ニューヨーク映画批評家協会賞2013 発表!

 第79回ニューヨーク映画批評家協会賞が発表されました。(12月3日)

 【ニューヨーク映画批評家協会賞】

 ニューヨーク映画批評家協会賞は、映画批評家が選ぶ映画賞としては最も古い映画賞で1935年に設立されています。
 多数決で決められるような映画賞には得てして“多数決によるブレ”があったりするものですが、ニューヨーク映画批評家協会賞にはそれが少なくて、作品賞であればその時々の意欲作、野心作、映画作家の成熟を示す作品、男優賞・女優賞であれば俳優としての転機となるような作品を確実に選んできています。
 たとえば、作品賞として、『ディパーテッド』ではなく『ユナイテッド93』を選ぶとか、『グラディエーター』ではなく『トラフィック』を選ぶとか、『タイタニック』ではなく『LAコンフィデンシャル』を選ぶとか、主演男優賞であれば、『ブロークバック・マウンテン』でヒース・レジャーを選ぶとか(同年のアカデミー賞は『カポーティ』のフィリップ・シーモア・ホフマン)、『サイドウェイ』でポール・ジアマッティを選ぶとか(同年のアカデミー賞は『Ray/レイ』のジェイミー・フォックス)、『ロスト・イン・トランスレーション』でビル・マーレーを選ぶとか(同年のアカデミー賞は『ミスティック・リバー』のショーン・ペン)……。
 まあ、ある意味、アカデミー賞よりもわかりやすい映画賞だと言ってもいいかもしれません。

 昨年度のアカデミー賞との一致度はと言うと、12部門(のうちアカデミー賞と重なる部門は11部門)で、結果が同じになった部門は、(絶対的な本命とみなされることになる)主演男優賞と外国語映画賞のわずか2部門しかありませんでした。

 昨年度は、『ゼロ・ダーク・サーティ』披露目直後にニューヨーク映画批評家協会賞が発表されたこともあり、その興奮が受賞結果にも現われ出たかのように、作品賞、監督賞、撮影賞の3部門を『ゼロ・ダーク・サーティ』が独占するという結果になっていました。

 また、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞、アニメーション賞、ドキュメンタリー賞を本命(もしくは有力候補)から選んでおらず、賞レース終了後の視点で見ると、かなり異質なチョイスになっています。

 しかし、そうでありながら、『リンカーン』に、主演男優賞、助演女優賞、脚本賞を与えたことで、ここから全米映画賞レースの間中ずっと『リンカーン』が賞レースの本命(もしくは対抗)とみなされる流れを作っています。

 なので、今回も、結果的には、米国アカデミー賞とはあまり重ならないかもしれませんが、今後の全米映画賞レースの動向を占うものとしては非常に重要なものであることは間違いなく、そうしたことを念頭に置いた上で、受賞結果をとらえる必要があります。

 本年度の受賞結果は以下の通りです。

画像

--------------------------------

 ◆作品賞(Best Picture)
 ◎『アメリカン・ハッスル』 監督:デイヴィッド・O・ラッセル

 サテライト・アワードのノミネーションを見てもそうでしたが、お披露目されたばかりの『アメリカン・ハッスル』が高評価で迎えられていて、それがここにも現われています。昨年度の『ゼロ・ダーク・サーティ』と同じ運命をたどらなければいいのですが……。

 ◆監督賞
 ◎スティーヴ・マックイーン “12 Years a Slave”

 本命!

 ◆主演男優賞
 ◎ロバート・レッドフォード 『オール・イズ・ロスト~最後の手紙~』(監督:J・C・チャンダー)

 まだ本命視はできませんが、最有力視される流れは作られたようです。

 ◆主演女優賞
 ◎ケイト・ブランシェット 『ブルージャスミン』(監督:ウディ・アレン)

 本命!

 ◆助演男優賞
 ◎ジャレッド・レト 『ダラス・バイヤーズクラブ』(監督:ジャン=マルク・ヴァレ)

 有力!

