トロント2014 ラインナップ その9 CITY TO CITY部門、WAVELENGTHS部門

 【CITY TO CITY部門】

 今年は、ソウルの特集です。

 ・“A Dream of Iron (Cheol-ae-kum)”(韓・米) 監督:Kelvin Kyung Kun Park [カナダ・プレミア]
 清渓川は、韓国ソウル特別市を流れる小さな川で、漢江に合流する。この川は、8年前までは、フリーウェイからの汚水が流れ込んでいたが、今では、清らかな小川と遊歩道と緑地を持つ、レクリエーション地域になっている。この川の周辺の一部は、日本の占領時代から朝鮮戦争時代には、戦争のスクラップの加工が行なわれ、経済的復興を支えた。近隣地域は、ジェントリフィケーション(高級化)が進んでいる。本作は、アーティストであるKelvin Kyung Kun Parkが、この地域とそこで働く人々を見つめたドキュメンタリーで、エンドレスの悪夢であり、製鉄業に関わった祖父への手紙でもある。彼は、製鉄業に関わる人々(鋳造業者や、切断加工業者、溶接業者など)に視線を向け、鉄がいかに人々を形作るかについて(人々がいかに鉄を加工するかではなく)、辛抱強く観察する。
 ベルリン国際映画祭2014 フォーラム部門出品NETPAC賞受賞。


 ・“A Girl at My Door (Dohee-Ya)”(韓) 監督:July Jung [北米プレミア]
 出演:キム・セロン、ペ・ドゥナ、ソン・セビョク
 物語:婦警のヨンナムが田舎町に左遷されてくる。彼女は、母親から見捨てられ、暴力的な継父ヨンハに痛めつけられている小さな少女ドヒと出会い、彼女を守ってあげようとする。しかし、ヨンナムの秘密を握ったヨンハが彼女を窮地に陥れる。ドヒは、ヨンナムと別れたくなくて、ある危険な選択をする……。
 カンヌ国際映画祭2014 ある視点部門出品。


 ・“A Hard Day (Kkeut-kka-ji-gan-da)”(韓) 監督:キム・スンフン(Kim Seong-hun) [北米プレミア]
 出演:イ・ソンギュン、チョ・ジヌン
 物語:母親の葬式の日。刑事コ・ゴンスは、緊急な連絡を受けて、車で警察署へ向かっている途中に妻から電話を受ける。妻は、いきなり離婚したいと言い出す。仕事でのストレスと相俟って、爆発寸前だった彼は、誤って人をはねてしまう。彼は、母の棺の中に遺体を隠して、事故を隠蔽しようとする。警察では、失踪およびひき逃げ事件に関する捜査が始まる。加害者である彼は、事件を正しい解決に導くわけにはいかない。しかし、事件は謎の人物パク・チャンミンに目撃されていて、ゴンスはチャンミンから脅迫されることになる……。
 カンヌ国際映画祭2014 監督週間出品。


 ・“Alive (Sanda)”(韓) 監督:パク・ジョンボム(Park Jung-bum) [北米プレミア]
 出演:パク・ジョンボム、イ・スンヨン、Park Myung-hoon、Shin Heat-bit
 物語:ジョンチョルは、江原道の山中にある村で働く貧しい肉体労働者である。賃金の不払いが起こって、同僚たちの間に摩擦が生じるが、それをジョンチョルは、なんとかしてなだめようとする。彼には、ピアノのレッスンに通うことのみを楽しみにしているナナという名の姪と、精神的なトラブルを抱えて、病的に闇を怖がる自己破壊的な姉があり、彼らの面倒をみなければならない。彼らはみなよりよい生活を求めている。ジョンチョルは、新しい仕事を見つけるが、過去のトラウマとトラブルが現在に重くのしかかってくる。さらに辛く厳しい冬がやってきて、彼らの生活を脅かす……。
 『ムサン日記~白い犬』のパク・ジョンボムの第2作。全州デジタル・プロジェクト2014.
ロカルノ国際映画祭2014 インターナショナル・コンペティション部門出品。


 ・“Cart (Ka-teu)”(韓) 監督:Boo Ji-Young [ワールド・プレミア]
 出演:ヨム・ジョンア、ムン・ジョンヒ、キム・ヨンエ、キム・ガンウ、ファン・ジョンミン、チョン・ウヒ、D.O.
 物語:スンヒは、2人の子を持つ母親で、ディスカウント・ストアでレジ係をしている。そのディスカウント・ストアには、シングルマザーのヒェミ、管理人のスンリェ、唯一の男性労働組合員のドンジョンらがいる。彼らは、突然解雇を言い渡されて、当惑するが、不当解雇に対して、立ち上がることに決める。


 ・“Confession (Jo-Eun-Chin-Goo-Deul)”(韓) 監督:Lee Do-yun [インターナショナル・プレミア]
 出演:チソン、チュ・ジフン、イ・グァンス
 物語:ヒュンテは、救命士で、正強く、娘がひとりいる。インチュルは、保険外交員だが、ペテン師と見なされている。ミンスは、小さなビジネスをしている。彼ら3人は、学生時代からの友人だが、正しいと信じて行なったことが、犯罪につながり、友情にひびが入る。


 ・“Gyeongju”(韓) 監督:チャン・リュ(Zhang Lu) [北米プレミア]
 出演:パク・ヘイル、シン・ミナ
 物語:チェヒュンは、北京大学で先生をしていて、中国人女性と結婚している。彼は、友人の葬式のために、韓国に帰る。葬式の後、彼は、慶州に向かったが、それは、7年前に友人2人と慶州を訪れた際、ティーショップの壁にあった不愉快な絵を忘れることができなかったからだ。ティーショップは、3年前にオーナーが替わっていて、壁には新しい壁紙が貼られていた。彼は、オーナーのヨンヒに絵について質問するが、彼女は奇妙な質問で返してくる。その後、チェヒュンは、大学時代の友人で、一時はつきあってもいたヨジュンに電話する。彼の感情は、めまぐるしく変化する。
 ロカルノ国際映画祭2014 インターナショナル・コンペティション部門出品。


 ・“Scarlet Innocence”(韓) 監督:イム・ピルソン(Yim Pil-sung) [ワールド・プレミア]
 出演:チョン・ウソン、Esom
 物語:8年前、大学教授ハッキュは、スキャンダルを起こし、小さな町に流れ、そこの文化センターで文学の選任講師を務めることになる。彼は、古い遊園地で働く若い女性ドクイと出会い、恋に落ちる。しかし、大学復帰が決まり、ソウルに帰ることになった時、彼は、ドクイを棄てる。現在、ハッキュは、人気作家になっている。彼の娘チョンは、母が自殺したことで、ハッキュを責める。一方、ハッキュは、病気により失明の危機にあり、ほとんど目が見えなくなっている。隣の部屋には、セジュンがいたが、彼女が、8年前に彼が棄てたドクイであることに、彼は気づいていなかった。
 韓国の古いおとぎ話『沈清伝』をベースにした作品。


 【WAVELENGTHS部門】

 [短編プログラム]

 Wavelengths 1: Open Forms
 ・“Under a ChangingSky”(仏) 監督:Jean-Claude Rousseau
 ・“Poetry for Sale”(オーストリア) 監督:Friedl vom Gröller
 ・“Open Form – Game on an Actress’s Face”(ポーランド) 監督:KwieKulik Group, Poland
 ・“Open Form – Street and Tribune in Front of PKiN”(ポーランド) 監督:KwieKulik Group
 ・“brouillard – passage #14”(カナダ) 監督:Alexandre Larose
 ・“Against Landscape”(米) 監督:Josh Gen Solondz,
 ・“The Dragon is the Frame”(米) 監督:Mary Helena Clark
 ・“Panchrome I, II, III”(米) 監督:T. Marie

 Wavelengths 2: Something in the Atmosphere
 ・“The pimp and his trophies”(オーストリア) 監督:Antoinette Zwirchmayr
 ・“Beep”(韓) 監督:Kim Kyung-man
 ・“The Innocents”(カナダ) 監督:ジャン=ポール・ケリー(Jean-Paul Kelly)
 ・“Red Capriccio”(カナダ) 監督:Blake Williams
 ・“Catalogue”(米) 監督:Dana Berman Duff
 ・“Relief”(米) 監督:Calum Walter
 ・“Under the Atmosphere”(米) 監督:Mike Stolz

