シドニー映画祭2014 受賞結果!

 第61回シドニー映画祭(6月4日-15日)の各賞が発表されました。

 【シドニー映画祭】

 シドニー映画祭は、1947年からスタートしたエジンバラ国際映画祭に参加した映画人たちによって1954年から始められた映画祭で、初期は小じんまりした規模で、1967年までは、シドニー大学を会場として開催されていました。

 この映画祭は、オーストラリアで開催される映画祭としては、おそらく、約1ヶ月後に開催されるメルボルン国際映画祭を相当に意識していると思われ、
 ・歴史的には、メルボルン国際映画祭の方が2年先輩
 ・上映作品数では、メルボルン国際映画祭が約400本なのに対し、シドニー映画祭は約200本
 ・シドニー映画祭は、メルボルン国際映画祭より1ヶ月早く開催されるため、必然的にプレミア作品が多くなる
 ・シドニー映画祭は、オーストラリアで、唯一、国際映画製作者連盟(FIAPF)公認の映画祭で、「New Directions in Films」でコンペティティヴ・スペシャライズド長編映画祭として認定されている
 という風に特徴を出して(差別化を図って)きています。

 2014年を例にとると、シドニー映画祭では、12日間で、47カ国から出品された183本の作品が上映され、そのうち、ワールド・プレミアが15本、インターナショナル・プレミアが6本、オーストラリア・プレミアが122本ありました。(公式発表より)

 シドニー映画祭は、カンヌ国際映画祭でプレミア上映になった作品がいちはやく上映される映画祭でもあります。

 この映画祭で設けられている賞はごくわずかですが、過去には以下のような作品にグランプリ(シドニー映画賞)を贈っています。

 2008年 『ハンガー』(英) 監督:スティーヴ・マックイーン
 2009年 『ブロンソン』“Bronson”(英) 監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
 2010年 『胸騒ぎの恋人』(カナダ) 監督:グザヴィエ・ドラン
 2011年 『別離』(イラン) 監督:アスガー・ファルハディ
 2012年 “Alps”(ギリシャ) 監督:ヨルゴス・ランティモス
 2013年 『オンリー・ゴッド』(仏・デンマーク) 監督:ニコラス・ウィンディング・レフン

 いずれもワールド・プレミアではありませんが、受賞結果には、新しい才能を見出そうという姿勢が感じられます。

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 【オフィシャル・コンペティション】

 ・“20,000 Days on Earth”(英) 監督:Iain Forsyth、Jane Pollard
 ・“Locke”(英) 監督:スティーヴン・ナイト
 ・“The Kidnapping of Michel Houellebecq”(仏) 監督:ギョーム・ニクルー(Guillaume Nicloux)
 ・“Two Days, One Night(Deux Jours, Une Nuit)”(仏・ベルギー) 監督:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
 ・“Fish & Cat”(イラン) 監督:Shahram Mokri
 ・“Black Coal, Thin Ice(白日焰火)”(中・香港) 監督:ディアオ・イーナン(Diao Yinan/刁亦男)
 ・『スノーピアサー』(韓) 監督:ポン・ジュノ
 ・“Fell”(オーストラリア) 監督:カシミール・バージェス(Kasimir Burgess) [ワールド・プレミア]
 ・“The Rover”(オーストラリア) 監督:デイヴィッド・ミショッド
 ・“Ruin”(オーストラリア) 監督:Amiel Courtin-Wilson、Michael Cody
 ・“Boyhood”(米) 監督:リチャード・リンクレイター
 ・“Kumiko, the Treasure Hunter”(米) 監督:David Zellner

 ◆シドニー映画賞(The Sydney Film Prize)
 ◎“Two Days, One Night (Deux Jours, Une Nuit)”(仏・ベルギー) 監督:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
 出演:マリオン・コティヤール、ファブリツィオ・ロンギオーヌ(Fabrizio Rongione)、オリヴィエ・グルメ、カトリーヌ・サレ(Catherine Salée)、クリステル・コルニル(Christelle Cornil)
 物語:サンドラは、ソーラーパネルの工場で働いている。彼女の雇用主は、彼女に、同僚たちにボーナスを諦めるよう説得できなければ、レイオフだと宣告される。従業員による最初の投票は、彼女に好ましいものではなかった。従業員たちは、週明けにもう一度投票をすることを約束する。週末。サンドラは、夫の助けを借りて、従業員たちの家を一軒一軒まわり、彼女が職を失わないで済むように、すなわち、彼女のためにボーナスを犠牲にしてくれるように説得してまわる。
 カンヌ国際映画祭2014 コンペティション部門出品。
 モスクワ国際映画祭2014 81/2部門出品。


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 【ドキュメンタリー部門】

 ◆オーストラリア・ドキュメンタリー賞(The inaugural Documentary Australia Foundation Award for Australian Documentary)
 ◎“35 Letters”(オーストラリア) 監督:Janine Hosking [ワールド・プレミア]
 ミシェル・フラワーズは、35歳の誕生日に、妹のアンジェリークから手紙の束をもらう。アンジェリークは、10代半ばから重い病気にかかっていたが、それにも拘らず、彼女の手紙は、チャーミングでウィットに富み、彼女が自然やアートや文学が大好きで、ユニークで陽気な性格がよく現れていた。それから1年経ち、アンジェリークの病いは、最終段階にあった。彼女は、死ぬまでの間、ホスピスではなく、もっと自分らしく平和に過ごせる場所を探していた。

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 ◆スペシャル・メンション
 ◎“Tender”(オーストラリア) 監督:Lynette Wallworth
 葬儀は、感情面だけでなく、経済面でも大きな負担になる。オーストラリアのポートケンブラ・コミュニティー・センターでは、非営利で葬儀ビジネスを行なうことを検討する。ともすれば、シビアでドライになりがちな事柄だが、彼らは、ユーモアで武装して、直面するタブーと向き合い、官僚主義を乗り越え、暴利に泣かされることなく、死の悲しみそれ自体をしっかりと受け止められるようにしようとする。
 アデレード映画祭2013出品。

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 【短編映画部門】(The Dendy Awards for Australian Short Films)

 ◆短編実写映画賞(The Dendy Live Action Short Award)
 ◎“I Want to Dance Better at Parties”(オーストラリア) 監督:Matthew Bate、Gideon Obarzanek
 物語:悲しみに暮れる男性が、人とのコンタクトを求めて、若いインストラクターのダンス教室に通う。

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 ◆短編アニメーション賞(The Yoram Gross Animation Award)
 ◎“Phantom Limb”(オーストラリア・英) 監督:Alex Grigg
 物語:若い夫婦が事故に遭う。その後、彼らは、幻の痛み(phantom pain)を経験する。

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 ◆ルーベン・マームリアン賞/監督賞(The Rouben Mamoulian Award for Best Director)
 ◎Eddy Bell “Grey Bull”(オーストラリア)
 物語:スーダン南部からの難民が、1頭の牛とめぐり合い、神の化身であると思い込む。彼は、その牛を、自分の働く生肉工場から救い、家に連れ帰るが、家族を危険にさらすことになる。
 Lionel Gell Foundation Scholarshipにより制作された作品。

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 【短編脚本賞】

 ◆The Event Cinema Australian Short Screenplay Award
 ◎“Welcome to Iron Knob” 監督・脚本:Dave Wade

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 ◆スペシャル・メンション
 ◎Matt Durrant “Pocket Money”

 【観客賞】 6月18日発表

 ◆ナラティヴ部門(The Foxtel Movies Audience Award for best narrative feature)
 ◎“Winter Sleep (Kis Uykusu/Sommeil D'hiver)”(トルコ・仏・独) 監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
 出演:ハルク・ビルギナー(Haluk Bilginer)、デメット・アクバッグ(Demet Akbag)、Melisa Sözen
 物語:元俳優のAydinは、カッパドキアで、若い妻Nihalとともに、小さな洞窟ホテルを経営している。妻との関係はうまくいっておらず、また、最近離婚した姉のNeclaは、離婚の後遺症に苦しんでいて、ちょっとしたことでAydinともめる。彼は、ホテルのほかに、周辺の村で、いくつかのビジネスを営んでいるが、これもあまりしっくりいっていない。冬が来て、雪が舞い、滞在客がいなくなる。押さえつけられていた鬱積が、ホテルとその周辺を覆い始める。
 カンヌ国際映画祭2014 パルムドール、国際批評家連盟賞受賞。
 モスクワ国際映画祭2014 特別上映作品。


 ◆ドキュメンタリー部門(The Foxtel Movies Audience Award for best documentary)
 ◎“Love Marriage in Kabul”(オーストラリア) 監督:Amin Palangi. [ワールド・プレミア]
 物語:Mahboba Rawiは、カブールに孤児院を持っていて、シドニーとカブールを行ったり来たりして過ごしている。Abdulは、彼女が助けた最初の子供たちのひとりで、彼には結婚したいと思う相手があり、Mahbobaも、普通の母親のように、彼の結婚を手助けしたいと考えていた。しかし、相手の父親は、男やもめで、彼に多額の持参金を要求する。AbdulにもMahbobaにもそんな余裕はなかった……。

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 シドニー映画祭はいいですね。

 作品のチョイスもいいし、公式サイトでの作品の紹介文も平易でわかりやすくて、好感が持てます。

 カンヌ国際映画祭で上映された“Two Days, One Night (Deux Jours, Une Nuit)”や“Winter Sleep (Kis Uykusu)”も、ちょっとわからない部分があったんですが、シドニー映画祭の作品紹介を読んで、すっきりしたところがあります。

 そんな中で、1本だけ気になる作品を挙げるなら、ドキュメンタリー部門でスペシャル・メンションを受賞した“Tender”、ということになるでしょうか。
 この作品は、遺族に(あるいは、自分が死んだ後、家族に)負担をかけさせないために、非営利団体が、少ない経済的負担で葬儀を行なえるよう、さまざまな障害を乗り越えていく、といった内容のドキュメンタリーです。
 内容を説明しただけでは伝わりにくいですが、笑って、泣いて、観終わった後で、自分の死や葬儀について考えさせる作品になっているらしく、好意的な評がたくさん出ています。
 これが、オーストラリアの事情に特化したものではなく、国柄に関係なく共感でき、問題を共有できるものであるなら、日本でも岩波ホールあたりで上映できるのではないか、と思ったりしますが、どうでしょうか。
 ちょっと観てみたいですね。

 

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 *当ブログ記事

 ・シドニー映画祭2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201306/article_20.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2014年3月~11月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201403/article_4.html

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