CPH:PIX(コペンハーゲン国際映画祭)2017 受賞結果!
第9回CPH:PIX(コペンハーゲン国際映画祭)(9月28日-10月11日)の受賞結果です。
【CPH:PIX】
CPH:PIXは、2003年に始まった(旧)コペンハーゲン国際映画祭(8月~9月にかけて開催)と、1990年に始まったNatFilm Festival(イースター時期に開催)というライバル同士にあった2つの映画祭が、2009年に合併してできた映画祭で、2003年から始まったCPH:DOX(コペンハーゲン国際ドキュメンタリー映画祭)と対になっています。
2016年度から、CPH:PIXとCPH:DOXの開催時期を入れ替えて、CPH:PIXが秋に、CPH:DOXが春の開催となったほか、プログラムの大幅な見直しが行なわれています。
メイン・プログラムである新人賞部門のNew Talent Grand Pixは、これまでは東欧・北欧作品を中心とした、ファンタ系寄りの作品が多かったのが、より国際的で幅広い題材を扱った作品を取り上げるようになっています。
また、2016年から新たに児童映画賞が設けられています。
今回のエントリー作品、および、受賞結果は以下の通りです。
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【New Talent Grand Pix】
新人監督作品を対象としたコンペティション・プログラム。賞金6000ユーロ。
※審査員:Amanda Livanou(ギリシャのプロデューサー)、 actress and producer ラビナ・ミテフスカ(Labina Mitevska:マケドニアの女優、プロデューサー)、Matt Porterfield (アメリカのフィルムメイカー)
◆New Talent Grand Pix
◎“Winter Brothers(Vinterbrødre)”(デンマーク・アイスランド) 監督:Hlynur Pálmason
出演:Elliott Crosset Hove、Simon Sears、Victoria Carmen Sonne、ペーター・プラウボー(Peter Plaugborg)、ラース・ミケルセン(Lars Mikkelsen)
物語:寒い冬。石灰石の採掘場。外界からは完全に遮断され、夜と昼は溶け合い、粉塵がすべてのものを灰色に変える。弟のEmilと兄Johanは、ここで働いている。彼らの、決まり事、習慣、儀式が描かれる。とまどわせるようなサウンドと抽象的なヴィジュアルが、抑えつけられた生活のイメージを直情的に伝える。緊張と暴力が今にも破裂しそうになっている。Emilは、他者と親しく生活し、働きたいと思っているが、ここでは人間的なつながりも異性とのつきあいも痛々しいほどに欠落している。それで、彼は、VHSの妄想の中や、自家製の酒やマンガに慰めを見出そうとする。ここには、温かさも冷たさもなく、善も悪もない。ただ震えるような存在があり、振り払うには、ワイルドでハードだ。
2016年5月に、デンマークのFaxeにて、6週間かけて16mmで撮影された。
日本にも短編『七隻の船』が紹介されているHlynur Pálmasonの初監督長編。
ロカルノ国際映画祭2017 インターナショナル・コンペティション部門出品。男優賞(Elliot Crosset Hove)、エキュメニカル審査員賞 スペシャル・メンション、Europa Cinemas Label、ヤング審査員賞受賞。
ニュー・ホライズンズ映画祭2017出品。国際批評家連盟賞オナラブル・メンション受賞。
ノルウェー国際映画祭2017出品。
トロント国際映画祭2017 DISCOVERY部門出品。
オルデンブルク映画祭2017出品。
レイキャビク国際映画祭2017出品。
バンクーバー国際映画祭2017出品。
ハイファ国際映画祭2017出品。
BFIロンドン映画祭2017 第1回作品コンペティション部門出品。
釜山国際映画祭2017フラッシュ・フォワード部門出品。
ムンバイ映画祭2017出品。
La Roche-sur-Yon国際映画祭2017出品。
シカゴ国際映画祭2017出品。

◆スペシャル・メンション
◎“Soldiers. Story from Ferentari(Soldatii. Poveste din Ferentari)”(ルーマニア・セルビア・ベルギー) 監督:Ivana Mladenovic
