ラックス賞2018 ノミネーション発表!

 第12回ラックス賞(Lux Prize)のノミネート作品3作品が発表されました。(7月24日)

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 【ラックス賞】

 ラックス賞というのは、欧州議会(European Parliament)によって贈られる映画賞で、ヨーロッパの現状(拡大と交流)を示すような題材の映画を通して公衆に議論を呼び起こすことと、EU加盟国での映画の普及とを目的として、2007年からスタートしたものです。

 内容から言うと、①ローカルで、ドメスティックな内容のものではなく、いろんな出自(出身国や民族)のバックグラウンドを持つ登場人物が出てくる現代劇で、しかもそのことが物語の根幹に関わってくるような作品、あるいは、②物語が複数のヨーロッパ諸国にまたがっていて、物語の展開に従って、それぞれの国の実情(現状)が映画の中に映し出されていくような作品、といったインターナショナル、トランスナショナルなヨーロッパ映画がピックアップされるという印象だったのですが、最近では、ヨーロッパ各国固有の事情を描いていても、それがそのまま「ヨーロッパのいま」と見なされ、共通の問題意識をもって受け止められるようになってきたようで、よりシンプルに、③ヨーロッパの現状を示していると思われるような、優れた現代ヨーロッパ映画、がピックアップされるようになってきたようです。

 投票資格があるのは、欧州議会の議員約750名のみ(2018年7月現在は751名)で、議員には、ノミネート発表後、作品の無料の上映会が行なわれることになっています。(そのために、24の言語による字幕が用意され、ヨーロッパ28ヵ国で3ヶ月にわたって上映会が実施されます。)

 選考は、前年の5月30日から当年の5月31日までに劇場公開された作品の中から、欧州議会の文化教育委員会が選出したメンバー21名(プロデューサー、配給者、映画興行者、映画祭ディレクター、映画批評家らから選ばれた「ラックス賞セレクション・パネル」。毎年1/3が改選される)がセレクションを行なって、まずオフィシャル・セレクションとして10本を選び(発表し)、そこからノミネート作品3本に絞り込み、さらに上映会による上映&投票を経て、年間最優秀作品(ラックス賞)を決定するというプロセスが取られています。

 本年度のオフィシャル・セレクションは、7月1日にカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭で発表され、ノミネーションは、7月末(今年は7月24日)のベネチア国際映画祭ベネチア・デイズのラインナップ発表会で発表されています。

 過去11回のノミネート&受賞作品は以下の通りです。

 ◆2007年
 ◎『そして、私たちは愛に帰る』(独・トルコ) 監督:ファティ・アキン
 ・『4ヶ月、3週と2日』(ルーマニア) 監督:クリスティアン・ムンジウ
 ・『夜顔』(西・仏) 監督:マノエル・デ・オリヴェイラ

 ◆2008年
 ・『デルタ』(ハンガリー・独) 監督:コーネル・ムンドルッツォ
 ◎『ロルナの祈り』(ベルギー・仏・伊) 監督:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
 ・“Občan Havel”(チェコ) 監督:Miroslav Janek、Pavel Koutecký

 ◆2009年
 ・『ソフィアの夜明け』(映画祭上映題:『イースタン・プレイ』)(ブルガリア) 監督:カメン・カレフ
 ・“Sturm”(独・デンマーク・オランダ) 監督:ハンス=クリスチャン・シュミット
 ◎『君を想って海をゆく』(仏) 監督:フィリップ・リオレ

 ◆2010年
 ・“Plato's Academy(Akadimia Platonos)”(ギリシャ・独) 監督:Filippos Tsitos
 ◎“When We Leave (Die Fremde)”(独) 監督:フェオ・アラダグ(Feo Aladag)
 ・『イリーガル』“Illégal”(仏・ベルギー・ルクセンブルク) 監督:オリヴィエ・マッセ=ドパス(Olivier Masset-Depasse)

 ◆2011年
 ・“Attenberg”(ギリシャ) 監督:アティーナ・レイチェル・トサンガリ(Athina Rachel Tsangari)
 ◎『キリマンジャロの雪』“Les neiges du Kilimanjaro (The Snows Of Kilimanjaro)”(仏) 監督:ロベール・ゲディギャン
 ・『プレイ』“Play”(スウェーデン・仏・デンマーク) 監督:リューベン・オストルンド

 ◆2012年
 ・『熱波』(ポルトガル・独・仏・ブラジル) 監督:ミゲル・ゴメス(Miguel Gomes)
 ◎『ある海辺の詩人 -小さなヴェニスで-』“Io sono Li (Shun Li and the Poet)”(伊・仏) 監督:アンドレア・セグレ
 ・“Csak a szél (Just the Wind)”(ハンガリー・独・仏) 監督:Bence Fliegauf

 ◆2013年
 ・“The Selfish Giant”(英) 監督:クリオ・バーナード(Clio Barnard)
 ◎『オーバー・ザ・ブルースカイ』(オランダ・ベルギー) 監督:フェリックス・ファン・ヒュルーニンゲン
 ・『ミエーレ』“Miele (Honey)”(伊・仏) 監督:ヴァレリア・ゴリーノ

 ◆2014年

 ◎『イーダ』(ポーランド・デンマーク) 監督:パヴェウ・パヴリコフスキ
 ・“Bande De Files(Girlhood)”(仏) 監督:セリーヌ・シアマ
 ・“Class Enemy (Razredni Sovražnik)”(スロヴェニア) 監督:Rok Biček

 ◆2015年
 ◎『裸足の季節』(仏・独・トルコ) 監督:デニズ・ガムゼ・エルギュベン
 ・『地中海』“Mediterranea”(伊・仏・米・独・カタール) 監督:ジョナス・カルピニャーノ(Jonas Carpignano)
 ・『ザ・レッスン/授業の代償』“Urok (The Lesson)”(ブルガリア・ギリシャ) 監督:クリスティナ・グロゼヴァ(Kristina Grozeva)、ペタル・ヴァルチャノフ(Petar Valchanov)

 ◆2016年
 ◎『ありがとう、トニ・エルドマン』(独・オーストリア) 監督:マーレン・アデ
 ・『ぼくの名前はズッキーニ』(スイス・仏) 監督: クロード・バラス
 ・“À Peine J’ouvre les Yeux (As I Open My Eyes)”(仏・チュニジア・ベルギー・UAE) 監督: Leyla Bouzid

 ◆2017年
 ・『BPM ビート・パー・ミニット』(仏) 監督:ロバン・カンピヨ
 ・“Western”(独・ブルガリア・オーストリア) 監督:ヴァレスカ・グリーゼバッハ(Valeska Grisebach)
 ◎『サーミの血』(スウェーデン・デンマーク・ノルウェー) 監督:アマンダ・シェーネル(Amanda Kernell)

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 【ラックス賞2018 ノミネーション】

 ・ “Styx”(独・オーストリア) 監督:Wolfgang Fischer
 物語:Rikeは、40歳の、ヨーロッパ出身の医師で、現代西欧の幸福と成功を体現している。彼女は、教育があり、自信を持ち、決断力があり、熱心である。Rikeの日常生活が描かれる。彼女は救命医で、長年の夢を実現すべく独りで船に乗って海に出る。彼女の目的地は、大西洋のアセンション島だ。ところが、夢の休暇は国際水域上で断ち切られる。嵐に遭い、気づいた時、彼女は100人近い難民を乗せたおんぼろ漁船の近くにいた。難民は死にかかっている。彼女は海事法に従い、無線で助けを求める。彼女の願いは聞き入れられず、彼女は思い切った決断をする。
 ベルリン国際映画祭2018 パノラマ部門出品。エキュメニカル審査員賞、Heiner Carow賞、Label Europa Cinemas賞、観客賞第2席受賞。
 香港国際映画祭2018 ヤング・シネマ・コンペティション部門出品。
 イスタンブール国際映画祭2018出品。
 Schwerin Art of Film Festival 2018出品。作品賞、サウンド・ミックス賞、観客賞受賞。
 エムデン国際映画祭2018出品。最優秀クリエイティヴ・パフォーマンス賞受賞(スザンネ・ウォルフ)。
 ヴァレッタ映画祭(マルタ)2018出品。女優賞(スザンネ・ウォルフ)、撮影賞受賞。
 ゴールウェイ映画祭2018出品。
 オデッサ国際映画祭2018インターナショナル・コンペティション部門出品。
 エルサレム映画祭2018出品。

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 ・ “The Other Side of Everything (Druga strana svega)”(セルビア・仏・カタール) 監督:Mila Turajlić
 ベオグラードの母のアパートには、鍵がかけられて、65年以上開けられていないドアがあり、民主革命後、開けてみたら何が起こるのか、調べてみたい欲望にかられている。監督のMila Turajlićは、個人的なアングルから自分の国について話したいと考え、それなら自分が育った場所から始めたいと考えた。鍵のかかった部屋を見つめれば見つめるほど、この分断された空間について話すことがセルビアについて話すことになると考えるようになった。
 トロント国際映画祭2017 TIFF DOCS部門出品。
 DOC NYC2017出品。
 アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭2017出品。長編ドキュメンタリー賞受賞。
 Festival autorskog filma (FAF)ベオグラード2017出品。
 トリエステ映画祭2018出品。
 ヨーテボリ国際映画祭2018出品。
 ヴィリニュス国際映画祭2018出品。
 香港国際映画祭2018 ドキュメンタリー・コンペティション部門出品。
 サンフランシスコ国際映画祭2018出品。
 リバーラン国際映画祭2018出品。監督賞受賞。
 モントリオール国際ドキュメンタリー映画祭(RIDM)
 Docs Against Gravity映画祭2018出品。
 DocAviv映画祭2018 インターナショナル・コンペティション部門出品。

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 ・ “Woman at War(Kona fer í stríð)”(アイスランド・仏・ウクライナ) 監督:ベネディクト・エルリングソン
 物語:Hallaは、女ひとりで地元のアルミニウム工場に戦争を挑む。彼女が愛するアイスランドの自然のままのハイランドを守るためなら、あらゆるものを賭けるリスクもいとわない。だが、そんな彼女の生活に思いもかけず、ひとりの孤児が入り込んでくる……。
 『馬々と人間たち』のベネディクト・エルリングソンの第2監督長編。
 カンヌ国際映画祭2018 国際批評家週間出品。
 シドニー映画祭2018出品。
 ヌーシャテル国際ファンタスティック映画祭2018出品。

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 [その他のオフィシャル・セレクション作品]
 ・“The Silence of Others(El silencio de los otros)”(西・米) 監督:Almudena Carracedo、Robert Bahar
 ・“Girl”(ベルギー・オランダ) 監督:Lukas Dhont
 ・“Happy as Lazzaro(Lazzaro Felice/My Bitter Land)”(伊・スイス・仏・独) 監督:アリーチェ・ロルヴァケル
 ・“Donbass”(独・ウクライナ・仏・オランダ・ルーマニア) 監督:セルゲイ・ロズニタ(Sergei Loznitsa)
 ・“Mug(Twarz)”(ポーランド) 監督:マウゴシュカ・シュモフスカ
 ・“Border(Gräns)”(スウェーデン・デンマーク) 監督:Ali Abbasi
 ・“U-July 22”(ノルウェー) 監督:エリック・ポッペ

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 近年はヨーロッパ映画賞とも近しい映画賞になっていましたが、今年は、ちょっと選考基準を見直したのか、予想とは違ったノミネーションになりました。
 初期の頃の選考基準に戻したというような感じかなあ。
 昔ながらのラックス賞に戻したのなら、そして現在までの受賞歴からすると、“Styx”が有望でしょうか。

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 *当ブログ記事

 ・ラックス賞2018 オフィシャル・セレクション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201807/article_2.html
 ・ラックス賞2017 オフィシャル・セレクション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201707/article_4.html
 ・ラックス賞2017 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201707/article_38.html
 ・ラックス賞2017 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201711/article_25.html
 ・ラックス賞2016 オフィシャル・セレクション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201607/article_5.html
 ・ラックス賞2016 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201607/article_28.html
 ・ラックス賞2016 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201611/article_41.html
 ・ラックス賞2015 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201510/article_12.html
 ・ラックス賞2015 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201511/article_29.html
 ・ラックス賞2014 オフィシャル・セレクション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201407/article_10.html
 ・ラックス賞2014 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201407/article_22.html
 ・ラックス賞2014 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201412/article_28.html
 ・ラックス賞2013 オフィシャル・セレクション10作品:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201307/article_1.html
 ・ラックス賞2013 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201307/article_18.html
 ・ラックス賞2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201312/article_29.html
 ・ラックス賞2012 オフィシャル・セレクション10作品:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201207/article_3.html
 ・ラックス賞2012 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201207/article_16.html
 ・ラックス賞2012 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201211/article_21.html
 ・ラックス賞2011:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201111/article_2.html
 ・ラックス賞2010:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201007/article_27.html
 ・ラックス賞2009:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_43.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2018年3月~9月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201803/article_33.html

 追記:
 ・ラックス賞2018 受賞結果:https://umikarahajimaru.at.webry.info/201811/article_20.html

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