ベルリン国際映画祭2016 コンペティション部門ラインナップ!

 第66回ベルリン国際映画祭(2月11日-21日)のラインナップです。

 ・“Genius”(英・米) 監督:マイケル・グランデージ(Michael Grandage)
 ・“Letters from War (Cartas da guerra)”(ポルトガル) 監督:Ivo M. Ferreira
 ・“Being 17 (Quand on a 17 ans)”(仏) 監督:アンドレ・テシネ
 ・“Things to Come (L’avenir)”(仏・独) 監督:ミア・ハンセン=ラヴ
 ・“Alone in Berlin(Jeder stirbt für sich allein)”(独・仏・英) 監督:ヴァンサン・ペレーズ
 ・“Death in Sarajevo (Smrt u Sarajevu / Mort à Sarajevo)”(仏・ボスニア ヘルツェゴビナ) 監督:ダニス・タノヴィッチ
 ・“Fire at Sea (Fuocoammare)”(伊・仏) 監督:ジャンフランコ・ロージ
 ・“24 Weeks (24 Wochen)”(独) 監督:Anne Zohra Berrached
 ・“Soy Nero”(独・仏・メキシコ) 監督:ラフィ・ピッツ(Rafi Pitts)
 ・“United States of Love (Zjednoczone Stany Miłosci)”(ポーランド・スウェーデン) 監督:Tomasz Wasilewski
 ・“The Commune (Kollektivet)”(デンマーク・スウェーデン・オランダ) 監督:トマス・ヴィンターベア
 ・“A Dragon Arrives! (Ejhdeha Vared Mishavad!)”(イラン) 監督:マニ・ハギギ
 ・“A Lullaby to the Sorrowful Mystery (Hele Sa Hiwagang Hapis)”(フィリピン・シンガポール) 監督:ラヴ・ディアス
 ・“Crosscurrent (長江図)”(中) 監督:Yang Chao(楊超)
 ・“Boris without Béatrice (Boris sans Béatrice)”(カナダ) 監督:ドゥニ・コテ
 ・“Midnight Special”(米) 監督:ジェフ・ニコルズ
 ・“Zero Days”(米) 監督:アレックス・ギブニー
 ・“Hedi (Inhebbek Hedi)”(チュニジア・ベルギー・仏) 監督:Mohamed Ben Attia

--------------------------------

 ・“Genius”(英・米) 監督:マイケル・グランデージ(Michael Grandage)
 出演:コリン・ファース、ジュード・ロウ、ニコール・キッドマン、ローラ・リニー、ガイ・ピアース、ドミニク・ウェスト
 物語:1920年代のニューヨーク。『スクリブナーズ』誌の編集者マックス・パーキンスのもとに見知らぬ作家からの1000枚にもおよぶ混沌とした原稿が届く。マックスは、その作家トーマス・ウルフを天才だと確信し、出版に向けて、2人で、言葉の1つ1つまで細かくチェックしていく。この間、2人は、それぞれの妻に疑われるほど、親しくなる。そうして『天使よ故郷を見よ』は出版されて、大成功を収め、トーマス・ウルフは次第に妄想を膨らませていく……。
 フィッツジェラルドやヘミングウェイ、トーマス・ウルフなどの作家を育てたことで知られる『スクリブナーズ』誌の編集者マックス・パーキンス。彼の名はそうした偉大な作家たちの名前とともによく知られているが、彼自身についてはあまり知られていない。本作では、作家たちにとって、編集者であるだけでなく、批評家であり、時には金を貸したり、精神分析医や司祭のように話を聞いたり、進むべき方向を示したり、そしてもちろん彼らのよき友人でもあったマックス・パーキンスの姿が示される。
 A. Scott Berg著の伝記“Max Perkins: Editor of Genius”の映画化。
 コリン・ファースがマックス・パーキンス、ニコール・キッドマンがアリーヌ・バーンスタイン、ジュード・ロウがトーマス・ウルフ、ガイ・ピアースがフィッツジェラルド、ドミニク・ウェストがヘミングウェイを演じる。
 脚本は、『グラディーター』『ラスト・サムライ』『アビエイター』『ランゴ』『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』『ヒューゴの不思議な発明』『007 スカイフォール』『007 スペクター』などを手がけるジョン・ローガン。
 日本配給:ギャガ
 [3大映画祭との関わり]
 初めて。舞台演出家で俳優のマイケル・グランデージの初監督作品。