物語:Adi (40)は、人類学者で、最近、ガールフレンドに逃げられて、ブカレストの最貧地区Ferentariに引越し、manele音楽(ロマ・コミュニティーのポップ・ミュージック)に関する論文を書こうとする。題材についてリサーチしていて、彼は、ロマの前科者Albertoと出会い、協力してくれるよう約束を取りつける。まもなく2人は、夢物語を紡ぎ始める。Adiは、Albertoに貧乏から抜け出すためのありそうもないプランを吹き込み、一方、Albertoは、よく練られた愛のフレーズでそれに応える。ところが、お金が尽き出した頃、彼は、アパートの中で互いを愛し、利用し、勝者のない要求と力のゲームという罠にはまってしまったことを知る。
初監督長編。
トロント国際映画祭2017 DISCOVERY部門出品。
サンセバスチャン国際映画祭2017 オフィシャル・セレクション出品。サンセバスチャン賞スペシャル・メンション受賞。
レイキャビク国際映画祭2017出品。
ハンブルク・フィルム・フェスト2017出品。
釜山国際映画祭2017フラッシュ・フォワード部門出品。
[その他のエントリー作品]
・“I Am Not a Witch”(英・仏・ザンビア) 監督:Rungano Nyoni
・“The Nothing Factory(A fábrica de nada)”(ポルトガル) 監督:Pedro Pinho
・『夏、1993』“Summer 1993(Estiu 1993)”(西) 監督:カルラ・シモン(Carla Simón)
・“Custody(Jusqu’À La Garde)”(仏) 監督:グザヴィエ・ルグラン(Xavier Legrand)
・“Montparnasse Bienvenue(Jeune Femme)”(仏) 監督:Leonor Serraille
・“Oblivion Verses(Los Versos del Olvido)”(仏・独・オランダ・チリ) 監督:Alireza Khatami
・“Lemon”(米) 監督:Janicza Bravo
・“The Desert Bride(La Novia del Desierto)”(アルゼンチン・チリ) 監督:Cecilia Atán、Valeria Pivato
【観客賞】(Politiken Audience Award)
◎『シリアにて』“In Syria(Insyriated)”(ベルギー・仏・レバノン) 監督:フィリップ・ヴァン・レウ(Philippe Van Leeuw)
出演:ヒアム・アッバス、Diamand Abou Abboud、Juliette Navis、Mohsin Abbas、Moustapha Al Kar、Alissar Kaghadou、Ninar Halabi、Mohammad Jihad Sleik
物語:家の外が戦争で荒れ狂っている中、エネルギッシュなOum Yazanは、必死になって、家族生活を維持しようとしている。日中、家族が大きなテーブルを囲んで座り、誰もが、爆弾の連続砲撃やマシンガンの銃撃の音に耳を澄ましている。水はほとんどなく、玄関から外に出ることは、屋上から狙撃手に狙われる危険を冒すことになる。祖父が小さな孫と遊んでいる時、年長の娘は自分の部屋でボーイフレンドといちゃついている。隣の部屋では、若い夫婦が、赤ん坊を連れて、逃げる計画を立てている。上方から、穏やかならぬ物音が聞こえてくる。誰が玄関をノックしているのか? それは、Oum Yazanが帰りを待っている夫なのだろうか。それとも金目のものを探している見知らぬ男たちだろうか。アパートはかつては居心地のいい家だったが、今では牢獄と化してしまった。
ベルリン国際映画祭2017 パノラマ部門出品。Label Europa Cinemas受賞。パノラマ部門 観客賞第1席。
シアトル国際映画祭2017出品。監督賞第3席。
シドニー映画祭2017出品。
台北電影節2017 インターナショナル・ニュー・タレント・コンペティション部門出品。
ゴールウェイ映画祭2017出品。
アングレーム・フランス語映画祭2017出品。
トロント国際映画祭2017CONTEMPORARY WORLD CINEMA部門出品。
ケベック・シティー映画祭2017出品。
ミル・ヴァレー映画祭2017出品。
フィラデルフィア映画祭2017出品。
東京国際映画祭2017 ワールド・フォーカス部門出品。
バージニア映画祭2017出品。
ヨーロッパ映画賞2017 オフィシャル・セレクション。

[その他の候補作品]
・“Daphne”(英) 監督:Peter Mackie Burns
・“England is Mine”(英) 監督:マーク・ギル(Mark Gill)
