日本作品も! 米国アカデミー賞2014 短編ドキュメンタリー賞 ショートリスト!

 第86回米国アカデミー賞短編ドキュメンタリー賞ショートリスト8作品が発表されました。(10月10日)

 ・“CaveDigger”(米) 監督:Jeffrey Karoff
 ラ・ポーレット(Ra Paulette)は、ニューメキシコ北部の砂岩の崖に世界で8番目の不思議ともいうべき、カテドラルにも似た洞窟を掘る。彼の作品は、完成までに何年もかかるが、いずれも傑作の呼び声が高い。しかし、パトロンたちは、芸術性の違いからほとんどすべてのプロジェクトから手を引くことを決める。そうしたことにうんざりしながらも、彼は、自身の最高傑作ともなるべき10年計画の秘密のプロジェクトに着手する。
 *公式サイト:http://cavediggerdocumentary.com/

画像

 ・“Facing Fear”(米) 監督:Jason Cohen
 マシュー・ボガー(Mathew Boger)は、ゲイを理由に13歳で家を追い出され、ハリウッドで路上生活をするようになる。彼は、ネオ・ナチのスキンヘッドのグループから攻撃されるが、なんとか逃げて、生き延びる。25年後、彼は、ティム・ザール(Tim Zaal)と出会う。2人はどこかで逢ったことがあると感じるが、ティムは、かつてのネオ・ナチ・グループの一員で、彼を襲ったメンバーの1人であった。あれから世界も変わり、2人は、許しと和解に向けて、自らの信念と恐怖心を見つめつつ、互いに歩みを進める。そしてそれは、友情にまで発展する。その過程で、80年代初期のハリウッドが回想され、彼らの過去と現在が結び付けられる。
 編集は、『スター・ウォーズ』の特別版や『アマデウス ディレクターズ・カット』なども手がけるTom Christopher。撮影は、『インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実』などを手がけるスヴェトラーナ・スヴェトゥコ(Svetlana Cvetko)。監督は、プロデューサーとして、スティーヴン・オカザキ作品も手がけるJason Cohenで、これが初監督作品。
 *公式サイト:http://www.facingfearmovie.com/index.html

画像

 ・“Jujitsu-ing Reality”(米) 監督:Chetin Chabuk
 ALS(筋萎縮性側索硬化症)と10年以上にわたって闘い、いまではほぼ完全に麻痺しながら、2013年には最新作“Sexy Evil Genius”を発表した脚本家Scott Lewの人生を見つめる。現在の日々の日課、脚本家としての仕事の進め方、仕事と人生、2人の幼い息子たちとのコミュニケーション、撮影所への訪問などが描かれる。
 タイトルの“Jujitsu”は、「柔術」のことで、「現実と闘うこと」の意。
 TVドキュメンタリーのアシスタント・エディターとして10年以上のキャリアを持ち、グレッグ・バーガー監督の長編ドキュメンタリー『セルジオ』では製作を手がけたChetin Chabukの初監督作品。
 ナレーションは、セス・グリーン(“Sexy Evil Genius”の主役でもある)。
 LA短編映画祭2012 最優秀ドキュメンタリー賞受賞。
 バーバンク国際映画祭2013 最優秀短編ドキュメンタリー賞受賞。
 ニューポート・ビーチ映画祭2013 観客賞受賞。
 ノックスヴィル映画祭2013 観客賞受賞。
 *本編動画:http://vimeo.com/49352654

画像

 ・“Prison Terminal: The Last Days of Private Jack Hall”(米) 監督:Edgar Barens
 アメリカで最高のセキュリティーを誇るアイオワ州立刑務所で、余命わずかと診断された囚人と、ボランティアで彼のターミナルケアに当たった囚人たちとの関係を、6ヶ月にわたって追ったドキュメンタリー。
 *公式facebook:https://www.facebook.com/pages/Prison-Terminal-The-Last-Days-of-Private-Jack-Hall/126760337386024
 *公式ブログ:http://prisonterminal.blogspot.jp/

画像

 ・“Slomo”(米) 監督:Josh Izenberg
 1998年、神経科医のJohn Kitchinは、キャリアを捨てて、パシフィック・ビーチに移り、ローラーブレードを手に入れて、「SLOMO」に変身する。
 SXSW映画祭2013 最優秀短編ドキュメンタリー賞受賞。
 AFI Docs 2013 観客賞 短編部門受賞。
 シェフィールド国際ドキュメンタリー映画祭2013 最優秀短編賞受賞。
 *公式facebook:https://www.facebook.com/SLOMOtheMovie/photos_stream#!/SLOMOtheMovie

画像

 ・“The Lady in Number 6: Music Saved My Life”(カナダ・英・米) 監督:マルコム・クラーク(Malcolm Clarke)
 ホロコーストの生存者で、世界最年長の109歳のピアニストAlice Herz Sommerに関するドキュメンタリー。彼女は、音楽と笑いと楽天的に生きることの重要性を語る。
 マルコム・クラークは、『ライ麦畑をさがして』の監督で、“You Don’t Have to Die”(1988)で米国アカデミー賞 短編ドキュメンタリー賞受賞、『ナチス、偽りの楽園 ハリウッドに行かなかった天才』“Prisoner of Paradise”(2002)で米国アカデミー賞 長編ドキュメンタリー賞ノミネート。
 *公式facebook:https://www.facebook.com/theladyinnumbersix

画像

 ・“Karama Has No Walls”(UAE・英・イエメン) 監督:Sara Ishaq
 チュニジアのジャスミン革命が波及して、イエメンでも長期強権政治に対する抗議運動が起こる。それに対し、イエメン政府は、デモ隊に向けて狙撃手に発砲させ、53人もの死者を出し、結果的に政権交替に導くことになる。タイトルの“Kamara”は、アラビア語で、「尊厳」の意味で、事件のあった2011年3月18日を「尊厳の金曜日(Juma'at El-Karama)」と呼ぶ。本作では、2人のカメラマンのレンズと2人の父親の記録を通して、その日にあった人々の物語が語られる。
 ワン・ワールド国際人権ドキュメンタリー映画祭2012出品。
 バルセロナ人権映画祭2012出品。
 レインダンス映画祭2012出品。
 アラブ映画祭:サンフランシスコ2012 最優秀短編ドキュメンタリー賞受賞。
 国連アソシエーション映画祭2012 最優秀短編ドキュメンタリー賞受賞。
 エジンドックス映画祭2012最優秀短編ドキュメンタリー賞受賞。
 カマラ人権映画祭2012出品。
 グラスゴー短編映画祭2013出品
 チブロン国際映画祭2013出品。
 *公式サイト:http://karamahasnowalls.com/

画像

 ・『リコレクションズ』“Recollections”(日) 監督:ナサナエル・カートン(Nathanael Carton)
 東日本大震災の津波ですべてを失った人たちが、過去を取り戻すべくがれきの中から写真を探し出す。
 監督のナサニエル・カートンは、ニューヨーク大学のシンガポール校であるTischAsiaの映画学科で学び、デジタルハリウッドの協力を得るなどして、“Suu Et Uchikawa (Suu And Uchikawa)”を完成させ、カンヌ国際映画祭2011 シネフォンダシオン部門に出品している。
 SXSW映画祭2013短編ドキュメンタリー部門出品。
 トライベッカ映画祭2013 短編ドキュメンタリー部門出品。
 パームスプリングス国際短編映画祭2013 出品。
 サンフランシスコ国際映画祭2013 短編ドキュメンタリー部門出品。
 シドニー映画祭2013出品。
 メルボルン国際映画祭2013出品。

画像

--------------------------------

 内容的に非常にバラエティーに富んだラインナップになっています。

 この中から3~5作品がノミネーションに絞り込まれることになります。

 過去4年間は、5作品がノミネーションに進んでいて、本年度も有望作品が揃っているので、たぶん今回も5作品がノミネーションに進むことになるのではないでしょうか。

 最も有望なのは“Slomo”で、どこがそんなにいいのか、紹介記事を読んだだけではわかりませんが、8作品中、最も高い支持を得ています。

 過去に米国アカデミー賞にノミネートされたことのある監督の作品は選ばれやすい傾向があるので、“The Lady in Number 6: Music Saved My Life”もノミネートはほぼ確実です。

 あとは、受賞歴から言って、“Jujitsu-ing Reality”と“Karama Has No Walls”が有望です。

 残る1本は、“Facing Fear”か“Prison Terminal: The Last Days of Private Jack Hall”でしょうか。

 『リコレクションズ』は、2年前にノミネートされたルーシー・ウォーカーの『津波そして桜』と題材が似ていること、英語作品でなければ受賞は難しいこと(近年は国際的な題材を扱った作品も受賞を果たしていますが)、アメリカ国内の多くの映画祭で上映されているのにも関わらずこれまでこれといった受賞歴がないことを考えると、ノミネートは厳しいかもしれません。

 “CaveDigger”は、題材としては面白そうですが、社会性が乏しいので、他の作品を押しのけてまで、ノミネーションに残ることはなさそうです。

 最終的には、アラビア語作品である“Karama Has No Walls”は除かれ、ゲイ・モチーフを含む“Facing Fear”も保守層から敬遠される、と考えると、“Slomo”と“The Lady in Number 6: Music Saved My Life”と“Jujitsu-ing Reality”に絞り込まれることになりそうです。

 “Slomo”がアカデミー会員の心にも訴える作品であれば、この作品が本命で間違いありませんが、果たしてどうでしょか。“The Lady in Number 6: Music Saved My Life”はアカデミーの年配会員の支持(&ユダヤ票)を得られそうだし、映画人の映画である“Jujitsu-ing Reality”が映画人たちの心に響く可能性もあります。

 現在、“Jujitsu-ing Reality”は本編動画が一般公開されていますが、前回、短編アニメーション賞ノミネート作品が授賞式前にすべてネットで視聴可になったことを考えると、これから、この部門の他の候補作品もネットで一般公開される可能性があります。今後の動向に注目です。

 *この記事がなかなかよかった!と思ったら、人気ブログランキングにクリックをお願いします。
 ↓ ↓ ↓ ↓
 
 ↑ ↑ ↑ ↑
 クリックしてね!

 *当ブログ記事

 ・米国アカデミー賞2013 短編ドキュメンタリー賞 ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201210/article_18.html

 ・米国アカデミー賞2012 短編ドキュメンタリー賞 ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201111/article_11.html

 ・米国アカデミー賞2011 短編ドキュメンタリー賞 ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201010/article_25.html

 ・米国アカデミー賞2010 短編ドキュメンタリー賞 ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200910/article_8.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2013年5月~12月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_9.html

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック