詳細!ベネチア国際映画祭2014 コンペティション部門 ラインナップ!

 第71回ベネチア国際映画祭(8月27日-9月6日) コンペティション部門のラインナップです。

 ・“Le Dernier Coup de Marteau”(仏) 監督:Alix Delaporte
 ・“Loin des Hommes(Far From Men)”(仏) 監督:David Oelhoffen
 ・“3 Coeurs”(仏・独・ベルギー) 監督:ブノワ・ジャコー
 ・“La Rançon de la Gloire”(仏・ベルギー・スイス) 監督:グザヴィエ・ボーヴォワ
 ・“Pasolini”(仏・ベルギー・伊) 監督:アベル・フェラーラ
 ・“Anime Nere”(伊・仏) 監督:Francesco Munzi
 ・“Hungry Hearts”(伊) 監督:サヴェリオ・コスタンツォ(Saverio Costanzo)
 ・“Il Giovane Favoloso”(伊) 監督:マリオ・マルトーネ
 ・“The Cut”(独・仏・伊・ロシア・カナダ・ポーランド・トルコ) 監督:ファティ・アキン
 ・“The Look of Silence”(デンマーク・フィンランド・インド・ノルウェー・英) 監督:ジョシュア・オッペンハイマー
 ・“A Pigeon Sat on a Branch Reflecting on Existence”(スウェーデン・独・ノルウェー・仏) 監督:ロイ・アンダーソン
 ・“The Postman’s White Nights”(ロシア) 監督:アンドレイ・コンチャロフスキー
 ・“Sivas”(トルコ) 監督:Kaan Müjdeci
 ・“Tales”(イラン) 監督:ラクシャン・バニ=エテマド(Rakhshān Bani-E’temād)
 ・“Red Amnesia (Chuangru Zhe/闖入者)”(中) 監督:ワン・シャオシュアイ
 ・『野火』“Fires on the Plain”(日) 監督:塚本晋也
 ・“99 Homes”(米) 監督:ラミン・バーラニ(Ramin Bahrani)
 ・“Manglehorn”(米) 監督:デイヴィッド・ゴードン・グリーン
 ・“Birdman or The Unexpected Virtue of Ignorance”(米) 監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
 ・“Good Kill”(米) 監督:アンドリュー・ニコル(Andrew Niccol)

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 ・“Le Dernier Coup de Marteau”(仏) 監督:Alix Delaporte
 出演:クロチルド・エスメ、カンデラ・ペニャ(Candela Peña)、グレゴリー・ガドゥボワ(Grégory Gadebois)
 物語:ヴィクトールは、14歳で、南フランスの海辺の町で母ナディアとともに暮らしている。父のことは知らず、父親なんかいらないというふりをしていた。しかし、父サミュエル・ロウィンスキが、オーケストラの指揮者で、近くにあるモンペリエのオペラ座でリハーサルをしているというのを聞くと、行かないではいられなくなる。そこには、マーラーの交響曲第6番を指揮している父がいた。彼は、音楽のことなど全く知らなかったが、そのドアを開けた瞬間に、急に未来に不確かになってしまったように感じた。もう後戻りはできない。彼は、母ナディアと恋人のルナのために、前に進むことに決める。
 【3大映画祭との関わり】
 長編作品をコンペティション部門に出品するのはこれが初めて。(本作が第2監督長編)
 2006年 短編“Comment on freine dans une descente?”:ベネチア国際映画祭~銀獅子賞(最優秀短編賞)
 2010年“Angèle et Tony”:ベネチア国際映画祭(批評家週間)


