【世界一眺めが素晴らしい映画祭】 モトヴン映画祭2018 受賞結果!

 第21回モトヴン映画祭(7月24日-28日)の各賞が発表されました。

 モトヴン映画祭は、小さな映画を見せる小さな映画祭として、クロアチアのイストリア半島にあるモトヴンで1999年にスタートしています。
 非常にこじんまりした規模の映画祭ですが、過去1年以内にさまざまな映画祭で上映されて高い評価を得た、選りすぐりの(ヨーロッパ映画を中心とした)作品を見せる魅力的な映画祭になっています。

 これまでの最優秀作品賞受賞作品を調べてみると、『リトル・ダンサー』、ポール・グリーングラスの『ブラディ・サンデー』、『パンチドランク・ラブ』、『やさしくキスをして』、ルーマニア・ニュー・ウェーブを代表する1本“The Death of Mr. Lazarescu”、カルロス・レイガダスの『静かな光』、『フィッシュタンク~ミア、15歳の物語』、『ザ・トライブ』という錚々たる作品が並んでいます。

 2013年からパートナー・カントリーというのを設けて、国ごとの特集をしていましたが、トルコ、フランス、イタリア、アイスランドと4回続いた後、企画の見直しが行なわれたのか、今年はベルリンにまつわる映画の特集(Berlin in Motvun)になっていました。『ヴィクトリア』『恋愛社会学のススメ』『イェラ』『コーヒーをめぐる冒険』『壁のあと』など、15作品が上映されています。

 映画祭を開催しているモトヴンは、人口が1000人未満で、レストランもたった1つしかないらしいのですが、風光明媚で、クロアチアの中でも特に中世ヨーロッパの雰囲気を色濃く残している村として知られています。
 Motovunとは、“town in the mountains”の意で、実際に山の上にあって、映画祭の公式サイトには、“WELCOME TO THE MOUNTAIN OF FILMS”と書かれています。
 ロケーションとしては、ザグレブから車で3時間、一番近い鉄道の駅まで25km、バスも一日数本のみという、でかけるには非常に不便な場所ですが、そうでありながら、外国資本によるゴルフ場建設の話が何度も持ちかけられてきているそうです。
 そんな小さな村で、なぜこのような映画祭が開けるのかはわかりませんが、開催地も映画祭としてもとても惹かれるものがありますね。

 今回の受賞結果は以下の通りです。

 ※モトヴン映画祭は、1999年スタートなので、今年は第20回のはずですが、公式サイトでは第21回と記載されています。以前、試しに映画祭にメールで問い合わせてみたところ、回答があり、「第13回は縁起が悪いので、飛ばした」のだそうです。

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 【メイン・プログラム】

 ・『マタンギ /マヤ/M.I.A.』“Matangi / Maya / M.I.A. ”(英・米・スリランカ) 監督:スティーブ・ラブリッジ(Steve Loveridge)
 ・“The Wild Boys”(仏) 監督:Bertrand Mandico *
 ・“Hannah”(伊・ベルギー・仏) 監督:Andrea Pallaoro *
 ・“Chris The Swiss”(スイス・クロアチア・独・フィンランド) 監督:Anja Kofmel *
 ・“Styx”(独・オーストリア) 監督:Wolfgang Fischer *
 ・“Once Upon A Time In November”(ポーランド) 監督:アンジェイ・ヤキモフスキ(Andrzej Jakimowski)
 ・“Panic Attack”(ポーランド) 監督:Paweł Maślona *
 ・“Srbenka”(クロアチア) 監督:Nebojša Slijepčević *
 ・“Aleksi”(クロアチア・セルビア) 監督:バーバラ・ヴェカリッチ(Barbara Vekarić)
 ・“Lazy Guy”(モンテネグロ) 監督:Aleksa Stefan Radunović *
 ・“Holiday”(デンマーク・オランダ・スウェーデン) 監督:Isabella Eklöf *
 ・“A Hustler’s Diary”(スウェーデン) 監督:Ivica Zubak *
 ・“The Summer”(ロシア・仏) 監督:キリル・セレブレニコフ(Kirill Serebrennikov)
 ・“The Wild Pear Tree”(トルコ・仏・独・ブルガリア・ボスニア ヘルツェゴビナ・スウェーデン) 監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
 ・“Profile”(米・英・キプロス・ロシア) 監督:ティムール・ベクマンベトフ
 ・“Our New President”(米・ロシア) 監督:マキシム・ポズドロフキン(Maxim Pozdorovkin)
 ・“Leave No Trace”(米) 監督:デブラ・グラニック
 ・『追跡』“Ash(追·踪)”(中) 監督:リー・シャオフォン(Li Xiaofeng/李霄峰) *
 ・“Birds of Passage”(コロンビア・デンマーク・メキシコ) 監督:クリスティーナ・ガジェゴ(Cristina Gallego)、シーロ・ゲーラ(Ciro Guerra)*
 ・“Killing Jesus”(コロンビア・アルゼンチン) 監督:Laura Mora *
 ・“Angel”(アルゼンチン・西) 監督:Luis Ortega