 Wavelengths 3: Tales Told
 ・“San Siro”(伊) 監督:Yuri Ancarani
 ・“Twelve Tales Told”(オーストリア) 監督:ヨハン・ルーフ(Johann Lurf)
 ・“Detour de Force”(オーストリア・米) 監督:Rebecca Baron
 ・“Intransit”(タイ) 監督:ジャカワーン・ニンタムロン(Jakrawal Nilthamrong)
 ・“Canopy”(米) 監督:ケン・ジェイコブズ(Ken Jacobs)

 Wavelengths 4: Night Noon
 ・“Orizzonti Orizzonti!”(伊) 監督:Anna Marziano
 ・“Sea of Vapors”(独) 監督:Sylvia Schedelbauer
 ・“Deep Sleep”(マルタ・ギリシャ・仏・パレスチナ) 監督:バスマ・アルシャリーフ(Basma Alsharif)
 ・“The Policeman’s House”(イスラエル・パレスチナ) 監督:Mich’ael Zupraner
 ・“Lunar Almanac”(カナダ・チリ) 監督:Malena Szlam
 ・“Night Noon”(米・メキシコ) 監督:Shambhavi Kaul

 [中編プログラム]

 ・“The Old Man of Belem (O Velho Do Restelo)”(ポルトガル・仏) 監督:マノエル・デ・オリヴェイラ [北米プレミア]
 出演:ディオゴ・ドリア(Diogo Dória)、ルイス・ミゲル・シントラ、リカルド・トレパ(Ricardo Trêpa)、マリオ・バロッソ(Mário Barroso)
 物語:ドン・キホーテ、詩人ルイス・ヴァス・デ・カモンイス(1524頃-1580)、作家Camilo Castelo Branco(1825-1890)、詩人Teixeira de Pascoaes(1877-1952)が、現代都市の真ん中にある永遠なる庭園で一堂に会し、人生について語り合う。
 ベネチア国際映画祭2014 アウト・オブ・コンペティション部門出品。


 ・“The Figures Carved into the Knife by the Sap of the Banana Trees”(米・ポルトガル) 監督:Joana Pimenta [インターナショナル・プレミア]
 光がすばやいスピードで円を描く。その空間の中に、マデイラ諸島とモザンビークの元ポルトガル領との間でやりとりされたポストカードが示される。本作は、植民地記憶に関するイメージとSFとの間を行き来しながら、進行する。
 インディーリスボア/リスボン国際インディペンデント映画祭2014 短編コンペティション部門出品。最優秀短編ポルトガル映画賞受賞。


 ・“Taprobana”(ポルトガル・スリランカ・デンマーク) 監督:Gabriel Abrantes [北米プレミア]
 物語:Taprobanaは、スリランカのことで、16世紀末まで使われていた呼称である。ポルトガルの軍人で詩人のルイス・ヴァス・デ・カモンイス(1524頃-1580)は、ポルトガル王に仕えていたが、国を追われることになり、インドに流された。ここでの経験が、のちに彼の代表作となる『ウズ・ルジアダス』(ポルトガル版『オデュッセイア』とも呼ばれる英雄叙事詩)を生み出す元になったと言われる。本作は、そうしたカモンイスの旅を、イマジネーション豊かに映像化した作品。
 ベルリン国際映画祭2014 短編コンペティション部門出品。ヨーロッパ映画賞2014 短編映画賞 ベルリン代表。


 ・“Journey to the West (Xi You/西遊)”(仏・台湾) 監督:ツァイ・ミンリャン [カナダ・プレミア]
 ツァイ・ミンリャンの“Walker”シリーズの新作。赤い僧衣の男は、マルセイユの、日向と日陰がまだらをなす通りを歩いていて、思いもかけず、随行者(ドニ・ラヴァン)を得る。
 ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭アヴァンギャルド&ジャンル・コンペティション部門2014出品。
 エジンバラ国際映画祭2014ディレクターズ・ショーケース出品。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2014 Imagina部門出品。