 ・“Loin des Hommes(Far From Men)”(仏) 監督:David Oelhoffen
 出演:ヴィゴ・モーテンセン、レダ・カティブ(Reda Kateb)
 物語:アルジェリアがまだフランス領だった1954年の冬。谷あいの村で反乱の機運が生じる。殺人事件が起こって、警吏が、容疑者であるモハメッドを捕縛する。警吏は、アトラス山脈の学校までモハメッドを連れてきて、そこに寝泊りしているフランス語教師ダリュにモハメッドを託し、「翌日、町の警察署までこいつを連行してくれ」と頼み、まだ不穏な空気が残る村に戻っていく。孤独なダリュとモハメッド。2人は、そこで一晩、寝食を共にする。ダリュは、食事のためにモハメッドの縄を解いて、いつでも逃げられる状態にする。モハメッドも、逃げようと思えば、逃げられるのを知りながら、逃げようとしない。2人の間に未知の感情が芽生える。翌日、2人はでかけるが、即決裁判を求める騎兵隊や執念深い入植者たちに追われながらも、自由を手に入れるためにともに闘うことを誓う。
 アルベール・カミュの短編「客」の映画化。
 トロント国際映画祭2014 SPECIAL PRESENTATIONS部門出品。
 【3大映画祭との関わり】
 コンペティション部門参加は初めて。
 2004年 短編“Sous le bleu”:ベネチア国際映画祭
 2007年 “Nos retrouvailles”:カンヌ(批評家週間)


 ・“3 Coeurs(Three Hearts)”(仏・独・ベルギー) 監督:ブノワ・ジャコー
 出演:ブノワ・ポールヴールド、シャルロット・ゲンズブール、キアラ・マストロヤンニ、カトリーヌ・ドヌーヴ
 物語:夜の田舎町。マークは、パリに行くつもりだったが、列車を逃してしまう。彼は、たまたま出会ったシルヴィーと、一晩中、通りをうろつき、プライベートに踏み込むことは避けながら、さまざまなことをおしゃべりする。朝がやってきて、マークは始発でパリに向かう。別れ際、彼は、シルヴィーに数日後パリで会おうと約束する。2人はお互いのことをほとんど知らない。マークが、そんな約束をしたことすら忘れてしまったのに対して、シルヴィーは、その約束を果たそうとして、結果的にすれ違ってしまう。マークは、パリでソフィーという女性と出会うが、実は彼女はシルヴィーの妹だった……。
 【3大映画祭との関わり】
 1997年 “Le septième ciel”:ベネチア
 1998年 『肉体の学校』:カンヌ
 1999年 “Pas de scandale”:ベネチア
 2006年 『触れられぬもの』“L'intouchable”:ベネチア
 2012年 『マリー・アントワネットに別れをつげて』:ベルリン
 2013年 “Venice 70: Future Reloaded”でベネチア国際映画祭に参加。


 ・“La Rançon de la Gloire”(仏・ベルギー・スイス) 監督:グザヴィエ・ボーヴォワ
 出演:ブノワ・ポールヴールド、ロシュディー・ゼム、ピーター・コヨーテ、ナディーン・ラバキー、キアラ・マストロヤンニ、オリヴィエ・ラブルダン
 物語:70年代末。レマン湖のほとりの町ヴヴェイ。エディーが刑務所から釈放されて、友人のオスマンが出迎える。オスマンの妻は、病院で検査を受けていて、エディーは、オスマンの家にやっかいになる代わりに、彼らの7歳の娘の面倒をみることになる。エディーとオスマンは、商売を始めたかったが、どちらも資金がない。そんな時、チャーリー・チャップリンが亡くなったというニュースを聞く。エディーは、チャップリンの遺体を盗んで、それを人質代わりにして遺族から金を巻き上げようと考える……。
 チャップリン家の娘役を、チャンプリンの実の孫娘ドロレス・チャップリンが演じる。
 【3大映画祭との関わり】
 1995年 “N'oublie pas que tu vas mourir”:カンヌ~審査員賞
 2000年 『マチューの受難』:ベネチア
 2005年 『若き警官』“Le petit lieutenant”:ベネチア(ベネチア・デイズ)~Label Europa Cinemas
 2010年 『神々と男たち』 カンヌ~グランプリ、エキュメニカル審査員賞


