詳細! 米国アカデミー賞2014 短編アニメーション賞 ショートリスト!

 第86回米国アカデミー賞 短編アニメーション賞ショートリストが発表されました。(11月6日)

 ・『まほうのほうき』“Room on the Broom”(英) 監督:Max Lang、Jan Lachauer
 出演:サイモンペグ、ジアン・アンダーソン、ティモシー・スポール、サリー・ホーキンス、ボブ・ブライドン(Bob Brydon)、デイヴィッド・ウォリアムス(David Walliams)
 物語:魔女がほうきにネコを乗せて空を飛んでいる。その日は風が強く、魔女の帽子が飛ばされてしまう。帽子を見つけてくれたのは、イヌで、魔女はそのイヌをほうきに乗せてあげることにする。次に魔女は、リボンを落とす。拾ってくれたのは鳥で、魔女はその鳥もほうきに乗せる。さらに、魔女は、魔法の杖を沼に落とす。拾ってくれたのはカエルで、魔女はそのカエルもほうきに乗せる。カエルがほうきの上で飛び跳ねたので、ほうきは半分に折れてしまい、魔女だけが残った半分で飛んで行き、ネコたちは泥沼に落下する。半分のほうきで飛ぶ魔女を、ドラゴンが食べようとして、追い回す。魔女は、地上でドラゴンにつかまるが、泥沼から這い出てきたネコたちが泥をかぶった鵺のような姿で登場し、ドラゴンを驚かす。ドラゴンは、あわてて逃げ出す。意識を取り戻した魔女は、ネコたちに助けてもらったことを知って喜ぶ。その夜、魔女は、魔法のなべを使って、秘密のスープを作り、魔女とネコたちそれぞれの座席がついた頑丈なほうきを完成させる。
 アヌシー国際アニメーションフェスティバル2013 TVスペシャル部門出品。グランプリ受賞。
 札幌国際短編映画祭2013 ファミリー&チルドレン部門にて上映。

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 ・“The Missing Scarf”(アイルランド) 監督:Eoin Duffy
 物語:リスのアルバートは、巣の中に置いておいた大好きな襟巻きがなくなっているのに気づいて、驚き、森に飛び出していく。彼は、森の中で、他の動物たちと出会うが、それぞれに悩みを抱えている。見知らぬ物への恐怖、失敗への恐怖、拒絶される恐怖、そして死への恐怖。彼は、彼らを助けるが、なかなか自分の目的には到達しない……。
 LA短編映画祭2013 最優秀アニメーション賞受賞。
 ニューハンプシャー映画祭2013 最優秀アニメーション賞受賞。
 Galway Film Fleadh2013 The James Horgan Award受賞。
 バンクーバー国際映画祭2013 オフィシャル・セレクション。
 バリャドリッド国際映画祭2013 オフィシャル・セレクション短編部門出品。ヨーロッパ映画賞2014 短編映画賞 バリャドリッド代表。


 “Mr. Hublot”(ルクセンブルク・仏) 監督:Laurent Witz
 物語:Hublot氏は、引っ込み思案で、強迫性障害を持ち、変化と外の世界を怖がった。しかし、棄て犬を拾ってきたことで、彼のきっちりした日常生活はかき乱されていく。
 ワルシャワ国際映画祭2013 短編コンペティション部門出品。

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 ・“Hollow Land”(仏・デンマーク・カナダ) 監督:Uri Kranot、Michelle Kranot
 物語:難民の夫婦が、古いバスタブに乗って、新しい土地にたどりつく。そこは、彼らが期待したようなところではなかった。彼らは、第1子が生まれるのを待ち、その妙に重苦しい環境に慣れようと努力する。彼らは、文化的ジェンダー的なルールと習慣が受け入れられなければ、そこでは生きていけないのだ。
 アヌシー国際アニメーションフェスティバル2013 アウト・オブ・コンペティション部門出品。
 エルサレム映画祭2013 短編コンペティション部門出品。オナラブル・メンション受賞。
 ジッフォーニ映画祭2013 アムネスティ・インターナショナル賞受賞。
 オタワ国際アニメーションフェスティバル2013 短編コンペティション ナラティヴ部門出品。
 バリャドリッド国際映画祭2013 オフィシャル・セレクション短編部門出品。

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 ・『九十九』“Possessions”(日) 監督:森田修平
 物語:「18世紀。嵐の夜、深い山中で男が道に迷っていた。そこで見つけた小さな祠。中に入るとその空間は突然別世界の部屋に変化する。そこに次々と現れたのは捨てられた傘や、着てもらえなくなった着物などのモノノケ達。男はその怨念を秘めた古い道具たちを丁寧に修理し、慰めてやる。」
 オムニバス映画『SHORT PEACE』4編のうちの1編。
 広島国際アニメーションフェスティバル2012出品。
 釜山国際映画祭2013 アニメーション・ショーケース部門出品。

