フィルムズ・フロム・ザ・サウス映画祭(オスロ)2013 受賞結果!

 第23回フィルムズ・フロム・ザ・サウス映画祭(10月10日-20日)の受賞結果です。

 【フィルムズ・フロム・ザ・サウス映画祭】

 フィルムズ・フロム・ザ・サウス映画祭(Film fra Sør (Films from the South))は、1991年からノルウェーのオスロで開催されている映画祭で、元々はオスロ大学の映画クラブの上映会が母体でしたが、2012年には3万人の観客を動員するノルウェー最大の映画祭に成長しています。
 「フィルムズ・フロム・ザ・サウス映画祭」の「サウス」とは、ノルウェーより南方、つまり、ヨーロッパと北米を除く三大陸(アジア、アフリカ、中南米)のことで、三大陸から出品された、100本近い映画を上映しています。

 コンペティション部門としては、インターナショナル・コンペティション部門とドック・サウスというドキュメンタリーのコンペティション部門がありますが、それぞれ最優秀作品1本を選ぶだけという、ごくシンプルなものです。
 インターナショナル・コンペティション部門では、1997年に『ユメの銀河』、2012年に『おおかみこどもの雨と雪』が最優秀作品賞であるThe Silver Mirrorを受賞しています。その他の受賞作品には、『アモーレス・ペロス』、『少女の髪どめ』、『愛より強く』、『リンリンの電影日記』、『キャラメル』、『子供の情景』、“City of Life and Death(南京!南京!)”、『ハウスメイド』などがあります。

 本年度のプログラムには、インド、メキシコ、ラテンアメリカ、アフリカ、アジア、中東といった地域別の特集のほか、ディレクターズ・スペシャル・ポートレート、クリティカル・ルーム、Mangapolis(ジャパニメーションの特集)、キッズ・コーナーという部門が設けられ、ディレクターズ・スペシャル・ポートレートでは、アピチャッポン・ウィーラセタクン、ルシア・プエンソ、ナディール・モクネシュ、イェスィム・ウスタオウルの特集が組まれています。

 本年度の受賞結果は以下の通りです。

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 【インターナショナル・コンペティション部門】

 ・“The Past”(仏・イラン) 監督:アスガー・ファルハディ
 ・“Goodbye Morocco”(仏・ベルギー) 監督:Nadir Moknèche
 ・“My Sweet Pepper Land”(仏・独・イラク) 監督:ヒネル・サレーム(Hiner Saleem)
 ・“Layla Fourie”(独・南ア・仏・オランダ) 監督:Pia Marais
 ・『天と地の間のどこか』“Araf”(トルコ・仏・独) 監督:イェスィム・ウスタオウル
 ・『少女は自転車にのって』“Wadjda”(サウジアラビア・独) 監督:ハイファ・アル=マンスール(Haifa Al-Mansour)
 ・『ハーモニー・レッスン』“Harmony Lessons”(カザフスタン・独・仏) 監督:エミール・バイガジン(Emir Baygazin)
 ・『わが人生3つの失敗』“Brothers for Life”(インド) 監督:アビシェク・カプール(Abhishek Kapoor)
 ・“The Lunchbox”(インド・仏・独・米) 監督:Ritesh Batra
 ・『罪の手ざわり』“A Touch of Sin”(中) 監督:ジャ・ジャンクー
 ・『チチを撮りに』“Capturing Dad”(日) 監督:中野量太
 ・『言の葉の庭』“Garden of Words”(日) 監督:新海誠
 ・『そして父になる』(日) 監督:是枝裕和
 ・『エリ』“Heli”(メキシコ・仏・独・オランダ) 監督:アマ・エスカランテ(Amat Escalante)
 ・“Colors”(ブラジル) 監督:Francisco Garcia
 ・“Gone Fishing”(アルゼンチン) 監督:カルロス・ソリン(Carlos Sorin)
 ・『ワコルダ』“Wakolda”(アルゼンチン・仏・西・ノルウェー) 監督:ルシア・プエンソ(Lucía Puenzo)
 ・『グロリアの青春』“Gloria”(チリ・西) 監督:セバスチャン・レリオ(Sebastián Lelio)
 ・『リアリティのダンス』“The Dance of Reality”(チリ) 監督:アレハンドロ・ホドロフスキー

