AFIフェスト2016 受賞結果

 AFIフェスト2016(11月10日-17日)の各賞が発表されました。

 AFI(American Film Institute:アメリカ・フィルム・インスティチュート)は、映像教育を目的とする非営利興行団体で、年間を通じて、さまざまな活動を行なっていて、AFIフェストは、その中に目玉行事の1つです。
 AFIフェストは、いわゆるポスト・トロント以降にアメリカ国内で開催されるいくつもの映画祭の1つであり、また、AFIが毎年6月に開催しているドキュメンタリーの祭典、AFI Docsに対応するもう1つの映画祭、ということになります。
 部門は、ガラ&トリビュート、特別上映、ワールド・シネマ、ミッドナイト、短編など12の部門からなり、それぞれの部門は2-4本~8-9本で構成されています。

 ラインナップは、この時期に開催される他の映画祭と似たりよったりですが、全米映画賞レース参戦作品のお披露目的な意味合いもあり、今年は“20th Women”、“”Elle、“Jackie”、“La La Land”、“Lion”、“Miss Sloane”、“Paterson”、“Rules Don't Apply”などが上映されました。また、米国アカデミー賞外国語映画賞の有力作品を上映する場にもなっていて、何本もの外国語映画賞エントリー作品が上映されました。

 本年度の受賞結果は以下の通りです。

画像

--------------------------------

 【New Auteurs部門】

 ◆審査員大賞(Grand Jury Award)
 ◎“The Future Perfect(El futuro perfecto)”(アルゼンチン) 監督:Nele Wohlatz
 物語:Xiaobinは17歳で、アルゼンチンにやってきた時、スペイン語を一言も話すことができなかった。しかし、数日後、彼女は、Beatrizという新しい名前を手に入れ、中国人のスーパーの仕事を得ていた。彼女の家族は、アルゼンチン人地区から遠く離れたコイン・ランドリーの中で生活していた。Xiaobinは、こっそりとお金を貯め、外国語学校に入学する。約束の仕方を学んだ彼女は、スーパーの客で、インド出身のVijayと会う約束を取りつける。彼らはほとんどコミュニケーションができなかったが、秘密の関係をスタートさせた。彼女は、条件文について学び、未来について考え始める。もし両親がVijayのことを知ったら、どうなるだろう? 彼女がスペイン語を学べば学ぶほど、彼女のシナリオは新しく書き換えられていく。
 第1回作品。
 ロカルノ国際映画祭2016 フィルムメーカーズ・オブ・ザ・プレゼント コンペティション部門部門出品。第1回作品賞、The Cinema & Gioventùスペシャル・メンション受賞。
 ウィーン国際映画祭2016出品。
 リスボン&エストリル映画祭2016出品。
 マル・デル・プラタ国際映画祭2016 インターナショナル・コンペティション部門出品。

画像

 ◆審査員スペシャル・メンション 演技賞(New Auteurs Special Jury Mention for Acting)
 ◎ウーラヤ・アマムラ(Oulaya Amamra) 『ディヴァイン』“Divines”(仏・カタール)

 『ディヴァイン』“Divines”(仏・カタール) 監督:ウーダ・ベニャミナ(Houda Benyamina)
 出演:デボラ・ルクムエナ (Déborah Lukumuena)、ジスカ・カルヴァンダ (Jisca Kalvanda)、ケヴィン・ミシェル (Kévin Mischel)、マジョリーヌ・イドリシ (Majdouline Idrissi)、ウーラヤ・アマムラ(Oulaya Amamra)、ヤシン・ウイシャ (Yasin Houicha)
 物語:15歳のDouniaは、母と一緒にピラミッド・エステートに住んでいる。そこで彼女は“bâtarde”(私生児)というあだ名で呼ばれていた。Douniaは、親友であるMaimounaの後押しもあって、大物のドラッグ・ディーラーRebeccaの仲間になる決心をする。それから若いダンサーDjiguiと出会い、彼女の人生は大きく変わる。
 カンヌ国際映画祭2016 監督週間出品。カメラドール、SACD賞 スペシャル・メンション受賞。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2016 アナザー・ビュー部門出品。
 ミュンヘン映画祭2016 CineVision Award受賞。
 トロント国際映画祭2016 DISCOVERY部門出品。
 ハンプトンズ国際映画祭2016出品。
 BFIロンドン映画祭2016第1回作品コンペティション部門出品。特別コメンデーション受賞。

画像

 ◆観客賞(New Auteurs Audience Award)
 『ディヴァイン』“Divines”(仏・カタール) 監督:ウーダ・ベニャミナ(Houda Benyamina)

画像

 ◆ブレイクスルー観客賞(Breakthrough Audience Award)
 『ディヴァイン』“Divines”(仏・カタール) 監督:ウーダ・ベニャミナ(Houda Benyamina)

 ◆ブレイクスルー観客賞 次点(Breakthrough Audience Award First Runner-Up)
 ◎“One Week and A Day(Shavua ve Yom)”(イスラエル) 監督:Asaph Polonsky
 物語:Eyalは、亡くなった息子のために、ユダヤ教徒としての伝統的な服喪の1週間を過ごす。妻は、学校教師や迷い猫や歯医者の従業員とやり合うような以前のような暮らしに戻ろうと言うが、彼は、ホスピスから治療用のマリファナを盗み出し、隣人の息子を連れだしてでかける。自分の人生に価値のあるものがまだ残っているか、探そうというのだ。
 カンヌ国際映画祭2016 国際批評家週間出品。Gan Foundation Award for Distribution受賞。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2016 アナザー・ビュー部門出品。
 エルサレム映画祭2016 長編コンペティション部門出品。最優秀長編作品賞、第1回作品賞、国際批評家連盟賞イスラエル第1回作品賞受賞。
 オルデンブルク国際映画祭2016出品。アンサンブル賞(シーモア・カッセル賞)受賞。
 アテネ国際映画祭2016出品。
 ミル・ヴァレー映画祭2016出品。
 BFIロンドン映画祭2016 Laugh部門出品。
 イスラエル・アカデミー賞2016 助演男優賞(Tomer Kapon)受賞。作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、脚本賞、編集賞ノミネート。
 シカゴ国際映画祭2016出品。
 デンバー映画祭2016出品。
 バージニア映画祭2016出品。
 キー・ウェスト映画祭2016出品。

画像

 【短編実写映画部門】

 ◆審査員大賞(Grand Jury Award)
 ◎“Icebox”(米) 監督:Daniel Sawka
 物語:ホンジュラス出身の少年がアメリカへの国境を越えようとしてつかまり、未成年者のための移民拘留施設に送られる。
 シアトル国際映画祭2016出品。
 ハンプトンズ国際映画祭2016学生映画賞受賞。

画像

 ◆スペシャル・メンション(Special Mention)
 ◎“Speaking is Difficult”(米) 監督:AJ Schnack
 2015年10月1日午前10時半ごろ、オレゴン州にあるアムクワ・コミュニティー・カレッジに武装した男が侵入して銃を乱射して、20人にけがを負わせ、9人を殺害した。犯人は駆けつけた警察官との銃撃戦の末に射殺された。
 本作“Speaking is Difficult”を手がけたのはField of Visionで、これは、『シチズンフォー スノーデンの暴露』のローラ・ポイトラスやAJ Schnacによって2013年に立ち上げられたドキュメンタリーの制作ユニットで、現在、世界で起こっていることを、素早く、新しい視点でとらえて、短編ドキュメンタリーとして伝えることを目的としていて、長編ドキュメンタリーを制作するより、早く、より多くの人々にその「物語」を伝えることをミッションとしている。
 アムクワ・コミュニティー・カレッジの事件に関し、Field of Visionは、事件が起こった地元は現在どうなっているか調べるために、18人の撮影監督を送り込み、25か所で撮影を行なった。
 結果的には、ヘアサロンでもレストランでも映画館でも、この地でそうした悲劇的な事件が起きたことなど意識させることなく、日常生活が取り戻され、接客が行なわれていたという。
 サンダンス映画祭2016出品。
 モントクレア映画祭2016出品。
 マリーランド映画祭2016出品。
 トラヴァース・シティー映画祭2016出品。
 *本編全編がネット上で視聴可。

画像

 ◆ナラティヴ・コメディー作品スペシャル・メンション(Special Mention for Comedic Narrative)
 ◎“Hounds(Kalvei Tsaid)”(イスラエル) 監督:Omer Tobi
 物語: ‬Iris Kadoshは、モロッコ出身の50歳の女性で、これまで16年間、由緒ある国立美術館の白く優美なギャラリーで、警備員として働いてきた。その間、多大な貢献こそすれ、不平を言ったことはなかった。ある日、彼女が出勤すると、同僚から、昇進することになったことを知らされる。様々なリアクションがある。喜んでくれる人もいれば、妬む人もいる。ところが、恐ろしい事件が起きて、彼女は新しいポストにしがみついているべきなのかどうか、道徳的ジレンマに陥る。
 ハイファ国際映画祭2015出品。最優秀短編賞受賞。
 アスペン短編映画祭2016出品。最優秀コメディー賞受賞。
 ニューオリンズ映画祭2016 オフィシャル・セレクション出品。

画像

 ◆ドキュメンタリー作品スペシャル・メンション(Special Mention for Documentary)
 ◎“The Send-Off”(米) 監督:Ivete Lucas、Patrick Bresnan
 物語:フロリダ州パホーキ。大半がアフリカン・アメリカンのコミュニティーで、高校生たちが期待に胸を膨らませて、プロムの夜を迎える。
 サンダンス映画祭2016 短編コンペティション部門出品。
 SXSW映画祭2016 テキサス短編映画部門 審査員賞受賞。
 サンフランシスコ国際映画祭2016 最優秀ドキュメンタリー・ショート受賞。
 DocAviv/テルアビブ国際ドキュメンタリー映画祭2016出品。
 BFIロンドン映画祭2016短編映画賞プログラム出品。

画像

 ◆演技賞スペシャル・メンション(Special Mention for Acting)
 ◎Clark Genet、Owen Kanga “Dreaming of Baltimore(Au loin, Baltimore)”(仏)

 “Dreaming of Baltimore(Au loin, Baltimore)”(仏) 監督:Lola Quivoron
 物語:Akroにとって、自由とは、郊外でバイクを乗り回すことにほかならない。特に、ウィリー走行が好きで、空に向かって前輪を浮かせると、プリンスになったような気分を味わうことができた。ところが、ある夜、エンジンが故障して動かなくなってしまう。
 “Fils du loup”(2015)がヨーロッパ映画賞2015短編映画賞にノミネートされたLola Quivoronの最新作。
 ロカルノ国際映画祭2016 レパード・オブ・トゥモロー インターナショナル部門出品。

画像

 ◆撮影賞スペシャル・メンション(Special Mention for Cinematography)
 ◎“A Thousand Midnights”(米) 監督:Carlos Javier Ortiz
 1915年から1970年にかけて、600万人のアフリカ系アメリカ人が南部から、北部や中西部、西部へと移動した。これは、南部のプランテーション制度による搾取と人種差別を逃れ、自由とよりよい家族生活を求めて、行なわれたもので、英語では「Great Migration」と呼ばれ、2015年は100周年にあたる。こうした移動は、現代のアメリカ都市の礎にもなっている。北部での人種的開放は、黒人と、その家族、および、続く世代に、より大きな経済的なチャンスをもたしたと考えられているが、多くの人々にとってまだ夢は手の届かないところにある。

画像

 【短編アニメーション部門】

 ◆審査員大賞(Grand Jury Award)
 ◎“Pussy(Cipka)”(ポーランド) 監督:Renata Gasiorowska(ウッチ映画大学)
 物語:若い娘が一人暮らしをしている。夜、彼女は、ひとり遊びをするのを楽しみにしていたが、すべて計画通りというわけにはいかない。
 オタワ国際アニメーションフェスティバル2016 ワールド学生パノラマ部門出品。
 ワルシャワ国際映画祭2016出品。
 DOKライプチヒ2016出品。観客賞受賞。
 オーバーハウゼン国際短編映画祭2016 コンペティション部門出品。
 キプロス国際短編映画祭2016 コンペティション部門出品。
 リーズ国際映画祭2016 コンペティション部門出品。
 セビリヤ・ヨーロッパ映画祭2016 コンペティション部門出品。

画像

 ◆審査員スペシャル・メンション(Special Jury Mention)
 ◎『サマーキャンプ・アイランド』“Summer Camp Island”(米) 監督:ジュリア・ポット(Julia Pott)
 物語:「オスカーと親友のハリネズミはサマーキャンプから脱落したばかり。ある日両親全員が島を離れることになり、眠っていたヘンなことたちが顔を覗かせはじめる。宇宙人は本当にいるし、馬はユニコーンに変わるし、ベッドの下にはモンスターがいる!」
 『ベリー』(おなか) “Belly”のジュリア・ポット監督最新作。
 トロント国際映画祭2016 SHORT CUTS部門出品。
 ファンタスティック・フェスト2016出品。
 新千歳空港国際アニメーション映画祭2016 インターナショナル・コンペティション ファミリー部門出品。