画像

 ・“Letters from War (Cartas da guerra)”(ポルトガル) 監督:Ivo M. Ferreira
 出演:Miguel Nunes、Margarida Vila-Nova、Ricardo Pereira、João Pedro Vaz、João Pedro Mamede
 物語:1971年。医者のAntónio Lobo Antunesは、ポルトガル軍に従軍して、内戦中のアンゴラに赴任していた。母国ポルトガルには、妊娠中の妻が彼の帰りを待っていて、Antónioは、妻へ、日々の生活を綴った手紙を送っていた。驚くべき自然のこと、地元の人々のこと、彼が面倒を見ている孤児の少女のこと、等々。ところが、戦況は次第に悪化し、彼の手紙は、不幸な世界に対する内省が色濃く滲むものになっていく。
 実在の医師で、作家でもあり、ノーベル文学賞候補とも目されるAntónio Lobo Antunesが、1971年から1973年にアンゴラに従軍していた時に妻とやりとりした手紙を元に書いた小説(2005年に出版)に基づく。
 [3大映画祭との関わり]
 本作が第3回監督長編。長編作品の3大映画祭出品は初めて。

画像

 ・“Being 17 (Quand on a 17 ans)”(仏) 監督:アンドレ・テシネ
 出演:サンドリーヌ・キベルラン、Kacey Mottet Klein、Corentin Fila、アレクシ・ロレ(Alexis Loret)
 物語:ダミアンとトーマスは、同じ文法のクラスを取っている。彼らは互いに嫌い合っていて、相手の侮辱に失敗する度、互いに激しく相手を攻撃する。けれどもそれは友だちになれないということにはならない。ダミアンの母はカントリー・ドクターであり、父は軍のパイロットで海外に赴任している。一方、トーマスは、山間の鄙びた農場の養子となっている。農夫の妻は、何度目かの流産の後、また妊娠していて、出産は難しいものになりそうだったため、赤ん坊を取り上げてもらうためにダミアンの母を呼び、しばらく泊まってもらうことにする。その結果、ダミアンとトーマスもしばらく同じ屋根の下で暮らすことになる。
 共同脚本は、セリーヌ・シアマ。
 [3大映画祭との関わり]
 1969年“Paulina s'en va”:ベネチア
 1979年『ブロンテ姉妹』:カンヌ
 1985年『ランデヴー』:カンヌ~監督賞受賞。
 1986年『夜を殺した女』:カンヌ
 1993年『私の好きな季節』:カンヌ
 1996年『夜の子供たち』:カンヌ
 2001年“Lion”:ベネチア
 2003年『かげろう』:カンヌ
 2005年“Les temps qui changent”:ベルリン
 2007年“Les témoins”『証人たち』:ベルリン
 2011年“Impardonnables(Unforgivable)”:カンヌ 監督週間
 2014年“L'homme qu'on aimait trop(In The Name of my Daughter)”カンヌ アウト・オブ・コンペティション部門

