釜山国際映画祭2015 受賞結果!

 第20回釜山国際映画祭(10月1日-10日)の各賞が発表されました。

 ※特定の部門に限定されているわけではない賞もありますが、ここでは便宜的に上映部門ごとに受賞結果を記しています。

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 【ニュー・カレント部門】

 ◆ニュー・カレント賞
 ◎“Immortal”(イラン) 監督:Hadi Mohaghegh
 物語:イブラヒムは、祖父のアヤズとともに暮らしている。アヤズは、親戚の結婚式からの帰りに、運転していたバスのハンドルを切り損ねて、バスを渓谷に落とし、家族を死なせたことに、罪の意識を感じている。自殺しようとする祖父を見て、イブラヒムは、祖父が呪われていると考え、バスの残骸を焼いたり、儀式を行なったりして、悪霊を退散させようとするが、うまくいかない……。

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 ◎“Walnut Tree (Zhangak tal)”(カザフスタン) 監督:Yerlan Nurmukhambetov
 物語:カザフスタンの小さな村。ガビットとアイスルは、互いに愛し合っている。ある日、ガビットは、川辺で絨毯を洗っていたアイスルとともに、彼女の両親に会いに行き、結婚したいと告げる。両親は、最初、ガビットが娘と結婚することを快く思わなかったが、2人が愛し合っていることを知って、結婚を了承し、結婚式のための準備を始める。村人たちも2人の幸せを祝福する。その後、しばらくして2人に赤ちゃんができると、2人は、村中から祝福を受ける。
 ワルシャワ国際映画祭2015 Free Spirit Competition出品。

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 ◆国際批評家連盟賞
 ◎“Immortal”(イラン) 監督:Hadi Mohaghegh

 ◆NETPAC賞
 ◎“Communication & Lies(소통과 거짓말)”(韓) 監督:Lee Seung-won
 物語:白黒、4:3比の画面。冒頭、8分間の長回しがある。まだ主人公の顔は映されない。ある民間研究所の教師が、ひとりの女性に質問を続ける。あなたは、男性教師のひとりと外食して、一緒に寝てるのか? 写真を撮られたというのは本当か? 彼女は「そうだ」と答える。もうひとりの主人公は、男性教師で、彼はダサン・コール・センタに電話して意味のないことを話す。隣の部屋にいる犬がいつも見つめてくるんだとかなんとか。心理的な問題を抱えた2人が会い、何か奇妙なことをする。2人は、世界とコミュニケーションが取れないし、相手ともコミュニケーションが取れない。観客には、奇妙な悲しみを突きつけられる。

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 ◆観客賞/KNN Audience Award
 ◎“Radio Set(Radio Petti)”(インド) 監督:Hari Viswanath
 物語:老人アルナチャラムは、自分の子供たちから相手にされていない。彼は、綿工場で働いていて、ラジオで音楽を聴くのが唯一の楽しみとなっている。そのラジオは父からもらったものだ。ところが、そんな彼の楽しみを知らない息子がラジオを壊してしまう。アルナチャラムの唯一の楽しみが失われる。数年後、アルナチャラムは、再びラジオを聴き始める。しかし、それは彼にしか聞こえないラジオだ。家族は、彼がおかしくなったと考え、医者に診せた方がいいのではないかと考える。彼は、ラジオを聴く楽しみを孫娘に伝えようとするが、うまくいかない。

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 【韓国映画トゥデイ ヴィジョン部門】

 ◆Daemyung Culture Wave Award
 ◎“Overman(초인)”(韓) 監督:Seo Eunyoung
 物語:ドヒョンは、高校生で、体操選手をしている。彼は、ケンカをしたため、罰として、図書館でアシスタントとして、奉仕活動をさせられることになる。そこで、たくさんの本を借りに来た女子学生スヒョンと出会う。ドヒョンは、スヒョンに話しかけ、2人は少しずつ親しくなる。ティンエージャーらしい恋の始まり。ところが、2人はそれぞれ人には言えない問題を抱えていた。ドヒョンの母親は、認知症で、ドヒョンが息子であることもわからず、マネージャーと勘違いしてしまう。一方、スヒョンは、スヨンという本当の名前を隠していた。スヒョンというのは、自殺した彼女の友だちで、スヨンは、スヒョンになりすまして図書館でスヒョンが借りた本を借りて、スヒョンが自殺した理由を探ろうとしていたのだ。やがて2人の前に、ある選択の機会が訪れる……。

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 ◆市民批評家賞(Citizen Critics’Award)
 ◎“ALONE(혼자)”(韓) 監督:Park Hong-min
 物語:スラム街。ビルの屋上にいた男が、ひとりの女性が覆面をした男たちに殺されるのを目撃する。彼は、その様子をこっそり写真に撮るが、男たちにみつかってしまう。慌てて逃げて、自分のスタジオに隠れるが、見つけ出されてしまう。彼は、ハンマーで頭を殴られて、倒れる。意識を取り戻した時、彼は、町中に裸で倒れていた。その後、泣き叫んでいる子供を見つける。ここはいったいどこなのか? そして、この子供は誰なのだろうか?

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 ◆CGV Movie Collage Award
 ◎“Eyelids(눈꺼풀)”(韓) 監督:オ・ミョル
 物語:彌勒島にひとりの老人が暮らしている。彼は、禁欲主義で、自給自足を貫き、まるで修行僧のような暮らしをしている。電話が鳴り、訪問者がやってくる。老人は、彼らのためにおにぎりを用意する。それは、彼らが、次の地へと向かう長い旅の前に口にする最後の食事だ。最初にやってきたのは釣り人で、次がネズミ、最後が教師と2人の生徒だった。
 2013年アジア・プロジェクト・マーケット参加作品。

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 ◆DGK (韓国監督組合)賞
 ◎“Eyelids(눈꺼풀)”(韓) 監督:オ・ミョル

 ◎“The Boys Who Cried Wolf (a.k.a The Shepherd)(양치기들)”(韓) 監督:Kim Jin-hwang
 物語: 舞台俳優のワンジュは、変わったアルバイトをしている。それは、パートタイムのボーイフレンドとも言うべきもので、独身女性を相手にデートをして、恋人役を演じるのだ。ある日、彼の家の近くの路地で殺人事件が起こる。彼は、その事件を関知していなかったが、犠牲者の母親から偽りの証言をしてくれと頼まれる。ワンジュは、それを引き受けるが、その結果、無実の若者が殺人犯としてとらえられてしまう。ワンジュは、自分に偽りの証言をさせようとした人物を捜すが、彼女は彼に語っていたような人物ではなかったのだった……。

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 【フラッシュ・フォワード部門】

 ◆観客賞/Busan Bank Award
 ◎“Highway to Hellas”(独) 監督:Aron Lehmann
 物語:ドイツの銀行家のヨルグは、ギリシャのパラディキ島へ出張をする。それは、銀行にローンと借金を増やしたプロジェクトのチェックをするためだった。彼は、ドイツ人らしく、完璧に仕事をしようとするが、コンビニのオーナーのパロスや市長は、彼の邪魔をし、あまりよくはない現実をカモフラージュしようとする。日々の調査は、島民の申し合わせた妨害によって、無駄になり、ヨルグの出張は長期化する。彼は、人生における優先順位と責任について再び考えざるを得なくなる。
 初監督長編。

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 【韓国短編コンペティション部門】

 ◆Sonje Award 韓国短編コンペティション部門
 ◎“Shame Diary(치욕일기)”(韓) 監督:Lee Eunjeong
 物語:同じ年の貧しいカップルがいる。女性の方は、カメラマンのアシスタントをしているが、ある日、高価なカメラをなくしてしまう。ボーイフレンドは、彼女を救うために新しいカメラを盗み出そうとする。

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 【アジア短編コンペティション部門】

 ◆Sonje Award アジア短編コンペティション部門
 ◎“Nia's Door(妮雅的門)”(台湾) 監督:Lau Kek Huat(廖克發)
 物語:ニアは、フィリピン人で、今は台湾で働いている。彼女は、自分をキープしながら、少しずつ自分と雇い主の距離を縮めようとするが、それはボスの不満を溜めてしまうことになる。

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 【ドキュメンタリー・コンペティション部門】

 ◆BIFF Mecenat Award
 ◎“Boys Run(소년, 달리다)”(韓) 監督:Kang Seokpil
 Sungmisan Hill地区で育った2人の少年ミンスとサンホを追う。Sungmisan Hill地区は、地域の平凡さと特別性を同時に実現しようとした地域だ。そこでは、自然なペースでうろつきまわることが許されているが、それは受験戦争で押しつぶされそうな我々の社会からしてみれば、夢のようなことだ。このドキュメンタリーのもうひとりの主人公は、村人たちだ。彼らは、大人へと続くトンネルをくぐろうとしている少年たちに、笑いかけ、拍手し、忠告を与え、サポートするのだ。

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 ◎『見つめる』“Look Love(对看)”(中) 監督:葉雲(イエ・ユン/Ye Yun)
 父と息子は、湖南省の片田舎の村に暮らし、母と娘は北京で暮らしている。それぞれの家庭は、生活も教育も全く異なる状況に置かれている。2人の子供たちは、ともに中国の時代の変わり目に生まれた。父の家庭は、貧しく、息子を満足に食べさせてやることもできず、小学校もチャリティーで行かせてもらっているが、息子はそれについていくのがやっとだ。一方、娘の方は、母親の野心に応えて高価な私立学校に行かされていて、母の期待に押しつぶされそうになっている。
 山形国際ドキュメンタリー映画祭2015 アジア千波万波部門出品。
 山形版は176分バージョン、釜山版は154分バージョン。

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 ◆BIFF Mecenat Award スペシャル・メンション

 ・“Still and All(그럼에도 불구하고)”(韓) 監督:Kim Youngjo
 釜山の影島大橋は、日本による植民地時代から朝鮮戦争にかけての、歴史の痕跡を色濃く残した場所である。その地域が特別観光ゾーンに指定されたため、橋は47年ぶりに架け替えられることになり、2013年、その下で暮らしていた人々は、引っ越しを余儀なくされる。

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 【ドキュメンタリー・ショーケース】

 ◆Busan Cinephile Award
 ◎“The Other Side”(伊・仏) 監督:Roberto Minervini
 社会の辺境で、無法と違法の間に目には見えない境界線が引かれている。そこでは、政治的機構に忘れ去られ、市民の権利を踏みにじられて、傷ついた人々が生活している。武装解除された退役軍人、無口な青少年、愛によって麻薬中毒から抜け出そうとしている中毒患者、世界のどこかで行われている戦争とまだ戦争中の元特殊部隊の兵士、もがき苦しんでいる未来の母親たち、生きる望みを捨ててはいない老人たち……。今日のアメリカの深淵へとドアが開かれる。
 カンヌ国際映画祭2015 ある視点部門出品。

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 【特別賞・名誉賞】

 ◆アジア・フィルムメーカー・オブ・ザ・イヤー(The Asian Filmmaker of the Year)
 ◎スタジオジブリ

 ◆韓国シネマ賞(Korean Cinema Award)
 ◎Wieland Speck(ベルリン国際映画祭 パノラマ部門キュレーター)

 ※受賞結果は、公式サイトにはアップされないようなので、上記の情報は外部サイトによる発表に基づいています。

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 2015年は、75か国から302本の作品が上映されて、そのうち、125本はワールド・プレミアもしくはインターナショナル・プレミアだったそうです。
 会期中の来場者は、22万7000人で、昨年よりやや増えて、記録の更新となったと伝えられています。

 本当なのかな?(本当にそんなに盛り上がったのかな?)と思ってしまうのは、20周年という記念の年でありながら、そこここで映画祭自体のパワーダウンが感じられてしまっていたからですね。

 アジア映画の窓部門も、ワールド・シネマ部門も、フラッシュ・フォワード部門も、数本ずつではあるけれど、目に見えて上映本数を減らしているし、韓国映画レトロスペクティヴとスペシャル・プログラム・イン・フォーカスという、特集プログラムに今年は全然魅力が感じられなかったし、力を入れて取り組んだようにも見えなかった。20周年記念のスペシャル・プログラムも全く設けられませんでした。
 日本から招待された映画人も例年より格段に少なくなったように見えるし、国外に発信されるメディアの情報も今年は少なかったように思える(映画祭入りした国外のプレスが減った?)。

 ※ 2014年は、79か国から、312本が上映されて、そのうちワールド・プレミアもしくはインターナショナル・プレミアは132本、会期中の来場者は、22万6473人でした。

 ま、現地入りしたわけではないので、実際のところ、どうなっていたのかはわかりませんが、政府による予算カット、台風による影響、表現の自由に関する問題などについて、書いている媒体はありますね。

 予算が削られても、パワーを失わずに、魅力ある映画祭として存在し続けるというのは、難しいし、映画祭や映画賞は、国内の政治や経済の影響から逃れることはできないので、ちょっと心配です。
 来年以降は、どうなるでしょうか。無理してでも、今の上映本数と、プレミア上映を維持しようとするかどうか……。

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 *当ブログ記事

 ・釜山国際映画祭 ラインナップその1:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201510/article_3.html
 ・釜山国際映画祭 ラインナップその2:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201510/article_4.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2015年9月~2016年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201509/article_2.html

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