 ・“Pasolini”(仏・ベルギー・伊) 監督:アベル・フェラーラ
 出演:ウィレム・デフォー
 物語:ピエル・パオロ・パゾリーニの最期の日を描く。イタリアの偉大なる詩人にしてフィルムメーカーの彼は、権力と闘うアーティストの象徴であり、彼の書くものはスキャンダルを巻き起こし、彼の作った映画は検閲官から迫害された。彼は、多くの人から愛され、そして多くの人から否定された。1975年11月2日。その日、彼は、愛する母親と過ごし、その後、仲のよい仲間たちと過ごした。それから、彼は、冒険を求め、アルファ・ロメオに乗って、夜の街に出かけていった。翌朝、彼は、ローマ郊外の浜辺で遺体となって発見された……。
 トロント国際映画祭2014 SPECIAL PRESENTATIONS部門出品。
 【3大映画祭との関わり】
 1993年 『ボディ・スナッチャーズ』:カンヌ
 1993年 『スネーク・アイズ』:ベネチア
 1995年 『アディクション』:ベルリン
 1996年 『フューネラル』:ベネチア~OCIC Award
 1997年 『ブラックアウト』:カンヌ(アウト・オブ・コンペティション)
 1998年 『ニューローズ・ホテル』“New Rose Hotel”:ベネチア~Elvira Notari Prize スペシャル・メンション、Filmcritica "Bastone Bianco" Award
 2001年 『クライム・クリスマス ~ニューヨークの白い粉』:カンヌ(ある視点部門)
 2005年 『マリー~もうひとりのマリア~』:ベネチア~審査員特別賞、SIGNIS 賞
 2007年 “Go Go Tales”:カンヌ(アウト・オブ・コンペティション)
 2008年 “Chelsea on the Rocks”:カンヌ(特別上映作品)
 2009年 “Napoli, Napoli, Napoli”:ベネチア(アウト・オブ・コンペティション)
 2011年 『4:44 地球最期の日』:ベネチア


 ・“Anime Nere(Black Souls)”(伊・仏) 監督:Francesco Munzi
 出演:マルコ・レオナルディ(Marco Leonardi)、ペピーノ・マッツォッタ(Peppino Mazzotta)、Fabrizio Ferracane、Anna Ferruzzo,、バルボラ・ボブローヴァ(Barbora Bobulova)、Giuseppe Fumo、Pasquale Romeo
 物語: 3人の兄弟が南米やミラノから故郷であるカラブリア県のアスプロモンティ山塊に帰ってくる。彼らは、凶悪なマフィア組織ンドランゲタには属してはいなかったが、数多くの犯罪活動に巻き込まれていた。彼らの過去が回想される。血と暴力にまみれた悪魔のようなそれは、一家の内から外へ、そしてイタリア全土へと遡った。犯罪者たちは、古くから続く悪弊の犠牲者でもあり、アスプロモンティがその内部から彼らを生み出させていた。
 Gioacchino Criacoの同名小説(三部作の第一部)からの自由な翻案。
 『ゴモラ』や『リアリティー』の脚本を手がけるマルリツィオ・ブラウッチがFrancesco Munziとともに脚本を手がけている。
 Francesco Munziの監督第3作。
 *参考:http://www.smarthousefilms.nl/news/2014/7/1/line-production-for-italian-maffia-film-black-souls-completed
 【3大映画祭との関わり】
 コンペティション部門出品はこれが初めて。
 2004年 “Saimir”:ベネチア(Orizzonti部門)~ルイジ・ディ・ラウエンティス賞スペシャル・メンション
 2008年 “Il resto della notte”:カンヌ(監督週間)


 ・“Hungry Hearts”(伊) 監督:サヴェリオ・コスタンツォ(Saverio Costanzo)
 出演:アダム・ドライバー(Adam Driver)、アルバ・ロルヴァケル、ロバータ・マクスウェル(Roberta Maxwell)
 物語:ミナとジューデは、レストランのレストルームで出会い、真実の恋をし、そして結婚する。彼らは、赤ん坊を待ち望んでいたが、ついに授かる。ところが、スピリチュアル・カウンセラーから、ミナのお腹の中の子は「インディゴ・チャイルド」(新人種)であると宣告される。
 Marco Franzosoの小説“Il bambino indaco”の映画化。
 トロント国際映画祭2014 SPECIAL PRESENTATIONS部門出品。
 【3大映画祭との関わり】
 2007年 “In memoria di me”:ベルリン
 2010年 『素数たちの孤独』:ベネチア~Pasinetti Award(アルバ・ロルヴァケル)