 ・“Spectrum Reverse Spectrum”(米) 監督:Margaret Honda [北米プレミア]
 光の彫刻。70mmプリントに、フィルム・スキャナーを使って、正確に測定されたカラーの光線を、投影させる。光は、すみれ色から赤へ、そして黒からすみれ色へと変化する。
 ベルリン国際映画祭2014 フォーラム・エクスパンデッド部門出品。


 [長編プログラム]

 ・“Horse Money (Cavalo Dinheiro)”(ポルトガル) 監督:ペドロ・コスタ [北米プレミア]
 物語:ヴェントゥーラが、病院の廊下を歩いている。彼のベッドサイドには、さまざまな人が、貧困や犯罪や狂気によって台無しになってしまった人生について話しに来る。そのうちのひとりは、カボヴェルデから夫の葬儀のためにリスボンにやってきた中年女性ヴィタリナだ。彼らが、本当に存在しているのか、ゴーストなのかははっきりしない。ヴェントゥーラ自身、自分は19歳で、(カボヴェルデに独立をもたらした)1974年のカーネーション革命を起こしたポルトガル革命軍によって、病院に連れて来られたと医者に語って怪訝な顔をされたりもする。ヴェントゥーラは、過去の亡霊たち(あるいはポルトガルの過去の亡霊たち)が住まう終わりなき夜の世界をさまよっているのかもしれない……。
 『骨』『ヴァンダの部屋』『コロッサル・ユース』という、リスボン北西郊外のフォンタイーニャス地区を舞台とする3部作のフォローアップ作品。
 ロカルノ国際映画祭2014 インターナショナル・コンペティション部門出品。監督賞、Premio FICC/IFFS スペシャル・メンション受賞。


 ・“Letters to Max”(仏) 監督:エリック・ボードレール(Eric Baudelaire) [インターナショナル・プレミア]
 フランスのアーティスト/フィルムメーカーで、足立正生とのコラボレーションでも知られるエリック・ボードレールと、アブハジアの元外務大臣Maxim Gvinjiaとの往復書簡風フィルム・エッセイ。
 2012年夏、エリック・ボードレールは、決して届くはずはないと思いながらも、パリからアブハジアへのメッセージをビンにつめて、パリから海へと流す。10週間後、彼の元に電話で返答が届き(アブハジアでは国際郵便は扱っていない)、そこからMaxim Gvinjiaとのやりとりが始まる。本作は、2人の出会いと友情の記録であり、「ポスト国家」時代における、独立国家の本質に関わる考察でもある。


 ・“La Sapience (La Sapienza)”(仏・伊) 監督:ウジェーヌ・グリーン(Eugène Green) [北米プレミア]
 Alexandre Schmidtは、輝かしいキャリアを持つスイスの建築家だが、50歳にして自分の仕事の意味に疑問を持ち始める。一方、彼の妻のAliénorも、「社会的に恵まれない人々に関する行動のスペシャリスト」(behavioral specialist with the under-privileged)という仕事を持ちながら、同じような悩みを持っていた。しかし、2人の間には、沈黙の壁が存在している。Alexandreは、長らく、バロック期の建築家フランチェスコ・ボッロミーニ(Francesco Borromini)について書いてみたいという気持ちを持っていて、ティチーノからローマを旅することに決め、Aliénorもそれに同行する。ストレーザで2人は、ある兄妹に会う。少年は建築を学びたいと考えていて、少女は奇妙な神経の病を患っていた。Aliénorは、少女の面倒を見ることにし、少年がAlexandreの調査旅行に同行することになった。
 “Toutes les nuits”(2001)でルイ・デリュック賞新人監督賞を受賞し、“Le monde vivant” (2003)でBFIロンドン映画祭 国際批評家連盟賞受賞、“Memories”(2007)でロカルノ国際映画祭審査員特別賞を受賞(ペドロ・コスタ、ファルン・ハロッキとともに受賞)するなど、高い注目を集めている「巴里のアメリカ人」映画作家ウジェーヌ・グリーンの最新作。
 ロカルノ国際映画祭2014 インターナショナル・コンペティション部門出品。


 ・“Episode of the Sea”(オランダ) 監督:Lonnie van Brummelen、Siebren de Haan、the inhabitants of Urk [ワールド・プレミア]
 かつては、島だったところが、陸続きになった漁村。政府は、住民を農業へとシフトさせようとしているが、彼らは頑なに漁業を続けている。ここで暮らす人々は、独特の言葉を話し、国際的な競争やグローバリゼーションに抗して、昔ながらの生活習慣を貫いている。2年間かけて撮影された作品。初期のドキュメンタリー作品を思わせるスタイルが取られている。白黒作品。


 ・“Le beau danger”(独) 監督:René Frölke [北米プレミア]
 著名なルーマニア人作家Norman Maneaの肖像。Norman Maneaは、1936年にブカレストで生まれ、1941年に家族とともに強制収容所に送られた。強制収容所を生き延びた彼は、作家になり、1986年に西側に活動拠点を移し、現在は、ニューヨークで暮らしている。亡命の経験と記憶、異国での暮らし。それらが文学に与えた影響。16ミリ・フィルムとデジタル・フッテージ、モノクロとカラー、サウンド・コラージュとノイズ。明確な説明はなされず、文脈は曖昧なまま、観る者の解釈に委ねられている。
 タイトルは、フーコーの言葉より取られている。
 ベルリン国際映画祭2014 フォーラム部門出品。


 ・“Jauja”(デンマーク・米・アルゼンチン・メキシコ・オランダ・独・仏) 監督:Lisandro Alonso [北米プレミア]
 出演:ヴィゴ・モーテンセン、ギタ・ナービュ(Ghita Nørby)
 物語:1882年、アルゼンチン政府は、現地人を排除して、南部を征服しようとしていた。デンマーク人の将軍グンナールもそれに参加したひとりだったが、娘のインゲボルグが若い兵士とともにいなくなってしまい、彼は娘を追って、パタゴニアの奥深くに入り込む。文明とは隔絶した世界。絶望的な旅を続ける中、彼は、娘が悪名高き山賊ズルアガに捕まったことを知る。
 アルゼンチン版『闇の奥へ』。
 カンヌ国際映画祭2014 ある視点部門出品。国際批評家連盟賞受賞。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2014 アナザー・ビュー部門出品。
 パリ映画祭2014 コンペティション部門出品。


 ・“Maidan (Maïdan)”(ウクライナ・オランダ) 監督:セルゲイ・ロズニタ(Sergei Loznitsa) [北米プレミア]
 2013年11月にウクライナのキエフで起こったビクトル・ヤヌコビッチ大統領に対する市民の抗議運動を追ったドキュメンタリー。タイトルのMaidenは、抗議運動が行なわれたキエフの広場の名前。
 カンヌ国際映画祭2014 特別上映作品。


 ・“From What is Before (Mula sa Kung Ano ang Noon)”(フィリピン) 監督:ラヴ・ディス(Lav Diaz) [北米プレミア]
 物語:1972年。フィリピンの地方都市。森から叫び声が聞こえ、牛は切り刻まれ、家は焼かれ、人が血を流しながら交差点で死んでいるのが発見される。冷酷な軍隊が地方を征圧する。フェルディナンド・E・マルコスが、布告第1081号を発布し、フィリピン全土が戒厳令下に置かれる。本作では、それからの3年間、マルコスが独裁体制を固めていく時期に起こった出来事が、ゆったりとしたペースで、リアルに描かれる(布告に関して当時実際に流された放送や、マルコス夫妻の写真なども使われる)。物語は、農夫のシト、司祭のグイド、帰郷したホラチオら、古い世代の目を通して描かれる。イタングは、生活費を稼ぐために、知的障害を抱える妹ジョスリナに痛みを伴うヒーリング・セッションを行なわせる。シトの助手で、養子のハコブは、両親に会いに行くお金を稼ぐために、悪党に武器を売る。行商人のヘディングは、ブランケットや蚊帳を売ってまわりながら、噂を広める。若きワイン農家のトニーは、愛について語る一方で、ジョスリナを襲う。古い世代にとって、世界は、どんどん生きづらいものになっていく。
 ラヴ・ディアス自身がこれまで築いてきた美学的世界への回帰であり、イギリスとアメリカでの『北(ノルテ)―歴史の終わり』の配給決定が、本作の製作を可能にしたと言われる。「ザ・ハリウッド・リポーター」は、本作を、ラヴ・ディアスの最高傑作(magnum opus)といい、ミヒャエル・ハネケの『白いリボン』に対するラヴ・ディアス流の返答である、とも語っている。白黒。338分。
 ロカルノ国際映画祭2014 インターナショナル・コンペティション部門出品。金豹賞、国際批評家連盟賞、Premio FICC/IFFS(ドン・キホーテ賞)、«Environment is quality of life» Prize受賞。

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 ・“Songs From the North”(米・韓・ポルトガル) 監督:Soon-Mi Yoo [北米プレミア]
 撮影クルーが3回訪れて入手した北朝鮮の、歌やスペクタクル、人気映画、アーカイブ映像などを通して、なぞに包まれたこの国の、自由や愛、愛国心、究極の生活環境を探り、国民の心理や想像力、不確かな未来へとこの国を導こうとしている絶対的な愛という政治理念に迫る。
 ロカルノ国際映画祭2014フィルムメーカーズ・オブ・ザ・プレゼント コンペティション部門出品。第1回作品賞受賞。


 ・『野火』“Fires on the Plain (Nobi)”(日) 監督:塚本晋也 [北米プレミア]

 ・“Heaven Knows What”(米・仏) 監督:Joshua Safdie、Benny Safdie [北米プレミア]
 出演:Arielle Holmes、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(Caleb Landry Jones)、Buddy Duress
 物語:ハーレイ・“ホームレス”・ホームズは、ヘロイン中毒者の生活から抜け出すことができない。デイーラーやジャンキー仲間とはケンカしてばかりだし、恋人のイリヤは、意地悪で、彼女の言うことを聞いてくれない。暴力沙汰は日常茶飯で、悲劇であり、茶番でもある。彼女は、奇妙な美への欲望を持ち、取るに足りない自分を傷つけることに喜びを感じるようになる。
 Safdie兄弟が、見出した女性Arielle Holmesの経験談を基にした作品で、彼らは、女優ではないArielle Holmesを、この映画の主演にスカウトした。
 ベネチア国際映画祭2014 Orizzonti部門出品。


 ・“The Princess of France (La Princesa de Francia)”(アルゼンチン) 監督:Matías Piñeiro [北米プレミア]
 物語:ヴィクトールは、父の死後、メキシコから、アルゼンチンに戻ってきて、ここで活動を再開させる。彼は、前の劇団仲間のために、ラジオ・ドラマ“The Bard's LLL”を企画する。主な登場人物は、彼に忠実なガールフレンドのパウラ、彼の誠意を疑っている恋人のアナ、彼が本当に好きなのは自分だと思っている元カノのナタリア、より深い関係性を築きたいと考えているロレーナ、彼の次の恋人になるかもしれないカルラ、という5人の女性たちだ。
 シェークスピアの『恋の骨折り損』の翻案。
 ロカルノ国際映画祭2014 インターナショナル・コンペティション部門出品。


 ・“A Single Word (Une Simple Parole)”(セネガル・カタール) 監督:Mariama Sylla、 Khady Sylla [ワールド・プレミア]
 セネガルでは、言葉の記録化は進んでいない。言葉は、語り手から語り手を受け継がれ、忘却や語り手の死をも乗り越えていく。言葉の最初の担い手は、グリオ(語り部)で、彼らが世代から世代へと言葉を伝えていく。


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 ・トロント国際映画祭2014 ラインナップ その1 GALA部門、SPECIAL PRESENTATIONS部門 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201407/article_19.html
 ・トロント国際映画祭2014 ラインナップ その2 SPECIAL PRESENTATIONS部門 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201407/article_20.html
 ・トロント国際映画祭2014 ラインナップ その3 TIFF DOCS部門、MASTERS部門:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201407/article_27.html
 ・トロント国際映画祭2014 その4 MIDNIGHT MADNESS部門、VANGUARD部門 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201408/article_1.html
 ・トロント国際映画祭2014 その5 カナダ映画 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201408/article_13.html
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 ・トロント国際映画祭2014 CONTEMPORARY WORLD CINEMA部門 ラインナップ その2:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201408/article_18.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2014年3月~11月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201403/article_4.html

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