・“A Ciambra”(伊・仏・米・独・スウェーデン) 監督:ジョナル・カルピャーノ(Jonas Carpignano)
・“Sicilian Ghost Story”(伊) 監督:ファビオ・グラッサドニア(Fabio Grassadonia)、アントニオ・ピアッツァ(Antonio Piazza)
・“LOMO - The Language of Many Others”(独) 監督:Julia Langhof
・“Requiem for Mrs. J.(Rekvijem Za Gospođu)”(セルビア・ブルガリア) 監督:Bojan Vuletic
・“Wajib”(パレスチナ) 監督:Annemarie Jacir
・“La familia”(ベネズエラ) 監督:Gustavo Rondon Cordova
・『家族のように』“A Sort of Family(Una especie de familia)”(アルゼンチン) 監督:ディエゴ・レルマン(Diego Lerman)
【児童映画賞】(BUSTER’s Best Children’s Film)
※審査員:12歳の子どもたち
◆児童映画賞 3,000ユーロ
◎“Hunting Flies(Fluefangeren)”(ノルウェー) 監督:Izer Aliu
マケドニアの田舎の中学校。Ghaniは、ベテランの教師で、新しい校長に、ここの職員を続けさせてほしいと頼む。というのも、最近、政府で変化が起こり、力を得た新しいグループが、学校の古い職員をクビにして、経験のあるなしに拘わらず、自分たちを選んでくれた民族グループのために閑職を確保しようとしていたからだ。民族的な対立は、Ghaniのクラスの生徒の間でも起こり、次第に激しくなった。Ghaniは、両派の間に共通のグラウンドを設けようとするが、新しい教師は、生徒が手に負えなくなると、教室の外に出て、タバコを吸ったり、噂話をしたり、生徒の頭を叩いたりした。日々が過ぎ、Ghaniの運命は、かろうじてバランスを保っている状態で、彼は、調和を求めることは、自分の昇進にとってはベストではないのかもしれないと考え始める。
トロント国際映画祭2016 DISCOVERY部門出品。
トロムソ国際映画祭2017出品。平和映画賞受賞。
ヨーテボリ国際映画祭2017出品。
ズリーン国際映画祭2017 ヨーロッパ初監督長編作品 インターナショナル・コンペティション部門出品。
コソボ・プリシュティナ映画祭2017 出品。スペシャル・メンション ヨーロッパ映画部門受賞。
アマンダ賞2017 監督賞受賞。オリジナル脚本賞、撮影賞ノミネート。
ノルディック映画賞2017ノミネート。

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昨年は、開催時期の変更と、プログラムの見直しもあって、上映本数も大幅に増えて290本が上映されていたんですが、今回の上映本数は「200本以上」と発表されています。
また、New Talent Grand Pixの賞金は、前回は1万ユーロだったのに、今回は6000ユーロに減額になっています。
このところ、ヨーロッパのあちこちの映画祭で、状況は厳しいのかなと感じさせられることがありますが、CPH:PIXも、なのでしょうか。
前回は入場者数が65000人で動員記録を達成したと発表していましたが、今年はどうなのかなあ。上映本数が2/3では、入場者数もそのくらいにならざるを得ませんが。
ま、上映作品は、プレミア度こそ高くありませんが、先立つ映画祭で高評価を受けた作品ばかりが選ばれていて、なかなか手堅いセレクションになっています。こういうセレクションができる間は、まだまだ大丈夫かな、と思ったりもしますね。
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・CPH:PIX2016:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201611/article_16.html
・CPH:PIX2015:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201505/article_7.html
・CPH:PIX2014:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201404/article_20.html
