上海国際映画祭2014 受賞結果!

 第17回上海国際映画祭(6月14日-22日)の各賞が発表になりました。

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 【金爵奨コンペティション】(Jin Jue Award/ Golden Goblet Award)

 ◆作品賞/金爵奨最佳影片
 ◎“Mikra Anglia(Little England)”(ギリシャ) 監督:Pantelis Voulgaris

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 ◆審査員賞/評委会大奨
 ◎“The Uncle Victory(勝利)”(中) 監督:チャン・メン(張猛/Zhang Meng)

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 ◆監督賞/金爵奨最佳導演
 ◎Pantelis Voulgaris “Mikra Anglia(Little England)”(ギリシャ)

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 ◆男優賞/金爵奨最佳男演員
 ◎ヴィタヤ・パンスリンガム “The Last Executioner”(タイ)(監督:トム・ウォラー(Tom Waller))

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 ◆女優賞/金爵奨最佳女演員
 ◎Penelope Tsilika “Mikra Anglia(Little England)”(ギリシャ)

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 ◆脚本賞/金爵奨最佳編劇
 ◎フォルカー・シュレンドルフ、Cyril Gely “Diplomatie”(仏・独)(監督:フォルカー・シュレンドルフ)

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 ◆撮影賞/金爵奨最佳撮影
 ◎Luo Pan(羅攀) “The Sacred Arrow(五彩神箭)”(中)(監督:ペマ・ツェデン(Pema Tseden))

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 ◆芸術貢献賞/金爵奨芸術貢献奨
 ◎Gregg Alexander(音楽) “Begin Again”(米)(監督:ジョン・カーニー)

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 【亜州新人奨コンペティション】(Asian New Talent Award)

 ◆最優秀作品賞
 ◎“I’m Not Angry!”(イラン) 監督:Reza Dormishian

 ◆監督賞
 ◎Reza Dormishian “I’m Not Angry!”(イラン)

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 ◆審査員賞
 ◎“10 Minutes”(韓) 監督:Yong-seung Lee

 ◆ヴィンセント・ウォード賞
 ニュージランドのカンタベリー大学をスポンサーとし、今回、審査員を務めたヴィンセント・ウォードの名前で贈られた特別賞。
 ◎Reza Dormishian “I’m Not Angry!”(イラン)
 ◎Indranil Roychowdhury “Phoring”(インド)

 【特別賞・名誉賞】

 ◆貢献賞(Outstanding Contribution Award/傑出貢献奨)
 ◎ニコール・キッドマン

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 ◆中国映画への貢献賞(The Award for CONTRIBUTION to Chinese Cinema/華語電影傑出貢献奨)
 ◎チアン・ウェン

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 ノミネーションの記事のところで書いた通り、イランのファジル国際映画祭で問題となり、監督がコンペティション部門から作品を取り下げる事態にまで至った“I’m Not Angry!”がどういう評価を受けるか注目されていたわけですが、結果は、作品賞と監督賞と特別賞を受賞して3冠となり、亜州新人奨コンペティションを制する形になりました。

 審査員が、ファジル国際映画祭での騒動を知っていたのかどうかはわかりませんが(当然耳に入ってきたとは思いますが)、結果的にファジル国際映画祭での“I’m Not Angry!”への対応を否定し、Reza Dormishian監督を讃えることになりました。
 自由を愛する映画人であるなら、騒動を知っていれば、何らかの形で監督に報いてあげたいと考えるんじゃないかと思いますが、予想以上の結果でした。

 ほかの国ならともかく、映画人の自由に制約を加えている中国の映画祭で、こういう受賞結果を出すのは、逆説的というか、ちょっとした皮肉のようにも思いますね。まあ、中国としては、しょせんよその国のこと、ということなのかもしれませんが。

 その一方で、今回の上海国際映画祭では、もう1つ、騒ぎがありました。

 それは、金爵奨コンペティションに出品されていた“The Uncle Victory(勝利)”の主演男優、黄海波(ホアン・ハイボー)が、5月に買春で逮捕されていた、ということによるものです。俳優の「買春」というのが、中国ではどういう風に受け止められているのかよくわからなかったのですが、続報によると、黄海波(ホアン・ハイボー)は刑務所に15日間入れられた後、6ヶ月間の再教育を命じられるという、思いのほか重い処罰となりました。

 これが、原因となったのか、“The Uncle Victory(勝利)”はコンペティション部門から取り下げはされなかったものの、審査員向けの上映のみで、一般の観客向けの上映はすべてキャンセルになりました。

 結果的に“The Uncle Victory(勝利)”には、審査員賞が与えられたわけですが、「作品には罪はない」とみなされた、ということになるでしょうか。

 今後、これら2作品が、国外で上映されることがあるのかないのか、少なくとも“I’m Not Angry!”はイランからの公式出品作にはなり得ないはずですが、どういう運命をたどることになるのか、ちょっと気になりますね。

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 【第11回メディア大奨(電影頻道伝媒大奨)】

 メディア大奨(伝媒大奨)は、低予算映画の発展と若い監督や俳優の奨励を旨に、中国中央電視台(Movie Channel of China Central Television)が2004年にスタートさせたもので、上海国際映画祭の中で受賞者が発表されます。

 ・作品賞(最佳影片):“西藏天空(Phurbu & Tenzin/Tibet Skay)”(中) 監督:傅東育(Dongyu Fu)

