サンセバスチャン国際映画祭2016 ニュー・ディレクターズ部門 ラインナップ

 【ニュー・ディレクターズ部門】

 この部門は、国際的に高い評価を受けることになる若手監督の作品を多数選出している部門で、近年では、『ザ・レッスン 女教師の返済』や『馬々と人間たち』などが、ニュー・ディレクターズ賞に輝いています。

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 ・“Porto”(ポルトガル・仏・米) 監督:Gabe Klinger
 出演:アントン・イェルチン、Lucie Lucas、フランソワーズ・ルブラン(Françoise Lebrun)
 物語:ジェイクとマティは、ポルトガル北部の都市ポルトでは、アウトサイダーである。彼らは、かつて短い間、つながりがあった。彼らが分かち合った時間には謎が残されている。彼らは、記憶を探り、時の流れに規制されない夜の深みを追体験する。
 リチャード・リンクレイターとジェームズ・ベニングの友情にまつわるドキュメンタリー“Double Play: James Benning And Richard Linklater”を撮ったGabe Klinger監督の第2作(初のドラマ作品)。Gabe Klingerは、サンパウロ生まれ、シカゴ育ちの、若き映画批評家。
 ジム・ジャームッシュが、エグゼクティヴ・プロデューサーを務める。

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 ・“María (y los demás)”(西) 監督:Nely Reguera
 物語:母親が死んでから、マリアは父と弟妹たちの面倒を見てきた。彼女は、一家の要だ。ところが、父親がナースと再婚すると宣言して、マリアのまわりの世界は崩壊する。もう35歳だ。自分で自分の運命を変えなければならない。
 Nely Regueraは、『パフューム ある人殺しの物語』のセカンド・ユニットの第2アシスタント・ディレクター等のキャリアを重ねていて、これが初監督長編。

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 ・“Compte tes blessures(A Taste of Ink)”(仏) 監督:Morgan Simon
 出演:Kevin Azaïs、モニカ・ショクリ(Monia Chokri)、Nathan Willcocks
 物語:ヴァンサンはまだ人生の3分の1にも達していないが、体の半分以上にタトゥーを入れ、ポスト・ハードコア・バンドでしわがれた声を吐き出している。母親が死んでからは、楽しくもないピアスの穴あけの仕事をし、魚屋の父と一緒に暮らしている。父が若い女性と一緒に暮らし始めた時、彼は気が狂いそうになる、
 初監督長編。

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 ・“Lumières d'été - Natsu no hikari(Summer Lights)”(仏) 監督:ジャン・ガブリエル・ペリオ(Jean-Gabriel Périot)
 物語:アキヒロは、パリに住む日本人フィルムメイカーで、広島原爆投下70年の年に原爆の生存者にインタビューするために日本に戻る。インタビューでひどく心を動かされた彼は、小休止を取り、町をさまよって、陽気で謎めいた女性ミチコと出会う。
 短編『たとえ彼女が犯罪者だったとしても…』や広島の原爆ドームに関するドキュメンタリー『nijuman no borei』などが日本にも紹介されているジャン・ガブリエル・ペリオによる初長編フィクション作品。

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 ・“Le ciel flamand”(ベルギー) 監督:Peter Monsaert
 物語:3世代の女性たちの生活を描く。モニークと娘のシルヴィーは、西フランドルとフランスの国境地帯で売春宿を営んでいる。6歳のエリーヌは、シルヴィーの娘で、母と祖母の謎めいた職場に興味津々だったが、決して中には入れてもらえなかった。あるドラマチックな出来事が起こって、家族の生活はひっくり返され、家族の絆は、プレッシャーにさらされる。
 “Offline”のPeter Monsaert監督の第2監督長編。

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 ・“Waldstille”(オランダ) 監督:Martijn Maria Smits
 物語:ベンは、交通事故で恋人を死なせてしまい、刑務所に入れられる。数年後、彼は釈放されて、故郷であるオランダ南部の町Waldstilleに帰ってくる。彼は、彼が不在の間、娘シンディーを育ててくれた養父母に会いに行く。養父母は、ベンにシンディーを決して会わせようとしない。だが、ベンは、娘とのこれまでの埋め合わせをしなければならないと覚悟を決める。

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 ・“Vanatoare(Prowl)”(独) 監督:Alexandra Balteanu
 物語:Lidiaは、夫と2人の子と世俗的な生活を送りながら、鳩を育てている。Denisaは、闘志満々で、居候のボーイフレンドの新しいスニーカーを買ってあげたいと思っている。
最年少のVanesaは、グリーンの目をした完璧な男性を見つけることを夢見ている。3人の女性は、セックスワーカーで、ある橋の下を仕事場として共有し合っている。ある日、彼らは、優しそうに見える地域の警察官の定期的な訪問を受けて、共に抵抗の姿勢を見せる。
 初監督長編。

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 ・“Anişoara(Anishoara)”(独・モルドヴァ) 監督:Ana-Felicia Scutelnicu
 物語:Anishoaraは、15歳の少女で、モルドヴァの古く美しい村で暮らしている。彼女は、母親なしで育ち、数年の間、弟Andreiと飲んだくれの父親Petruの世話をしてきた。Anishoaraは、わずかなお金と食べ物を手に入れるために、近くの宿で働いている。隣人のVasilutaとMihaiは、親切で、自分たちの子どもを育てながら、AnishoaraとAndreiの面倒も見てくれている。4つの季節が過ぎる間に、Anishoaraの子ども時代は終わりを告げ、大人の世界に旅立たなければならなくなる。
 “Panihida”(2012)が国際的に高く評価されたAna-Felicia Scutelnicuの第2監督長編。

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 ・“Park”(ギリシャ) 監督:Sofia Exarchou
 物語:アテネのオリンピック村は、まわりのスポーツ通りも廃れ、孤立し、見捨てられて、荒れ果てている。2004年の大会以降、住宅はワーキング・クラスに無料で提供されたが、住人はわずかしかいない。ある少年たちのグループは、村の中で身動きが取れなくなっていて、廃墟の周辺で、オリンピックの試合の真似事をしたり、お金のために犬を交配したりしている。最年長のDimitrisは、17歳で、引退した22歳のアスリート、アンナとともに、村から出て、アテネ郊外の海辺の高級リゾートへと向かう。彼らは、外国人旅行客の生活に入り込もうとして、残忍な形で、試練を与えられる。
 テッサロニキ国際映画祭2012でFrench CNC Development awardを受賞。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2015でWork in Progress 最優秀プロジェクト賞を受賞。
 初監督長編。

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 ・“Teesklejad(Pretenders)”(エストニア・リトアニア・ラトヴィア) 監督:Vallo Toomla
 物語:AnnaとJuhanは、2人の間にできた亀裂を修復すべく、海辺にある友人のおしゃれなサマーハウスにやってきた。彼らは、岩場でアクシデントを目撃し、ケガをした女性とその夫をサマーハウスに連れてくる。2組の夫婦には、共通点が非常に多いことがわかる……。

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 ・“In Between”(イスラエル・仏) 監督:Maysaloun Hamoud
 物語:SalmaとLailaは、イスラエルの市民権を持つパレスチナ人で、イスラエル北部の村からテルアビブにやってきた。彼らは、自由な生活を望み、伝統的で保守的なアラブ社会のあらゆるタブーを破った。しかし、パレスチナ人は、多数派のイスラエル人の中には、完全には溶け込むことができない。イスラエルの国境に位置するアラブ人町Umm al-Fahmから、敬虔なムスリムの娘Nurがやってきたことで、彼らの生活は揺さぶられる。彼らは、クラブの前で、ひとりのパレスチナ人男性と会う。彼は、Nurと同郷なのだが、家族には、自分がホモセクシャルであることを隠していた……。
 パレスチナ-イスラエル社会で暮らす多くのパレスチナ人が直面する現実を描いた物語。
 初監督長編。“Gett: The Trial of Viviane Amsalem”の監督Shlomi Elkabetzがプロデューサーを務める。監督のMaysaloun Hamoudは、The Minshar School of Art in Tel Aviv時代のShlomi Elkabetzの教え子であり、“Gett: The Trial of Viviane Amsalem”の成功が、本作の製作を軌道に乗せた。

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 ・“Hu Xi Zheng Chang(Something In Blue/呼吸正常)”(中) 監督:Yunbo Li(李云波)
 物語:都会で暮らす4人の若者たちの、愛と理想、滑稽さ、かすかなとまどい。彼らは、映画を撮り始める。彼らは、映画の中で自分たち自身を演じ、それが彼らの現実生活に影響を与える。
 初監督長編。

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 ・“Yi bai wu shi sui de sheng huo(One Hundred and Fifty Years of Life)”(中) 監督:Yu Liu
 物語:90歳のハンは、精神障害を抱える60歳の息子と北京の南部に住んでいる。彼の2人の娘たちは、ハンのアパートを欲しがり、彼の年金に手をつける。ハンは、自分が死んでしまったら、息子はどうなるのだろうとかいうことだけが心配だった。ある時、ハンの息子は、郊外で義理の息子とはぐれ、行方不明になってしまう。

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 ・“Yeon-ae-dam(Our love story)”(韓) 監督:Lee Hyun-ju
 物語:美大生のYoonjuは、卒業制作の準備をしている。彼女は素材を手に入れようと立ち寄ったジャンク・ショップでJisooと出会う。彼女に対する印象はよく、数回会った後、2人はつき合い始める。Yoonjuは、人生で初めての恋にドキドキを感じ、Jisooといいパートナー関係になる。
 全州国際映画祭2016 韓国映画コンペティション部門出品。グランプリ受賞。


 ・“Fin de semana(Weekend)”(アルゼンチン) 監督:Moroco Colman
 物語:カルラは、数年ぶりにマルティナと会う。彼らは、山々に近い、San Roque湖畔の家で週末を過ごす。彼らの関係は冷めている。彼らの間には話されていない何かがある。マルティナが、2倍の年齢の男性ディエゴとこっそり会ったことを漏らす。彼らは、本格的な性的ゲームに巻き込まれ、コントロールできなくなる。その関係を知ったカルラは、ディエゴと対決する。
 初監督長編。

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 ・“Pinamar”(アルゼンチン) 監督:Federico Godfrid
 物語:母親が亡くなって、2人の兄弟が、母に別れを告げ、アパートを処分するためにPinamarに戻ってくる。パブロは、できるだけ早く済ませたいと考え、一方、ミゲルはこの帰郷を楽しみたいと考えていた。母の死は、兄弟の関係性を見直す機会になる。
 “La Tigra, Chaco”(2008)のFederico Godfrid監督の第2作。

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 まだ、IMDbにタイトルすら載っていない作品がいくつもあり、情報が乏しい作品ばかりです。

 16本中、女性監督の作品が6本(7本?)あります。

 賞は、ニュー・ディレクターズ賞以外は、スペシャル・メンションが与えられるくらいで、サンセバスチャン国際映画祭で栄冠を勝ち取れるのは、上記14作品のうち、せいぜい2作品程度ということになります。

 気になるのは、“María (y los demás)”、“Anişoara(Anishoara)”、“Park”、“In Between”、“Yi bai wu shi sui de sheng huo(One Hundred and Fifty Years of Life)”あたりでしょうか。

 日本で劇場公開までこぎ着ける作品があるかどうかはわかりませんが、例年通りであれば、何本かは日本でも紹介されるはずです。

 現時点で、審査員はまだ発表されてません。

 サンセバスチャン国際映画祭2016 のラインナップは、まだまだ続きます。

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 *当ブログ記事

 ・サンセバスチャン国際映画祭2016 オフィシャル・セレクション ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201608/article_19.html

 ・サンセバスチャン国際映画祭2016 ホライズンズ・ラティーノ部門 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201609/article_1.html

 ・サンセバスチャン国際映画祭2016 その他のラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201609/article_6.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2016年6月~11月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201606/article_2.html

 追記:
 ・サンセバスチャン国際映画祭2016 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201609/article_34.html

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