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 ・“Gloria Victoria”(カナダ) 監督:セオドア・ウシェフ
 物語:戦争の最前線と大虐殺。ロシアから、中国を経て、ドレスデン、ゲルニカ、さらにスペイン内戦からスター・ウォーズへ。黒鳥が墓の上を舞い、バンパイアと死神が暗躍する。ショスタコヴィッチの交響曲第七番「レニングラード」に載せて、激しい戦争、大衆の翻弄、死者への哀悼、怒りの声、平和の希求、が描かれる。
 アヌシー国際アニメーションフェスティバル2013 短編コンペティション部門出品。国際批評家連盟賞受賞。
 トロント国際映画祭2013 SHORT CUT CANADA部門出品。
 オタワ国際アニメーションフェスティバル 短編コンペティション 実験映画部門出品。
 バリャドリッド国際映画祭2013 オフィシャル・セレクション短編部門出品。

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 ・“Requiem for Romance (Requiem pour une romance)”(カナダ) 監督:Jonathan Ng
 物語:[音声] 男が女に電話をかける。すぐには電話に出なかった女は、家族と一緒にいたと言い、親に祝福されない2人の関係はもう終わりにしようと男に切り出す。[映像] 中世の中国。武術を身に着けている男女が、町並みを見下ろす屋根の上で、格闘を演じる。激しくやり合うが、その頂点で、町に広がった大火が雨で鎮められるように、急に闘いは止んで、男は女を抱き寄せる。すぐに女は逃げ、男は逃げる女を追う。女が落馬したところで、男は追いつき、2人は気持ちを寄り添わせる。「音声」による男女の別れ話と、「映像」による中世中国の格闘は、互いにシンクロしつつ、先へと進む。
 モントリオール世界映画祭2012 フォーカス・オン・ワールド・シネマ部門出品。

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 ・“Subconscious Password”(カナダ) 監督:クリス・ランドレス
 物語:チャールズは、友人の名前が思い出せなくて、動揺しているのに、その動揺を隠そうとする。
 往年の人気TV番組PASSWORDからインスパイアされた作品。
 アヌシー国際アニメーションフェスティバル2013 短編コンペティション部門出品。グランプリ受賞。
 トロント国際映画祭2013 SHORT CUT CANADA部門出品。
 オタワ国際アニメーションフェスティバル 短編コンペティション ナラティヴ作品部門出品。
 シカゴ国際映画祭2013 短編コンペティション部門出品。
 バリャドリッド国際映画祭2013 オフィシャル・セレクション短編部門出品。銀のスパイク賞受賞。

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 ・“Feral”(米) 監督:Daniel Sousa
 物語:森の中でハンターによって野性の少年が発見され、人間社会に連れ戻される。彼は、都市生活に順応しようとして、森の中で生き抜くために身につけたやり方を使おうとする。
 アヌシー国際アニメーションフェスティバル2013 短編コンペティション部門出品。ヤング審査員賞、国際批評家連盟賞特別賞、フェスティバル・コネクション賞受賞。
 オタワ国際アニメーションフェスティバル2013 インターナショナル・ショーケース部門出品。

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 ・“Get a Horse!”(米) 監督:Lauren MacMullan
 物語:ミッキー、ミニー、ホーレス・ホースカラー、クララベル・カウが、楽隊馬車(Musical Wagon)に乗って楽しんでいると、ペグレグ・ピートが邪魔をして、彼らを道から飛び出させようとする。
 1928年頃のミッキー・マウス作品に似せて作られた、初期短編風の作品で、ウォルト・ディズニーが吹き替えたミッキー・マウスの声が使われている。
 手描きの作品を、CGで3D化。映画は、白黒で始まり、カラーになり、3Dへと変化する。『キートンの探偵学入門』や『カイロの紫のバラ』を思わせる作品。
 アヌシー国際アニメーションフェスティバル2013にて世界初公開。
 11月全米公開の『アナと雪の女王』の併映の短編。
 ミッキー・マウスぼ新作が劇場公開されるのは、1995年の『ミッキーのアルバイトは危機一髪』“Runaway Brain Mickey”以来。
 監督のLauren MacMullanは、『キング・オブ・ザ・ヒル』や『シンプソンズ』、『アバター 伝説の少年アン』などのTV作品を手がけてきた女性監督で、女性監督が単独でディズニー作品を手がけるのは、これが初めて。
 *公式サイト:http://www.disneyanimation.com/projects/getahorse

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 今回は、56の有資格作品があり、その中から10作品を選んだ、と米国アカデミーから公式に発表されています。(年によっては、全有資格作品のリストをアップしてくれるサイトがあったりもするのですが、今回は見当たらないようです。)

 このリストに関する最初の感想は、だいたい皆同じようなもので、カナダのNFB作品が3本も入っていること(“Requiem for Romance”を除くカナダ作品3本)と、ピクサーの短編“The Blue Umbrella”がこの段階で既に脱落していること(が意外だというもの)です。“The Blue Umbrella”がなぜ入っていないのかとか、それが順当なことなのかどうかとかはわかりませんが、少なくとも、これで、ピクサーは、『モンスターズ・ユニバーシティ』の長編アニメーション賞受賞に全力を注ぐことになるだろうと思われます。

