米国アカデミー賞2015 長編ドキュメンタリー賞エントリー作品 解説!

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 *米国アカデミー賞2015 長編ドキュメンタリー賞エントリー作品 134本 一覧:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201411/article_14.html

 134本の中には、ずっとドキュメンタリーの監督として作品を発表してきた監督の作品もあれば、ジャーナリストが自分の興味や関心を映像で追求した作品や、アーティストによるアート寄りの映像作品、TV畑の方の作品などもあります。

 製作年は、2011年から2014年の作品があります。

 製作国は、「外国作品」もありますが、大半がアメリカ作品です。

 エントリー作品には、過去1年間の(北米の)ドキュメンタリー映画祭や映画祭のドキュメンタリー部門で高い評価を受けた作品が、数多く含まれています。

 その中でも、サンダンス映画祭のUSドキュメンタリー部門にエントリーされた16本の作品のうち、13本がエントリーされ、ワールド・シネマのドキュメンタリー部門にエントリーされた12本からは3本がエントリーされています。

 国際的に見れば、もっとほかにも注目された作品、より高い評価を受けた作品もありましたが、それらはエントリーされませんでした。場合によっては、来年以降にエントリーされる可能性もありますが、この部門は、非英語作品が(ノミネート作品や受賞作に)選ばれることは稀なので、最初から勝ち目のない戦いには参戦しなかったのだ、とも考えられます。(エントリーするのにも、いくつか条件があり、それらを(年内に)クリアする手間と労力を考えて、今回は見送ったという可能性もあります。)

 そんな中、日本からは『僕がジョンと呼ばれるまで』のエントリーがあり、“Elaine Stritch: Shoot Me” という作品にChiemi Karasawaという名前が見えます。Chiemi Karasawaさんは、日本人なのか、日系の方なのかはわかりませんが、これが初監督作品で、これまで18年にわたり、スコセッシやフリアーズ、ジャームッシュ、ラリー・クラーク、スパイク・ジョーンズらの作品に、スクリプト・スーパーバイザーとして参加しているそうです。(“Elaine Stritch: Shoot Me”が米国アカデミー賞にノミネートされるかどうかはわかりませんが、作品自体は悪くなさそうです。)

 米国アカデミー賞は、一度ノミネートされると、次からノミネートされやすくなるという傾向がありますが、今回のエントリー作品の中で、過去に受賞経験のある監督には、フリーダ・リー・モックとロス・カウフマンとアレックス・ギブニーがいて、過去にノミネート経験がある監督としては、セバスチャン・ユンガー(今回2作品エントリー)、ヴィム・ヴェンダース、マーシャル・カリー、ローラ・ポイトラス、ロバート・ケナー、ジョー・バーリンジャーらがいます。
 そのほか、スティーヴ・ジェームズは、ドキュメンタリー部門ではノミネートされたことはありませんが、編集賞にノミネートされたことがあり、チャック・ワークマンは、短編映画賞を受賞したことがあります。

 内容的には、全体的にシリアスなものは多くはなくて、アートやエンタテインメントに関するドキュメンタリーが多いように見えます。(短編ドキュメンタリー賞のショートリストに、不治の病を扱ったものが3本もあったのと対照的、かもしれません。)
 長編ドキュメンタリー賞は、2年連続で、「音楽もの」が受賞していますが、本年度はどうなるでしょうか。

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 【下馬評】

 ◆IndieWire(9月21日現在)

 [トップランナー(The Frontrunners)]
 1.“CitizenFour” (独・米) 監督:ローラ・ポイトラス(Laura Poitras)
 2.“Life Itself” (米) 監督:スティーヴ・ジェームズ

 [予想は難しいが、好位置につけている作品(Good Shots To Join It, Though This Category Is Notoriously Difficult To Predict)]
 3.“Keep On Keepin’ On” (米) 監督:Alan Hicks
 4.“Red Army” (英・ロシア) 監督:ギャビー・ポルスキー(Gabe Polsky)
 5.『アゲンスト8』“The Case against 8”(米) 監督:ベン・コトナー(Ben Cotner)、ライアン・ホワイト(Ryan White)
 6.“Tales of the Grim Sleeper”(米・英) 監督:ニック・ブルームフィールド(Nick Broomfield)
 7.“The Overnighters”(米) 監督:Jesse Moss
 8.“The Salt of the Earth” (ブラジル・伊・仏) 監督:ヴィム・ヴェンダース、Juliano Ribeiro Salgado
 9.“Point and Shoot” (米) 監督:マーシャル・カリー(Marshall Curry)
 10.“Dancing in Jaffa”(米) 監督:Hilla Medalia

 [有望作品(More High Quality Options)]
 11.“Finding Vivian Maier” (米) 監督:John Maloof、Charlie Siskel
 12.“Fed Up”(米) 監督:Stephanie Soechtig
 13.“Merchants of Doubt”(米) 監督:ロバート・ケナー(Robert Kenner)
 14.“Glen Campbell…I’ll Be Me”(米) 監督:ジェームズ・キーチ(James Keach)
 15.『リッチヒル 貧困社会に生きる子どもたち』“Rich Hill”(米) 監督:アンドリュー・ドロス・パレルモ(Andrew Droz Palermo)、Tracy Droz Tragos
 16.『ホドロフスキーのDUNE』“Jodorowsky’s Dune”(米・仏) 監督:フランク・パヴィッチ
 17.“Warsaw Uprising”(ポーランド) 監督:Jan Komasa
 18.“Alive Inside”(米) 監督:Michael Rossato-Bennett
 19.“The Great Invisible” (米) 監督:Margaret Brown
 20.“Elaine Stritch: Shoot Me” (米) 監督:Chiemi Karasawa
 21.“The Green Prince” (独・イスラエル・英) 監督:Nadav Schirman
 ×22.“An Open Secret” エントリーされず。
 23.“Supermensch: The Legend of Shep Gordon”(米) 監督:マイク・マイヤーズ
 24.“The Galapagos Affair: Satan Came to Eden”(米) 監督:Dayna Goldfine、Daniel Geller
 25.“Whitey: United States of America v. James J. Bulger”(米) 監督:ジョー・バーリンジャー(Joe Berlinger)

 ◆Awards Daily
 ・“Life Itself” (米) 監督:スティーヴ・ジェームズ
 ・“Last Days in Vietnam” (米) 監督:Rory Kennedy
 ・“CitizenFour” (独・米) 監督:ローラ・ポイトラス(Laura Poitras)
 ・“Merchants of Doubt”(米) 監督:ロバート・ケナー(Robert Kenner)
 ・“The Overnighters”(米) 監督:Jesse Moss
 דLook of Silence”
 דSeymour”
 ・“Red Army” (英・ロシア) 監督:ギャビー・ポルスキー(Gabe Polsky)
 ・“Captivated The Trials of Pamela Smart”(米・英) 監督:Jeremiah Zagar
 ・“The Salt of the Earth” (ブラジル・伊・仏) 監督:ヴィム・ヴェンダース、Juliano Ribeiro Salgado
 ・“Magician: The Astonishing Life and Work of Orson Welles”(米) 監督:チャック・ワークマン
 ・“Keep On Keepin’ On” (米) 監督:Alan Hicks

 IndieWireは、昨年の同時期の予想で、12本予想していて、そのうちの9本がショートリスト15本に選ばれ、『アクト・オブ・キリング』が本命視されていたこの時期に、受賞作『バックコーラスの歌姫たち』を最上位に置いていたということで、その予想は大いに信頼できるものであることを証明しています。

 長編ドキュメンタリー部門は、作品によって全く性格が異なるので、本命視された作品がノミネーションであっさりと落選するということがあり、ショートリスト→ノミネーション段階の予想は難しくなりますが、ショートリスト入りする作品は大体想定内に収まることが多いので、おそらく今回もほぼ上記に挙げられたような作品に絞られると考えられます。

 注目の作品の1つは、間違いなく“Life Itself”で、アメリカの映画界に大きな影響力を持った映画批評家ロジャー・エバートに関するドキュメンタリーです。いかに偉大だったとはいえ、映画批評家に関するドキュメンタリーが、果たしてドキュメンタリー映画の最高の栄誉を勝ち取ることができるのかどうか。それほど一般性があるのか? 監督のスティーヴ・ジェームズは、米国アカデミー賞のドキュメンタリー賞ではこれまで一度もノミネートもされたことがないので、まずはノミネートされるかどうかで注目されることになります。

 第87回米国アカデミー賞 長編ドキュメンタリー賞ショートリストは、例年通りであれば、今年も12月上旬に発表されるはずです(おそらく今回も15本)。

 なお、134本のうち、何らかの形で、当ブログで取り上げてした作品は、70本ありました。主だった作品は、内容の紹介もしてあるはずで、興味のある作品があったら、右サイドバー内の検索窓を使って、検索してみてください。

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 *当ブログ記事

 ・サンダンス映画祭2014 US部門ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201401/article_61.html
 ・サンダンス映画祭2014 ワールド・シネマ部門 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201401/article_62.html
 ・サンダンス映画祭2014 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201401/article_75.html

 ・SXSW映画祭2014 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201403/article_21.html

 ・トライベッカ映画祭2014 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201404/article_31.html

 ・HotDocsカナディアン国際ドキュメンタリー映画祭2014 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201405/article_4.html

 ・シェフィールド国際ドキュメンタリー映画祭2014 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201406/article_18.html

 ・AFI Docs 2014 ベスト・オブ・フェスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201406/article_26.html

 ・米国アカデミー賞2014 長編ドキュメンタリー賞ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201312/article_8.html
 ・米国アカデミー賞2013 長編ドキュメンタリー賞ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201212/article_9.html
 ・米国アカデミー賞2012 長編ドキュメンタリー賞ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201111/article_18.html
 ・米国アカデミー賞2011 長編ドキュメンタリー賞ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201011/article_29.html
 ・米国アカデミー賞2010 長編ドキュメンタリー賞ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_31.html
 ・米国アカデミー賞2009 長編ドキュメンタリー賞ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200811/article_11.html

 ・米国アカデミー賞2015 短編アニメーション賞 ショートリスト10作品:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201411/article_5.html

 ・米国アカデミー賞2015 長編アニメーション賞 エントリー作品20作品:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201411/article_3.html

 ・米国アカデミー賞2015 短編ドキュメンタリー賞 ショートリスト!:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201410/article_15.html

 ・米国アカデミー賞2015 外国語映画賞 各国代表リスト その1 アフガニスタン~キルギスタン:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201409/article_14.html
 ・米国アカデミー賞2015 外国語映画賞 各国代表リスト その2 グルジア~パナマ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201409/article_15.html
 ・米国アカデミー賞2015 外国語映画賞 各国代表リスト その3 パレスチナ~ロシア:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201409/article_20.html
 ・完全ガイド! 米国アカデミー賞2015 外国語映画賞 各国代表作品!:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201410/article_11.html

 ・学生アカデミー賞2014 各賞発表!:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201406/article_9.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2014年10月~2015年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201410/article_1.html

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