 “西藏天空(Phurbu & Tenzin/Tibet Skay)”(中) 監督:傅東育(Dongyu Fu)
 物語:1950年代から80年代にかけて、約40年のチベットの歴史を背景にした物語。少年時代に、丹増(Tenzin)と普布(Phurbu)は、友だちだった。しかし、丹増(Tenzin)は貴族の家に生まれ、普布(Phurbu)は丹増(Tenzin)の家の農奴だった。普布(Phurbu)は、ラマ僧になるが、彼の作った歌や彼の祈りは、すべて丹増(Tenzin)のものになる。生まれの違いは、2人の仲を裂き、友情は憎しみに変わる。そして、農奴制が廃止されて、2人の人生も歴史の激動に飲み込まれていく……。
 上海映画批評家協会賞(上海影評人奨)2014 トップ10(十佳影片)。

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 ・監督賞(最佳導演):傅東育(Dongyu Fu) “西藏天空(Phurbu & Tenzin/Tibet Skay)”(中)

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 ・脚本賞(最佳編劇):阿来(A Lai) “西藏天空(Phurbu & Tenzin/Tibet Skay)”(中)

 ・主演男優賞(最佳男主角):李保田(Li Boatian) “The Nightingale(夜鶯)”(中・仏)(監督:フィリップ・ミュイル)

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 “The Nightingale(Ye Ying - Le promeneur d'oiseau)”(2014/仏・中) 監督:フィリップ・ミュイル(Philippe Muyl)
 物語:Zhigen一家は、息子の大学入学のために中国の山間の村から北京に引っ越してきて、20年経つ。だが、今では、Zhigenと息子は、4年間も会話のない状態が続いている。Zhigenは、亡き妻との約束を果たすために、村に帰って、鳥を放してやろうと決める。彼は、その道行きに、孫娘のRenxingを誘う。Renxingは、甘やかされて贅沢に育っていて、森や田園をトレッキングするよりは、iPodの方に親しみを感じている。一方、息子夫婦の方も人生にとって何が大切かを考え始める……。
 『パピヨンの贈りもの』のフィリップ・ミュイル監督最新作。
 釜山国際映画祭2014 アジア映画の窓部門出品。
 ドーヴィル・アジアン映画祭2014 出品。
 シアトル国際映画祭2014出品。
 ズリーン国際映画祭2014子供向け長編映画 インターナショナル・コンペティション部門出品。最優秀作品賞(金のスリッパ賞)受賞。

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 ・主演女優賞(最佳女主角):タオ・ホン(Tao Hong/陶虹) 『見知らぬあなた』“忘了去懂你(Forgetting to Know You)”(中)(監督:チェン・リン)

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 ・助演男優賞(最佳男配角):王紫逸(Zi-yi Wang)  『見知らぬあなた』“忘了去懂你(Forgetting to Know You)”(中)

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 ・助演女優賞(最佳女配角):Sonam Dolgar(索朗卓嘎) “西藏天空(Phurbu & Tenzin/Tibet Skay)”(中)

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 ・新人男優賞(最佳新人男演員):Lawang Lop(拉旺罗布) “西藏天空(Phurbu & Tenzin/Tibet Skay)”(中)

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 ・新人女優賞(最佳新人女演員):Yang Xue(楊雪) “西藏天空(Phurbu & Tenzin/Tibet Skay)”(中)

 ・新人監督賞(最佳新人導演):Xiao Yang(肖央) “老男孩之猛龙过江(The Way of Dragon)”(中)

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 “西藏天空(Phurbu & Tenzin/Tibet Skay)”は、6部門での受賞となり、この賞が創設されてから、最多受賞記録となりました。

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 【The Mobile SIFF】

 この部門は、2011年にスタートした、短編映画を対象としたコンペティション部門で、今回は、2064本の応募があり、その中から15カ国の25作品(フィーチャー:15作品、ドキュメンタリー:5作品、アニメーション:5作品)がコンペティションに選ばれています。
 タイトルにMobileとあり、‘creative mobile videos and Internet micro films’とか‘aims to discover young talented directors on the emerging new digital media channels’とか‘explore new broadcasting media outlets for the films’というような記載はありますが、制作手段や制作方法についてはレギュレーションにも特に記載はなく、30分未満のオリジナル作品であれば、基本的にはどういう作品でもいいようです。(タイトルにあるMobileは、ひょっとすると「携帯電話のカメラ機能で撮影した作品のコンペティション」ということではなくて、「携帯電話で視聴できる映画祭」ということなのかもしれません。)

 ・短編大賞(Grand Short Award):“Full Time”(英) 監督:Mark Gill

 ・最優秀作品賞(Best Feature Film):“Malakim”(ベルギー) 監督:Frederike Migom

 ・最優秀ドキュメンタリー賞(Best Documentary):“Circus Song”(ブラジル) 監督: Thiago B. Mendonça

 ・最優秀アニメーション賞(Best Animation):“Entrance Examination(入学考試)”(中) 監督:Tang Boqing(唐伯卿)、Zeng Xiaolan(曾小蘭)

 ・最優秀監督賞(Best Director):Dan Sachar “Last of You”(イスラエル)

 ・最優秀脚本家賞(Best Scriptwriter):“The Stowaway”(スウェーデン) 監督・脚本:Maria Brendle

 ・審査員特別賞(Special Jury Award):“Bang Bang !”(仏) 監督:Julien Bisaro

 ・マイクロ・ムービー賞(Micro Movie of the Year):“Pork & Luna(猪肉与月亮)”(中) 監督:Xiaoyu Du(杜暁雨)

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 *当ブログ記事

 ・上海国際映画祭2014 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201406/article_5.html
 ・上海国際映画祭2013 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201306/article_7.html
 ・上海国際映画祭2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201306/article_23.html
 ・上海国際映画祭2012 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201207/article_10.html
 ・上海国際映画祭2010 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201006/article_12.html
 ・上海国際映画祭2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201006/article_22.html
 ・上海国際映画祭2009 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200906/article_14.html
 ・上海国際映画祭2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200906/article_20.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2014年3月~11月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201403/article_4.html

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