 ※審査員:ゼバスチャン・シッパー(審査員長)、Uli M Schueppel(ドイツの映画監督)、 Ana-Felicia Scutelnicu(モルドヴァの短編映画の監督)、Mark Reeder(イギリスのミュージシャン、プロデューサー)、Ognjen Sviličić(クロアチアの映画監督)

 ※ 「*」印については公式サイトにも全く説明がありません。「*」印はコンペ作品で、「*」印なしは非コンペ作品でしょうか。

 ◆最優秀作品賞/プロペラ賞(Propeller o Motovun)
 ◎“Killing Jesús”(コロンビア・アルゼンチン) 監督:Laura Mora
 物語:若い娘が、父親を殺される。彼女は何が起こったのかをはっきりさせ、復讐したいと考えるが、答えは見つからない。
 2002年に、監督のLaura Moraの父親が殺されたという実際に起こった事件に基づく。
 “Perro come perro(Dog Eat Dog)”(2008)、“Todos tus muertos(All Your Dead Ones)”(2011)、『パブロ・エスコバル 悪魔に守られた男』“Pablo Escobar: El Patrón del Mal (2012– )などを手がけるDiego F. Ramírezがプロデューサーを務める。
 Laura Mora(Ortega)は、『パブロ・エスコバル 悪魔に守られた男』の監督の1人で、『大河の抱擁』のチロ・ゲーラらと同じコロンビアの若い世代の監督グループに属する唯一の女性監督でもある。
 トロント国際映画祭2017 DISCOVERY部門出品。
 サンセバスチャン国際映画祭2017 ニュー・ディレクターズ部門出品。スペシャル・メンション、ユース賞 (EROSKI Youth Award)、Fedeora賞、SIGNIS賞 60周年特別賞受賞。
 チューリヒ映画祭2017出品。
 ワルシャワ国際映画祭2017出品。
 シカゴ国際映画祭2017 ニュー・ディレクターズ・コンペティション部門出品。ロジャー・エバート賞受賞。
 テッサロニキ国際映画祭2017出品。
 ストックホルム国際映画祭2017出品。
 ウエルバ・イベロアメリカ映画祭2017出品。
 カイロ国際映画祭2017 インターナショナル長編コンペティション部門出品。シルバー・ピラミッド賞(監督賞)、国際批評家連盟賞受賞。
 パームスプリングス国際映画祭2018出品。Cine Latino Award受賞。
 プンタ・デル・エステ国際映画祭(ウルグアイ)2018出品。
 バンガロール国際映画祭2018出品。
 カルタヘナ国際映画祭2018出品。
 Villeurbanne Festival Reflets du cinéma ibérique et latino-américain 2018出品。
 Gasparilla国際映画祭2018出品。審査員賞受賞。
 グアダラハラ国際映画祭2018 イベロアメリカ長編フィクション・コンペティション部門出品。最優秀作品賞受賞。
 シアトル国際映画祭2018出品。
 ゴールウェイ映画祭2018出品。

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 ◆スペシャル・メンション
 ◎“Srbenka”(クロアチア) 監督:Nebojša Slijepčević
 1991年の冬、クロアチアは、セルビア軍(名目的にはまだユーゴスラヴィア軍だった)の攻撃を受ける。その中で、12歳のセルビア人の少女Aleksandra Zecが、ザグレブで家族のそばで斬殺された。加害者はすぐに見つかったが、政治的な圧力のために誰もこの罪に対して有罪判決を受けることはなかった。25年後、物議を醸す舞台監督Oliver Frljićが、この事件に基づく舞台を始める。途中で、隠されたトラウマが明かされる。リハーサルは、集団的サイコセラピーになり、2001年生まれで主役を演じる12歳のNinaは、戦争はまだ終わっていないように感じた。“Srbenka”は、ユーゴスラヴィア戦争後に生まれた世代が、いかに歴史の影を扱っているのかを検証する。血なまぐさい紛争は、20数年前に終わっているけれども、多くのクロアチア人にとって、“Serb”という名詞は「敵」の類義語になっている。その結果、セルビア人の血を引く数千人の子どもたちは自分のナショナリティーを隠している。

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 ◆国際批評家連盟賞
 ◎“Birds of Passage(Pájaros de verano)”(コロンビア・デンマーク・メキシコ) 監督:クリスティーナ・ガジェゴ(Cristina Gallego)、シーロ・ゲーラ(Ciro Guerra)
 物語:土着のワユー族出身の一家の、静かで、伝統的な生活が、富への渇仰の犠牲者になっていく。主な主人公のRapayetは、自分の仲間とのつながりを失い、マリファナの大きなディラーになっていく。愛する人と結婚するために金を儲けようとして始めた無垢なる手段は、紛争と虚栄と部族内部の暴力と復讐のスパイラルに陥った。
 70年代。祖母、母、男たち。ワユー族一家のクロニクル。コロンビアのドラッグ取引の始まり。コロンビア版のギリシャ悲劇。
 威厳と名誉を体現する登場人物たちの自然な演技は、非職業俳優によって演じられた。
 ドラッグ・カルテルの誕生についての、視覚的に洗練された家族サーガである本作は、コロンビアの歴史と今日の国の状況について、語っている。
 『彷徨える河』の監督シーロ・ゲーラの第4作。『彷徨える河』でプロデューサーを務めたクリスティーナ・ガジェゴの初監督作品。
 カンヌ国際映画祭2018 監督週間オープニング作品。
 オデッサ国際映画祭2018 インターナショナル・コンペティション部門出品。
 ニュージーランド国際映画祭2018出品。
 メルボルン国際映画祭2018出品。
 ロカルノ国際映画祭2018 ピアッツァ・グランデ部門出品。

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 ◆最優秀短編賞(Motovun Shorts)
 ◎“Driving Lesson(Ajotunti)”(フィンランド/15’) 監督:Jarno Lindemark
 物語:若きシングルマザー、Minnaは、ドライビング・スクールに通い始めた。最初の教師になった中年男性が、不適切な振る舞いを始めた時、彼女の最初のレッスンは好ましからざるものになった。それからパワー・バランスに変化が生じた。

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 ◆Buzz@teen部門作品賞
 ◎“Gaja's World(Gajin Svet)”(スロヴェニア) 監督:Peter Bratuš
 物語:11歳のGajaは、母親が任務のためにアフリカにでかけた後、壊れかけた家庭を勇敢に救おうとする。彼女は、父親に基本的な家事を教え、ナイーヴな10代の姉Teaは、インターネットに食いものにされるのを助けた。どんなことが起こってもGajaは自力で挑んだ。

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 ◆マーヴェリック賞(Motovun Maverick Award)
 ◎リューベン・オストルンド

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 ◆50 Years Award
 ◎ムスタファ・ナダレヴィッチ(Mustafa Nadarević)
 ボスニア・クロアチア人俳優。150以上の舞台、60以上の映画やテレビに出演した。『パーフェクト サークル』『ノーマンズ・ランド』などに出演。
 ◎ラデ・シェルベッジア(Rade Šerbedžija)
 ユーゴスラヴィアの大スターだったが、亡命し、90年代はハリウッドで成功を収めた。『ビフォア・ザ・レイン』、『セイント』、『マイティ・ジョー』、『アイズ ワイド シャット』、『スペース カウボーイ』、『M:I-2』、『スナッチ』、『バットマン ビギンズ』、『24 -TWENTY FOUR-』、『CSI:マイアミ』、『ハリー・ポッターと死の秘宝PART1』、『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』、『THE PROMISE/君への誓い』などに出演。

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 *当ブログ記事

 ・モトヴン映画祭2017 受賞結果:https://umikarahajimaru.at.webry.info/201708/article_2.html
 ・モトヴン映画祭2016 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201607/article_34.html
 ・モトヴン映画祭2014 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201408/article_3.html
 ・モトヴン映画祭2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201308/article_6.html
 ・モトヴン映画祭2012 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201208/article_3.html

 
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・映画賞&映画祭カレンダー 2018年3月~9月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201803/article_33.html

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