 ・“Il Giovane Favoloso”(伊) 監督:マリオ・マルトーネ
 出演:エリオ・ジェルマーノ、イザベラ・ラゴネーゼ、ミケーレ・リオンディーノ(Michele Riondino)、Edo Natoli、マッシモ・ポポリツィオ(Massimo Popolizio)、アンナ・ムグラリス、パオロ・グラツィオージ(Valerio Binasco)、Paolo Graziosi、Sandro Lombardi、イアイア・フォルテ(Iaia Forte)
 物語:イタリアの詩人で随筆家、哲学者、文献学者のジャコモ・レオパルディ(Giacomo Leopardi:1798-1937)の人生を描く。ジャコモは神童で、冷酷な父の監視と、文学の中で育った。彼にとって、家は牢獄であり、彼は、外の世界に希望を抱いていた。当時、革命の波がヨーロッパ中を席捲していた。彼がレカナーティを飛び出したのは、24歳の時だった。彼は、社交界に飛び込むが、そこは彼の肌に合わなかった。フィレンツェでは、ナポリ出身のボヘミアンAntonio Ranieriと美しきFannyとの間で三角関係を経験する。その後、健康のことも考えて、Antonio Ranieriの住むナポリに移り住むが、ここで彼はコレラに倒れてしまう。
 脚本は、ジャコモ・レオパルディが残した文献や手紙などを基にして書かれた。マリオ・マルトーネ監督は、物語を語りたかったのでもなく、歴史映画をやりたいわけでもなく、調べていくうちに浮かび上がってきた、自由を求めて生きたひとりの人物像、すなわち、現代にも通じる「自由を求める人間の魂」を描きたかったのだという。
 *参考:http://www.filmitalia.org/film.asp?lang=ita&documentID=66901
 【3大映画祭との関わり】
 1992年 “Morte di un matematico napoletano”:ベネチア~審査員特別賞、Kodak-Cinecritica Award
 1994年 “Miracoli, storie per corti”:ベネチア(非コンペ)~FEDIC賞スペシャル・メンション
 1995年 『愛に戸惑って』“L'amore molesto”:カンヌ
 1997年 “I vesuviani”:ベネチア
 2004年 “L'odore del sangue”:カンヌ(監督週間)
 2010年 『われわれは信じていた』“Noi credevamo”:ベネチア
 2011年 短編“La meditazione di Hayez”:ベネチア


 ・“The Cut”(独・仏・伊・ロシア・カナダ・ポーランド・トルコ) 監督:ファティ・アキン
 出演:タハール・ラヒム、George Georgiou、マクラム・フーリ(Makram Khoury)、アキン・ガジ(Akin Gazi)、Lara Heller、Numan Acar、Dustin MacDougall
 物語:Nazareth Manoogianは、生まれ故郷のMardin(トルコ南西部の町)を追放される。その後、彼は、自分の娘たちが生きているらしいと知って、彼らを捜して、世界中を旅する。
 アルメニア人ジェノサイドにまつわる物語。
 『愛より強く』、『そして、私たちは愛に帰る』に続く、「愛と死と悪魔」3部作の最終章。
 カンヌのラインナップに挙げられながら、「個人的な理由」で取り下げられた作品。
 【3大映画祭との関わり】
 2004年 『愛より強く』:ベルリン~金熊賞、国際批評家連盟賞
 2005年 “Crossing the Bridge: The Sound of Istanbul”:カンヌ(アウト・オブ・コンペティション)
 2007年 『そして、私たちは愛に帰る』:カンヌ~脚本賞
 2009年 『ドイツ2009 - 13人の作家による短編』“Deutschland 09 - 13 kurze Filme zur Lage der Nation”:ベルリン(アウト・オブ・コンペティション)
 2009年 『ソウル・キッチン』:ベネチア~審査員特別賞、Young Cinema Award
 2012年 『トラブゾン狂想曲 -小さな村の大きなゴミ騒動 -』“Der Müll im Garten Eden”:カンヌ(特別上映作品)


 ・“The Look of Silence”(デンマーク・フィンランド・インド・ノルウェー・英) 監督:ジョシュア・オッペンハイマー
 『アクト・オブ・キリング』のフォローアップ作品。『アクト・オブ・キリング』撮影の過程で、撮影クルーはある犠牲者の家族と出会う。この一家は、息子を殺されていて、末っ子が兄を殺した男たちに対面しようと考え、カメラがその様子を追う。
 前作に続き、ヴェルナー・ヘルツォークがプロデューサーを務める。
 【3大映画祭との関わり】
 コンペティション部門出品は初めて。
 『アクト・オブ・キリング』をベルリン国際映画祭2013 パノラマ部門出品。エキュメニカル審査員賞、観客賞受賞。


 ・“A Pigeon Sat on a Branch Reflecting on Existence(En duva satt på en gren och funderade på tillvaron)”(スウェーデン・独・ノルウェー・仏) 監督:ロイ・アンダーソン
 物語:冗談グッズ(joke items)を売り歩いて世界を飛び回っている2人のセールスマンがいて、彼らは仕事に疲れている。本作では、彼らを通して、世界の現在、過去、未来を見せる。世界には様々な暮らしや環境があり、人は脆いということが示される。
 タイトルには、ブリューゲルの『雪中の狩人』に描かれている世界を、その中に描かれている鳥の視点で見てみたらどうなるか、想像してみようといった意味合い(「視点の入れ替え」の提案)が込められている。
 『散歩する惑星』、『愛おしき隣人』に続く“living”3部作の最終章。
 【3大映画祭との関わり】
 1970年 『スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー』:ベルリン~Journalists' Special Award、IWG Golden Plaque、UNICRIT Award、Interfilm Award - Recommendation
 1976年 “Giliap”:カンヌ(監督週間)
 2000年 『散歩する惑星』:カンヌ~審査員賞
 2007年 『愛おしき隣人』:カンヌ(ある視点部門)


 ・“The Postman’s White Nights(Белые ночи почтальона Алексея Тряпицына)”(ロシア) 監督:アンドレイ・コンチャロフスキー
 出演:Timur Bondarenko、Irina Ermolova、Aleksey Tryapitsyn
 物語:ロシアの片田舎。ここではボートを使って湖を渡らなければ、メインランドに行くこともできない。村と外界を結びつけるものは郵便配達夫だ。テクノロジーの時代なのに、ここはまるで新石器時代のようだ。政府もなければ、ソーシャル・サービスも、仕事すらない。ここには郵便配達夫が愛した女性がいたが、彼女は町へと去ってしまう。モーターボートのエンジンが盗まれ、彼は手紙を届けられなくなる。彼のノーマル・ライフは破綻し、都会へ行く決心をする。ところが、特にはっきりした理由もなく、まもなく彼は戻ってくる。
 実話に基づく物語。
 *参考:http://trovacinema.repubblica.it/film/the-postmans-white-nights/453489
 【3大映画祭との関わり】
 1966年 『最初の教師』“Pervyy uchitel”:ベネチア
 1979年 『シベリアーダ』:カンヌ~審査員特別賞
 1984年 『マリアの恋人』:ベネチア
 1986年 『暴走機関車』:カンヌ
 1987年 『或る人々』:カンヌ
 1988年 “Istoriya Asi Klyachinoy, kotoraya lyubila, da ne vyshla zamuzh”:ベルリン(アウト・オブ・コンペティション)~国際批評家連盟賞オナラブル・メンション
 1992年 『映写技師は見ていた』:ベルリン
 1994年 “Kurochka Ryaba:カンヌ
 2002年 “Dom durakov”:ベネチア~審査員特別賞、ユニセフ賞
 2007年 『それぞれのシネマ』:カンヌ(特別上映作品)


 ・“Sivas”(トルコ) 監督:Kaan Müjdeci
 物語:アナトリアの荒地。アスランは、11歳。彼の父親は、家族の面倒を見ることができず、母親には生気がなく、兄は無気力だった。学校で「白雪姫」の舞台をやることになる。彼は、王子の役をやりたかったが、その役をつかんだのは、村長の息子のオスマンで、しかもその相手役白雪姫に決まったのは、彼が思いを寄せているAyşeだった。ある日、アスランは、闘犬のSivasを手に入れる。彼は、Sivasを闘わせたくなかったが、Sivasにはパワーがあり、勝負に勝つ。Sivasは日に日に強くなり、無敵にも思えるようになった。しかし、そんなSivasを、アスランに黙って、兄が売ってしまう。
 【3大映画祭との関わり】
 初めて。


 ・“Tales”(イラン) 監督:ラクシャン・バニ=エテマド (Rakhshān Bani -E’temād)
 物語:テヘラン周辺に暮らす人々が直面する社会問題(官僚制、薬の乱用、シングルマザー、売春……)を扱ったドラマ。
 【3大映画祭との関わり】
 初めて。


 ・“Red Amnesia (Chuangru Zhe/闖入者)”(中) 監督:ワン・シャオシュアイ
 出演:Lü Zhong(呂中)、Shi Liu(石榴)、フェン・ヤンチャン(Feng Yuanzheng)、チン・ハイルー(Amanda Qin/秦海璐)、Qin Hao(秦昊)
 物語:老鄧は、元女優だが、いまは引退して、未亡人として静かな生活を送っている。ところが、そんな彼女の元に、突然、謎の無言電話がかかってくるようになる。さらに奇妙な出来事が次々と起こる。彼女は混乱するが、2人の息子はそんな彼女のことを全く理解してくれようとしない。どうやらこれには貴陽で過ごした若き日々の出来事が関わっているらしい。彼女は、一連の謎の出来事の意味を探り、息子たちとの関係を修復するために、貴陽へと向かう。
 トロント国際映画祭2014 SPECIAL PRESENTATIONS部門出品。
 【3大映画祭との関わり】
 2001年 『北京の自転車』:ベルリン~審査員グランプリ
 2003年 “Drifters(ニ弟/Er di)”:カンヌ(ある視点)
 2005年 “Shanghai Dreams(青紅/Qing hong)”:カンヌ~審査員賞
 2008年 『我らが愛にゆれる時』“In Love We Trust (左右/Zuo you)”:ベルリン~脚本賞(銀熊賞)、エキュメニカル審査員賞スペシャル・メンション
 2010年 『重慶ブルース』:カンヌ


 ・『野火』“Fires on the Plain”(日) 監督:塚本晋也
 出演:塚本晋也、リリー・フランキー、中村達也
 物語:大岡昇平 『野火』の再映画化。
 【3大映画祭との関わり】
 2002年 『六月の蛇』:ベネチア(Controcorrente部門)~Kinematrix Film Award、San Marco Special Jury Award
 2004年 『ヴィタール』:ベネチア(特別上映作品)
 2009年 『鉄男 THE BULLET MAN』:ベネチア
 2011年 『KOTOKO』:ベネチア(Orizzonti部門)
 2013年 “Venice 70: Future Reloaded”でベネチア国際映画祭に参加。


 ・“99 Homes”(米) 監督:ラミン・バーラニ(Ramin Bahrani)
 出演:アンドリュー・ガーフィールド、ローラ・ダーン、マイケル・シャノン
 物語:デニス・ナッシュは、誇り高き建設労働者だが、貪欲な不動産ブローカー、リック・カーターによって、家族もろとも家から追い立てられてしまう。彼は、自暴自棄になりながら、リック・カーターの下で働いて、失った家を取り戻そうとする。その仕事は、公民権を失った者に対して抵当権流れ処分を行なうというダーティーなビジネスだった。
 トロント国際映画祭2014 SPECIAL PRESENTATIONS部門出品。
 【3大映画祭との関わり】
 2008年 『グッバイ ソロ』:ベネチア(アウト・オブ・コンペティション)~国際批評家連盟賞
 2012年 『チェイス・ザ・ドリーム』“At Any Price”:ベネチア


 ・“Manglehorn”(米) 監督:デイヴィッド・ゴードン・グリーン
 出演:アル・パチーノ、ホリー・ハンター、クリス・メッシーナ(Chris Messina)、ハーモニー・コリン
 物語:アンジェロ・マンゲルホーンは、小さな町で、錠前屋を営んでいる。彼は、病気のネコを世話し、毎日同じ場所で食事をし、毎週金曜日には銀行の出納係と話をする。彼は、40年前に離婚していたが、今でも彼は別れた妻クララを思い続け、彼女がいつか戻ってきてくれることを夢見て、彼女に手紙を出し続けていた。ある時、彼は恐るべき出来事に直面することになり、彼の暗い過去が明らかになる。
 トロント国際映画祭2014 SPECIAL PRESENTATIONS部門出品。
 【3大映画祭との関わり】
 2013年 『セルフィッシュ・サマー』“Prince Avalanche”:ベルリン~監督賞(銀熊賞)
 2013年 “Joe”:ベネチア~マルチェロ・マストロヤンニ賞/新人賞(タイ・シェリダン)、 CICT-UNESCO Enrico Fulchignoni Award、Christopher D. Smithers Foundation Award


 ・“Birdman or The Unexpected Virtue of Ignorance”(米) 監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
 出演:マイケル・キートン、エマ・ストーン、エドワード・ノートン、ナオミ・ワッツ、アンドレア・ライズボロー、ザック・ガリフィナーキス、エイミー・ライアン
 物語:かつてヒーロー映画に主演して、一世を風靡したRigganも今は落ち目になっている。彼は、自分のエゴに打ち勝ち、家族のトラブルを解決するために、ブロードウェイのステージに立ち、かつての栄光を取り戻そうとする。
 【3大映画祭との関わり】
 2000年 『アモーレス・ペロス』:カンヌ(批評家週間)~グランプリ
 2002年 『11'09''01/セプテンバー11』:ベネチア(アウト・オブ・コンペティション)~ユネスコ賞
 2003年 『21グラム』:ベネチア
 2006年 『BIUTIFUL ビューティフル』:カンヌ~男優賞(ハビエル・バルデム)
 2007年 『それぞれのシネマ』:カンヌ(特別上映作品)


 ・“Good Kill”(米) 監督:アンドリュー・ニコル(Andrew Niccol)
 出演:イーサン・ホーク、ジャニュアリー・ジョーンズ
 物語:ラスベガスを拠点に活躍していた戦闘機のパイロットが、無線操縦のパイロットになり、遠隔操作で、1日12時間、タリバンと戦う。仕事を終えた彼は、郊外の家に帰り、妻や子供たちと残りの12時間を過ごす。ふと彼は、自分の仕事に倫理的な疑問を感じる。自分は、テロリストを殺すよりもさらに増やしているのではないか。自分は終わりなき戦争のために戦っているのではないか。
 『ガタカ』『シモーヌ』『ロード・オブ・ウォー』『TIME/タイム』『ザ・ホスト 美しき侵略者』などで知られるアンドリュー・ニコル監督最新作。
 トロント国際映画祭2014 SPECIAL PRESENTATIONS部門出品。
 【3大映画祭との関わり】
 初めて。


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 【傾向】

 ・イギリス、ポルトガル、スペイン、オランダ、オーストリア、東欧、バルカン諸国、イスラエル、南アジア、東南アジア、台湾、香港、韓国、オセアニア、カナダ、メキシコ、南米、アフリカからは1本も選出されませんでした。

 ・イギリス、ポルトガル(オリヴェイラ)、スペイン(イグレシア)、オーストリア(ザイドル)、イスラエル(ギタイ)、香港(アン・ホイ)、韓国(イム・グォンテク、キム・ギドク)は、アウト・オブ・コンペティションやその他の部門で選出されていますから、場合によっては、上記の作品と入れ替えになっていた可能性もあります。

 ・前回は選ばれなかったロシア、イラン、中国から選出され、カンヌでは選ばれなかったイラン、北欧、中国から選出されているのは、ふさわしい作品があったからというより、選者のバランス感覚のような気もします。その一方で、このところ全く選出されない国や地域もありますが。

 ・開催国であるイタリア作品が多い(共同製作も含めると5本)のはいつも通りですが、今回は、アンバランスなほどフランス映画が多く、共同製作を含めて6本もあります。

 ・アジアがやや多めですが、全体的にはヨーロッパ偏重のセレクションということができるでしょうか。未知の国や地域からは選ばれませんでした。

 ・監督ごとの内訳では、最高賞受賞経験者が、ファティ・アキンの1人しかおらず(例年と比べても極めて少ない)、審査員賞・審査員特別賞どまり(?)の監督が6人います。

 ・3大映画祭初参加の監督が3人(Kaan Müjdeci、ラクシャン・バニ=エテマド、アンドリュー・ニコル)、3大映画祭のコンペティション部門初参加の監督が4人(Alix Delaporte、David Oelhoffen、Francesco Munzi、ジョシュア・オッペンハイマー)います。