画像

 ・“Things to Come (L’avenir)”(仏・独) 監督:ミア・ハンセン=ラヴ
 出演:イザベル・ユペール、アンドレ・マルコン(André Marcon)、ロマン・コリンカ(Roman Kolinka)、エディット・スコブ(Edith Scob)、Sarah Le Picard
 物語:ナタリーは、パリの学校で哲学を教えている。彼女は、自分の仕事に熱心であり、特に、考える喜びを伝えることが好きだった。彼女には、夫と2人の子供があり、彼女は、自分の時間を、家族と学生たちと独占欲の強い母親に振り分けていた。ある日、夫が、別に好きな女性ができたから、別れたいと言ってくる。それは、彼女にとって、それまでの生活からの解放を意味したが、それまでの生活を改め、前に進んでいかなければならないということでもあった。
 [3大映画祭との関わり]
 3大映画祭コンペティション部門出品は初めて。
 2007年“Tout est pardonné”『すべてが許される』:カンヌ国際映画祭 監督週間出品。
 2009年『あの夏の子供たち』:カンヌ国際映画祭 ある視点部門出品。審査員特別賞受賞。

画像

 ・“Alone in Berlin(Jeder stirbt für sich allein)”(独・仏・英) 監督:ヴァンサン・ペレーズ
 出演:エマ・トンプソン、ブレンダン・グリーソン、ダニエル・ブリュール、ミカエル・パーシュブラント(Mikael Persbrandt)、モニーク・ショメット(Monique Chaumette)
 物語:1940年のベルリン。ナチスは、フランスに対する勝利を喧伝していて、プレンツラウアー・ベルクにある食住兼用の部屋でも喜びに溢れていた。一方、アナとオットーのクヴァンゲル夫妻は、前線で息子を失っていた。労働者階級の彼らは、長らく総統を信じ、彼に従っていた。しかし、いまでは彼の約束はウソであり、詐欺でしかないと悟っていた。彼らは、レジスタンスのためにポストカードを書き、人々の目を覚まさせようとしていた。戦争を止めろ!ヒトラーを殺せ!夫婦のレジスタンスはシンプルなもので、書いたカードを住まいの入り口や階段の吹き抜けに置いていくという、ただそれだけのものだった。しかし、SSとゲシュタポが目をつけ、隣人たちすらも彼らの脅威になった。
 1943年に反ナチ活動をして処刑された夫婦の物語を、ゲシュタポの記録文書を通して知ったハンス・ファラダが、1946年秋に4週間で書き上げたという小説『ベルリンに一人死す』の映画化。これまで、1962年、1970年、1976年と映像化されている。1976年版の映画は、ヒルデガルト・ネフとカール・ラダッツが主人公の夫婦を演じている。
 [3大映画祭との関わり]
 1992年と1999年にカンヌ国際映画祭短編コンペティション部門出品。
 本作が第3回監督長編。長編作品の3大映画祭出品は初めて。


 ・“Death in Sarajevo (Smrt u Sarajevu / Mort à Sarajevo)”(仏・ボスニア ヘルツェゴビナ) 監督:ダニス・タノヴィッチ
 出演:ジャック・ヴェベール(Jacques Weber)、Snežana Vidović、イズディン・バイロヴィッチ(Izudin Bajrović)、Vedrana Seksan、Muhamed Hadžović
 物語:2014年6月28日。ホテル・ヨーロッパは、サラエボで最高のホテルである。支配人のオマールは、外交のVIPの代表団を迎えるべく準備をしている。この日は、第1次世界大戦を勃発させたとみなされている暗殺事件から100周年に当たり、平和と理解へのアピールがここで行われることになっていた。その一方で、ホテルの従業員たちには別の悩みがあった。彼らには、何か月も給料が支払われておらず、ストライキが実行されようとしていた。ストライキのリーダーに選ばれたのは、ランドリー担当のHatidzaであったが、レセプションで働くことになっていた娘のLamijaは、父がストライキに関わることに反対だった。立ち入り禁止となったプレジデンシャル・スイートでは、フランスからのゲストがスピーチのリハーサルをし、また、テレビのレポーターは、戦争とその結果に関するインタビューしようとクルーの指揮を取っていた。1914年に暗殺事件を起こしたガヴリロ・プリンツィプガヴリロ・プリンツィプは、果たして犯罪者なのか、それとも国民的英雄なのか? 現在までに彼の行為が落としている長い影はいったい何なのだろうか?
 [3大映画祭との関わり]
 2001年『ノー・マンズ・ランド』:カンヌ~脚本賞受賞。
 2010年“Cirkus Columbia”:ベネチア ベネチア・デイズ
 2011年『11'09''01/セプテンバー11』:ベネチア アウト・オブ・コンペティション部門
 2013年『鉄くず拾いの物語』:ベルリン~審査員グランプリ受賞。