 ◆グランプリ/The Silver Mirror for best film
 ◎『リアリティのダンス』“The Dance of Reality (La danza de la realidad)”(仏・チリ・メキシコ) 監督:アレハンドロ・ホドロフスキー
 出演:ブロンティス・ホドロフスキー(Brontis Jodorowsky)、Pamela Flores、Jeremias Herskovits、Cristobal Jodorowsky、アダン・ホドロフスキー(Adan Jodorowsky)
 アレハンドロ・ホドロフスキーによる、想像的自伝への試み。登場する人々や場所、出来事は本物だ。だが、それをただ順番に並べただけのものではない。現実というものは、ミステリアスで、大きく、予想がつかないものだ。だから、限られたヴィジョンではとらえきれない。それを越えるにはイマジネーションが必要だ。自分の人生についても、イリュージョンや一般的なアングルから離れ、イマジネーションを自由に羽ばたかせて、その意味について探らなければならない。
 同名の著書の映像化作品。
 カンヌ国際映画祭2013 監督週間出品。
 プチョン国際ファンタスティック映画祭2013 レトロスペクティヴ部門出品。
 シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭2013 ファンタスティック・ガラ部門出品。

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 ◆観客賞
 ◎“The Past (Le Passé)”(仏・伊) 監督:アスガー・ファルハディ
 出演:タハール・ラヒム、ベレニス・ベジョ、サブリーナ・ウアザニ、ババク・カリミ
 物語:フランス人女性と結婚したイラン人の男性がいて、長らく家庭内にトラブルを抱えている。彼は、4年間、テヘランで過ごした後、結婚生活にけじめをつけるために、パリに戻るが、短い滞在の間に、妻と娘に相反する感情があることに気づく。彼は、夫婦関係を修復しようとするが、そこで隠されていた過去の秘密が明らかになる。
 カンヌ国際映画祭2013 コンペティション部門出品。女優賞(ベレニス・ベジョ)、エキュメニカル審査員賞受賞。
 トロント国際映画祭2013 SPECIAL PRESENTATIONS部門出品。
 シドニー映画祭2013 Special Presentations部門出品。
 ミュンヘン映画祭2013 シネマスターズ部門出品。
 テルライド映画祭2013 出品。
 トロント国際映画祭2013 SPECIAL PRESENTATIONS部門出品。
 釜山国際映画祭2013 アジア映画の窓部門出品。
 バンクーバー国際映画祭2013 Special Presentations部門出品。
 ハンプトンズ国際映画祭2013 スポットライト・フィルムズ部門出品。
 BFIロンドン映画祭2013 LOVE部門出品。
 アジア太平洋スクリーン・アワード2013 作品賞・脚本賞ノミネート。
 ルイ・デリュック賞2013 ノミネート。
 米国アカデミー賞2014外国語映画賞 イラン代表。


 【Doc:South部門】

 ◆最優秀ドキュメンタリー賞/The Doc:South Award for best documentary
 ◎“The Last Station (La Última Estación)”(チリ・独) 監督:Cristian Soto、Catalina Vergara
 物語:養護老人ホームの入居者たちに関するドキュメンタリー。ルイスは、歩行器を使って歩いていって、芝生のベンチに座るのが好きだ。ドリアンは、松葉杖を使って、公衆電話まで必死に歩いていく。サラは、目が見えなくて、手探りでシンクを探し当てる。入居者の1人は、ラジオ局を持っていて、外の人々に向けて、ノスタルジックな音楽や自分が録音したものを流す。彼は、最新ニュースの報告もするが、そのほとんどは誰が亡くなったとかそういうニュースばかりだ。彼らは、ほとんど家族に見舞われることなく、外界から忘れられようとしているが、内面はまだまだ豊かだ。
 映像は絵画のように美しく、自然光で撮影されている。
 初監督作品。
 コペンハーゲン国際ドキュメンタリー映画祭2012出品。
 アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭2012出品。
 エジンバラ国際映画祭2013 インターナショナル長編コンペティション部門出品。

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 【特別賞・名誉賞】

 ◆The Silver Mirror Honorary Award
 ◎アピチャッポン・ウィーラセタクン

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 インターナショナル・コンペティション部門のラインナップは、2013年を代表するような作品が多くて、どうしてこんなラインナップが組めるのかと驚いてしまいましたが、どうも「コンペティション」というのは名目上だけの話で、実際には「特別招待作品」というような扱いに近く、その中の1本を選んで、賞を贈っている、というのが実情ではないかと思われます。

 その証拠に、
 ・「特別招待作品」や「ガラ部門」に値する部門がまったくなく
 ・贈られる賞もたった1つだけ
 ・審査員も特に公表されていない
 ・コンペ入りの作品の監督やプロデューサー、出演者は、まったく映画祭入りしていない(招待されていない)
 ということ挙げられます。

 ひょっとすると、「インターナショナル・コンペティション部門」も普通の国際映画祭のような公募制ではなく、プログラマーが世界各国の映画祭等をまわって出品依頼しているのかもしれません。

 映画祭のタイプとしては、クロアチアのモトヴン映画祭や、ニューヨークのハンプトンズ国際映画祭に近い感じ、でしょうか。

 
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 *当ブログ記事

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2013年5月~12月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_9.html

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