 ・初監督作品はありませんでした。

 ・昨年に続き、今回もドキュメンタリー作品が選出されています。

 【予想】

 ◆金獅子賞
 ・“The Cut”
 ・“Sivas”

 ◆監督賞/審査員特別賞/グランプリ
 ・David Oelhoffen
 ・Francesco Munzi
 ・マリオ・マルトーネ
 ・ファティ・アキン
 ・ロイ・アンダーソン
 ・Kaan Müjdeci
 ・ラクシャン・バニ=エテマド
 ・アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ

 ◆男優賞
 ・ヴィゴ・モーテンセン “Loin des Hommes(Far From Men)”
 ・ウィレム・デフォー “Pasolini”
 ・エリオ・ジェルマーノ “Il Giovane Favoloso”
 ・タハール・ラヒム “The Cut”
 ・アル・パチーノ “Manglehorn”
 ・マイケル・キートン “Birdman or The Unexpected Virtue of Ignorance”

 ◆女優賞
 ・Lü Zhong(呂中) “Red Amnesia (Chuangru Zhe/闖入者)”

 ◆脚本賞
 ・“Loin des Hommes(Far From Men)”
 ・“Anime Nere(Black Souls)”
 ・“A Pigeon Sat on a Branch Reflecting on Existence”
 ・“Sivas”
 ・“Tales”
 ・“Birdman or The Unexpected Virtue of Ignorance”

 ※審査員:アレクサンドル・デプラ(審査員長)、ジョアン・チェン、Philip Groning、ジェシカ・ハウスナー、Jhumpa Lahiri(アメリカで活躍するインド人小説家)、サンディー・パウエル、ティム・ロス、エリア・スレイマン、カルロ・ヴェルドーネ

 今回の特徴は、まず男性がメインの映画ばかりであることで、男優賞部門は混戦になります。

 他方、女優賞は、ほぼLü Zhong(呂中)しか候補がいないような状態です。

 トロントのラインナップを見た時から気になっていたのは、“Loin des Hommes(Far From Men)”ですが、果たして演出手腕はいかほどのものなのか。男優賞が混戦でなければ、男優賞あたりに落ち着いたかもしれませんが、今年の男優賞は誰にころんでもおかしくないような状況なので、受賞するとすれば男優賞ではなく、より上位の賞になるかもしれません。とにかく作品の出来次第ですが、何らかの受賞はあるように思います。(主演2人に男優賞を与えるという可能性もあります。)

 “Sivas”は、トルコ版『ケス』にしか見えませんが、緊張感のある作品に仕上がっていれば、上位入賞も狙えるかもしれません。

 ブノワ・ジャコーとグザヴィエ・ボーヴォワの作品は、キャストが重なっていますが、どちらも軽めの作品のようなので、受賞は厳しそうです。

 『野火』は、誰か強く推してくれる人(ティム・ロス?)がいればどうかわかりませんが、他の作品とのバランスから考えると、受賞は厳しいかもしれません。

 イタリア映画の扱いも難しいですが、選択肢はそんなにあるわけではなく、逆に、無冠ということもないように思えます。

 審査員の顔ぶれから考えると、今回の審査員の好みは分かれそうで、しかも審査員長のデプラがリーダーシップを発揮して、みんなの意見をまとめるという感じでもないような気がするので、多数決で決めるというよりは、それぞれが推したい作品を持ち寄って、いずれかの賞に落とし込むような形にするような気がしますね。(多数決であれば、よりシリアスな作品、あるいは、生みの苦しみが想像できるような作品、に決着するのではないでしょうか。)

 金獅子賞候補も限られますが、本命は“The Cut”、大穴は“Sivas”といったところでしょうか。いずれにしても、カンヌに続いて、トルコ映画が栄冠を勝ち取ることになりそうです。

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 *当ブログ記事

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2014年3月~11月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201403/article_4.html

 追記:
 ・ベネチア国際映画祭2014 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201409/article_9.html

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