米国アカデミー賞2013 長編ドキュメンタリー賞 ショートリスト15作品発表!

 第86回米国アカデミー賞 長編ドキュメンタリー賞 ショートリスト15作品が発表されました。(12月3日)

 ・『殺人という行為』“Act of Killing”(デンマーク・ノルウェー・英) 監督:ジョシュア・オッペンハイマー
 1965年9月30日、スハルトのクーデター軍がスカルノ政権を倒した時、北スマトラのメダンのAnwar CongoとAdi Zulkadryは、映画チケットのブラックマーケットを預かるならず者から悪名高き殺人部隊のリーダーに昇格する。彼らは、1965年から66年にかけて、「アカ狩り」と称して無実の人々を100万人以上殺害、Anwar自身も約1000人を絞殺した。殺された者の中には華僑もいて、脅しても、金を差し出さない者は容赦なく殺した。彼らは、自分たちの犯した残虐な行為に対して、今日まで一切罪に問われることなく、それどころか、腐敗した政治家たちの支援を得て、力を増し、Anwar自身は、殺人組織を脱した右派の民兵組織Pemuda Pancasilaの設立者として尊敬すらされている。彼らは、「共産主義者たちとの闘い」における、効率的な殺し方を思い出しては、自慢したりするのだ。
 監督のジョシュア・オッペンハイマーは、本作のために、Anwarにアプローチし、彼とその友人たちに、ドラマとして、過去の「殺人」を再現させ、当時の記憶や感情を思い出させようとする。それらのシーンは、彼らの好きなギャング映画や西部劇やミュージカルのスタイルで撮影される。勝利者にとって、これは栄光の出来事を映画的に美しく再現することであり、決して「虐殺」などではないのだ。
 Anwarの友人の何人かは、「殺人」を悪かったことだと認めているが、Pemuda Pancasilaの若きメンバーたちは、今日のパワーの基礎を築いたのは、彼らの恐るべき力なのだから、大虐殺も大いに誇ればいいと語る。
 エロール・モリスとヴェルナー・ヘルツォークがエグゼクティヴ・プロデューサーを務める。
 第2監督長編。
 テルライド映画祭2012出品。
 トロント国際映画祭2012 TIFF DOCS部門出品。
 CPH DOX2012 グランプリ受賞。
 ベルリン国際映画祭2013 パノラマ部門 エキュメニカル審査員賞、観客賞受賞。
 イスタンブール・インディペンデント映画祭2013 批評家賞受賞。
 デンマーク・アカデミー賞2013 最優秀ドキュメンタリー賞受賞。
 SXSW映画祭2013 フェスティバル・フェイバリット
 デンマーク映画批評家協会賞2013特別Bodil賞(Årets Sær-Bodil)受賞。
 香港国際映画祭2013 ドキュメンタリー・コンペティション部門出品。
 ヴァランシエンヌ映画祭2013 ドキュメンタリー部門グランプリ受賞。
 ドキュメンタ・マドリッド2013 審査員グランプリ、観客賞受賞。
 Beldocs ベオグラード国際ドキュメンタリー映画祭2013 グランプリ受賞。
 トランシルヴァニア国際映画祭2013 No Limit部門出品。
 シドニー映画祭2013 オフィシャル・コンペティション部門出品。
 シェフィールド国際ドキュメンタリー映画祭2013 審査員特別賞、観客賞受賞。
 プチョン国際ファンタスティック映画祭2013 ヴィジョン・エクスプレス部門出品。
 サラエボ映画祭2013 キノスコープ部門出品。
 ヘルシンキ国際映画祭2013 最優秀ノルディック・ドキュメンタリー賞受賞。
 山形国際ドキュメンタリー映画祭2013 インターナショナル・コンペティション部門出品。優秀賞受賞。
 ゴッサム・アワード2013 ドキュメンタリー賞受賞。
 IDAアワード2013 長編部門ノミネート。
 ヨーロッパ映画賞2013 ドキュメンタリー賞ノミネート。
 アジア太平洋スクリーン・アワード2013 ドキュメンタリー賞ノミネート。
 インディペンデント・スピリット・アワード2014 ドキュメンタリー賞ノミネート。


