ハワイ国際映画祭2016 受賞結果

 第36回ハワイ国際映画祭2016(11月3日-13日)の各賞が発表されました(観客賞は11月16日に発表)。

 【ハワイ国際映画祭】

 ハワイ国際映画祭は、1981年にハワイで始まった国際映画祭で、地元ハワイの映画はもちろん、アジア太平洋地域の映画の上映に力を入れている映画祭で、毎年、日本からも数多くの作品が出品されています。

 プログラムとしては、インド、フィリピン、台湾、香港、中国、韓国、日本といった国別の上映プログラムのほか、東南アジア・ショーケース、パシフィック・ショーケース、メイド・イン・ハワイなどの、独自のプログラムが組まれています。

 日本作品の受賞も多く、1990年に『ウンタマギルー』、2001年に『いちばん美しい夏』、2003年に『たそがれ清兵衛』、2004年に『茶の味』、2012年に『鍵泥棒のメソッド』がそれぞれナラティヴ部門の作品賞を受賞し、1998年には『ナージャの村』がドキュメンタリー賞を、2004年には土屋豊監督の『PEEP “TV” SHOW』がNETPAC賞を、2015年には浅野忠信がマーベリック賞を受賞しています。また、2012年には役所広司に、2015年には広末涼子にキャリア貢献賞を贈られています。

 本年度の受賞結果は以下の通りです。

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 ◆最優秀ナラティヴ作品賞/Halekulani Golden Orchid Award for Best Narrative
 ◎“Moonlight”(米) 監督:Barry Jenkins
 出演:マハーシャラ・アリ(Mahershala Ali)、ナオミ・ハリス、トレヴァンテ・ローズ(Trevante Rhodes)、アンドレ・ホランド(André Holland)、ジャネール・モネイ(Janelle Monáe)、Ashton Sanders、Jharrel Jerome、Alex Hibbert、Jaden Piner
 物語:麻薬と暴力で揺れるマイアミを舞台に、ひとりのアフリカン・アメリカンの、子ども時代、青年時代、大人時代を描く。主人公は、喜びと痛み、恋の美しさ、そして自らのセクシュアリティーの目覚めを経験する。
 劇作家タレル・アルバン・マクレイニーの戯曲“In Moonlight Black Boys Look Blue”の映画化。
 Barry Jenkinsの第2監督長編。ブラッド・ピットがプロデューサーを務める。
 テルライド映画祭2016出品。
 トロント国際映画祭2016 PLATFORM部門出品。
 エドモントン国際映画祭2016出品。
 ニューヨーク映画祭2016出品。
 BFIロンドン映画祭2016 オフィシャル・コンペティション部門出品。
 バンクーバー国際映画祭2016出品。
 ハンプトンズ国際映画祭2016出品。
 ミル・ヴァレー映画祭2016出品。
 ローマ映画祭2016出品。
 ゴッサム・アワード2016 作品賞、脚本賞ノミネート。アンサンブル・パフォーマンス賞受賞。
 フィラデルフィア映画祭2016出品。
 シカゴ国際映画祭2016 観客賞 長編ナラティヴ部門受賞。
 ハリウッド映画賞2016 ブレイクスルー女優賞受賞(ナオミ・ハリス)。
 Camerimage 2016 メイン・コンペティション部門出品。
 マル・デル・プラタ国際映画祭2016出品。


 ◆最優秀ドキュメンタリー賞(Best Documentary Feature)
 ◎“Cinema Travellers”(インド) 監督:Shirley Abraham、Amit Madhesiya
 インドにおける移動式映画上映に関するドキュメンタリー。テクノロジーやさまざまな変化によって、移動式映画もまた変化を余儀なくされている。プロジェクターの修理技師は、映画の変化について、詩的に、あるいは哲学的に、またある時はプラグマティスティックに語る。96分。
 カンヌ国際映画祭2016 カンヌ・クラシック部門出品。ドキュメンタリー賞オナラブル・メンション受賞。
 シドニー映画祭2016出品。
 トロント国際映画祭2016 TIFF DOCS部門出品。
 ニューヨーク映画祭2016出品。
 釜山国際映画祭2016 ドキュメンタリー・ショーケース部門出品。
 ムンバイ映画祭2016 審査員特別賞スペシャル・メンション受賞。
 ニューハンプシャー映画祭2016 出品。最優秀ドキュメンタリー賞受賞。
 デンバー国際映画祭2016出品。
 アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭2016出品。


 ◆最優秀短編映画賞(Best Short)
 ◎“Coin Boy(銅板少年)”(台湾) 監督:Li Chuan-Yang(李権洋)
 物語:Taiは、小学校の4年生で、父親はクレーン・ゲームの機械を扱うビジネスをしていた。彼は、時々、コインの回収や補充にまわる父親についていて、仕事を手伝うこともあった。学校で、キャンプの費用を収める日、Taiはコインを持っていて、先生に紙幣を持ってくるように言われる。彼は、なかなかそれを父親に言い出すことができない。しかし、独力で、コインを紙幣に替える方法を思いつく。
 コルカタ国際短編映画祭2016出品。

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 ◆NETPAC賞
 ◎『神水の中のナイフ』“Knife in the Clear Water(清水裏的刀子)”(中) 監督:ワン・シュエボー(Wang Xuebo/王学博)
 物語:中国の寧夏省。山の中の小さな村。Majishanが妻を亡くす。彼が属する回族には、葬儀の後、Nazerという40日間の服喪の儀式がある。それには、飼っている牛を殺さなければならない。彼は、そうしたくはなかった。というのもその牛は彼にとってほとんど家族同然だったからだ。息子は、その牛はもう年寄りだから早く殺してしまえと言う。そういう会話を知ってか知らずか、牛はエサを食べなくなる。霰が降る中、彼は、牛を妻の墓へと連れていく。彼は、哀しみと憐れみで胸がいっぱいになる。
 ペマ・ツェデンのプロデューサーを務めたワン・シュエボーの初監督作品。
 釜山国際映画祭2016 ニュー・カレント部門出品。ニュー・カレント賞受賞。
 アジア太平洋スクリーン・アワード2016 文化の多様性賞ノミネート。


 ◆観客賞 長編ナラティヴ部門
 ◎“Lion”(オーストラリア・米・英) 監督:Garth Davis
 出演:ルーニー・マーラ、ニコール・キッドマン、デーヴ・パテル、デイヴィッド・ウェンハム
 物語:サルーは、インド中央部にあるマディヤ・プラデーシュ州カンドワの近くで1981年に生まれる。父親は、妻と3人の子を残して家を出ていってしまい、家庭は貧困にあえいでいた。母は、工事現場で働いていたが、それでも十分に稼ぐことはできず、子供たちを学校に行かせる余裕もなかった。5歳のサルーは、兄のグドゥーとカイルーとともに駅にでかけて、物乞いをしたりもした。グドゥーは、時々、列車の車両の掃除の仕事を手に入れたりもしていた。ある日、グドゥーは、列車に乗って70キロ南にあるブルハーンプルへとでかける。サルーも一緒に行きたいと言って、兄についていく。ブルハーンプルに着いたグドゥーは、サルーにプラットホームで待っているように言う。ところがなかなか兄は帰ってこない。止まっている列車を見つけた彼は、そこに兄が乗っているのかもしれないと思い、列車に乗り込んで、眠ってしまう。目を覚ました時、列車は見知らぬ街を走っていた。小さな駅に止まるが、彼はドアを開けて出ていくことができない。最終的に列車はコルカタに着く。サルーは、そこで浮浪児となって路上生活を始める。数週間後、警察に保護されるが、故郷がどこなのか判明しない。結局、孤児院に引き取られることになる。その後、彼は、裕福なオーストラリア人ブライアリー夫妻の養子となってタスマニアで暮らし始める。サルーは、そこで成人し、ホテルマンとしての勉強を始める。グーグル・アースを使って、母国インドを調べ始めた彼は、かすかな記憶を頼りに、故郷の町を探し、2011年のある夜、ブルハーンプルの駅からたどって、ついにカンドワの町を見出す。フェイスブックなどからも情報を収集した彼は、故郷を見つけたと確信し、25年ぶりにインドの地を踏む。そして、ひょっとしたら死んでしまっているかもしれないと思った家族と再会を果たす。
 サルー・ブライアリー本人によるノンフィクション『25年目の「ただいま」』“A Long Way Home”の映画化。
 トロント国際映画祭2016 GALAS部門出品。ピープルズ・チョイス賞次点。
 チューリヒ映画祭2016出品。
 サンディエゴ映画祭2016出品。
 ハンプトンズ国際映画祭2016出品。
 ミル・ヴァレー映画祭2016 観客賞受賞。
 BFIロンドン映画祭2016 ヘッドライン・ガラ部門出品。
 オースティン映画祭2016 観客賞受賞。
 フィラデルフィア映画祭2016出品。
 シカゴ国際映画祭2016 観客賞 長編ナラティヴ部門受賞。
 ハートランド映画祭2016 Truly Moving Picture Award受賞。
 ハリウッド映画賞2016 助演女優賞受賞(ニコール・キッドマン)。
 デンバー国際映画祭2016出品。
 リスボン&エストリル映画祭2016出品。
 ストックホルム国際映画祭2016出品。
 AFIフェスト2016出品。
 Camerimage 2016 メイン・コンペティション部門出品。
 ナパ・ヴァレー映画祭2016出品。