 ◆助演女優賞
 ◎ジェニファー・ローレンス 『アメリカン・ハッスル』

 ジェニファー・ローレンスは、せいぜいで有望候補にしか過ぎませんが、2年連続受賞がかかっているのは、主要候補の中ではジェニファー・ローレンスだけであり、また『アメリカン・ハッスル』のキャスト部門4部門制覇への夢をつなぐ存在となっています。

 ◆脚本賞
 ◎『アメリカン・ハッスル』 エリック・シンガー、デイヴィッド・O・ラッセル

 『アメリカン・ハッスル』は、オリジナル脚本賞扱いですが、ここは強い候補があるので、今後、有力候補に挙がってくることはあまりないと考えられます。お披露目後の興奮状態の中での受賞ということなのではないでしょうか。

 ◆撮影賞
 ◎ブリュノ・デルボネル “Inside Llewyn Davis”(監督:ジョエル&イーサン・コーエン)

 有力!

 ◆第1回作品賞(Best First Film)
 ◎“Fruitvale Station” 監督:Ryan Coogler

 この部門では、最有力!

 ◆ドキュメンタリー賞(Best Documentary)
 ◎『物語る私たち』“Stories We Tell”(カナダ) 監督:サラ・ポーリー

 有力候補の1つではありますが、米国アカデミー賞ではノミネートまでこぎつけるかどうか、微妙なところ。

 ◆アニメーション賞(Best Animated Film)
 ◎『風立ちぬ』(日) 監督:宮崎駿

 今後への流れを作れるかどうか……。
 米国アカデミー賞とニューヨーク映画批評家協会賞との一致度を考えると、ここで受賞してしまうと、米国アカデミー賞での受賞は難しいのかなと思ってしまいます。

 ◆外国語映画賞(Best Foreign Language Film)
 ◎『アデル、ブルーは熱い色』(仏) 監督:アブデラティフ・ケシシュ

 全米映画賞レースのこの部門では、最有力候補の1つですが、米国アカデミー賞外国語映画賞では候補にすらなっていません。

 ◆特別賞(Special Award)
 ◎フレデリック・ワイズマン

--------------------------------

 過去の実績から考えると、ほぼ様子見の状態です。

 確実に米国アカデミー賞と一致すると見ていいのは、いまのところは主演女優賞くらいでしょうか。

 なお、授賞式は2014年1月6日に行なわれる予定になっています。

 *この記事がなかなかよかった!と思ったら、人気ブログランキングにクリックをお願いします。
 ↓ ↓ ↓ ↓
 
 ↑ ↑ ↑ ↑
 クリックしてね!

 *当ブログ記事

 ・ニューヨーク映画批評家協会賞2012 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201212/article_8.html
 ・ニューヨーク映画批評家協会賞2011 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201111/article_27.html
 ・ニューヨーク映画批評家協会賞2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201012/article_23.html
 ・ニューヨーク映画批評家協会賞2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_23.html
 ・ニューヨーク映画批評家協会賞2008 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_18.html

 ・ゴッサム・アワード2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201312/article_4.html

 ・インディペンデント・スピリット・アワード2014 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201311/article_40.html

 ・サテライト・アワード2014 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201312/article_5.html

 ・全米の映画批評家協会系映画賞について調べてみました:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201101/article_2.html

 ・全米の映画賞について調べてみました:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201001/article_45.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2013年12月~2014年4月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201312/article_1.html

 追記:
 ・ニューヨーク映画批評家協会賞2013 授賞式:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201401/article_17.html

この記事へのコメント

リーゼント
2013年12月04日 20:21
てっきり、『アメリカンハッスル』が賞レースのトップに躍り出たんだと勘違いしてしまいました。アカデミー賞を狙っている人には、この賞はあまりありがたくない受賞でしょうか(笑)。

そう考えると、監督賞のみに終わった『12 years a slave』がやはり有力ですね。楽しみです。
umikarahajimaru
2013年12月04日 23:19
リーゼントさま
いや~、わかりませんよ。(笑)
過去のデータではそうなっているというだけで、今回はこのまま『アメリカン・ハッスル』が独走してしまう可能性だってあります。
コメントありがとうございました。

この記事へのトラックバック