画像

 ・“Fire at Sea (Fuocoammare)”(伊・仏) 監督:ジャンフランコ・ロージ
 ドキュメンタリー。Lampedusaは、イタリアの南方にある、地中海の島である。数年来、この島は、アフリカや中東からヨーロッパを目指す難民が流れ着く最初の場所として知られるようになり、難民の希望や困難さ、数十万の移民の運命の象徴のような場所となった。平和や自由、幸せを求める難民たちは、途中で死んでしまうことも多く、遺体となって漂着することも少なくなかった。島民たちは、この現代の人道的悲劇とも言える出来事の目撃者ともなっている。本作では、この島で暮らす12歳の少年Samuele Pucilloの目を通して、難民と島の人々の物語が語られる。
 [3大映画祭との関わり]
 2000年“Afterwords”:ベネチア国際映画祭出品。
 2008年“Below Sea Level”:ベネチア国際映画祭Orizzonti部門出品。~Doc/it Award受賞。
 2010年“El Sicario, Room 164”:ベネチア国際映画祭Orizzonti部門出品。~国際批評家連盟賞、Doc/it Award、Biografilm Award受賞。
 2013年『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』:ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。金獅子賞、Leoncino d'Oro Agiscuola Award受賞。

画像

 ・“24 Weeks (24 Wochen)”(独) 監督:Anne Zohra Berrached
 出演:ユリア・イェンチ、Bjarne Mädel、ヨハンナ・ガストドルフ(Johanna Gastdorf)、Emilia Pieske、マリア=ヴィクトリア・ドラグス(Maria Dragus)
 物語:アストリッドはコメディアンで、夫のマルクスは彼女のマネージャーをしている。夫婦は、すべてうまくいっていた。彼らには、9歳の娘がいて、いままた新しい命がアストリッドのお腹に宿っていた。ところが、生まれてくる赤ん坊が健康ではないだろうと診断される。最初、2人は、彼らに何が待ち受けているのかよく知りもせずに、楽観的に考えていた。時間が経つにつれ、アストリッドは、生まれてくる子のことはもちろん、家族のこと、自分のキャリアのことを考えて悩むようになる。議論が重ねられた。しかし、最後に結論を出すのはアストリッドしかいなかった。
 [3大映画祭との関わり]
 2013年“Zwei Mütter(Two Mothers)”:ベルリン国際映画祭 パースペクティヴ・ドイツ映画部門。
 本作が第2回監督長編。長編作品の3大映画祭コンペティション部門出品は初めて。

画像

 ・“Soy Nero”(独・仏・メキシコ) 監督:ラフィ・ピッツ(Rafi Pitts)
 出演:ジョニー・オルティス(Johnny Ortiz)、ロリー・コクレーン(Rory Cochrane)、アムル・アミーン(Aml Ameen)、ダレル・ブリット=ギブソン(Darrell Britt-Gibson)、マイケル・ハーネイ(Michael Harney)
 物語:メキシコとアメリカを隔てる国境のフェンスは、ネロには身近な存在だ。メキシコの若者は、フェンスをネットのように使って、フェンスの向こう側とこちら側で、バレーボールの試合をしたりもする。ある時、ネロも、兄たちと同じように、国境を越える。国境の向こうには、ロサンゼルスやリッチで有名なマンションがあり、プールとガレージが2個ついた、それまでとは違ったライフスタイルが待っているはずだった。ところが、グリーンカードを手に入れるためには、ネロは軍隊でボランティアとして働かなければならなくなる。彼は、中東の戦場である砂漠地帯に送られ、マシンガンを手に戦うハメになる。
 [3大映画祭との関わり]
 2006年“It’s Winter”:ベルリン
 2010年“Shekarchi (The Hunter/Zeit des Zorns)”:ベルリン

画像

 ・“United States of Love (Zjednoczone Stany Miłosci)”(ポーランド・スウェーデン) 監督:Tomasz Wasilewski
 出演:ジュリア・キジョウスカ(Julia Kijowska)、マグダレナ・チェレツカ(Magdalena Cielecka)、ドロタ・コラク(Dorota Kolak)、Marta Nieradkiewicz、Łukasz Simlat
 物語:1990年代初めのポーランド。国内外に大きな変化もあり、長い停滞期を抜けて、ポーランドは、生まれ変わろうとしていた。地方の小さな町。Agataは、司祭に恋をし、こっそり彼を観察していた。Izaは、主任教師だが、既婚の医師と長い不倫関係を続けていた。ロシア語教師のRenataは、近所に住む、スポーツとダンスを教えているMarzenaともっと親しくなりたいと考えていた。一方、Marzenaは、モデルとして、国際的なキャリアを夢見ていた。
 彩度を抑えたカラーやプロダクション・デザインで制作されている。
 [3大映画祭との関わり]
 3大映画祭出品は初めて。

画像

 ・“The Commune (Kollektivet)”(デンマーク・スウェーデン・オランダ) 監督:トマス・ヴィンターベア [インターナショナル・プレミア]
 出演:トリーヌ・ディルホム(Trine Dyrholm)、ウルリク・トムセン(Ulrich Thomsen)、Helene Reingaard Neumann、Martha Sofie Wallstrøm Hansen、ラース・ランゼ(Lars Ranthe)
 物語:Erikは、建築学の講師で、コペンハーゲンの北、ヘレラップにある、父の古くて大きな家を相続する。妻のAnnaは、有名なニュースキャスターで、友人たちを招いて、一緒に暮らそうと提案する。彼女は、そうすることで、マンネリ化した結婚生活を打開したかったのだ。10数人の男女や子供たちがカントリーハウスにやってくる。彼らは、集団的な決まりを作り、ディスカッションをし、近くのエーレスンド海峡に泳ぎに行ったりした。彼らのもろい人間関係は、Erikが若い教え子に恋をして、彼女を家に招いたことから、崩れていく。ErikとAnnaの、14歳の娘Frejaは、超然と大人たちを観察し、自分の選ぶべき道を探っていた……。
 [3大映画祭との関わり]
 1998年『セレブレーション』:カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。審査員賞受賞。
 2010年『光のほうへ』:ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品。
 2012年『偽りなき者』:カンヌ国際映画祭 コンペティション部門出品。男優賞(マッツ・ミケルセン)、芸術貢献賞/Prix Vulcain De L’Artiste-Technicien(Charlotte Bruss Christensen)(撮影)、エキュメニカル審査員賞受賞。

画像

 ・“A Dragon Arrives! (Ejhdeha Vared Mishavad!)”(イラン) 監督:マニ・ハギギ [インターナショナル・プレミア]
 出演:Amir Jadidi、Homayoun Ghanizadeh、Ehsan Goudarzi、Kiana Tajammol、Nader Fallah
 物語:1965年1月。1台のオレンジ色のシボレー・インパラが、墓地を抜けて、砂漠の真ん中にある打ち捨てられた難破船に向かっていた。その前日、イランの首相が議事堂の前で暗殺されていた。難破船の中では、罰された政治犯が首を吊っていた。警察の捜査官Babak Hafiziが捜査を始める。彼は、音響エンジニアと地質学者の助けを借りて、ペルシャ湾に浮かぶケシム島で捜査を行って行なっていく。50年後、取り調べの録音テープとともにすべての証拠が入った箱が発見される。そして、Babak Hafiziと彼の仲間がなぜ逮捕されたのかが明らかになる。
 [3大映画祭との関わり]
 3大映画祭コンペティション部門出品は初めて。
 2012年“Paziraie sadeh(Modest Reception)”:ベルリン国際映画祭 フォーラム部門出品。NETPAC賞受賞。

