インディーズ祭り! ナンタケット映画祭2013 受賞結果!

 第18回ナンタケット映画祭(6月26日-30日)の各賞が発表されました。

 【ナンタケット映画祭】

 ナンタケット映画祭(The Nantucket Film Festival)は、映画における脚本の重要性を知らしめ、賛えることを趣旨として、1996年からアメリカのマサチューセッツ州ナンタケットで始められた映画祭です。

 ――と言う風に、ナンタケット映画祭について、公式には説明され、実際にも脚本を主眼においたコンペティションや、脚本のコンテストが行なわれたりしていますが、実質的には、この映画祭は、その年の前半に、アメリカ国内でお披露目された主だった国産インディペンデント映画を上映する重要なイベントとなっています。

 ナンタケット映画祭の長編作品のラインナップを見てみるとわかりますが(文末参照)、2013年の国産のインディペンデント映画の主だったものが、ほとんどその中に含まれています。試みに、サンダンス映画祭での上映作品(および受賞作品)とSXSW映画祭での上映作品(および受賞作品)に印をつけてみましたが、そうした作品を中心に作品集めをし、ラインナップを組んでいるのは明らかです。

 サンダンス映画祭の開催地はユタであり、SXSW映画祭の開催地はオースティンで、AFI Docs(シルバードックス・ドキュメンタリー映画祭)の開催地はメリーランド州シルバースプリングスというわけで、それぞれ開催地もバラバラだし、これまでこういった作品をまとめて観る機会がなかったのを、ナンタケット映画祭という映画祭を設けることで、(特に東海岸の住人に向けての)鑑賞機会を創出したのだろうと考えられます。

 ちなみに、今回の長編作品のラインナップは、
 ナラティヴ作品:22本+旧作1本
 ドキュメンタリー作品:22本+旧作1本
 アニメーション作品:1本
 という内訳になっています。

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 ◆最優秀脚本賞 長編部門(Showtime Tony Cox Award for Best Screenwriting in a Feature Film)
 ◎Destin Daniel Cretton “Short Term 12”

 “Short Term 12”(米) 監督:Destin Daniel Cretton
 物語:グレースは、20代で、保護の必要なティーンエージャーをケアする保護施設の職員をしている。彼女は、情熱的でタフであり、同僚で、長い間つきあっているボーイフレンドのメイソンとともに子供たちの面倒を見ている。しかし、才能があるが、問題を抱えている少女が新しい入居者としてやってきたことで、彼女は、自分の過去と将来に向き合わざるを得なくなり、混乱に陥る。
 出演:ブリー・ラーソン(Brie Larson)、ジョン・ギャラガー・ジュニア(John Gallagher Jr.)、ケイトリン・デヴァー(Kaitlyn Dever)、ラミ・マレック(Rami Malek)、Keith Stanfield、Kevin Hernandez、メローラ・ウォルターズ(Melora Walters)、ステファニー・ベアトリス(Stephanie Beatriz)、Lydia Du Veaux、Alex Calloway
 SXSW映画祭2013 長編ナラティヴ・コンペティション部門出品。グランプリ受賞。
 ロサンゼルス映画祭2013 観客賞ナラティヴ部門受賞。

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 ◆最優秀脚本賞 短編部門(Showtime Tony Cox Award for Best Screenwriting in a Short Film)
 ◎Goran Dukic “What Do We Have in Our Pockets?”(イスラエル)

 “What Do We Have in Our Pockets?”(イスラエル) 監督:Goran Dukic
 物語:若者のポケットの中にあった物が動き出し、思いもかけないラブストーリーが始まる。

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 ◆観客賞 長編部門(Audience Award for Best Feature)
 ◎“Life According to Sam”(米) 監督:ショーン・ファイン(Sean Fine)、アンドレア・ニックス・ファイン(Andrea Nix Fine)
 早老症は、非常に珍しい病気で、命に関わる難病だが、いまのところ治療法は見つかっていない。サムの両親が、早老症にかかった息子のために、医者から言われたことは、できる限り彼を楽しませてくださいということだけだった。しかし、彼ら自身も医者であり、サムのため、そして世界中のこの病気で苦しむ子供たちのために、キャンペーンを行ない、それは驚くべき発見をもたらしていく。そして、今年、サムは17歳になる。
 『ウォー・ダンス/響け僕らの鼓動』で米国アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされたショーン・ファイン&アンドレア・ニックス・ファインの最新作。
 サンダンス映画祭2013出品。
 AFI Docs 2013 ベスト・オブ・フェスト。

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 ◆観客賞 短編部門(Audience Award for Best Short Film)
 ◎“Fresh Guacamole”(米) 監督:PES
 物語:手榴弾をカットして、中身を出し、野球のボールを、文字通り、賽の目に切り刻む。ゴルフボールを絞り、電球はフィラメントを取り除いてピーマンのように刻む。これらをあわせて、チェスの駒から香辛料を振りかけ、まぜたら、できあがり。ゲームのチップを、クッキー代わりに使って、上に乗せて、召し上がれ!
 アヌシー国際アニメーションフェスティバル2012 短編コンペティション部門出品。
 オタワ国際アニメーションフェスティバル2012 物語部門(Narrative)出品。
 米国アカデミー賞2013 短編アニメーション賞ノミネート。
 *動画: http://www.wimp.com/guacamolepes/

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 ◆最優秀脚本・監督賞(Vimeo Award for Best Writer/Director)
 脚本家と監督を兼業する優れた個人に贈られる。
 ◎Ryan Coogler “Fruitvale Station”(米)

 “Fruitvale Station”(米) 監督:Ryan Coogler
 出演:マイケル・B・ジョーダン、オクタヴィア・スペンサー、メロニー・ディアス、Ahna O'Reilly、ケヴィン・デュランド、チャド・マイケル・マーレイ
 物語:2008年の大晦日から2009年の元日かけて実際に起こった事件を映画化した作品。オスカー・グラントは、アフリカン・アメリカンの22歳の青年。彼は、カリフォルニア州オークランドで、ベイエリア高速通勤鉄道の警察官に射殺される。そんな彼の人生最後の日を描く。
 監督のRyan Cooglerは、26歳で、これが初監督長編。フォレスト・ウィテカーをプロデューサーに、マイケル・B・ジョーダンを主演男優に、“Sound of My Voice”のRachel Morrisonを撮影監督に迎え、さらにオスカー女優のオクタヴィア・スペンサーのサポートも得て、本作を完成させた。
 サンダンス映画祭2013 審査員グランプリ&観客賞受賞。
 カンヌ国際映画祭2013 ある視点部門出品。フューチャー賞受賞。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2013 ホライズンズ部門出品。


 ◆エイドリアン・シェリー フィルムメーカー賞(Adrienne Shelley Excellence in Filmmaking Award)
 エイドリアン・シェリー・ファウンデーションのサポートにより、映画祭出品作を対象として、優れた女性フィルムメーカーに贈られる。
 ◎Penny Lane “Our Nixon”

 “Our Nixon”(米) 監督:Penny Lane
 チャップリン(Chapin)、エーリッヒマン(Ehrlichman)、ハルドマン(Haldeman)というフィルムメーカーたちが、ウォーターゲート事件に関わる人々に対して、スーパー8で撮影した500リールのテープがある。しかし、それは、FBIによって、没収され、保管された。そのテープが最近になって公開され、ニクソン時代のホワイトハウスの日々の悪計や陰謀が明らかになった。本作は、それらを編集し、ウォーターゲート・マニアや初心者にもよくわかるように解説を加えたものである。
 SXSW映画祭2013 VISIONS部門出品。
 AFI Docs 2013 ベスト・オブ・フェスト。

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 ◆長編脚本コンペティション賞(Showtime’s Tony Cox Feature Film Screenplay Competition Award)
 ◎“Cake” Patrick Tobin

 ◆短編脚本コンペティション賞(Showtime’s Tony Cox Short Film Screenplay Competition Award)
 ◎“The Bravest, The Boldest” Eric Fallen、Moon Molson

 ◆1時間TVドラマ・パイロット版コンペティション賞(2013 Television Pilot (Hour-Long) Competition Winner)
 ◎“The Messiah Project” David Baugnon

 ◆30分TVドラマ・パイロット版コンペティション賞(2013 Television Pilot (Half Hour-­Long) Competition Winner)
 ◎“Time Out” Ian McWethy

 ◆短編映画審査員賞 作品賞(Short Film Jury Award for Best Short Film)
 ◎Mick Andrews、Brett O' Gorman “Dotty”(ニュージーランド)
 物語:頑固な老女が何とかして携帯メールを自分の娘に送ろうとする。

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 ◆短編映画審査員賞スペシャル・メンション 撮影賞(Short Film Jury special mention for Cinematography)
 ◎“Atlantic Avenue”(仏) 監督:Laure de Clermont
 物語:思いも寄らない出会いがあって、車椅子の少女と、ストリートでセックスワーカーをしている男性が知り合う。

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 ◆ティーン審査員賞(The Teen View Jury Award)
 ナンタケットのティーンエージャーたちに、映画祭で上映される短編(今回は30作品)について、鑑賞、分析、議論を通して、批評的映画分析の基本を学んでもらい、その過程で、最も刺激的な議論を呼び起こした作品の監督に、賞を贈る。
 ◎“Fortune House”(米) 監督:Matthew Bonifacio
 物語:フォーチュンクッキーを信じることで、孤独な青年とウェイトレスの人生に新たな意味がもたらされる。

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 〈ナンタケット映画祭2013 長編作品ラインナップ〉

 【オープニング・デイ作品】
 ・『モンスターズ・ユニバーシティ』(米) 監督:ダン・スキャンロン

 【オープニング・ナイト作品】
 ・“Twenty Feet From Stardom”(米) 監督:Morgan Neville [ドキュメンタリー] ☆、SXSW

 【センターピース】
 ・“In A World…”(米) 監督:レイク・ベル(Lake Bell) ★

 【クロージング・ナイト作品】
 ・“Ain’t Them Bodies Saints”(米) 監督:David Lowery ★

 【スポットライト作品】
 ・“Blackfish”(米) 監督:Gabriela Cowperthwaite [ドキュメンタリー] ☆
 ・“Drinking Buddies”(米) 監督:Joe Swanberg SXSW
 ・“Girl Most Likely”(米) 監督:Robert Pulcini、Shari Springer Berman
 ・“Running From Crazy”(米) 監督:バーバラ・コップル [ドキュメンタリー] △、TFF

 【フィーチャー・フィルムズ】
 [ナラティヴ作品]
 ・“A.C.O.D.”(米) 監督:Stuart Zicherman △
 ・“Autenland”(米・英) 監督:ジェルーシャ・ヘス(Jerusha Hess) ☆
 ・“C.O.G.”(米) 脚本・監督:Kyle Patrick Alvarez ☆
 ・“The Cold Lands”(米) 監督:Tom Gilroy
 ・“Concussion”(米) 脚本・監督:Stacie Passon ☆
 ・“Fruitvale Station”(米) 脚本・監督:Ryan Coogler ★
 ・“Lily”(米) 監督:Matt Creed TFF
 ・“Newlyweeds”(米) 監督:Shaka King △
 ・“Northern Borders”(米) 監督:Jay Craven
 ・“Pasadena”(米) 監督:Will Slocombe
 ・“Short Term 12”(米) 監督:Destin Daniel Cretton SXSW◎
 ・“Some Girl(s)”(米) 監督:Daisy Von Scherler Mayer SXSW
 ・“The Spectacular Now”(米) 監督:James Ponsoldt ★、SXSW
 ・“Touchy Feely”(米) 脚本・監督:Lynn Shelton ☆
 ・“Haute Cuisine(Les saveurs du Palais)”(仏) 監督:クリスチャン・ヴァンサン TFF
 ・『偽りなき者』(デンマーク) 監督:トマス・ヴィンターベア
 ・“Wadjda”(サウジアラビア・独) 脚本・監督:Haifaa Al Mansour TFF
 ・“Crystal Fairy”(チリ) 監督:セバスチャン・シルヴァ(Sebastian Silva) ★

 [ドキュメンタリー作品]
 ・“Anita”(米) 監督:Freida Mock △
 ・“Blood Brother”(米) 監督:Steve Hoover ★
 ・“The Crash Reel”(米) 監督:ルーシー・ウォーカー △、SXSW◎
 ・“Cutie And The Boxer”(米) 監督:Zachary Heinzerling ★、TFF
 ・“The Director”(米) 監督:Christina Voros TFF
 ・“First Comes Loves”(米) 監督:Nina Davenport
 ・“Gideon’s Army”(米) 脚本・監督:Dawn Porter ★
 ・“God Loves Uganda”(米) 監督:Roger Ross Williams ☆
 ・“Good Ol’Freda”(米・英) 脚本:Jessica Lawson、Ryan White 監督:Ryan White SXSW
 ・“Haiti Redux”(米) 監督:Fredric King
 ・“I Learn America”(米) 監督:Jean-Michael Dissard、Gitte Peng
 ・“Life According to Sam”(米) 監督:ショーン・ファイン(Sean Fine)、アンドレア・ニックス・ファイン(Andrea Nix Fine) ☆
 ・“Lost For Life”(米) 監督:Joshua Rofé
 ・“Maidentrip”(米・オーストリア・エクアドル・仏領ポリネシア・オランダ・オランダ領アンティル・パナマ・南ア) 監督:Jillian Schlesinger SXSW◎
 ・“Money For Nothing”(米・カナダ) 監督:Jim Bruce
 ・“Muscle Shoals”(米) 監督:Greg “Freddy” Camalier △、SXSW
 ・“Our Nixon”(米) 監督:Penny Lane SXSW
 ・“The Short Game”(米) 監督:Josh Greenbaum SXSW◎
 ・“Two Who Dared:The Sharps’ War”(米) 監督:Artemis Joukowsky Iii
 ・“Wood / Sail / Dreams”(米) 脚本・監督:John Stanton

 【ビーチ・スクリーニング】
 ・『プリンセス・ブライド・ストーリー』(1987/米) 監督:ロブ・ライナー
 ・『WARARIDORI』(2001/仏) 監督:ジャック・ペラン

 ★:サンダンス映画祭2013 受賞作品
 ☆:サンダンス映画祭2013 コンペティション部門出品作品
 △:サンダンス映画祭2013 コンペティション部門以外の出品作品
 SXSW◎:SXSW映画祭2013受賞作品
 SXSW:SXSW映画祭2013出品作品
 TFF:トライベッカ映画祭2013 上映作品

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 *当ブログ記事

 ・サンダンス映画祭2013 コンペティション部門 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201212/article_6.html
 ・サンダンス映画祭2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201301/article_62.html

 ・SXSW映画祭2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_16.html

 ・AFI Docs 2013 ベスト・オブ・フェスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201306/article_25.html

 ・ロサンゼルス映画祭2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201306/article_24.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2013年5月~12月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_9.html

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