・映画賞&映画祭カレンダー 2017年9月~2018年1月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201708/article_31.html
【CPH:PIX】
CPH:PIXは、2003年に始まった(旧)コペンハーゲン国際映画祭(8月~9月にかけて開催)と、1990年に始まったNatFilm Festival(イースター時期に開催)というライバル同士にあった2つの映画祭が、2009年に合併してできた映画祭で、2003年から始まったCPH:DOX(コペンハーゲン国際ドキュメンタリー映画祭)と対になっています。
2016年度から、CPH:PIXとCPH:DOXの開催時期を入れ替えて、CPH:PIXが秋に、CPH:DOXが春の開催となったほか、プログラムの大幅な見直しが行なわれています。
メイン・プログラムである新人賞部門のNew Talent Grand Pixは、これまでは東欧・北欧作品を中心とした、ファンタ系寄りの作品が多かったのが、より国際的で幅広い題材を扱った作品を取り上げるようになっています。
また、2016年から新たに児童映画賞が設けられています。
今回のエントリー作品、および、受賞結果は以下の通りです。
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【New Talent Grand Pix】
新人監督作品を対象としたコンペティション・プログラム。賞金6000ユーロ。
※審査員:Amanda Livanou(ギリシャのプロデューサー)、 actress and producer ラビナ・ミテフスカ(Labina Mitevska:マケドニアの女優、プロデューサー)、Matt Porterfield (アメリカのフィルムメイカー)
◆New Talent Grand Pix
◎“Winter Brothers(Vinterbrødre)”(デンマーク・アイスランド) 監督:Hlynur Pálmason
出演:Elliott Crosset Hove、Simon Sears、Victoria Carmen Sonne、ペーター・プラウボー(Peter Plaugborg)、ラース・ミケルセン(Lars Mikkelsen)
物語:寒い冬。石灰石の採掘場。外界からは完全に遮断され、夜と昼は溶け合い、粉塵がすべてのものを灰色に変える。弟のEmilと兄Johanは、ここで働いている。彼らの、決まり事、習慣、儀式が描かれる。とまどわせるようなサウンドと抽象的なヴィジュアルが、抑えつけられた生活のイメージを直情的に伝える。緊張と暴力が今にも破裂しそうになっている。Emilは、他者と親しく生活し、働きたいと思っているが、ここでは人間的なつながりも異性とのつきあいも痛々しいほどに欠落している。それで、彼は、VHSの妄想の中や、自家製の酒やマンガに慰めを見出そうとする。ここには、温かさも冷たさもなく、善も悪もない。ただ震えるような存在があり、振り払うには、ワイルドでハードだ。
2016年5月に、デンマークのFaxeにて、6週間かけて16mmで撮影された。
日本にも短編『七隻の船』が紹介されているHlynur Pálmasonの初監督長編。
ロカルノ国際映画祭2017 インターナショナル・コンペティション部門出品。男優賞(Elliot Crosset Hove)、エキュメニカル審査員賞 スペシャル・メンション、Europa Cinemas Label、ヤング審査員賞受賞。
ニュー・ホライズンズ映画祭2017出品。国際批評家連盟賞オナラブル・メンション受賞。
ノルウェー国際映画祭2017出品。
トロント国際映画祭2017 DISCOVERY部門出品。
オルデンブルク映画祭2017出品。
レイキャビク国際映画祭2017出品。
バンクーバー国際映画祭2017出品。
ハイファ国際映画祭2017出品。
BFIロンドン映画祭2017 第1回作品コンペティション部門出品。
釜山国際映画祭2017フラッシュ・フォワード部門出品。
ムンバイ映画祭2017出品。
La Roche-sur-Yon国際映画祭2017出品。
シカゴ国際映画祭2017出品。

◆スペシャル・メンション
◎“Soldiers. Story from Ferentari(Soldatii. Poveste din Ferentari)”(ルーマニア・セルビア・ベルギー) 監督:Ivana Mladenovic