 ま、それはともかく―
 短編アニメーション賞には、上記の中から3~5本が選ばれることになります。

 上記の監督たちの中で、ノミネート/受賞経験があるのは、クリス・ランドレスだけで、クリス・ランドレスは、1996年に“The End”でノミネートされ、2005年に『ライアン』で受賞を果たしています。

 また、上記の中で、特に映画祭での評価の高い作品は、
 ・“The Missing Scarf”
 ・“Subconscious Password”
 ・“Feral”
 の3本です。

 一方、短編アニメーション賞を受賞しやすい作品は、
 ・アニメーションらしいアニメーション
 ・誰にもわかりやすい作品
 ・短いながらもちょっとした感動が味わえる作品
 というような感じで、実験性が前面に出ているような作品や難しい作品は、敬遠される傾向にあります。

 今回のショートリストの中で、「アニメーションらしいアニメーション」の最右翼は、“Get a Horse!”です。
 ウォルト・ディズニーへの直接的なオマージュであり、かつ、映画愛にあふれた作品ということであれば、アカデミー会員にも好まれるだろうし、現時点では、受賞最有力作品と考えられます。

 対抗は、映画祭での評価も高く、キャリアもあるクリス・ランドレスの“Subconscious Password”でしょうか。

 ノミネーションは、これら2作品のほかに、“The Missing Scarf”や“Feral”、そして作品のバランスを取るために、外国語作品を1本くらい、というのが順当なところではないかと思われます。

 個人的には、ライトな作品が多い中で、ヘビーで歯ごたえのある作品を発表し続ける、セオドア・ウシェフにそろそろオスカーの栄誉を贈ってもいいんじゃないかと思いますが、今回は他のカナダ作品との兼ね合いもあり、残念ながら、ノミネートすら厳しいかもしれません。

 “Get a Horse!”が受賞すれば、ディズニー作品が2年連続受賞、アメリカ作品が3年連続受賞ということになります。

 “Subconscious Password”が受賞すれば、アヌシー国際アニメーションフェスティバルのグランプリ作品がオスカーを受賞した、(おそらく)9番目の作品になります。

 これまでの8作品は、
 1973年:『フランク・フィルム』
 1977年:『砂の城』
 1981年:『タンゴ』(※アカデミー賞受賞は翌々年)
 1987年:『木を植えた男』
 2007年:『ピーターと狼』
 2008年:『つみきの家』
 2010年:『落としもの』

 ちなみに、逆の例(オスカー受賞作品がその年のアヌシー国際アニメーションフェスティバルでグランプリを受賞)も2つあります。
 2000年:『老人と海』
 2001年:『岸辺のふたり』

 前回は、短編アニメーション賞ノミネートは、授賞式前にすべてネット上で無料で視聴できたので(そのほとんどが公式に提供されたものでした)、本年度もそうなる可能性が高いと思われます。上に示した通り、すでに『まほうのほうき』(たぶん非公認)と“Requiem for Romance”が視聴可になっていますし、ちょっと楽しみですね。

 追記:“Requiem for Romance”は、非公認のものだったらしく、ネット上にアップされていた動画は削除されてしまいました。

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 *当ブログ記事

 ・米国アカデミー賞2013 短編アニメーション賞 ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201211/article_9.html
 ・米国アカデミー賞2012 短編アニメーション賞 ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201112/article_3.html
 ・米国アカデミー賞2011 短編アニメーション賞 ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201012/article_4.html
 ・米国アカデミー賞2010 短編アニメーション賞 ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_34.html

 ・米国アカデミー賞2014 長編アニメーション賞エントリー作品19作品:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201311/article_9.html

 ・米国アカデミー賞2014 長編ドキュメンタリー賞候補 151作品一覧:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201311/article_1.html

 ・米国アカデミー賞2014 短編ドキュメンタリー賞ショートリスト発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201310/article_23.html

 ・米国アカデミー賞2014 外国語映画賞 各国代表リスト その1(~クロアチア):http://umikarahajimaru.at.webry.info/201309/article_8.html
 ・米国アカデミー賞2014 外国語映画賞 各国代表リスト その2(コロンビア~フィンランド):http://umikarahajimaru.at.webry.info/201309/article_24.html
 ・米国アカデミー賞2014 外国語映画賞 各国代表リスト その3(ブラジル~):http://umikarahajimaru.at.webry.info/201309/article_42.html
 ・『舟を編む』、または、米国アカデミー賞 外国語映画賞 日本代表作品 データ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201309/article_10.html
 ・完全ガイド! 米国アカデミー賞2014 外国語映画賞 各国代表作品:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201310/article_3.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2013年5月~12月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_9.html

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