菊地凛子主演作が最優秀賞! ナンタケット映画祭2014 受賞結果!

 第19回ナンタケット映画祭(6月25日-30日)の各賞が発表されました。

 【ナンタケット映画祭】

 ナンタケット映画祭(The Nantucket Film Festival)は、映画における脚本の重要性を知らしめ、賛えることを趣旨として、1996年からアメリカのマサチューセッツ州ナンタケットで始められた映画祭です。

 未映像化脚本のコンテストのほか、この半年間にアメリカ国内でお披露目されたような最新の国産インディペンデント作品の脚本を対象とした賞もあり、サンダンス映画祭やSXSW映画祭、トライベッカ映画祭などで上映された主だった国産インディペンデント作品を集めて上映する重要なイベントともなっています。

 2013年は、『Short Term 12』や『フルートベール駅で』、“Life According to Sam”、“Our Nixon”などを受賞作に選んでいます。

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 ◆最優秀脚本賞 長編部門(Showtime Tony Cox Award for Best Screenwriting in a Feature Film)
 ◎Nathan & David Zellner “Kumiko, the Treasure Hunter”

 “Kumiko、the Treasure Hunter”(米) 監督:David Zellner
 出演:菊地凛子
 物語:クミコは、東京の雑然としたアパートで暮らしている。彼女はOLをしていて、毎日、ロボットのようにお茶汲みをしたり、せこい上司のご機嫌取りをしたりしている。プライベートでは、彼女には、夢中になっている1本の映画がある。彼女は、そのVHSを擦り切れるまで何度も観て、流れ者が戦利品を埋めた場所を割り出す。それは、明らかにフィクションの中での出来事だが、彼女は、お宝を探そうとして、冬のミネソタへと向かう。
 “Kid-Thing”のDavid Zellner監督最新作。
 サンダンス映画祭2014 出品。作曲賞受賞。
 ベルリン国際映画祭2014 フォーラム部門出品。
 シドニー映画祭2014 オフィシャル・コンペティション部門出品。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2014 アナザー・ビュー部門出品。

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 ◆最優秀脚本賞 短編部門(Showtime Tony Cox Award for Best Screenwriting in a Short Film)
 ◎Bernardo Britto “Yearbook”

 “Yearbook”(米) 監督:Bernardo Britto
 物語:ひとりの男が、地球が地球外生物によって滅ぼされてしまう前に、人類の歴史をまとめようと奮闘する。
 サンダンス映画祭2014 短編コンペティション部門出品。アニメーション部門 審査員賞受賞。
 SXSW映画祭2014出品。
 フロリダ映画祭2014 最優秀短編アニメーション賞受賞。
 ナッシュヴィル映画祭2014 アニメーション・ショート オナラブル・メンション受賞。
 シドニー映画祭2014出品。

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 ◆観客賞 長編部門(Audience Award for Best Feature)
 ◎Rory Kennedy “Last Days in Vietnam”

 “Last Days in Vietnam”(米) 監督:Rory Kennedy
 ベトナム戦争末期、サイゴン陥落に至るまでの南ベトナムの状況を、アーカイブ映像や写真、インタビューなどにより、再考査したドキュメンタリー。
 1973年にニクソンにより北ベトナムとの和平協定がなされ、アメリカ軍の撤退が進められたが、米軍の職員や外交官、政府関係者の多くは最後まで残っていた。その中には、ベトナムで地元の女性と結婚し、家族を持った者も少なからずいた。1974年にウォーターゲート事件で、ニクソンが辞任すると、北ベトナム軍は攻勢を強め、南ベトナムは、アメリカの支援なしには抵抗できない状況になっていた。フォード大統領は、南ベトナムのアメリカ人や支援者、および、その家族の救済のために、議会に資金援助を求めるが、拒否された。
 100万人もの難民がサイゴンへ押し寄せたのにも拘らず、アメリカ大使グレアム・マーティンは、公式の撤退を拒否し、その結果、多くの米政府関係者は、反逆罪に問われる危険を冒しながら、南ベトナムから非公式に脱出を開始した。
 米軍大佐スチュアート・ヘリングトンやその他の将校は、軍のトラックを使って、難民をサイゴン郊外の米軍航空基地に運んだり、貨物輸送所からフィリピンへと避難させたりした。国務省のジョゼフ・マクブライドは、大使館のヴァンを走らせて、協力者をサイゴン川まで運び、国外に向かう船に乗せた。
 ワシントンは、国務省の職員で、ベトナムの退役軍人であるリチャード・アーミテージを送り、米軍の船が敵の手に渡るのを阻止させ、海軍大佐のKiem Doとともに、非公式に、3万人もの難民を運んだ。
 数週間後、グレアム・マーティン大使は、ようやく全面撤退を命じたが、撤退手段は、ヘリコプターしかなく、75機のヘリコプターが18時間以上ノンストップで飛び続け、大使館に集まった2000人以上のベトナム人を海上へと運んだ。最後から2番目のヘリコプターが大使を運んだ後、大使館には、10数人の大使のガードマンが残されていたが、彼らは、脱出を希望する数百人のベトナム人を押しとどめるしかなかった。
 こうした活動にも拘らず、数万人の米軍への協力者は、脱出するチャンスを与えられず、逮捕されたり、処刑されたりした。
 ケネディー家に関するドキュメンタリー“Ethel”(2012)で注目されたRory Kennedyの最新作。PBSのドキュメンタリー・シリーズ“American Experience”のために制作された1編。
 サンダンス映画祭2014 ドキュメンタリー・プレミア部門出品。
 シェフィールド国際ドキュメンタリー映画祭2014 審査員特別賞ノミネート。

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 ◆観客賞 短編部門(Audience Award for Best Short Film)
 ◎Moon Molson、Eric Fallen “The Bravest, The Boldest”

 “The Bravest, The Boldest”(米) 監督:Moon Molson
 物語:2人の軍人が、ハーレムに住むSayeeda Porterの元に、国外の戦場で任務に就いている彼女の息子に関する報告を届けにやってくる。その報告がどんなものかはわからなかったが、彼女はそれを聞きたくなくて、耳をふさぐ。
 ナンタケット映画祭2013短編脚本コンペティション賞受賞。
 サンダンス映画祭2014 短編コンペティション部門出品。
 クリーヴランド国際映画祭2014出品。
 フロリダ映画祭2014出品。
 ロサンゼルス映画祭2014出品。
 パームスプリングス国際短編映画祭2014出品。

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 ◆最優秀脚本・監督賞(Best Writer/Director presented by Vimeo)
 ◎リチャード・リンクレイター “Boyhood”

 “Boyhood”(米) 監督:リチャード・リンクレイター
 出演:パトリシア・アークエット、イーサン・ホーク、Ellar Coltrane、ローレライ・リンクレイター(Lorelei Linklater)
 物語:2002年、メイソンは6歳。彼には、母オリヴィアと姉のサマンサがいる。両親は離婚していて、父親のメイソン・シニアとは一緒に暮らしていない。両親がなぜ別れたのかははっきりとは描かれない。ただ、うまくいっていなかったらしいことが仄めかされるだけだ。オリヴィアは、家族がもっとよい生活ができるようにと学位を取るために学校に戻り、その中のひとりの教授と結婚する。教授にも2人の子があり、新しい生活が始まるが、アルコールと暴力でたちまち崩壊してしまう。のちに、彼女は、学校を卒業し、教授となり、再々婚する。一方で、メイソン・シニアも再婚し、新しい家庭を持つ。子供たちも大きくなり、サマンサが大学に行くために家を出ることになる……。
 リチャード・リンクレイターが、2002年に始めたプロジェクトで、Ellar Coltraneをメイソン役、パトリシア・アークエットをオリヴィア役、イーサン・ホークをメイソン・シニア役として、Ellar Coltraneの成長を追う形で、 12年かけて制作された作品。実質的な撮影日数は39日間。
 ベルリン国際映画祭2014 コンペティション部門出品。監督賞(銀熊賞)、ドイツ・アートハウス シネマ・ギルド賞(Prize Of The Guild Of German Art House Cinemas)、Berliner Morgenpost Readers’ Jury Award受賞。
 SXSW映画祭2014 Louis Black “Lone Star”Award受賞。
 トランシルヴァニア国際映画祭2014 Unirii Square部門出品。
 シドニー映画祭2014 オフィシャル・コンペティション部門出品。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2014 ホライズンズ部門出品。

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 ◆ドキュメンタリー ストーリーテリング賞(Best Storytelling in a Documentary Feature)
 ◎Robert Greene “Actress”

 “Actress”(米) 監督:Robert Greene
 Brandy Burreは、『The Wire/ザ・ワイヤー』にいくつもの端役で出演していた女優で、妊娠をきっかけに女優をやめ、家庭に入る。絵に描いたようなニューヨーク北部での家庭生活。しかし、彼女は、それだけでは満足できなくなる。シャワーの中でゆっくりしたダンスを踊ったり、ハンガーにかけた洋服を相手にひとり芝居をしたりしていて、ついに、女優として復帰する決心をする。その結果、家庭と仕事の両立という、ありきたりだが、決して容易ではない問題と向き合うことになる。
 トゥルー/ファルス映画祭2014出品。
 サラソータ映画祭2014出品。
 ウィスコンシン映画祭2014出品。
 Hot Docsカナディアン国際ドキュメンタリー映画祭2014出品。
 SFドックフェスト2014出品。

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 ◆エイドリアン・シェリー フィルムメーカー賞(Adrienne Shelley Award for Excellence in Filmmaking)
 ◎Diana Whitten “Vessel”

 “Vessel”(米) 監督:Diana Whitten
 医師レベッカ・ゴンペルツ(Rebecca Gomperts)と彼女の活動に関するドキュメンタリー。彼女は、違法中絶による健康リスクから女性を救うことを目的として、「ウィミン・オン・ウェイヴズ」(Women on Waves)という団体を立ち上げ、法の抜け穴を利用して、「妊娠中絶船」で世界中を旅してまわり、船中で妊娠中絶の手術を行なう、という活動を行なっている。
 SXSW映画祭2014 長編ドキュメンタリー・コンペティション部門出品。政治的勇気賞(Special Jury Recognition for Political Courage)受賞。
 Hot Docs 国際ドキュメンタリー映画祭2014 出品。観客賞第20位。
 シェフィールド国際ドキュメンタリー映画祭2014第1回ピーター・ウィントニック賞受賞。

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 ◆長編脚本コンペティション賞(Showtime Tony Cox Feature Screenplay)
 ◎Clark Carroll “Early Plus Infinity”

 ◆短編脚本コンペティション賞(Showtime Tony Cox Short Screenplay)
 ◎Mimi Jeffries “Open Roads”

 ◆1時間TVドラマ・パイロット版コンペティション賞(Showtime Tony Cox Hour-Long TV Pilot)
 ◎Jamie Mayer “Tomorrowland”

 ◆30分TVドラマ・パイロット版コンペティション賞(Showtime Tony Cox Half-Hour TV Pilot)
 ◎Stuart Feldman “Stiffs”

 ◆短編映画審査員賞 作品賞(Short Film Jury Award for Best Short Film, presented by Fuzzrocket)
 ◎Bernardo Britto “Yearbook”

 ◆ティーン審査員賞(Teen View Jury Award)
 ナンタケットのティーンエージャーたちに、映画祭で上映される短編(今回は30作品)について、鑑賞、分析、議論を通して、批評的映画分析の基本を学んでもらい、その過程で、最も刺激的な議論を呼び起こした作品の監督に、賞を贈る。
 ◎Michael Urie、Michael Levi Harris “The Hyperglot”

 “The Hyperglot”(米) 監督:Michael Urie
 物語:ジェイクは、コミュニケーションは得意だが、女性と話すのは苦手で、失敗ばかりしている。親友の助けを借りて、女性の前で自分を表現することに成功するが、ある一言を言い出すことができない。
 Friars Club Comedy Film Festival 2014 観客賞受賞。
 パームスプリングス国際短編映画祭2014出品。

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 例年の傾向性やこれまでの流れから考えて、上記の受賞作がアメリカのインディペンデント映画の2014年を代表する作品(の一部)を切り取っていることは間違いなく、注目に値する作品が多く並んでいます。

 今年のインディペンデント映画の中では、サンダンスとカンヌで受賞を重ねた“Whiplash”がトップを走っているように思われましたが、ナンタケット映画祭にはエントリーされていませんでした。

 2013年を代表するアメリカ・インディペンデント映画は、『フルートベール駅で』で、全米映画賞レースでは多くの賞を獲得したものの、米国アカデミー賞ではノミネートすら叶いませんでした。
 “Whiplash”は、状況的に『フルートベール駅で』よりさらに厳しいんじゃないかと予想されるわけですが、今回の受賞結果(およびこれまでの作品をめぐる状況)を見ると、2014年の「インディペンデント枠」は、“Whiplash”ではなく、案外“Boyhood”かもしれないと思ったりもしました。リチャード・リンクレイター自身は十分にメジャーな監督ではありますが。

 ドキュメンタリー作品に関しては、受賞を果たしている3作品の中では、“Vessel”が最も有望で、今後、多くの映画賞にノミネートされて、受賞も重ねていくのではないかと思われますが、題材的に考えると、保守的なアカデミー会員には受け入れられにくく、米国アカデミー賞ノミネートまで進むのは難しいかもしれません。

 菊地凛子主演作は……
 シノプシスを読んだだけでは、(現実味を欠いた設定や展開を持つ)バカ映画なんじゃないかという印象を持っていたんですが、受賞を重ねているところを見ると、そんなこともなくて、案外、秀作だったりするのかもしれません。

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 *当ブログ記事

 ・ナンタケット映画祭2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201307/article_6.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2014年3月~11月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201403/article_4.html

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