物語:Adi (40)は、人類学者で、最近、ガールフレンドに逃げられて、ブカレストの最貧地区Ferentariに引越し、manele音楽(ロマ・コミュニティーのポップ・ミュージック)に関する論文を書こうとする。題材についてリサーチしていて、彼は、ロマの前科者Albertoと出会い、協力してくれるよう約束を取りつける。まもなく2人は、夢物語を紡ぎ始める。Adiは、Albertoに貧乏から抜け出すためのありそうもないプランを吹き込み、一方、Albertoは、よく練られた愛のフレーズでそれに応える。ところが、お金が尽き出した頃、彼は、アパートの中で互いを愛し、利用し、勝者のない要求と力のゲームという罠にはまってしまったことを知る。
初監督長編。
トロント国際映画祭2017 DISCOVERY部門出品。
サンセバスチャン国際映画祭2017 オフィシャル・セレクション出品。サンセバスチャン賞スペシャル・メンション受賞。
レイキャビク国際映画祭2017出品。
ハンブルク・フィルム・フェスト2017出品。
釜山国際映画祭2017フラッシュ・フォワード部門出品。
[その他のエントリー作品]
・“I Am Not a Witch”(英・仏・ザンビア) 監督:Rungano Nyoni
・“The Nothing Factory(A fábrica de nada)”(ポルトガル) 監督:Pedro Pinho
・『夏、1993』“Summer 1993(Estiu 1993)”(西) 監督:カルラ・シモン(Carla Simón)
・“Custody(Jusqu’À La Garde)”(仏) 監督:グザヴィエ・ルグラン(Xavier Legrand)
・“Montparnasse Bienvenue(Jeune Femme)”(仏) 監督:Leonor Serraille
・“Oblivion Verses(Los Versos del Olvido)”(仏・独・オランダ・チリ) 監督:Alireza Khatami
・“Lemon”(米) 監督:Janicza Bravo
・“The Desert Bride(La Novia del Desierto)”(アルゼンチン・チリ) 監督:Cecilia Atán、Valeria Pivato
【観客賞】(Politiken Audience Award)
◎『シリアにて』“In Syria(Insyriated)”(ベルギー・仏・レバノン) 監督:フィリップ・ヴァン・レウ(Philippe Van Leeuw)
出演:ヒアム・アッバス、Diamand Abou Abboud、Juliette Navis、Mohsin Abbas、Moustapha Al Kar、Alissar Kaghadou、Ninar Halabi、Mohammad Jihad Sleik
物語:家の外が戦争で荒れ狂っている中、エネルギッシュなOum Yazanは、必死になって、家族生活を維持しようとしている。日中、家族が大きなテーブルを囲んで座り、誰もが、爆弾の連続砲撃やマシンガンの銃撃の音に耳を澄ましている。水はほとんどなく、玄関から外に出ることは、屋上から狙撃手に狙われる危険を冒すことになる。祖父が小さな孫と遊んでいる時、年長の娘は自分の部屋でボーイフレンドといちゃついている。隣の部屋では、若い夫婦が、赤ん坊を連れて、逃げる計画を立てている。上方から、穏やかならぬ物音が聞こえてくる。誰が玄関をノックしているのか? それは、Oum Yazanが帰りを待っている夫なのだろうか。それとも金目のものを探している見知らぬ男たちだろうか。アパートはかつては居心地のいい家だったが、今では牢獄と化してしまった。
ベルリン国際映画祭2017 パノラマ部門出品。Label Europa Cinemas受賞。パノラマ部門 観客賞第1席。
シアトル国際映画祭2017出品。監督賞第3席。
シドニー映画祭2017出品。
台北電影節2017 インターナショナル・ニュー・タレント・コンペティション部門出品。
ゴールウェイ映画祭2017出品。
アングレーム・フランス語映画祭2017出品。
トロント国際映画祭2017CONTEMPORARY WORLD CINEMA部門出品。
ケベック・シティー映画祭2017出品。
ミル・ヴァレー映画祭2017出品。
フィラデルフィア映画祭2017出品。
東京国際映画祭2017 ワールド・フォーカス部門出品。
バージニア映画祭2017出品。
ヨーロッパ映画賞2017 オフィシャル・セレクション。

[その他の候補作品]
・“Daphne”(英) 監督:Peter Mackie Burns
・“England is Mine”(英) 監督:マーク・ギル(Mark Gill)