画像

 ・“A Lullaby to the Sorrowful Mystery (Hele Sa Hiwagang Hapis)”(フィリピン・シンガポール) 監督:ラヴ・ディアス
 出演:Piolo Pascual、John Lloyd Cruz、ヘイゼル・オレンシオ(Hazel Orencio)、アレッサンドラ・デ・ロッシ(Alessandra De Rossi)、ジョエル・サラチョ(Joel Saracho)
 物語:「フィリピン革命の父」と言われるアンドレス・ボニファシオ(1863年11月30日-1897年5月10日)。ラヴ・ディアスは、様々な物語を紡いで、歴史におけるアンドレス・ボニファシオの役割や政治的社会的発展への寄与について探っていく。異なる反乱勢力の派閥やビジョンを対立させようとしたスペインの支配者たち。ひどいケガをしながら、革命のためには犠牲もやむなしと語るアンドレスの仲間たち。行方不明になったアンドレアスの遺体を探してジャングルに分け入り、自分たちの罪と責任にからめ取られていくアンドレスの未亡人と仲間たち。……
 本作は、ハイ・コントラストのブラック&ホワイトで撮影された。
 [3大映画祭との関わり]
 3大映画祭コンペティション部門出品は初めて。
 2007年“Kagadanan sa banwaan ning mga engkanto”:ベネチア国際映画祭 Orizzonti部門出品。Orizzonti賞スペシャル・メンション受賞。
 2008年“Melancholia”:ベネチア国際映画祭 Orizzonti部門出品。Orizzonti賞受賞。
 2013年『北(ノルテ)―歴史の終わり』:カンヌ国際映画祭 ある視点部門出品。


 ・“Crosscurrent (長江図)”(中) 監督:Yang Chao(楊超)
 出演:チン・ハオ(Qin Hao/秦昊)、シン・ジーレイ(Xin Zhi Lei/辛芷蕾)、ウー・リーポン(Wu Lipeng/鄔立朋)、Wang Hongwei(王宏仏)、チァン・ホワリン(Jiang Hualin/江化霖)、タン・カイ(Tan Kai/譚凱)
 物語:カオ・チュンは、長江の荷揚げ船の若き船長をしている。つい先ごろ、彼の父親が亡くなって、彼は、父の遺志を継いだのだ。彼は、また愛する女性を探していたが、荷揚げ場所で会う女性はなぜかみんな同じ女性で、しかも長江を遡上するごとに彼女は若くなっていった。カオ・チュンは、これまでつきあいのあった人々を訪ねていく。彼らとはもう二度と会うことはない。というのも長江にダムができて、船で遡上できなくなってしまうからだ。彼は、商人のところに忍んでくるという少女の亡霊の話を耳にする。あるところで、彼は寺院に引き寄せられる。読経を聞いた彼は、それが耳から離れなくなる。そして、彼の過去の秘密が明らかになり、彼は自らの罪と贖罪について考え始める……。
 [3大映画祭との関わり]
 2001年“Dai bi(待避)”:カンヌ国際映画祭 シネフォンダシオン部門出品。第3席。
 2004年“Lu cheng(旅程)”:カンヌ国際映画祭 ある視点部門~カメラドール・スペシャル・メンション受賞。
 3大映画祭コンペティション部門出品は初めて。


 ・“Boris without Béatrice (Boris sans Béatrice)”(カナダ) 監督:ドゥニ・コテ
 出演:ジェームズ・ハインドマン(James Hyndman)、シモーヌ・エリーズ・ジラール(Simone-Élise Girard)、ドゥニ・ラヴァン、イゾルダ・ディシャウク(Isolda Dychauk)、Dounia Sichov
 物語:現代。ケベック州のどこか。Boris Malinovskyの人生は、カナダ政府の首相を務める妻が鬱でベッドから出られなくなり、田舎の別荘で療養しなければならなくなった時からおかしくなり始める。そこでBorisは、見知らぬ人から夜中に森の中で会ってほしいという電話をもらう。謎の男は、Borisに、じっくりと考えなければ答えられないような質問をする。それ以降、彼は、自分の人生や自分のまわりがそれまでとは違って見えてくる。
 [3大映画祭との関わり]
 2009年“Carcassess”:カンヌ国際映画祭監督週間に出品。
 2012年『檻の中の楽園』:ベルリン国際映画祭フォーラム部門に出品。
 2013年『ヴィクとフロ、熊に会う』“VicFlo saw a Bear (Vic+Flo ont vu un ours)”:ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品。~アルフレッド・バウアー賞受賞。


 ・“Midnight Special”(米) 監督:ジェフ・ニコルズ
 出演:マイケル・シャノン、Jaeden Lieberher、キルスティン・ダンスト、アダム・ドライヴァー、ジョエル・エドガートン、サム・シャパード
 物語:ロイは、8歳の息子アルトンに特別な能力があることに気づく。アルトンは、保護メガネをかけ、宗教的過激派に関心を持たれ、地元の警察や政府高官の役人にも目をつけられている。
 配給:ワーナー・ブラザース
 [3大映画祭との関わり]
 2011年『テイク・シャルター』:カンヌ国際映画祭 批評家週間~グランプリ、SACD賞、国際批評家連盟賞受賞。
 2012年 『MUD -マッド- Mud』:カンヌ国際映画祭 コンペティション部門出品。


 ・“Zero Days”(米) 監督:アレックス・ギブニー
 米国とイスラエルがイランの核施設を破壊するために開発し、その過程で他国へも流出したとされるコンピュータ・ワーム「スタックスネット(Stuxnet)」の謎に迫ったドキュメンタリー。タイトルのゼロデイ(Zero day)とは、コンピュータに脆弱性を解消する手段がない状態で脅威にさらされる状況をいう。脆弱性が発見されて修正プログラムが提供されるまでの間にその脆弱性を攻略する攻撃は、俗にゼロデイ攻撃などと呼ばれる。
 [3大映画祭との関わり]
 3大映画祭出品は初めて。
 2004年“Lightning In A Bottle”(製作作品):ベルリン アウト・オブ・コンペティション部門


 ・“Hedi (Inhebbek Hedi)”(チュニジア・ベルギー・仏) 監督:Mohamed Ben Attia
 出演:Majd Mastoura、Rym Ben Messaoud、Sabah Bouzouita、Hakim Boumessoudi、Omnia Ben Ghali
 物語:Hediは、規則正しい人生を送っていて、彼のまわりの人間も、彼自身もずっとそれが続いていくと考えていた。彼の花嫁も彼の母親が選び、もうすぐ結婚式というところまで来ていた。ところが、彼は、Rimという名の若いツーリスト・ガイドと出会い、恋に落ちてしまう。
 [3大映画祭との関わり]
 初めて。初監督長編。


 ※特記以外は、ワールド・プレミアです。

 ※審査員:メリル・ストリープ(審査員長)、ラース・アイディンガー(Lars Eidinger/ドイツの俳優)、Nick James(イギリスの映画批評家)、Brigitte Lacombe(フランス人写真家)、クライヴ・オーウェン、アルバ・ロルヴァケル、マウゴジャタ・シュモフスカ(ポーランドの監督)