 ◆観客賞 ドキュメンタリー部門
 ◎“The Eagle Huntress”(米) 監督:Otto Bell
 ドキュメンタリー。西モンゴルのアルタイ地方。13歳の少女Aisholpan Nurgaivは、12代続いたカザフ人の一家で、女性として初めて、聖なる鷹匠の仕事を任せられる。彼女は、鷹のひなをつかまえて、父の指導の下、鷹匠の仕事を学んでいく。彼女には、鷹と絆を結び、コミュニケーションをする才能があることがわかる。長老たちには反対されるが、彼女は、やがて、70人もの経験豊かな鷹匠が参加するコンテストに出る決心をする。
 サンダンス映画祭2016 サンダンス・キッズ部門出品。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2016 アウト・オブ・コンペティション部門出品。
 メルボルン国際映画祭2016 Most Popular Documentary 第2席。
 トロント国際映画祭2016 TIFF KIDS部門出品。
 サンディエゴ映画祭2016出品。
 ハンプトンズ国際映画祭2016 長編ドキュメンタリー賞受賞。
 BFIロンドン映画祭2016出品。
 ワルシャワ国際映画祭2016出品。
 ミル・ヴァレー映画祭2016出品。
 クリティクス・チョイス賞2016 ドキュメンタリー賞 第1回作品賞、スポーツ・ドキュメンタリー賞、歌曲賞ノミネート。
 シカゴ国際映画祭2016出品。
 デンバー国際映画祭2016出品。
 アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭2016 出品。


 ◆観客賞 短編部門
 ◎“Ho’Omau”(米) 監督:Kenji Doughty
 物語:ハワイに、移民が盛んだった時代。受け入れられ、平和な生活を手に入れた人々もいたが、拒絶され、争いになったケースもあった。原住民の中には、移民を受け入れることは自分たちにとって、害でしかないと考える人々がいて、若き酋長と仲間たちは、自分たちの土地を取り戻すためにでかけていった。混血の娘Lehuaは、そうした争いの犠牲者だった。彼女は住む家を失い、母と幼い弟とともに、洞窟に隠れた。そのまま隠れていた方が安全であることはわかっていたが、祖父がケガをして戻ってきた時、彼女は、戦いの最前線に出ていく決心をする……。

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 ◆名誉賞
 ◎チェン・ペイペイ

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 ◎サイモン・ヤム

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 本年度の日本からの出品は、29本でした。

 ・『いきなり先生になったボクが彼女に恋をした』
 ・『嫌な女』
 ・『海すずめ』
 ・『海よりもまだ深く』
 ・『オーバー・フェンス』
 ・『風に濡れた女』
 ・『家族はつらいよ』
 ・『君の名は。』
 ・『クリーピー 偽りの隣人』
 ・『GUNKANJIMA -Traveler in Time-』(日/7分) 監督:中村貴一朗
 ・『恋人たちは濡れた』(1973)
 ・『The Calling -神様から与えられたお仕事‐』(日・米) 監督:長島一由
 ・『貞子 vs. 伽椰子』
 ・『シネマの天使』
 ・『築地ワンダーランド』
 ・『どす恋 ミュージカル』
 ・『にがくてあまい』
 ・『日本で一番悪い奴ら』
 ・『野火』
 ・『氷川丸ものがたり』
 ・『淵に立つ』
 ・『ブルーハーツが聴こえる』
 ・『HK 変態仮面 アブノーマル・クライシス』
 ・『MIFUNE-THE LAST SAMURAI』
 ・『羅生門』(1950)
 ・『リップヴァンウィンクルの花嫁』
 ・“After Spring, The Tamaki Family...(海的彼端)”(日・台湾) 監督:Huang Yin-Yu(黃胤毓)
 ・“WE ARE X”(日・米) 監督:スティーヴン・キジャック
 ・“A Small Life”(日・米/46分) 監督:Lucretia Knapp、Lynne Yamamoto

 【PHOTO GALLERY】

 ・遠藤尚太郎監督、小野二郎(『築地ワンダーランド』)

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 ・長島一由監督、浅井力也&和子(『The Calling -神様から与えられたお仕事‐』)

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 ・枡田琢治監督(“Bunker77”)

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 ・キミ・タケスエ監督(“95 And 6 to Go”)

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 *当ブログ記事

 ・ハワイ国際映画祭2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201310/article_34.html
 ・ハワイ国際映画祭2012 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201211/article_16.html
 ・ハワイ国際映画祭2010 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201010/article_15.html
 ・ハワイ国際映画祭2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_28.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2016年6月~11月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201606/article_2.html

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