・“A Ciambra”(伊・仏・米・独・スウェーデン) 監督:ジョナル・カルピャーノ(Jonas Carpignano)
・“Sicilian Ghost Story”(伊) 監督:ファビオ・グラッサドニア(Fabio Grassadonia)、アントニオ・ピアッツァ(Antonio Piazza)
・“LOMO - The Language of Many Others”(独) 監督:Julia Langhof
・“Requiem for Mrs. J.(Rekvijem Za Gospođu)”(セルビア・ブルガリア) 監督:Bojan Vuletic
・“Wajib”(パレスチナ) 監督:Annemarie Jacir
・“La familia”(ベネズエラ) 監督:Gustavo Rondon Cordova
・『家族のように』“A Sort of Family(Una especie de familia)”(アルゼンチン) 監督:ディエゴ・レルマン(Diego Lerman)
【児童映画賞】(BUSTER’s Best Children’s Film)
※審査員:12歳の子どもたち
◆児童映画賞 3,000ユーロ
◎“Hunting Flies(Fluefangeren)”(ノルウェー) 監督:Izer Aliu
マケドニアの田舎の中学校。Ghaniは、ベテランの教師で、新しい校長に、ここの職員を続けさせてほしいと頼む。というのも、最近、政府で変化が起こり、力を得た新しいグループが、学校の古い職員をクビにして、経験のあるなしに拘わらず、自分たちを選んでくれた民族グループのために閑職を確保しようとしていたからだ。民族的な対立は、Ghaniのクラスの生徒の間でも起こり、次第に激しくなった。Ghaniは、両派の間に共通のグラウンドを設けようとするが、新しい教師は、生徒が手に負えなくなると、教室の外に出て、タバコを吸ったり、噂話をしたり、生徒の頭を叩いたりした。日々が過ぎ、Ghaniの運命は、かろうじてバランスを保っている状態で、彼は、調和を求めることは、自分の昇進にとってはベストではないのかもしれないと考え始める。
トロント国際映画祭2016 DISCOVERY部門出品。
トロムソ国際映画祭2017出品。平和映画賞受賞。
ヨーテボリ国際映画祭2017出品。
ズリーン国際映画祭2017 ヨーロッパ初監督長編作品 インターナショナル・コンペティション部門出品。
コソボ・プリシュティナ映画祭2017 出品。スペシャル・メンション ヨーロッパ映画部門受賞。
アマンダ賞2017 監督賞受賞。オリジナル脚本賞、撮影賞ノミネート。
ノルディック映画賞2017ノミネート。

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昨年は、開催時期の変更と、プログラムの見直しもあって、上映本数も大幅に増えて290本が上映されていたんですが、今回の上映本数は「200本以上」と発表されています。
また、New Talent Grand Pixの賞金は、前回は1万ユーロだったのに、今回は6000ユーロに減額になっています。
このところ、ヨーロッパのあちこちの映画祭で、状況は厳しいのかなと感じさせられることがありますが、CPH:PIXも、なのでしょうか。
前回は入場者数が65000人で動員記録を達成したと発表していましたが、今年はどうなのかなあ。上映本数が2/3では、入場者数もそのくらいにならざるを得ませんが。
ま、上映作品は、プレミア度こそ高くありませんが、先立つ映画祭で高評価を受けた作品ばかりが選ばれていて、なかなか手堅いセレクションになっています。こういうセレクションができる間は、まだまだ大丈夫かな、と思ったりもしますね。
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・CPH:PIX2015:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201505/article_7.html
・CPH:PIX2014:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201404/article_20.html
・映画賞&映画祭カレンダー 2017年9月~2018年1月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201708/article_31.html
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