画像

 ◆ミックス・メディア 審査員スペシャル・メンション(Special Jury Mention for Mixed Media)
 ◎『Deer Flower』“Deer Flower”(韓・米) 監督:キム・ガンミン(Kangmin Kim)
 物語:1992年夏、小学生のDujungは、両親に連れられて、郊外の農場にでかける。両親は、この経験が息子の体を強くすると考えていたが、思わぬことが起こる。
 キャラクターは、3Dプリンターによって作られ、よりハンドメイド感を出すために、紙のカットアウトを使って装飾された。
 サンダンス映画祭2016 短編部門出品。
 クレモンフェラン国際短編映画祭2016出品。
 SXSW映画祭2016出品。
 アスペン国際短編映画祭2016 審査員賞受賞。
 全州国際映画祭2016 韓国短編映画コンペティション部門出品。審査員特別賞受賞。
 ザグレブ国際アニメーションフェスティバル2016 グランド・コンペティション部門出品。ピーター・ロードによる特別賞受賞。
 アヌシー国際アニメーションフェスティバル2016 21世紀のコリアン・アニメーション出品。
 メルボルン国際映画祭2016 最優秀短編アニメーション賞受賞。
 フィラデルフィア映画祭2016 最優秀短編アニメーション賞オナラブル・メンション受賞。
 新千歳空港国際アニメーション映画祭2016出品。

画像

 ◆視覚的美学 審査員スペシャル・メンション(Special Jury Mention for Visual Aesthetics)
 ◎“Superbia”(チェコ・ハンガリー・スロヴァキア) 監督:Luca Tóth
 物語:Superbiaでは、男女が厳格に分かれて暮らしていて、それぞれに全く異なる習慣やマナーを育んでいた。ひとりの男性とひとりの女性が、あらゆる困難を乗り越えて史上初の対等なカップルとなった時、それぞれの社会に変化が起こる。
 カンヌ国際映画祭2016 国際批評家週間出品。
 パームスプリングス国際短編映画祭2016出品。
 グアダラハラ国際映画祭2016出品。
 サラエボ映画祭2016 短編コンペティション部門出品。
 ヘルシンキ国際映画祭2016出品。
 エンカウンター国際短編&アニメーション映画祭2016出品。
 リガ国際映画祭2016出品。
 シカゴ国際映画祭2016出品。

画像

 【その他の賞】

 ◆アメリカン・インディペンデント観客賞(American Independents Audience Award)
 ◎“Donald Cried”(米) 監督:Kris Avedisian
 物語:Peter Latangは、ロード・アイランドのワーウィックのワーキング・クラスから、ウォール・ストリートのキレ者へと変身を遂げる。15年後、祖母が亡くなって、彼は、故郷に戻る。ところが、財布を落としてしまった彼は、立ち往生し、隣人に助けを借りる。隣人は、彼の幼なじみのDonald Treebeckで、Donaldは全然変わっていなかった。単純な好意としてPeterはDonaldのヴァンに乗せてもらうが、それは過去への長い旅となる。
 2012年の“Donald Cried”の長編版。
 第1回作品。
 SXSW映画祭2016出品。
 ボストン・インディペンデント映画祭2016出品。
 フロリダ映画祭2016 審査員特別賞監督賞受賞。
 メリーランド映画祭2016出品。
 モントクレア映画祭2016 Future/Now部門出品。審査員特別賞受賞。
 ロカルノ国際映画祭2016 フィルムメーカーズ・オブ・ザ・プレゼント コンペティション部門部門出品。
 サイド・ウォーク映画祭2016出品。Jambor-Franklin Founder's Award for Best Narrative 受賞。
 バンクーバー国際映画祭2016出品。
 ハンプトンズ国際映画祭2016出品。
 リオ・デ・ジャネイロ国際映画祭2016出品。
 フィラデルフィア映画祭2016出品。
 デンバー映画祭2016出品。

画像

 ◆ブレイクスルー観客賞次点2位(Breakthrough Audience Award Second Runner Up)
 ◎『レッドタートル ある島の物語』(仏・日) 監督:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット

 ◆ワールド・シネマ観客賞(World Cinema Audience Award)
 ◎『ヒトラーの忘れもの』(デンマーク・独) 監督:マーチン・サントフリート

 ※見やすくするために、公式サイトとは「並び順」を変えてあります。

--------------------------------

 本年度の上映作品は、
 46か国から全118本(うち、長編79本、短編39本)で、女性監督作品が33本(共同監督作品も含む)、ドキュメンタリーが11本、アニメーションが12本となっています。

 なお、AFIフェストの短編部門の審査員大賞受賞作品のみ、米国アカデミー賞短編映画賞または短編アニメーション賞へのノミネーション資格を与えられます。なぜか、短編ドキュメンタリーに関しては、AFIフェストでは、米国アカデミー賞への資格を得られないようです。今回、短編でよさそうだったのは、ドキュメンタリー作品ばかりだったんですが。

 *この記事がなかなか参考になった!と思ったら、人気ブログランキングにクリックをお願いします。
 ↓ ↓ ↓ ↓
 
 ↑ ↑ ↑ ↑
 クリックしてね!

 *当ブログ記事

 ・AFIフェスト2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201311/article_23.html
 ・AFIフェスト2012 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201211/article_7.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2016年6月~11月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201606/article_2.html

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック