オランダ・ナショナル・フィルム・アワード発表 in オランダ映画祭2013

 オランダ映画祭2013が閉幕しました(9月26日-29日)。

 オランダ映画祭は、1日に数本の外国映画を上映する「インターナショナル・スクリーニングス」と、国内および外国のジャーナリストや映画人向けのセミナー・プログラムである「オランダ・フィルム・ミーティング」を中心とした、ごくシンプルな映画祭です。

 その中で、最も重要なイベントが、オランダのナショナル・フィルム・アワードであるThe Golden Calf(金の子牛賞)の発表です。
 この賞は、1981年に6部門からスタートして、現在では約20もの部門を有する映画&TVの賞となっています。
 審査は、選ばれた審査員によって行なわれ、今回は、オランダのジャーナリストで、元ロッテルダム国際映画祭のディレクターでもあるEmile Fallauxが審査員長を務めています。
 日本に紹介されるオランダ映画はあまり多くはありませんが、The Golden Calfで何らかの賞を受賞している作品が多いようで、過去の作品賞受賞作には、『キャラクター/孤独な人の肖像』、『アンナとロッテ』、『パラダイス・ナウ』、『ブラックブック』などがあります。

 本年度の受賞結果は以下の通り。

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 ・作品賞(Best Film):『ボーグマン』“Borgman”(オランダ・ベルギー・デンマーク) 監督:アレックス・ファン・ヴァーメルダム

 ・監督賞(Best Director):Jim Taihuttu “Wolf”(オランダ)

 ・審査員特別賞(Special Jury prize):『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』“Het Nieuwe Rijksmuseum”(2008/オランダ) 監督:ウケ・ホーケンダイク(Oeke Hoogendijk)

 ・主演男優賞(Best Actor):Marwan Kenzari “Wolf”

 ・主演女優賞(Best Actress):ハーデウィック・ミニス(Hadewych Minis) 『ボーグマン』

 ・助演男優賞(Best Supporting Actor):Jacob Derwig “Alles is Familie”(オランダ)(監督:Joram Lürsen)

 ・助演女優賞(Best Supporting Actress):Bijrol Georgina Verbaan “De Marathon”(オランダ)(監督:Diederick Koopal)

 ・脚本賞(Best Screenplay):アレックス・ファン・ヴァーメルダム 『ボーグマン』

 ・撮影賞(Best Camera):Richard Van Oosterhout “&Me”(オランダ)(監督:Norbert ter Hall)

 ・編集賞(Best Editing):Katharina Wartena “Boven is Het Stil(It's All So Quiet)”(オランダ・独)(監督:Nanouk Leopold)

 ・美術賞(Best Production Design):Lieke Scholman “Wolf”

 ・録音賞(Best Sound):Peter Warnier “De Wederopstanding Van Een Klootzak (The Resurrection of a Bastard)”(オランダ・ベルギー)(監督:Guido van Driel)

 ・音楽賞(Best Music):New Cool Collective “Toegetakeld Door De Liefde”(オランダ)(監督:Ari Deelder)

 ・長編ドキュメンタリー賞(Beste Long Documentary):“Parts Of A Family(Partes de una Familia)”(メキシコ・オランダ) 監督:Diego Gutierrez

 ・短編ドキュメンタリー賞(Best Short Documentary):“Achter De Toren(The Hideout)”(オランダ) 監督:Astrid Bussink

 ・短編映画賞(Best Short Film):“Nummer Veertien, Home”(オランダ) 監督:Guido Van Der Werve

 ・TVドラマ賞(Best Television Drama):“Exit” 演出:Boris Paval Conen

 ・男優賞 TVドラマ部門(Best Actor in A Television Drama):Pierre Bokma “De Prooi”

 ・女優賞 TVドラマ部門(Best Actress in A Television Drama):Monic Hendrickx “Penoza II”

 ・カルチャー賞(Culture Prize):Monique Van Schendelen(パブリシスト)

 ・観客賞(Upc Public Prize):“De Marathon” 監督:Diederick Koopal

 ・批評家賞(Prize Of The Dutch Film Critics):“De Marathon” 監督:Diederick Koopal

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 主な受賞作品を簡単に紹介しておきます。

 ・『ボーグマン』“Borgman”(オランダ・ベルギー・デンマーク) 監督:アレックス・ファン・ヴァーメルダム
 出演:ヤン・バイブート(Jan Bijvoet)、ハーデウィック・ミニス(Hadewych Minis)、イェロン・ペルセヴァル(Jeroen Perceval)、アレックス・ファン・ヴァーメルダム、トム・デウィスペラーレ(Tom Dewispelaere)、サーラ・ヒョルト・ディトレフセン(Sara Hjort Ditlevsen)、Elve Lijbaart、Dirkje van der Pijl
 物語:郊外の住宅地に不吉な影がしのびよる―。霧深い森の中で、司祭と2人の仲間によって、Camiel Borgmanが生き埋めにされようとしていた。しかし、彼は、命からがらそこから這い出し、郊外の町に向かう。そこはスノビッシュな中流階級の人々が暮らす街で、Camielは、通りから、裕福そうな家の庭を見て歩く。彼が目をつけたのは、庭先におもちゃがあった家で、それはそこに子どもがいるというサインだった。その家は、ヴィジュアル・アーティストのMarinaとRrichardの家で、夫婦と3人の子どもと乳母が暮らしていた。Camielは、家に声をかけて、バスルームを使わせてくれと頼むが、彼のひどい姿を見て、夫のRrichardは門前払いをくらわせようとする。しかし、妻のMarinaは、夫の目を気にしつつ、彼を心配して、傷の手当てまでする。そこから一家の悪夢が始まる……。
 カンヌ国際映画祭2013 コンペティション部門出品。
 シドニー映画祭2013 オフィシャル・コンペティション部門出品。
 モトヴン映画祭2013出品。
 Palićヨーロッパ映画祭(セルビア)2013 最優秀作品賞受賞。
 サラエボ映画祭2013 キノスコープ部門出品。
 トロント国際映画祭2013 VANGUARD部門出品。
 ヨーロッパ映画賞2013 オフィシャル・セレクション。
 東京国際映画祭2013 ワールド・フォーカス部門にて上映。


 ・“Wolf”(オランダ) 監督:Jim Taihuttu
 物語:マジッドは、オランダの名もない灰色の町からやってきた才能あるキックボクサー。彼は、その戦いぶりから、勝ち上がるごとに、悪評を得、リングの内と外でバトルが始まる。そして、キックボクシングの世界と組織犯罪がからみあい、彼は、自分はいったい何を望んでいたのかがわからなくなる。
 サンセバスチャン国際映画祭2013 ニュー・ディレクターズ・コンペティション部門出品。Youth賞受賞。


 ・“De Marathon”(オランダ) 監督:Diederick Koopal
 物語:ジェラルドは、4人の従業員たちと自動車の修理工場をしている。彼らは、ビール好きのヘビー・スモーカーで、仕事をしているよりは、飲んで、トランプをしている方が多いくらいだった。いま、工場は、財政的危機を抱えていて、にっちもさっちも行かないところまで来ている。ここを失っては、彼らにはもうほかに行く当てはない。従業員の1人エジプト人移民のユーセフの叔父は、リッチなカー・ディーラーで、彼と賭けをすることになる。賭けに勝てば、工場を救うことができるが、それには、足が不自由なユーセフを除いた4人がロッテルダム・マラソンを完走しなければならない。しかし、彼らは、不摂生な生活をしていて、肥満気味であり、ランニングをした経験もなかった……。

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 ・“Boven is Het Stil(It's All So Quiet)”(オランダ・独) 監督:Nanouk Leopold
 物語:ヘルマーは、55歳の、独身男性で、年老いた父の面倒を見ながら、農場をやっている。彼らはあまり言葉を交わすことがない。父の死が近づいた時、ヘルマーは、父を2階に移し、1階のガラクタを捨て、家の植物を肥やしにし、ベッドも新しく買い換える。すべては、彼がひとりで生きていくための準備だった。近くの農場からアダが息子と一緒にやってきて、様子を見、牛乳配達の運転手が立ち寄って顔を出していくが、ヘルマーは自分の世界に閉じこもりがちになる。彼は、死んだ兄の部屋を塗り替え、18歳の農場労働者のヘンクのところを訪ねる。父の満たされぬ思いが、ヘルマーの気持ちを暗くする。しかし、ヘンクは、そんな彼に明るく応え、牛乳配達の運転手もヘルマーを見捨てることはしない……。
 ベルリン国際映画祭2013 パノラマ部門出品。
 イスタンブール国際映画祭2013 インターナショナル・ゴールデン・チューリップ・コンペティション部門出品。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2013 アナザー・ビュー部門出品。
 BFIロンドン映画祭2013 LOVE部門出品。
 シカゴ国際映画祭2013 WomenReel部門出品。

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 “Boven is Het Stil(It's All So Quiet)”は、現在、展開中の、秋の映画祭サーキットの人気作品の1つになっています。

 ここに書き出した作品は、いずれもタイプの違う作品で、日本に紹介されてもいいんじゃないかと思いますが、さあ、どうでしょうか。
 一方で、日本ではとっくの昔に劇場公開されていた『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』がここで上映されて、賞を受賞したりということもあるようです。

 
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 *当ブログ記事

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2013年5月~12月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_9.html

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