トロント国際映画祭2013 ラインナップ その9 DISCOVERY部門、MASTERS部門

 【DISCOVERY部門】:

 ・“The Stag”(アイルランド) 監督:John Butler [ワールド・プレミア]
 物語:現代のアイルランド。花婿はあまり気乗りではなかったが、フィアンセに促されて、アイルランド西部の自然の中で、独身男だけの婚前キャンプが行なわれる。そのキャンプに、「マシーン」という呼ばれるフィアンセの兄が加わる。彼は、本能のままに行動するクレージーな人物で、彼のリーダーシップのもと、彼らは、現代生活の快適さをかなぐり棄て、ついには、服をも脱ぎ捨てて、自然の中に飛び込む。
 John Butlerの初監督長編。
 “Pentecost”で米国アカデミー賞2012短編映画賞にノミネートされた俳優・監督のピーター・マクドナルドが脚本を手がけた(出演も)。
 DGAによるThe Director's Finders Series受賞作品。


 ・“Bobô”(ポルトガル) 監督:Inês Oliveira [インターナショナル・プレミア]
 物語:ソフィアは、彼女が育ったリスボンの古いアパートで、孤立した生活を送っている。ソフィアの母は、家と息子の世話を手伝ってもらうために、ギニア・ビサウ出身のマリアナを雇う。ソフィアは、マリアナの妹ボボに会って、彼女と一緒にいたいと感じる。2人は一緒に暮らすようになるが、やがて自分たちの過去の亡霊と向き合わざるを得なくなる。


 ・“Salvation Army(L'Armée du salut)”(仏・モロッコ) 監督:Abdellah Taïa [北米プレミア]
 出演:Said Mrini、Karim Ait M’Hand、Amine Ennaji
 物語:カサブランカ。若いアブデラは、父ともめたり、共犯関係になったりしながら、日中は家の中でゴロゴロしている。夜になると、彼は、ストリートに出て、出会った男性と性的な関係を結ぶ。彼には、尊敬する兄スリマーンがいるが、休日になっても兄は彼のことをかまってくれない。10年後、アブデラは、スイス人の恋人ジャンと同棲している。しかし、彼は、モロッコを離れて、ジェノヴァで、新しく生活をやり直す決心をする。アブデラは、救世軍を仮の住まいとするが、そこでモロッコ人の男性が彼が好きなアイドル、Abdel Halim Hafezの歌を彼のために歌ってくれる。
 監督による同名の自伝的著書の映画化。初監督長編。
 ベネチア国際映画祭2013 国際批評家週間出品。


 ・“South is Nothing(Il Sud è Niente)”(仏・伊) 監督:Fabio Mollo [ワールド・プレミア]
 物語:グラツィアは、南イタリアのメッシーナ海峡にある小さな町で、魚のフライを売る父親のクリスティアーノと暮らしている。彼女には、彼女が12歳の時にドイツに移民したピエトロという兄がいたが、彼は2度と帰って来なかった。ある日、クリスティアーノが、彼女にピエトロが死んだと話す。彼は、そのことについてそれ以上話そうとしなかった。


 ・“Border”(伊) 監督:Alessio Cremonini [ワールド・プレミア]
 物語:アヴァとファティマは、姉妹で、警察とシャビーハが闘いを繰り広げるシリアの激戦区で暮らしている。ファティマの夫シャディは、家族を棄てて、自由シリア軍に加わった。姉妹が生き残るには、トルコ国境へと逃げるしかなかった。


 ・“Miracle(Zázrak)”(スロヴァキア・チェコ) 監督:Juraj Lehotsky [インターナショナル・プレミア]
 物語:Elaは、15歳で、ある恋愛の結果として、矯正施設に入れられ、ここで家族や世界との関係を立て直すことになる。ここには、大人よりも遥かに辛い経験をしている者も多く、それぞれに異なる夢や願望を持っていた。Elaは、愛することに自暴自棄になるが、それは彼女自身を否定することにもなった。制約は多かったが、彼女は自分の人生を精一杯生きることに決める。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2013 イースト・オブ・ウェスト コンペティション部門出品。スペシャル・メンション受賞。


 ・“I Am Yours(Jeg Er Din)”(ノルウェー) 監督:Iram Haq [インターナショナル・プレミア]
 物語:ミナは、ノルウェーに住むシングル・マザーのパキスタン人である。彼女は、いつも愛を求めていたが、幸福な関係は長続きはしなかった。しかし、Jesperと会ったことで、彼女の運命が変わり始める……。


 ・“Bethlehem”(イスラエル) 監督:Yuval Adler [北米プレミア]
 出演:Shadi Mar'i、Tzachi Halevy、Hitham Omari、Tarek Copti
 物語:ラジは、イスラエルのシークレット・サービスで、10代のパレストナ人サンフールを情報提供屋として使っている。サンフールは、指名手配されているパレスチナ人過激派イブラヒムの弟で、ラジは、15歳の時に、サンフールに接触し、大きなエネルギーを注いで、彼との親密な関係を築き上げてきた。今、サンフールは17歳になり、ラジの要求にも兄への忠誠にも従うという二重生活を送りながら、パレスチナ過激派の中で大きな役割を果たすようになっている。そして、ラジに、サンフールを犠牲にして、イブラヒムを暗殺せよとの命令が下る。イスラエル軍による攻撃の準備が進められ、ラジとサンフールにとって人生を永遠に変えてしまう選択の瞬間が近づく。
 ベネチア国際映画祭2013 ベネチア・デイズ出品。FEDEORA賞 最優秀作品賞受賞。


 ・“Giraffada”(仏・独・伊・パレスチナ) 監督:Rani Massalha [ワールド・プレミア]
 物語:Yacineは、パレスチナ西岸で唯一存続している動物園の飼育員である。彼には、10歳の息子Ziadがいて、彼は2頭のキリンと特別な絆を築いていた。ところがイスラエルによる空爆で、オスのキリンが死ぬ。動物園としては、新しいオスのキリンを入手したいところだったが、近くでキリンを提供できそうな動物園はテルアビブまで行かないとなかった。「キリン泥棒」に関する物語。


 ・“My Love Awaits Me by the Sea(Habibi Bistanani And il Bahar)”(独・ヨルダン・パレスチナ・カタール) 監督:Mais Darwazah [ワールド・プレミア]
 ドキュメンタリー。監督のMais Darwazahは、彼女の愛するパレスチナ人アーティスト、故Hasan Houraniの軌跡を追って、多くの人々に会い、さまざまな場所を訪れる。そして占領下にあって外部世界とは異なる現実を強いられているのにも関わらず、夢を追い続けている多くの人々の姿を目撃する。


 ・“Ilo Ilo(爸妈不在家)”(シンガポール) 監督:Anthony Chen [北米プレミア]
 出演:Koh Jia Ler、アンジェリ・バヤニ(Angeli Bayani)、Chen Tian Wen、ヤオ・ヤンヤン(Yeo Yann Yann)
 物語:1997年のシンガポール。リム家に、フィリピン人のメイド、テレサがやってくる。一家の家族関係は、元々悪くなりかけていたが、テレサがやってきた後、それはさらにひどくなる。問題ばかり起こしている息子Jialeは、しゃべらなくなったテレサと仲良くなっていく。その年、アジアに経済危機が訪れるが、それが一家にも影響を及ぼす。
 初監督作品。
 カンヌ国際映画祭2013 監督週間出品。カメラドール受賞。
 パリ映画祭2013 コンペティション部門出品。
 米国アカデミー賞2013 シンガポール代表。


 ・“Bends(過界)”(香港) 監督:Flora Lau [北米プレミア]
 出演:チェン・クン、カリーナ・ラウ
 物語:香港上流社会の女性アンナと彼女の運転手となった若い男性ファイの物語。2人は、車の中という限られた時間・空間で、香港生活におけるプレッシャーや、香港と中国大陸との複雑な関係について会話をかわし、思ってもみなかったような友情を育んでいく。
 初監督作品。撮影はクリスファー・ドイル。
 カンヌ国際映画祭2013 ある視点部門出品。


 ・“Trap Street(Shuyin Jie/水印街)”(中) 監督:Vivian Qu(文晏) [北米プレミア]
 物語:Li Qiumingは、デジタルの地図製作会社で見習いをしている。ある日、彼は、測量をしていて、魅力的な女性に出会うが、彼女は静かな路地で姿を消してしまう。会社に帰った彼は、その日集めたデータを会社のマッピング・システムに入れようするが、あるはずのデータが見つからない。彼は、2度目の測量をするためにでかけていく。
 プロデューサーVivian Qu(文晏)の監督デビュー作。
 ベネチア国際映画祭2013 国際批評家週間出品。


 ・“Around the Block”(オーストラリア) 監督:Sarah Spillane [ワールド・プレミア]
 出演:クリスティーナ・リッチ、ジャック・トンプソン、Matt Nable、Hunter Lochard Page、Mark Coles Smith、Bradn Pittman、Dan Henshall、Ruby Rose
 シドニーの南3キロのところにある町レッドファーン。アボリジニの少年が、自分でも予想していなかった演じることへの愛と、あっという間にバラバラになってしまった家族との間で引き裂かれる。しかし、アメリカ人の演劇教師が、励ましてくれたおかげで、彼は過去と向き合い、だんだんと自分の未来へと立ち向かっていく。


 ・“Canopy”(オーストラリア・シンガポール) 監督:Aaron Wilson [ワールド・プレミア]
 物語:戦時中の1942年。オーストラリアの戦闘機が撃ち落とされて、パイロットが、シンガポールのジャングルの木にひっかかる。彼は、危険なジャングルを抜けて、避難できる場所を探す。


 ・“1982”(米) 監督:Tommy Oliver [ワールド・プレミア]
 出演:ヒル・ハーパー(Hill Harper)、Sharon Leal、ウェイン・ブレイディ(Wayne Brady)、Troi Zee.
 物語:1982年に実際にフィラデルフィアで起こったできごとに基づく物語。麻薬中毒の母親が伝染病に感染し、父親は、独力で娘の面倒を見なければならなくなる。彼は、妻が立ち直るのも助けつつ、自分が、親として、夫として、男として、試練に立たされていることを痛感する。


 ・“Beneath the Harvest Sky”(米) 監督:Aron Gaudet、Gita Pullapilly, [ワールド・プレミア]
 出演:エモリー・コーエン(Emory Cohen)、カラン・マッコーリフ(Callan McAuliffe)、エイダン・ギレン(Aidan Gillen)
 物語:キャスパーとドミニクは、親友で、互いに深い信頼関係で結ばれていた。彼らの育ったところは、メイン州の農村で、彼らも高校の上級生になり、大人への階段を上りつつあった。キャスパーは、無法者の父親クレイトンとともにカナダ国境から麻薬の密輸を行ない、一方、ドミニクは、最後のじゃがいもの収穫を行ない、そのお金で車を買って、村から出て行こうと考えていた。彼らの友情と信頼関係が試され、彼らは、人生を永遠に変えてしまうような、大人になるための決断をする。


 ・“Fat”(米) 監督:Mark Phinney [ワールド・プレミア]
 物語:ケンは、食への執着心が強く、健康を害し、このままでは早死にも免れそうになかった。友人の忠告にも拘らず、彼は生活習慣を変えようとしなかった。しかし、ある出会いがあって、彼に転機が訪れる。
 監督Mark Phinneyの実際の経験に基づく。


 ・“Palo Alto”(米) 監督:Gia Coppola [北米プレミア]
 出演:ジェームズ・フランコ、エマ・ロバーツ、ヴァル・キルマー、Jack Kilmer、Nat Wolff、 Zoe Levin
 物語:カリフォルニアに暮らす、特権的な、白人ティーンエージャー・グループの若者たちによる群像劇。背が高く、ダークヘアのフレッドと、ブロンドのテディーは、気のおけない親友どうし。フレッドは、意図的に車を壁にぶつけたりするが、それは自分がこの町で最も反社会的であることを示すためのパフォーマンスのように見える。テディーとエイプリルは惹かれ合っているが、テディーがクリッシーに誘惑されているのを見て、エイプリルはパーティーを出る。その日、酔って車を運転したテディーは、年配女性の車にぶつけ、地元の図書館で公共奉仕をすることになる。男たちがクリッシーの相手をするのは、彼女のオーラル・セックスが目当てでしかなく、彼女は、次にフレッドに目をつける。エイプリルは、地元の基準ではよい女の子ということになっている。彼女は、学校では男の子とも普通に話せるし、親の指導があれば、舞踏会の花にもなれたかもしれなかった。しかし、そうはならず、彼女は、どうすればよういかわからなくなっていた。エイプリルには、年齢が倍ほど違うミスターBというサッカーのコーチがいて、彼女は、彼の家で、ベビーシッターをすることになるが、ミスターBは彼女に愛の告白をし、彼女に覆いかぶさってくる。引っ込み思案なエミリーは、自分の価値が見出せず、男たちからは「ブロージョブ」と陰口をたたかれ、彼らのかっこうの餌食になっていた……。
 ジェームズ・フランコが初めて書いた本“Palo Alto Stories”からの映画化作品。
 フランシス・フォード・コッポラの孫で、ソフィア・コッポラやロマン・コッポラの姪に当たるGia Coppolaの初監督作品。
 ベネチア国際映画祭2013 Orizzonti部門出品。


 ・“The Amazing Catfish(Los insólitos peces gato)”(メキシコ) 監督:Claudia Sainte-Luce [北米プレミア]
 物語:22歳のクラウディアは、グアダラハラで独りで暮らしている。ある日、彼女は、虫垂炎で救急病棟に運ばれる。彼女は、そこで、隣のベッドにいたマーサと知り合いになる。マーサは、4人の子を持つ46歳の女性で、病気なのにも拘らず、生への執着が旺盛だった。クラウディアが退院する時、マーサは、孤独な彼女を自分の家に招待する。クラウディアは、最初、マーサの家があまりにも混沌としているのに驚くが、そのうちにそこに自分の居場所を見つける。だんだんとマーサの体が弱っていくが、クラウディアの方は、マーサの家族とより強い絆を築いていく……。
 ロカルノ国際映画祭2013フィルムメーカーズ・オブ・ザ・プレゼント コンペティション部門出品。ヤング審査員賞受賞。


 ・“Paradise(Paraiso)”(メキシコ) 監督:Mariana Chenillo [ワールド・プレミア]
 物語:太っちょの夫婦カルメンとアルフレドが、郊外から町中へと引越しをする。ダイエットのプログラムに参加することにしたカルメンは、夫にも参加するよう勧める。しかし、皮肉にも減量に成功したのはアルフレドの方で、このことが夫婦関係に試練を与える。


 ・“All About the Feathers(Por las Plumas)”(コスタリカ) 監督:Neto Villalobos [ワールド・プレミア]
 物語:チャロは、孤独な警備員である。見捨てられたような工場での仕事は、単調で退屈だったが、だからといってわずらわしくはなく、彼の人生と同じように、それはそれでいいものだった。彼は、闘鶏の鶏を探していて、賞を取ったことのある雄鶏ロッキーを見つける。それが、彼にとって、初めての闘鶏で、彼は、訓練したり、育てたりする場所もなく、とまどうことばかりだったが、彼に、新しい(そして唯一の)友だちができたことで、彼はロッキーを愛し、ロッキーにすべての情熱を傾けるのだった。


 ・“The Militant(El Lugar Del Hijo)”(ウルグアイ) 監督:Manolo Nieto [ワールド・プレミア]
 物語:過激な左派活動をしていた大学生が、父の死で、問題を抱える農場を受け継ぎ、ミドルクラスの地主となる。


 ・“The Summer of Flying Fish(El verano de los peces voladores)”(チリ・仏) 監督:Marcela Said [北米プレミア]
 出演:Francisca Walker、Gregory Cohen、マリア・エスキエルド(Maria Izquierdo)、Guillermo Lorca、Roberto Cayuqueo、Bastian Bodenhofer
 物語:湖面に霧が広がる。16歳の少女ミネナの家は、チリ南部の大地主で、領地には馬がいて、ゴルフコースがあり、森や人口湖もあった。父パンチョは、人口湖に外来魚が大量に入り込んでくることが悩みの種で、いろいろ試してもうまくいかず、抜本的な策を講じなければいけないと思い、湖の底を爆破してみたりもする。母テレサは一日中読書をしている。一家は、使用人として、マプチェ族を雇っているが、彼らは、家の掃除をしたり、料理を作ったり、子供の世話をしたりしている。一方、彼らの子供たちは、森に冒険しに行ったりしている。そんな森では、子供たちが殺したと思われる動物の死骸が見つかる。ミネナは気づいていなかったが、一家と、近くに暮らすマプチェ族の人々との間は緊張が高まりつつあった……。
 ドキュメンタリー作家Marcela Saidの初めてのフィクション作品。
 ベルリン国際映画祭2012 Co-Production Market出品作。
 カンヌ国際映画祭2013 監督週間出品。


 ・“Of Good Report”(南ア) 監督:Jahmil X.T. Qubeka [インターナショナル・プレミア]
 物語:Parker Sitholeが、何のつながりももたない南アフリカの田舎町に教師として赴任する。控えめな彼の性格も手伝って、彼は信頼とシンパシーを得、そして、前の雇い主によって書かれた推薦状通りと受け止められる。しかし、彼が、教え子の1人と恋に落ちた時、状況が変わる。秘密と脅迫観念が、彼らの関係を切り裂いていく。


 【MASTERS部門】

 ・“Bastards(Les Salauds)”(仏) 監督:クレール・ドゥニ [北米プレミア]
 出演:ヴァンサン・ランドン、キアラ・マストロヤンニ、ジュリー・バタイユ(Julie Bataille)、ミシェル・シュボール(Michel Subor)
 物語:マルコは、船の船長をしていたが、妹の夫が、会社が倒産して、自殺したという知らせを聞いて、急いでパリに戻る。彼は、義弟を自殺に追い込んだ相手に復讐しようと、相手が妻子と住む同じビルに部屋を借りて、見張るが、思いがけない事実を知ることになる。
 カンヌ国際映画祭2013 ある視点部門出品。


 ・“Abuse of Weakness(Abus de Faiblesse)”(仏・ベルギー・独) 監督:カトリーヌ・ブレイヤ [ワールド・プレミア]
 物語:映画監督のモードは、脳卒中になり、左半身不随になる。その後、彼女は、カリスマ性を持った男性ヴィルコと出会い、彼女が進めていた次回作の主演に出演を依頼する。ヴィルコは、彼女が体が不自由なのをいいことに、彼女につけ入り、彼女から多額のお金を引き出すようになっていく。
 カトリーヌ・ブレイヤが実際の体験し、2009年に書いた本“Abuse of weakness, a term used in the French legal system”を映画化した作品(名前は変えられ、舞台もブリュッセルに変えられてある)。ヴィルコのモデルとなっているのが、Christophe Rocancourtという人物で、2012年に懲役16ヶ月の有罪判決を受けている。
 イザベル・ユペールが、ブレイヤの役を演じる(ほとんど有名な俳優を起用しないことで知られるブレイヤ作品においてはきわめて異例)。


 ・“How Strange to be Named Federico: Scola Narrates Fellini(Che strano chiamarsi Federico: Scola racconta Fellini)”(伊) 監督:エットーレ・スコラ [インターナショナル・プレミア]
 フェデリコ・フェリーニ没後20年を記念して製作されたドキュメンタリー。
 エットーレ・スコラは、50年代初めに、チネチッタのスタジオで、フェリーニと会い、以後、彼が亡くなるまで友情関係を育んだ。本作では、映画のクリップはもちろん、メイキング映像、写真、インタビュー、フェリーニ自身が描いた絵などに加え、再現映像によって、フェリーニの人生と、彼の知られざる一面を振り返る。1939年にデザイナーとして映画界デビューを飾ったこと、1993年に5つ目のオスカー(名誉アカデミー賞。それ以前には4つの外国語映画賞を受賞)を受賞したこと、70歳のバースデー・パーティーにピノキオの扮装をしたこと……。
 ベネチア国際映画祭2013 アウト・オブ・コンペティション部門出品。


 ・“Home From Home - Chronicle of a Vision(Die Andere Heimat - Chronik einer Sehnsucht)”(独・仏) 監督:Edgar Reitz [北米プレミア]
 出演:Jan Schneider、ヴェルナー・ヘルツォーク、Marita Breuer、Maximilian Scheidt、Julia Prochnow、Mélanie Fouché、Konstantin Buchholz
 物語:19世紀半ばのドイツ、ラインラント=プファルツ州ライン=フンスリュック郡の村。村民は、村を出て行くか、とどまるか、決断を迫られるほど厳しい状況に追い込まれている。主人公は、農夫の息子ヤコブで、彼は、自由と明るい未来を求めて、ガールフレンドとともに、ブラジルに移民したいと考えている。しかし、軍隊から兄が帰ってきて、事情が一変する。
 TVで放映された「Heimat」3部作の続編。
 ベネチア国際映画祭2013 アウト・オブ・コンペティション部門出品。

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 ・“Concrete Night”(フィンランド・スウェーデン・デンマーク) 監督:ピルヨ・ホンカサロ(Pirjo Honkasalo) [ワールド・プレミア]
 物語:シモは14歳で、まだ自我が芽生えておらず、自分で自分を守る術も知らない。彼は、無力なシングル・マザーの母と、年の離れた兄イッカとともに、ヘルシンキで暮らしている。イッカは犯罪を犯して、刑務所に収監されることになっているが、1日だけ自由が与えられ、その1日を兄弟2人きりで過すことになる。2人は、その夜、思いもかけない光景を目撃する。そうしたことに免疫のないシモは、目にしたものをそのままストレートに受け止める。そこにたまたま1人のカメラマンが通りかかり、シモに別の受け止め方を示そうとする……。
 『白夜の時を越えて』のピルヨ・ホンカサロ監督最新作。


 ・“Closed Curtain(Parde)”(イラン) 監督:Kambozia Partovi、ジャファール・パナヒ [北米プレミア]
 出演:Kamboziya Partovi、Maryam Moghadam、ジャファール・パナヒ、Hadi Saeedi、Azadeh Toradi、Agha Olia、Zeynab Khanum
 物語:2人はともに逃走中である。犬を連れた男は、犬を飼うことを認められていない。というのも、犬はイスラム法上では汚らしいものと見なされているからだ。一方、若い女はカスピ海沿岸で違法のパーティーに参加した。彼らは、ともに、人里はなれた山荘に閉じこもって、カーテンを閉め、相手の様子を窺っている。彼はなぜ頭を丸めたのか? 彼女はどうして彼が警察に包囲されていることを知ったのか? 遠くで警察の声が聞こえるが、それも海の音にかき消される。一度だけ、彼らが同時に夜空の星を見上げたことがあったが、すぐにまた彼らは壁の中へと姿を消していった。
 ベリリン国際映画祭2013 コンペティション部門出品。脚本賞(銀熊賞)受賞。


 ・“Norte, The End of History(Norte, Hangganan ng Kasaysayan)”(フィリピン) 監督:ラヴ・ディアス(Lav Diaz) [北米プレミア]
 物語:ファビアンは、法学生で、学生仲間が行なった、フィリピン社会について説得力のある演説を聴いて感動する。一方、ホアキンは、妻と2人の子を抱えているが、足の傷のために満足に働くこともできず、貧困に喘いでいる。ファビアンとホアキンをつなぐのが、マグダという借金取りで、彼女は、ホアキンから厳しく借金を取り立てる一方で、自堕落な生活を送るファビアンに資金提供を行なっていた。マグダが殺された時、真っ先に疑われたのが、ホアキンで、彼は免罪を着せられて、刑務所に入れられる。
 4時間の大作。
 カンヌ国際映画祭2013 ある視点部門出品。


 ・“A Touch of Sin(Tian zhu ding/天注定)”(中・日) 監督:ジャ・ジャンクー [北米プレミア]
 出演:チアン・ウー(姜武)、ワン・バオチャン(王宝強)、チャオ・タオ、罗藍山、張嘉譯、李梦
 物語:鉱夫が村の指導者が不正を働いていたことを知り、復讐をしようと目論む。新年に家に帰った出稼ぎ労働者が銃さえあれば簡単にお金が稼げるのではないかと考える。客に暴行を振舞われたサウナの受付嬢が、怒って、刃物を振り回す。よりよい生活を求める若者が長時間労働と心理的な虐待に耐える。
 中国絵画の四联画のスタイルにならって、4つの町を舞台にした4人の主人公の物語。
 英題の“A Touch of Sin”は、キン・フーの『俠女』の英題“A Touch of Zen”のもじりで、武俠映画へのオマージュ。
 カンヌ国際映画祭2013 コンペティション部門出品。脚本賞受賞。


 ・“Moebius”(韓) 監督:キム・ギドク [北米プレミア]
 出演:チョ・ジェヒョン、ソ・ヨンジュ、Lee Eun-woo
 物語:母が父の不倫に対し、怒りをぶつける。母は、父のペニスを切り落とそうとするが、失敗し、無関係だったはずの息子を傷つけて終わる。父は、この悲劇を巻き起こした元凶は、自分のペニスにあると考え、自分で自分のペニスを切り落とす。騒動は、いったんは治まったと思われたが、妻が帰って来た時、一家はさらに恐ろしい破滅へと向かう。
 キム・ギドクの分身とも言われたチョ・ジェヒョン起用は『悪い男』(2001)以来。

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 ・“Our Sunhi(Uri Sunhi)”(韓) 監督:ホン・サンス [北米プレミア]
 出演:チョン・ユミ、イ・ソンギュン、キム・サンジュン、チョン・ジェヨン、イ・ミヌ
 物語:スンヒは映画学校の卒業生で、アメリカに留学するための推薦状をもらおうとして、チェ教授の元を訪れる。その日、彼女は、元カレのムンスと、監督デビューした同級生のチェハクと出会う。3人の男性は、皆、彼女にアドバイスするが、そんなに彼女のことを知りもしないくせに、いずれも彼女について決めつけるように話した。奇妙なことに3人とも同じような意見を持ち、同じような表現の仕方をした。彼らの話すスンヒは本人とはどんどんズレていくように思われた。幸いにして教授から優れた推薦状が届く。彼女は、褒めるにしても、本当のことを書いてほしいと考えていたが、期待通りというわけにはいかなかった。
 ロカルノ国際映画祭2013 インターナショナル・コンペティション部門出品。監督賞受賞。


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 *当ブログ記事

 ・トロント国際映画祭2013 ラインナップ その1.GALA、SPECIAL PRESENTATIONS:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201307/article_21.html
 ・トロント国際映画祭2013 ラインナップ その2.SPECIAL PRESENTATIONS:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201307/article_22.html
 ・トロント国際映画祭2013 ラインナップ その3.CITY TO CITY、MIDNIGHT MADNESS:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201307/article_25.html
 ・トロント国際映画祭2013 ラインナップ その4.TIFF DOCS、VANGUARD:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201308/article_1.html
 ・トロント国際映画祭2013 ラインナップ その5.カナダ作品:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201308/article_11.html
 ・トロント国際映画祭2013 ラインナップ その6.GALA、SPECIAL PRESENTATIONS、TIFF KIDS:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201308/article_14.html
 ・トロント国際映画祭2013 ラインナップ その7.CONTEMPORARY WORLD CINEMA部門:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201309/article_13.html
 ・トロント国際映画祭2013 ラインナップ その8.CONTEMPORARY WORLD CINEMA部門(続き):http://umikarahajimaru.at.webry.info/201309/article_15.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2013年5月~12月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_9.html

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