--------------------------------

 アイルランド、スペイン、スイス、ボスニア ヘルツェゴビナ以外のバルカン諸国、イラン以外の中東、南アジア、フィリピン以外の東南アジア、台湾、香港、韓国、日本、南米、アフリカからの選出は、ありませんでした。

 開催国のドイツは、自国製作作品はわずかに1本で、共同製作作品が3本のエントリー。ベテランやエーズ格の監督、期待の俊英といった監督のエントリーがなくて、時期的にちょっとタイミングが悪かったのかなという気もしないでもありません。
 フランスは、自国製作作品が1本で、共同製作作品が6本。アメリカは、自国製作作品が2本で、共同製作作品が1本、ということになっています。

 エントリー作品を監督のキャリアごとに分けると

 ・初監督作品:マイケル・グランデージ、Mohamed Ben Attia

 ・3大映画祭初参加:Ivo M. Ferreira、Anne Zohra Berrached、Tomasz Wasilewski、アレックス・ギブニー

 ・3大映画祭のコンペティション部門初参加:ミア・ハンセン=ラヴ、ヴァンサン・ペレーズ、マニ・ハギギ、ラヴ・ディアス、Yang Chao(楊超)

 ・3大映画祭上位受賞経験者:アンドレ・テシネ(カンヌ国際映画祭監督賞)、ダニス・タノヴィッチ(審査員グランプリ)、ジャンフランコ・ロージ(金獅子賞)、ドゥニ・コテ(アルフレッド・バウアー賞)

 【受賞予想】

 恒例により、ざっと受賞予想をしておくことにします。

 金熊賞:“Being 17 (Quand on a 17 ans)”、“Alone in Berlin”

 監督賞:アンドレ・テシネ、ダニス・タノヴィッチ、マニ・ハギギ、ラヴ・ディアス、Yang Chao(楊超)、ジェフ・ニコルズ

 男優賞:Miguel Nunes(“Letters from War (Cartas da guerra)”)、チン・ハオ(“Crosscurrent (長江图)”)、Jaeden Lieberher(“Midnight Special”)

 女優賞:エマ・トンプソン(“Death in Sarajevo”)、ユリア・イェンチ(“24 Weeks (24 Wochen)”)

 脚本賞:“Being 17 (Quand on a 17 ans)”、“Death in Sarajevo”、“Crosscurrent (長江図)”、“Boris without Béatrice (Boris sans Béatrice)”

 国際映画祭の流れからいうと、ここらでラヴ・ディアスあたりが金熊賞を獲ってもよさそうですが、作品の内容からして、最高賞受賞という感じでもなさそうです。

 金熊賞は、「これだ」という手ごたえを感じさせる作品もあまりなくて、消極的なチョイスです。“Being 17 (Quand on a 17 ans)”は、アンドレ・テシネの最高傑作の1つ、でもなさそうですが、功労賞的な意味合いも含めて、金熊賞が転がってくる可能性があります。“Alone in Berlin”は、ヴァンサン・ペレーズの演出の手腕次第ですが、何度も映像化されていることがネックとなるかもしれません。

 今回は、ドキュメンタリーが2本あり、アンサンブルものっぽいものもいくつかあるので、男優賞、女優賞は絞られてきます。

 審査員の顔ぶれからして、そして、メリル・ストリープが審査員長であることからして、英語作品は確実に1つは上位受賞ということになるのではないでしょうか。

 審査員の顔ぶれに合わせると、“Fire at Sea (Fuocoammare)”や“United States of Love (Zjednoczone Stany Miłosci)”も入賞しそうですが、さてどうでしょうか。

 *この記事がなかなか貴重だねっ!と思ったら、人気ブログランキングにクリックをお願いします。
↓ ↓ ↓ ↓
 
↑ ↑ ↑ ↑
クリックしてね!

 *当ブログ記事

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2016年1月~5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201601/article_49.html

 追記:
 ・ベルリン国際映画祭2016 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201602/article_36.html

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック