ハワイ国際映画祭2013 受賞結果!

 第33回ハワイ国際映画祭(10月10日-20日)の各賞が発表されました。

 【ハワイ国際映画祭】

 ハワイ国際映画祭は、1981年にハワイで始まった国際映画祭で、地元ハワイの映画はもちろん、アジア太平洋地域の映画の上映に力を入れている映画祭で、毎年、日本からも数多くの作品が出品されています。

 プログラムとしては、インド、フィリピン、台湾、中国、韓国、日本といった国別の上映プログラムのほか、東南アジア・ショーケース、パシフィック・ショーケース、メイド・イン・ハワイ、アメリカン・インディーズ、ニュー・アメリカン・フィルムメーカーなどの、独自のプログラムが組まれています。

 日本作品の受賞も多く、1990年に『ウンタマギルー』、2001年に『いちばん美しい夏』、2003年に『たそがれ清兵衛』、2004年に『茶の味』、2012年に『鍵泥棒のメソッド』がそれぞれナラティヴ部門の作品賞を受賞し、1998年には『ナージャの村』がドキュメンタリー賞を受賞し、2004年には土屋豊監督の『PEEP “TV” SHOW』がNETPAC賞を受賞しています。

 本年度の受賞結果は以下の通りです。

画像

--------------------------------

 ◆最優秀ナラティヴ作品賞/Halekulani Golden Orchid Award for Best Narrative

 ◎“Blue Ruin”(米) 監督:ジェレミー・ソウルニエ(Jeremy Saulnier)
 出演:Macon Blair、デヴィン・ラトレイ(Devin Ratray)、エイミー・ハーグリーヴス(Amy Hargreaves)、Kevin Kolack、イヴ・プラム(Eve Plumb)、David Thompson
 物語:ビーチで、ひとり静かに浮浪者のような暮らしをしている男がいる。彼は、恐ろしい知らせを聞いて、驚き、故郷に帰って、復讐を果たそうとする。しかし、彼は、そんな能力など持ち合わせておらず、疎遠になった家族を守るために必死に闘うことになる。
 カンヌ国際映画祭2013 監督週間出品。国際批評家連盟賞受賞。
 ロカルノ国際映画祭2013 ピアッツァ・グランデ部門出品。
 ドーヴィル・アメリカン映画祭2013 コンペティション部門出品。
 トロント国際映画祭2013 VANGUARD部門出品。
 シカゴ国際映画祭2013 インターナショナル・コンペティション部門出品。


 ◎“Intruders”(韓) 監督:ノ・ヨンソク
 出演:Jun Suk-ho、Oh Tae-kyung
 物語:脚本家が人里はなれた山小屋で原稿を書いている。そこに次々と訪問客がやってきて、彼の仕事の邪魔をし、ついにはグロテスクな殺人事件に巻き込まれる。
 『昼間から呑む』のノ・ヨンソク監督最新作。
 トロント国際映画祭2013 CONTEMPORARY WORLD CINEMA部門出品。

画像

 ◆最優秀ドキュメンタリー賞/Halekulani Golden Orchid Award for Best Documentary

 ◎“Remote Area Medical”(米) 監督:Jeff Reichert、Farihah Zaman
 スタン・ブロック(Stan Block)は、アマゾンに暮らしていた頃、求められて、世界の僻地に出張していくボランティアの医療団を組織した。それがスタートしたのは、30年前で、彼は、それを「未開地医療」(RAM:Remote Area Medical)と呼んでいる。当時、彼はほとんど予想もしていなかったが、今日、彼が医療団を送っているのは、実は、遠い国々などではなく、60%が、ほかならぬ米国内なのだった。本作では、RAMの本部から115マイルしか離れていないテネシー州ブリストルで行なわれた3日間の「遠征」に密着している。ボランティアの医師、看護婦、サポートの作業員が参加して、基礎医療や、歯科や眼科の治療に当たった。ここには、こうした機会でもなければ治療を受けられない何百人もの人たちが、前乗りしたり、車中泊したり、テントや地面に直に眠ったりして、集まってきた。

画像

 ◆NETPAC賞

 ◎“Monsoon Shootout”(インド・英・オランダ) 監督:Amit Kumar
 物語:ムンバイにモンスーンの雨が降り注ぐ。Adiは、新米の刑事で、最初の任務で、発砲すべきか、発砲せざるべきかという決断を迫られる。そこから、彼の決断に応じて、3通りの物語が展開する。
 資金集めに苦しんで、完成まで10年かかった作品。
 初監督作品。
 カンヌ国際映画祭2013 ミッドナイト・スクリーニング部門出品。
 シドニー映画祭2013 オフィシャル・コンペティション部門出品。
 モントリオール世界映画祭2013 フォーカス・オン・ワールド・シネマ部門出品。
 シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭2013 ファンタスティック・コンペティション部門出品。
 シカゴ国際映画祭2013 ワールド・シネマ部門出品。


 【ユーロシネマ ハワイ賞】(EuroCinema Hawai’i Awards)

 ◆最優秀作品賞/The Princess Dialta Alliata de Montereale Award for Best Film

 ◎“The Broken Circle Breakdown”(ベルギー・オランダ) 監督:フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン(Felix van Groeningen)
 物語:ディディエは、ブルーグラス・バンドでバンジョーを弾き、ベルギー国内をキャラバンでまわっている。彼にとって、「自由の国」アメリカは理想の国だ。エリーゼは、タトゥー・パラーを開いている。彼女も、自分の体にもたくさんのタトゥーを入れているが、それぞれその当時につきあった相手にちなんだもので、別の相手を付き合う時に、名前だけは消している。ディディエとエリーゼは、全くタイプが異なるのに、一目ぼれで恋に落ちる。彼が話をし、彼女が聞く。彼はロマンチックな無神論者で、彼女は信仰心の篤い現実主義者だ。まもなく2人の生活はからみあい、エリーゼはディディエのバンドで歌うようになる。結婚し、ちいさなメイベルが生まれる。彼らは、古い田舎家を改装して、そこで幸福に満ちた生活を始める。やがてメイベルが病気になった時、彼らの愛が試されることになる。
 Johan Heldenberghの同名の舞台の映画化。
 ベルリン国際映画祭2013パノラマ部門出品。Label Europa Cinemas受賞、観客賞1位。
 トライベッカ映画祭2013 ワールド・ナラティヴ・コンペティション部門出品。女優賞(Veerle Baetens)・脚本賞受賞。
 シドニー映画祭2013 オフィシャル・コンペティション部門出品。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2013「ヴァラエティー」誌による、観るべきヨーロッパの10人の監督たち。
 パリ映画祭2013 クロージング作品。
 ラックス賞2013 ノミネート。
 ヨーロッパ映画賞2013 オフィシャル・セレクション。
 The Ensor Awards(フランドル映画賞)2013 作品賞・監督賞・主演女優賞・撮影賞・編集賞・美術賞・衣裳賞・音楽賞受賞。
 大阪ヨーロッパ映画祭2013にて上映。


 ◆ライジング・スター賞(Rising Star Award)
 ◎ハリー・シャム・ジュニア(Harry Shum, Jr.)

 ◆監督賞
 ◎ベルナルド・ベルトルッチ 『孤独な天使たち』

 ◆男優賞
 ◎ルカ・バルバレスキ(Luca Barbareschi) “Something Good”(伊)(監督:ルカ・バルバレスキ)

 “Something Good”(伊) 監督:ルカ・バルバレスキ
 出演:ルカ・バルバレスキ、チャン・チンチュー、ケネス・ツァン、Gary Lewis、マイケル・ウォン、Carl Long Ng
 物語:マッテオは、中国を拠点として、世界中の食品の輸出を手がけて(その多くは汚い商売だが)、多額の利益を得ている。彼は、乳幼児向けの低価格の牛乳を大陸に販売する「ホワイト・アフリカ」という新しいビジネスを展開させようとする。こうした仕事は、一見無害で、商売上手なだけというようにも見えるが、大きなお金が動くところには、たえず危険がつきまとう。3人の同僚が殺された時、彼は、地元の警官ジャチェンに守ってくれるように頼む。しかし、彼女は、まだ彼の商売の裏側を知らなかった……。

画像

 ◆女優賞
 ◎パウリナ・ガルシア(Paulina Garcia) 『グロリア』“Gloria”(チリ・西)(監督:セバスチャン・レリオ(Sebastian Lelio))

画像

 『グロリア』“Gloria”(チリ・西)(監督:セバスチャン・レリオ(Sebastian Lelio))
 出演:パウリナ・ガルシア(Paulina García)、セルヒオ・エルナンデス(Sergio Hernández)、ディエゴ・フォンテシージャ(Diego Fontecilla)、Fabiola Zamora
 物語:グロリアは58歳で、夫はなく、子供たちも既に家を出ている。彼女は、昼も夜も独りで孤独に過ごしていたが、つかの間の気晴らしをするために、シングルズ・パーティーに参加する。失望ばかりで、気に入った相手が見つけられずにいたが、ある日、彼女より7つ年上の元海軍将校ロドルフォと出会う。彼女は、この関係が永遠に続くことを期待するが、やがて自分自身の暗い過去と向き合わなければならなくなる。
 『聖家族』のセバスチャン・レリオ監督の最新作。
 ベルリン国際映画祭2013 コンペティション部門出品。女優賞(銀熊賞:パウリナ・ガルシア)、エキュメニカル審査員賞、Prize of the Guild of German Art House Cinemas 受賞。
 トランシルヴァニア国際映画祭2013 Supernova部門出品。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2013 ホライズンズ部門出品。
 米国アカデミー賞2013 外国語映画賞 チリ代表。
 ラテンビート映画祭2013にて上映。


 ◆最優秀学生作品賞(Best Student Film)
 ◎Erin Lau “Little Girl’s War Cry”(クック諸島・米) [短編]

 【観客賞】

 ◆観客賞 ナラティヴ部門(Audience Award for Best Narrative)

画像

 ◎“The Haumana”(米) 監督:Keo Woolford
 物語:ジョニーは、エンターテナーの仕事をしているワイキキのポリネシア人だが、今は、アル中で、すっかりくたびれ果てている。ある日、彼は、彼が、師(Kumu)として尊敬している伯母マーガレットに呼び出される。彼女は、男子の教え子たち(The Haumana)の面倒を見てほしいと彼に頼む。彼の少年のような魅力ややんちゃな笑顔は彼らには通用しない。彼らは、彼のことを、安っぽいワイキキ・ソングしか知らないような男としてしか見ないのだ。彼は、彼らの信用を得なければならないと思うが、自分の能力に自信がないし、何より彼らのような若者と分かち合うべきものがほとんどないのだ。彼が持っているものと言えば、1冊のルーズリーフのバインダーだけだ。一方で、彼は、女性生徒の面倒を見ているナプアからも叱られる。彼女は、何年もかけて鍛錬して、先生という立場になったという自信があり、ジョニーでは、これまでマーガレットの教え子たちが活躍してきた重要なイベント、ロイヤル・フラ・フェスティバルに間に合わせられないのではないかと心配していた。果たしてジョニーと彼の教え子たちは、それぞれの違いを乗り越えて、無事フェスティバルを迎えることができるだろうか。
 LAアジア太平洋映画祭2013 第1回作品賞受賞。

画像

 ◆観客賞 ドキュメンタリー賞(Audience Award for Best Documentary)

 ◎“Documented”(米) 監督:ホセ・アントニオ・ヴァルガス(Jose Antonio Vargas)、Ann Lupo
 2011年、ピュリッツァー賞も受賞しているジャーナリスト、ホセ・アントニオ・ヴァルガスは、自由を失うリスクを冒して、自分が正規の書類を持たない不法移民であることを告白する。彼の家族は、彼がまだ子供だった頃に、彼に偽の書類を持たせて、フィリピンからアメリカに彼を送り出した。彼らが考えたのは、彼が単純な労働に就き、ハシゴを上るようにして、アメリカの女の子と結婚し、市民権を獲得することだった。しかし、そうはならなかった。彼は、優れた成績を残し、有名なジャーナリストになった。しかも、彼は、ゲイであり、結婚して市民権を得るという道も絶たれた。彼は、自分の立場を告白する記事を書いた後、国外追放に怯える不法移民が市民権を得られるような道を模索すべく、組織を立ち上げている。

画像

 ◆観客賞 短編映画部門(Audience Award for Best Short Film)

 ◎“Dress”(米) 監督:Henry Ian Cusick
 物語:ハワイに暮らすベンは、妻を失い、2人の息子とともに、この悲しみを乗り越えようとする。

画像

--------------------------------

 ハワイ国際映画祭は、作品のセレクションに関して、他の国際映画祭とは少し違ったセンスを持っているのか、他の国際映画祭ではあまりピックアップされてこないような作品が、取り上げられたり、賞を受賞したりするのが面白いですね。

 今回の受賞作の中では、“Remote Area Medical”や“Something Good”、“The Haumana”、“Documented”がそうした作品に当たります。

 “Something Good”は、今回、初めて知った作品ですが、近年イタリアと中国は親密な交流を作り出してきているらしく、そうしたことを示してくれている作品の1つとして、この作品も、ジャンニ・アメリオの2006年作品“La stella che non c’è”や、『ある海辺の詩人 小さなヴェニスで』といった作品の系譜につらなる作品ということになりそうです。

 また、“Remote Area Medical”や“Documented”が描いている内容は、活字では既に取り上げられていたりしていて、日本語で読めるものとして、以下のような関連記事があります。

 ・“Remote Area Medical”に関連する日本語記事 「続 アメリカ医療の光と影  第206回米国民が必要とする「未開地」医療」:http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02945_04

 ・“Documented”に関連する日本語記事 ブログ「大切なことを残しておく場所」:http://yuki-goingmyway.seesaa.net/article/211503160.html

 *この記事が参考になった!と思ったら、人気ブログランキングにクリックをお願いします。
 ↓ ↓ ↓ ↓
 
 ↑ ↑ ↑ ↑
 クリックしてね!

 *当ブログ記事

 ・ハワイ国際映画祭2012 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201211/article_16.html
 ・ハワイ国際映画祭2010 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201010/article_15.html
 ・ハワイ国際映画祭2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_28.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2013年5月~12月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_9.html

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック