(韓) 監督:Yi Okseop

 ◆男優&女優・オブ・ザ・イヤー(Actor & Actress of the Year)
 ◎Lee Juyeong(“Maggie”)

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 ◎チェ・ヒソ(“Our Body”)

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 【短編部門】

 ◆Sonje Award
 ◎“Cat Day Afternoon”(韓) 監督:Kwon Sungmo
 物語:ある夏の日。ひとりの女性がエアコンの修理を頼む。ネコが現れて、熱が激しくなり、汗も止まらない。修理人は、ネコ・アレルギーを発する。たちまちのうちに、すべてがおかしくなる。

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 ◎“NOOREH”(インド) 監督:Ashish Pandey
 物語:8歳の少女Noorehは、インドとパキスタンの国境の村に住んでいる。ある晩、彼女が目を覚ますと、銃撃が止むことに気がつく。銃撃戦が激しくなって学校が閉鎖されると、彼女は一晩中起きていることに決める。彼女が眠らないと本当に銃撃戦は止むのだろうか?

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 【ドキュメンタリー部門】

 ◆Biff Mecenat Award
 ◎“Opening Closing Forgetting(潰爛 癒合 掩蔵)”(台湾) 監督:James T. Hong(洪子健)
 日中戦争の最中、ハルピンに駐留していた日本軍731部隊は、生物兵器の実戦を行なった。吉林省から浙江省、江西省まで、彼らは致命的な細菌を民間人の体に注入した。この映画では、浙江省の生存者の事実調査に同行し、彼らの証言を記録する。10歳の時に細菌の注射を受けた生存者は、後遺症を患って何十年も沈黙していた。生存者はひとりずつ亡くなり、その記憶は消えていく。一方、731部隊の生き残りにもインタビューを試みる。彼らは、犠牲者よりも遥かに年輩ではあるが、依然として健康に生きていて、秘密の誓約を守って自分たちの責任を逃れたり、証言を避けたり、自分は関わっていないと言ったりする。被害者の傷口がますます悪化し、襲撃者は揃って口を閉ざし、すべての人々の記憶が薄れていく中で、われわれはどうすればいいのだろうか? 後悔は深まる。

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 ◎“Army”(韓) 監督:ケルヴィン・キョン・クン・パク(Kelvin Kyungkun Park)
 朝鮮は、世界で唯一分断されている国である。韓国籍を持つほとんどすべての男性が、韓国の軍事法に従って、兵役に就くよう求められる。これは、本作の主人公Woochulにも当てはまる。先に入隊していた友人は、Woochulが訓練キャンプに来た時、「これからのお前の2年間は国のものだ」と言って彼をからかう。映画は、Woochulが入隊してから除隊するまでを記録する。集団生活に慣れていないWoochulは、まず自分自身で適応しようとするが、もがいたあげく、ついにはしばらくの間射撃を拒否する。監督は、黙ってWoochulを観ているだけだ。若い韓国人が軍隊で学ぶ集団主義は、全体として社会を維持するための秩序に変わる。しかしながら、本作では、優れた個人を希釈することによって秩序を守ることを求め、いかに小さくても恐ろしいものであると、シニカルでもユーモラスに描写する。

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 ◆スペシャル・メンション
 ◎ “A War of Memories”(韓) 監督:イギル・ボラ(Bora Lee-Kil)
 韓国は、アメリカの同盟国として、ベトナム戦争に参加し、いわゆる「ベトナム特需」という経済成長を遂げた。これは、退役軍人の誇りである。しかし、その陰で、ベトナムの多くの村で韓国軍による民間人の虐殺があったが、韓国政府は、コメントを控えている。本作では、ベトナム戦争中に民間人の虐殺が行なわれた、フォンニィ・フォンニャットの虐殺の唯一の生き残りであるNguyen Thi Thanhの証言が記録されている。8歳で家族全員を失い、自分だけが生き残った彼女は、ベトナムの民間人の虐殺を目のあたりにした証人であり、韓国政府に公式な謝罪を要求している。韓国の市民団体が彼女を支持し、政府に代わって謝罪を申し出たが、彼女は受け入れなかった。彼女は、非行に対しては加害者が責任を負うと主張している。この映画の最初に彼女は韓国を訪れて、大戦の悲劇の前に、われわれはどういう態度を取るべきか問うているが、彼女にWednesday Rallyに出席してもらうのもごく自然なことではないだろうか?

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 【ドキュメンタリー・ショーケース部門】

 ◆釜山シネフィル賞(Busan Cinephile Award)
 ◎“Bruce Lee And The Outlaw”(英・オランダ・チェコ) 監督:ヨースト・ヴァンデブルグ(Joost Vandebrug)
 ストリート・キッズのNikuは、自分自身をブルース・リーと呼ぶ、ブカレストの地下世界の王の保護下にある。彼は、髪にシルバーのペンキを塗って、奇妙な哲学を伝えている。彼は、Nikuに「無法者」というニックネームを与え、父親代わりと母親代わりになった。地下のトンネルは、究極の環境だが、Nikuはそこで楽しみと友人と家族愛を見つけた。ある日、Nikuは重い病気になり、NGOの活動家Ralucaが彼を病院に連れていく。Nikuは、Ralucaに助けてもらって新しい生活を始めるだろうか、それとも自由なトンネル生活に戻るだろうか。
 セントラル・スコットランド・ドキュメンタリー・フェスティバル2018出品。
 ワルシャワ国際映画祭2018出品。

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 【特別賞・名誉賞】

 ◆アジア・フィルムメーカー・オブ・ザ・イヤー(Asian Filmmaker of the Year Award)
 ◎坂本龍一

 ◆韓国シネマ賞(Korean Cinema Award)
 ◎Martine Therouanne (ウズール国際アジア映画祭(仏)のディレクター、共同設立者)
 ◎Jean-Marc Therouanne (ウズール国際アジア映画祭のゼネラル・マネージャー、共同設立者)

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 ◆特別名誉賞(Special Honorary Award)
 ◎故 Hong Young Chul (韓国映画インスティチュートのディレクター)

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 今年の釜山国際映画祭の総観客数は、19万5081人で、昨年の 19万2991人は超えたが、2015年の22万7000人には及ばなかった。上映本数は、79カ国から324本で、ワールド・プレミアが115本、インターナショナル・プレミアが25本。5つの劇場、30のスクリーンで上映された、と報告されています。

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 【PHOTO GALLERY】

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 *当ブログ記事

 ・釜山国際映画祭2018 ラインナップ:https://umikarahajimaru.at.webry.info/201809/article_39.html
 ・釜山国際映画祭2018 ラインナップ(続き):https://umikarahajimaru.at.webry.info/201809/article_40.html

 ・細田守 in 釜山国際映画祭2018:https://umikarahajimaru.at.webry.info/201810/article_13.html

 ・坂本龍一 in 釜山国際映画祭2018:https://umikarahajimaru.at.webry.info/201810/article_12.html

 ・『寝ても覚めても』 in 釜山国際映画祭2018:https://umikarahajimaru.at.webry.info/201810/article_11.html

 ・『菊とギロチン』 in 釜山国際映画祭2018:https://umikarahajimaru.at.webry.info/201810/article_10.html

 ・『斬、』 in 釜山国際映画祭2018:https://umikarahajimaru.at.webry.info/201810/article_9.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2018年10月~2019年1月:https://umikarahajimaru.at.webry.info/201810/article_5.html

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