 ・“Pussy Riot: A Punk Prayer”(ロシア・英) 監督:Mike Lerner、Maxim Pozdorovkin
 モスクワのロシア正教会の大聖堂で、ロシアの女性パンクバンド、プッシー・ライオットが、反プーチンのパフォーマンスをしてつかまり、7年の刑を宣告される。それに対し、マドンナなど、世界中の有名なミュージシャンたちが、彼女たちを支持する声明を発表し、不当な逮捕・投獄に対し抗議を行なっている。
 “Afghan Star”(2009)、“Hell and Back Again”(2011)などを手がけるプロデューサーMike Lernerの初監督作品。
 サンダンス映画祭2013 審査員特別賞受賞
 エルサレム映画祭2013 スピリット・オブ・フリーダム部門出品。
 モトヴン映画祭2013 出品。
 サラエボ映画祭2013 ラーシュコ・サマー・ナイト部門出品。
 ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワード2013 ドキュメンタリー賞ノミネート。


 ・『物語る私たち』“Stories We Tell”(カナダ) 監督:サラ・ポーリー
 物語:サラ・ポーリーは、芸能一家の、5人兄弟の末っ子に生まれた。父親はイギリス出身の俳優で、母親はキャスティング・エージェントをしている。サラ自身も4歳で女優デビューし、8歳で主演した。そんな彼女が、第三監督長編の題材として選んだのは、自分の家族で、自ら家族にカメラを向け、現在から過去に関わる問いかけをし、自分でも知らなかった家族の秘密や矛盾を明らかにしようとする。
 ベネチア国際映画祭2012 ベネチア・デイズ出品。
 トロント国際映画祭2012 SPECIAL PRESENTATIONS部門出品。
 トロント映画批評家協会賞2012 ドキュメンタリー賞受賞。
 バンクーバー映画批評家協会賞2013 カナダ映画部門 作品賞、監督賞、ドキュメンタリー賞ノミネート。
 カナダ・スクリーン・アワード2013 長編ドキュメンタリー賞受賞。
 シドニー映画祭2013 オフィシャル・コンペティション部門出品。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2013 ドキュメンタリー部門 アウト・オブ・コンペティション部門出品。
 山形国際ドキュメンタリー映画祭2013 インターナショナル・コンペティション部門出品。
 IDAアワード2013 長編部門ノミネート。
 ニューヨーク映画批評家協会賞2013 ドキュメンタリー賞受賞。


 ・“The Armstrong Lie”(米) 監督:アレックス・ギブニー
 サイクリストのランス・アームストロングは、ツール・ド・フランスで7連覇を果たすが、2012年に、ドーピング疑惑で、1998年以降の全タイトルを剥奪され、トライアスロンを含むすべての自転車競技から永久追放される。2009年以来、彼の再起をかけたドキュメンタリーを撮影することになっていたアレックス・ギブニーは、事件の前後を含めて、4年にわたって、彼を追い、彼の人生とキャリアを振り返る。
 ベネチア国際映画祭2013 特別上映作品。
 トロント国際映画祭2013 SPECIAL PRESENTATIONS部門出品。
 BFIロンドン映画祭2013 ドキュメンタリー・コンペティション部門出品。


 ・“Blackfish”(米) 監督:Gabriela Cowperthwaite
 アメリカのシーワールドでは、女性調教師など3人の人を死なせたシャチのティリクム(Tilikum)を、小さなコンクリートの水槽に入れて、隔離している。本作では、このような知的で感受性に優れた生き物を閉じ込めたことがもたらした恐るべき結果を提示する。
 TVシリーズなどを手がけるプロデューサーGabriela Cowperthwaiteの監督第2作。
 サンダンス映画祭2013出品。
 ナンタケット映画祭2013 スポットライト作品。
 シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭2013 ニュー・ヴィジョンズ ノン・フィクション部門出品。
 IDAアワード2013 長編部門ノミネート。


 ・“The Crash Reel”(米) 監督:ルーシー・ウォーカー
 20年にもおよぶフッテージを利用して構成されたスノーボーダーのドキュメンタリー。ケヴィン・ピアス(Kevin Peace)は、スノーボードのチャンピオンで、2010年のバンクーバー・オリンピックでの金メダルを狙っていた。ところが、2009年12月31日、練習中に頭を打って、意識不明になってしまう。彼は、家族の助けもあって、頭への打撃による麻痺から立ち直り、愛するスノーボードの世界への復帰を目指す。しかし、おしゃべりで、ダウン症の兄はこう言う。彼は、リスクを恐れぬプロのスポーツマンだが、再び頭を強打した時、取り返しのつかないことにならないと誰が言えるだろうか。
 サンダンス映画祭2013 ドキュメンタリー・プレミア部門出品。
 ベルリン国際映画祭2013 ベルリンナーレ・スペシャル部門出品。
 SXSW映画祭2013 フェスティバル・フェイバリット部門観客賞受賞。
 モスクワ国際映画祭2013 ドキュメンタリー・コンペティション部門出品。
 AFI Docs 2013 ベスト・オブ・フェスト。
 ゴッサム・アワード2013 ドキュメンタリー賞ノミネート。


 ・『キューティー&ボクサー』“Cutie and the Boxer”(米) 監督:ザッカリー・ハインツェリン(Zachary Heinzerling)
 「ボクシング・ペインティング」で知られる篠原有司男と、彼を支えた妻乃り子との、40年におよぶニューヨークでのカオスに満ちた結婚生活の物語。
 ドキュメンタリーのプロデューサーZachary Heinzerlingの初監督作品。
 サンダンス映画祭2013 監督賞受賞。
 サンフランシスコ国際映画祭2013 ゴールデンゲート長編ドキュメンタリー・コンペティション部門出品。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2013 ドキュメンタリー・コンペティション部門出品。
 ナンタケット映画祭2013 出品。
 サンセバスチャン国際映画祭2013 Zabaltegi部門出品。
 BFIロンドン映画祭2013 ドキュメンタリー・コンペティション部門出品。


 ・“Dirty Wars”(米) 監督:Richard Rowley
 ジャーナリストのJeremy Scahillは、アフガニスタンからイエメン、ソマリアまで、アメリカの秘密の戦争(America’s covert wars)に関する隠れた真実を追究する。取材の対象となったのは、真逆にある2つのグループで、一方は、CIAのエージェントや狙撃手、軍の将軍、特殊部隊のオペレーターなどで、もう一方は、突然の襲撃に遭い、暴力の犠牲になった人々だ。やがて、彼は、決して書類に書かれることもなく、議会で議論されることもない最高機密の精鋭戦闘部隊、Joint Special Operations Command (JSOC)の存在を明らかにしていく。
 サンダンス映画祭2013 撮影賞受賞。
 レイキャビク国際映画祭2013 Docs部門出品。
 ワルシャワ国際映画祭2013 ドキュメンタリー・コンペティション部門出品。最優秀ドキュメンタリー賞受賞。


 ・“First Cousin Once Removed”(米) 監督:アラン・ベルリナー
 Edwin Honig(1919-2011)は、アメリカの詩人であり、劇作家であり、翻訳家で、教師で、監督アラン・ベルリナーの母親のいとこでもある(彼にとって、ベルリナーは「いとこの子」(First Cousin Once Removed)に当たる)。彼は、たくさんの本を書き、試作は高く評価され、文学作品の翻訳に対してはスペイン王とポルトガルの大統領からナイトの称号を贈られている。本作は、アラン・ベルリナーにとって、よき友人であり、師であり、親戚でもあるEdwin Honigを、5年以上にわたって撮影したドキュメンタリーで、彼がアルツハイマー病を患って、記憶障害と闘った日々の記録でもある。本作には、家族写真やホーム・ムービー、ポエトリー・リーディング、失われた記憶を取り戻すためにベルリナーが用意した映像などがちりばめられているほか、彼の元を訪ねる子供たちや元妻、友人、教え子たちの姿も収められている。
 ニューヨーク映画祭2012出品。
 アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭2012 グランプリ受賞。
 ゴッサム・アワード2013 ドキュメンタリー賞ノミネート。


 ・“God Loves Uganda”(米) 監督:Roger Ross Williams
 アフリカでのキリスト教信者拡大について、その状況をつぶさに調査し、記録したドキュメンタリー。アフリカでは、アメリカのキリスト教右派に根ざした価値観をアフリカに文化に植えつけようと、盛んに福音活動が行なわれている。ウガンダでは、アメリカとウガンダの宗教的指導者が「性的不道徳」について争い、宣教師たちは、ウガンダ人を説いて、キリスト教の掟を教え込もうとしている。
 TVシリーズなどを手がけるRoger Ross Williamsの初監督長編。
 サンダンス映画祭2013出品。
 サンフランシスコ国際映画祭2013 ゴールデンゲート長編ドキュメンタリー・コンペティション部門出品。
 AFI Docs 2013 ベスト・オブ・フェスト。


 ・“Life According to Sam”(米) 監督:ショーン・ファイン(Sean Fine)、アンドレア・ニックス・ファイン(Andrea Nix Fine)
 早老症は、非常に珍しい病気だが、いまのところ治療法は見つかっていない。サムの両親は医者で、早老症にかかった息子のために、そして世界中のこの病気で苦しむ子供たちのために、休みなく、治療と研究を続けている。
 『ウォー・ダンス/響け僕らの鼓動』で米国アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされたショーン・ファイン&アンドレア・ニックス・ファインの最新作。
 サンダンス映画祭2013出品。
 AFI Docs 2013 ベスト・オブ・フェスト。
 ナンタケット映画祭2013 観客賞受賞。
 米・製作者組合賞(PGA)2014 ドキュメンタリー賞ノミネート。


 ・“Tim’s Vermeer”(米) 監督:Teller
 テキサスの発明家John Jenisonは、写真が発明される150年以上も前に、フェルメールがなぜあれほどまでに写真で写し撮ったかのような絵が描けたのかについて解明しようとする。監督は、Penn & Tellerとして知られる有名なマジシャンTellerで、彼が、夕食の席でJohn Jenisonが「今度、フェルメールを描いてみようと思ってるんだ」と話すのを聞いて、半信半疑ながら、だったら、それをカメラで撮影してみようということになり、本作のプロジェクトがスタートした。撮影は、『スキャナー・ダークリー』などで知られるシェーン・F・ケリー、音楽は『マリリン 7日間の恋』などで知られるコンラッド・ポープ。
 トロント国際映画祭2013 TIFF DOCS部門出品。
 サテライト・アワード2014 ドキュメンタリー賞ノミネート。


 ・『バックコーラスの歌姫たち』“20 Feet From Stardom”(米) 監督:モーガン・ネヴィル(Morgan Neville)
 「マイケル・ジャクソン 、ミック・ジャガー、ブルース・スプリンスグスティーン、スティーヴィー・ワンダー、スティングなどの音楽界のトップスターを影で支えてきたバックシンガー。しかし、数々のヒット・ソング で記憶に残るハーモニーを訊かせてきた彼女たちの名前が知られることはほとんどない。トップシンガー達と変わらないほどの実力を持ち、いつかはステージのメインに立とうと夢見るバックシンガー。バックシンガーに誇りを持ち、今でも一線で活躍するもの。音楽業界に利用され、夢を打ち砕かれたもの。運に恵まれたもの、そうでなかったもの。これまでスターの影に隠れていた彼女達に初めてスポットライトを当てた本作は、傷つけられても、歌うことに喜びを見出し、音楽を愛し続けた名もなき歌姫たちの人生を描く。」
 サンダンス映画祭2013出品。
 ナンタケット映画祭2013 オープニング・ナイト作品。
 ドーヴィル・アメリカン映画祭2013 アンクル・サムズ・ドック部門出品。
 サンセバスチャン国際映画祭2013 Zabaltegi部門出品。
 BFIロンドン映画祭2013 SONIC部門出品。
 ワルシャワ国際映画祭2013 特別上映作品。
 インディペンデント・スピリット・アワード2014 ドキュメンタリー賞ノミネート。
 サテライト・アワード2014 ドキュメンタリー賞ノミネート。


 ・“Which Way Is The Front Line From Here? The Life And Time Of Tim Hetherington”(米) 監督:セバスチャン・ユンガー(Sebastian Junger)
 「単なるアクションではなく、戦争の真実を伝えるささやかな瞬間を追い求める。」
 セバスチャン・ユンガーとともに、『レストレポ ~アフガニスタンで戦う兵士たちの記録~』(2010)で監督と製作と撮影を手がけた報道写真家のティム・ヘザリントン(1970-2011)は、その後ほどなく、リビアで、政府軍と反政府軍の応酬を取材していて、カダフィー政府軍から砲弾を受け、死亡する。1年にわたって、アフガニスタンでティム・ヘザリントンとともに取材を敢行したセバスチャン・ユンガーは、彼が残した仕事をたどり、また、彼の家族や友人、仲間へのインタビューを行なって、若くして亡くなった報道写真家ティム・ヘザリントンの人生を浮かび上がらせる。
 サンダンス映画祭2013 ドキュメンタリー・プレミア部門出品。
 米・製作者組合賞(PGA)2014 ドキュメンタリー賞ノミネート。


 ・“The Square (Al Midan)”(エジプト・米) 監督:Jehane Noujaim
 2011年2月のエジプト革命でムバラク政権は倒れた。しかし、それですべてが解決したわけではない。革命の勝利に陶酔しているうち、過渡的に軍隊の支配を招き、危険で不確かな状況が訪れる。やがて革命はイスラム急進派にのっとられてしまったことがわかる。革命の成功は世界中が目撃した。だが、大事なのは、その後なのだ。
 “Startup.com”(2001)で米・監督組合賞を受賞しているJehane Noujaimの最新作。
 サンダンス映画祭2013 観客賞受賞。
 シェフィールド国際ドキュメンタリー映画祭2013 The Tim Hetherington Award受賞。
 トロント国際映画祭2013 ピープルズ・チョイス賞受賞。
 IDAアワード2013 長編部門ノミネート。


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 IDAアワードやゴッサム・アワードのノミネーションの周辺でショートリストが選ばれています。

 驚くべきは、10月27日にIndieWireが出したノミネート予想の12作品のうち、9作品がショートリストに含まれていることです。

 下馬評に挙がっていた作品の多くは選ばれていますが、選ばれなかった作品には次のようなものがあります。何本かは入れ替わっても全然OKだったと思いますが……。

 ・“After Tiller”(米) 監督:Martha Shane、Lana Wilson
 ・“American Promise”(米) 監督:Joe Brewster、Michèle Stephenson
 ・“At Berkeley”(米) 監督:フレデリック・ワイズマン
 ・“Best Kept Secret”(米) 監督:サマンサ・バック
 ・“These Birds Walk”(米) 監督:Bassam Tariq、Omar Mullick
 ・“Blood Brother”(米) 監督:Steve Hoover
 ・『ウガンダで、生きる』“Call Me Kuchu”(米・ウガンダ) 監督:Malika Zouhali
 ・『ジャーニー/ドント・ストップ・ビリーヴィン』(米) 監督:ラモーナ・S・ディアス
 ・“Enzo Avitabile Music Life”(伊・英) 監督:ジョナサン・デミ
 ・“Far Out Isn’t Far Enough: The Tomi Ungerer Story”(米) 監督:Brad Bernstein
 ・『庭師』“The Gardener”(イラン) 監督:モフセン・マフマルバフ
 ・“Gideon’s Army”(米) 監督:Dawn Porter
 ・“I Am Breathing”(英・デンマーク) 監督:Morag Mckinnon
 ・『ホドロフスキーのDUNE』(米) 監督:フランク・パヴィッチ
 ・“The Last of The Unjust (Le Dernier Des Injustes)”(仏・オーストリア) 監督:クロード・ ランズマン
 ・“Let The Fire Burn”(米) 監督:Jason Osder
 ・『リヴァイアサン』“Leviathan”(仏・英・米) 監督:ルシアン・キャステイン=テイラー
 ・『リヴ&イングマール ある愛の風景』(ノルウェー) 監督:デーラージ・アコルカール
 ・“The Missing Picture (L' image manquante)”(カンボジア・仏) 監督:リティー・パニュ
 ・“More Than Honey”(独・オーストリア・スイス) 監督:Markus Imhoof
 ・“Muscle Shoals”(米) 監督:Greg “Freddy” Camalier
 ・『ワン・ダイレクション THIS IS US』(米) 監督:モーガン・スパーロック
 ・“Our Nixon”(米) 監督:Penny Lane
 ・“Pandora’s Promise”(米) 監督:ロバート・ストーン
 ・“A Place At The Table”(米) 監督:Lori Silverbush、Kristi Jacobson
 ・“Revolution”(カナダ) 監督:ロブ・スチュワート
 ・“A River Changes Course”(カンボジア・米) 監督:カリアニー・マン
 ・“Running From Crazy”(米) 監督:バーバラ・コップル
 ・“Seduced and Abandoned”(米) 監督:ジェームズ・トバック
 ・“Sound City”(米) 監督:デイヴィ・グロール
 ・“Storm Surfers in 3D”(オーストラリア) 監督:Christopher Nelius、Justin McMillan
 ・“The Unknown Known”(米) 監督:エロール・モリス
 ・“We Steal Secrets: The Story of WikiLeaks”(米) 監督:アレックス・ギブニー
 ・“When I Walk”(米・カナダ) 監督:Jason DaSilva
 ・『冬の遊牧民』“Winter Nomads”(スイス・仏・独) 監督:マニュエル・フォン・ストゥーラー

 ショートリストの監督の中で、過去に、米国アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞したことのある監督は、アレックス・ギブニーのみで、過去にノミネートされたことのある監督には、ショーン・ファイン&アンドレア・ニックス・ファイン(短編ドキュメンタリー賞受賞)、ルーシー・ウォーカーらがいます。
 米国アカデミー賞では、一度ノミネートされると次からノミネートされやすくなるという傾向があるので、これら3組の監督は、ノミネートされる可能性が高いと言えるかもしれません。

 全15作品のうち、10作品がサンダンス映画祭でプレミア上映された作品です。

 ショーン・ファインとアンドレア・ニックス・ファインは、前回、“Inocente”で短編ドキュメンタリー賞を受賞しているので、2年連続でノミネート/受賞する可能性があります。

 アレックス・ギブニーは、全くジャンルの異なる、“We Steal Secrets: The Story of WikiLeaks”と“The Armstrong Lie”が対象作品になっていましたが、前者が落ちて、後者が選ばれています。(ちなみに、前回は、“Mea Maxima Culpa: Silence in the House of God”がショートリストに選ばれながら、ノミネートには至りませんでした。)

 “The Crash Reel”と“The Square(Al Midan)”は、両作品とも、ジェラリン・ホワイト・ドレイファウスというプロデューサーが手がけています。しかも、前回も、“The Invisible War”と“Open Heart”という2作品で、長編部門と短編部門の2つのドキュメンタリー賞を逃していて、今回が雪辱戦になります。

 米・製作者組合賞(PGA) ドキュメンタリー賞ノミネーションとは、“Life According to Sam”と“Which Way Is The Front Line From Here? The Life And Time Of Tim Hetherington”しか、重なりませんでした。

 前回は、実情をドキュメントして、問題点を訴えたり、注目を喚起したりするタイプの作品が多く、アートやエンタテインメント関係の作品が少なかったのですが、今回は、割合が逆転しています。

 深刻な病やケガを扱った作品が3本もあり、人物ドキュメンタリーが7本もあります。

 ドキュメンタリーにもその時々で流行がありますが、今回のショートリストの中には、経済、教育、食、都市・社会、犯罪・事件、歴史、気象・環境、科学、いじめ、麻薬、エイズ、パレスチナ、イスラエル、イラン、中国といった題材の作品は、選ばれませんでした。

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 【ノミネーションの傾向性】

 これまでのノミネーションの傾向を探ると――
 ① 歴史(的事件)に隠された真実に迫った作品(『フォッグ・オブ・ウォー』『ブラック・セプテンバー』等)
 ② アメリカの現在を鋭くえぐってみせるような作品(『不都合な真実』『エンロン:巨大企業はいかにして崩壊したのか?』『ダーウィンの悪夢』『ボウリング・フォー・コロンバイン』『チャレンジ・キッズ』等)
 ③ 知られざる国・地域の知られざる実情を描いた作品(『未来を写す子どもたち』『プロミス』『らくだの涙』等)
 ④ 題材のユニークさが光る作品(『マーダーボール』『スーパーサイズ・ミー』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』『マン・オン・ワイヤー』等)
 ⑤ 個性的な人物をクローズ・アップした作品(『マイ・アーキテクト』『戦場のフォトグラファー』『モハメド・アリ かけがえのない日々』『クリントンを大統領にした男』等)
 ⑥ 誰も観たことがないような驚異の映像を収めた作品(『WATARIDORI』『皇帝ペンギン』等)
 などが選ばれる傾向にあります。

 これを今回のエントリー作品に無理やりにでも当てはめると―

 ①“Dirty Wars”
 ②
 ③『殺人という行為』、“Pussy Riot: A Punk Prayer”、“God Loves Uganda”、“The Square (Al Midan)”
 ④“Blackfish”、“Life According to Sam”、“Tim’s Vermeer”、『バックコーラスの歌姫たち』
 ⑤『物語る私たち』、“The Armstrong Lie”、“The Crash Reel”、『キューティー&ボクサー』、“First Cousin Once Removed”、“Which Way Is The Front Line From Here? The Life And Time Of Tim Hetherington”
 ⑥
 という感じになるでしょうか。

 また、もっと一般的な分類を当てはめてみるなら、長編ドキュメンタリー賞は、政治、経済、社会、環境、その他、という分類に当てはまる作品を、順番にチョイスしていっているようにも見えます。

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 【予想】

 今回の長編ドキュメンタリー賞に関しては、ノミネーション予想よりも前に受賞予想があって、本命である『殺人という行為』を選ぶか選ばないか、選ばないとしたら何を選ぶか、というのがポイントになります。

 『殺人という行為』は、2013年に世界で最も多くの賞を受賞している作品で、長編ドキュメンタリー賞の本命中の本命ですが、作品の持つスキャンダラス性を嫌って、ノミネーションから外される可能性もあります。しかし、ここは選ばれることを前提に考えると、あとはこの作品を中心にした作品のバランスを考えればよい、ということになります。

 ・『物語る私たち』
 ・“The Crash Reel”
 ・“Life According to Sam”
 ・“The Square (Al Midan)”

 キリスト教を題材とした作品はタブー、「病気やケガ」を扱った作品ばかりでも困る、アメリカの政治の闇には触れたくない(そういうものは別のところでやってほしい)、人物ドキュメンタリーで広く一般に訴えかける題材の作品はそう多くはない、といったことを考えていくと、上のような4作品が浮かび挙がってきます。
 「病気やケガ」ものが2本、ジェラリン・ホワイト・ドレイファウスの作品が2本になってしまいますが、まあ、仕方がありません。

 選んでいるうちに、輝きを増してくるのが『物語る私たち』で、観ていて殺伐とした気分になることが多いドキュメンタリーの中で、女優が自らのパーソナルな世界を描いた作品は、ホッと一息つけさせてくれそうで、『殺人という行為』のような作品を嫌う人々はこの作品を選ぶ、というのは十分に考えられることです。
 ましてアカデミー会員は、俳優の作った作品を好む傾向がありますから、案外、受賞の目は少なくない、かもしれません。

 したがって、本命は『殺人という行為』、対抗は『物語る私たち』ということになります。
 インドネシアの歴史の闇を描いた作品と、女優が自らの家族を描いた作品。とても対照的で面白いのではないでしょうか。

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 *当ブログ記事

 ・米国アカデミー賞2013 長編ドキュメンタリー賞ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201212/article_9.html
 ・米国アカデミー賞2012 長編ドキュメンタリー賞ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201111/article_18.html
 ・米国アカデミー賞2011 長編ドキュメンタリー賞ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201011/article_29.html
 ・米国アカデミー賞2010 長編ドキュメンタリー賞ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_31.html
 ・米国アカデミー賞2009 長編ドキュメンタリー賞ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200811/article_11.html

 ・米国アカデミー賞2014 長編ドキュメンタリー賞候補151作品 一覧:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201311/article_1.html

 ・米国アカデミー賞2014 短編映画賞 ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201311/article_36.html

 ・米国アカデミー賞2014 短編アニメーション賞 ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201311/article_13.html

 ・米国アカデミー賞2014 長編アニメーション賞エントリー作品19作品:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201311/article_9.html

 ・米国アカデミー賞2014 短編ドキュメンタリー賞ショートリスト発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201310/article_23.html

 ・米国アカデミー賞2014 外国語映画賞 各国代表リスト その1(~クロアチア):http://umikarahajimaru.at.webry.info/201309/article_8.html
 ・米国アカデミー賞2014 外国語映画賞 各国代表リスト その2(コロンビア~フィンランド):http://umikarahajimaru.at.webry.info/201309/article_24.html
 ・米国アカデミー賞2014 外国語映画賞 各国代表リスト その3(ブラジル~):http://umikarahajimaru.at.webry.info/201309/article_42.html
 ・『舟を編む』、または、米国アカデミー賞 外国語映画賞 日本代表作品 データ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201309/article_10.html
 ・完全ガイド! 米国アカデミー賞2014 外国語映画賞 各国代表作品:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201310/article_3.html

 ・IDAアワード2013 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201310/article_40.html

 ・トロント国際映画祭2013 TIFF DOCS部門ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201308/article_1.html

 ・ナンタケット映画祭2013 ラインナップ&受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201307/article_6.html

 ・AFI Docs映画祭2013 ベスト・オブ・フェスト&観客賞:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201306/article_25.html

 ・シェフィールド国際ドキュメンタリー映画祭2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201306/article_26.html

 ・Hot Docs カナディアン国際ドキュメンタリー映画祭2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_13.html

 ・トライベッカ映画祭2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_25.html

 ・SXSW映画祭2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_16.html

 ・サンダンス映画祭2013 コンペティション部門ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201212/article_6.html
 ・サンダンス映画祭2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201301/article_62.html

 ・トロント国際映画祭2012 TIFF DOCS部門ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201208/article_4.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2013年12月~2014年4月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201312/article_1.html

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