注目作多し! フレームライン映画祭2013 受賞結果!

 第37回フレームライン映画祭/サンフランシスコ国際LGBT映画祭(Frameline, San Francisco International LGBT Film Festival)(6月20日-30日)の各賞が発表されました。

 【フレームライン映画祭/サンフランシスコ国際LGBT映画祭】

 フレームライン映画祭/サンフランシスコ国際LGBT映画祭は、1977年に始まった映画祭で、LGBTの映画祭としては、世界で最も長く続いている映画祭であり、毎回6万~8万人の観客を動員するという世界最大規模のLGBT映画祭でもあります。

 映画祭の呼び方は何通りかあって、運営組織Framelineの名前を冠して、「フレームライン・サンフランシスコ国際LGBT映画祭」(Frameline, San Francisco International LGBT Film Festival)と呼ばれることもあれば、単に「フレームライン」(Frameline)とか、「フレームライン映画祭」(Frameline Film Festival)と呼ばれたり、大会の回数をつけて「フレームライン37」(Frameline37)というように呼ばれたりもしています。

 過去の受賞作には、『パトリックは1.5歳』(2009年観客賞)、『双子のデュオ〜アンタッチャブル・ガールズ』(2010年観客賞(ドキュメンタリー部門))、『波に流されて』(2010年第1回作品賞)、『トムボーイ』(2011年観客賞)、『ウィークエンド』(2011年Volunteer of the Year)、“Call Me Kuchu”(2012年観客賞(ドキュメンタリー部門))、“My Brother the Devil”(2012年第1回作品賞スペシャル・メンション)などがあり、前回大会では、宮崎光代監督の“TSUYAKO”が観客賞(短編部門)を受賞しています。

 東京には、時期を前後して開催される、東京国際レズビアン&ゲイ映画祭がありますが、サンフランシスコ国際LGBT映画祭の受賞作品が東京国際レズビアン&ゲイ映画祭のプログラムに組まれていたりするケースも多く、結果的に、受賞作品がいち早く日本で観られるという状況にもなっています。

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 ◆第1回作品賞(Wells Fargo First Feature prize)
 ◎『アウト・イン・ザ・ダーク』“Out in the Dark”(イスラエル・米) 監督:マイケル・メイヤー(Michael Mayer)
 出演:Nicholas Jacob、Michael Aloni
 物語:若い2人の男性、パレスチナ人の大学院生とイスラエル人の弁護士が出会って、恋に落ちる。政治的状況に関係なく、彼らの愛は深まっていくが、同性愛はパレスチナ社会では受け入れられず、またパレスチナ人はイスラエル社会には受け入れられないという厳しい現実に突き当たる。
 トロント国際映画祭2012 DISCOVERY部門出品。
 東京国際レズビアン&ゲイ映画祭2013にて上映。


 ◆第1回作品賞 オナラブル・メンション(Honorable Mention, First Feature)
 ◎“Concussion”(米) 監督:Stacie Passon
 出演:ロビン・ワイガート、マギー・シフ、ジョナサン・チャイコフスキー、Julie Fain Lawrence、エミリー・キニー、ライラ・ロビンス
 物語:アビーは、野球をしていて頭を打ち、脳震盪を起こして病院に入院する。彼女は、レズビアンで、ニューヨークで離婚弁護士として成功しているケイトと結婚して、郊外に住み、子供も2人いた。ケイトとの暮らしでは、彼女は家事を担当していたが、日々の生活は同じことの繰り返しで、彼女は単調さを感じていた。入院を機に、彼女は、市内に持っていたロフトをリフォームすることを思いつき、それに熱中する。もう1軒の家とそのリフォームは、二重生活を送ることのいい口実になり、彼女は、刺激を求めて女相手の娼婦に手を出す。そうした自己充足に向けた彼女自身の「リニューアル」は、彼女を元の生活へ戻れなくする。たとえそれが大きな代償を払うことになるとわかっていても。
 ゴッサム・アワード2012 女性フィルムメーカー スポットライト賞受賞。
 サンダンス映画祭2013出品。
 ベルリン国際映画祭2013 パノラマ部門出品。テディー賞審査員賞受賞。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2013 アナザー・ビュー部門出品。


 ◆最優秀ドキュメンタリー賞(Outstanding Documentary)
 ◎“Valentine Road”(米) 監督:Marta Cunningham
 2008年2月12日、カリフォルニア州オクスナード。中学に通うブランドン・マキナニー(14歳)が、クラスメートのラリー・キング(15歳)に向けて、2発の銃弾を発砲し、2日後に、ラリーは死亡する。ラリーは、ゲイであることにオープンで、10歳でカミングアウトし、学校にも化粧をし、ハイヒールをはいて通っていた。ブランドンの弁護サイドは、ラリーが殺されたのは、ゲイであったラリー自身にも問題があったのではないかという主張を展開する。監督のMarta Cunninghamは、センセーショナルな殺人事件という以上に、事件に潜む難しい側面に注目し、ラリーの友だちや教師、擁護者たちはもちろん、ブランドンを愛する人々にも話を聞き、異なる人生を送った2人の少年について調べていき、さらに、ブランドンに対する告発側と弁護側のそれぞれの主張や、「ノーマル」ではない性に対する若年層の不寛容についても明らかにしていく。本作は、ホモフォビアにおける2人の犠牲者(ブランドンとラリー)の物語であり、それに対し、コミュニティーがどう反応したかを探るドキュメンタリーである。
 サンダンス映画祭2013出品。

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 ◆最優秀ドキュメンタリー賞 オナラブル・メンション(Honorable Mention, Outstanding Documentary)
 ◎“The New Black”(米) 監督:Yoruba Richen
 同性婚は、黒人社会でも、意見を二分する大きな問題となる。というのも、アフリカン・アメリカンのコミュニティーの1つの柱である教会には、長らくホモフォビアの伝統があるからだ。本作では、メリーランド州の結婚の平等に関する闘争に焦点を当て、人権問題の根幹にも関わる、ゲイと黒人という、複雑に絡み合った問題に迫っていく。
 ロサンゼルス映画祭2013 ドキュメンタリー・コンペティション部門出品。
 AFI Docs 2012 ベスト・オブ・フェスト。

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 ◎“Big Joy: The Adventures of James Broughton”(米) 監督:Eric Slade、Stephen Silha、Dawn Logsdson
 Big Joyとは、30年代に活躍した実験映画のパイオニアで、サンフランシスコでビートニクの先駆者となった詩人界のトリックスター、ジェームズ・ブロートン(James Broughton)(1913-1999)のことである。本作は.2013年に生誕100年を迎えた彼に関するドキュメンタリーで、彼がどのような人生を送り、どのようなアートを生み出して、「自分の特異性を受け入れること」(follow your own weird)と自ら語った生き方を展開させたのかを明らかにする。彼の映像作品や、その独特な詩の世界はもちろん、60歳で出会い、死ぬまで添い遂げることになる40歳も年下のジョエル・シンガーとの関係をはじめ、専門家や友人、仲間、恋人たちなどへのインタビューを交え、彼の人生と作品を振り返る。
 SXSW映画祭2013 ドキュメンタリー・コンペティション部門出品。
 香港国際映画祭2013「ジェームズ・ブロートン 幸福の100年(James Broughton 100years of Happiness)」にて上映。
 トライベッカ映画祭2013出品。

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 ◆観客賞 フィーチャー部門(The Audience award for Best Feature)
 ◎“Reaching for the Moon(Flores Raras)”(ブラジル) 監督:Bruno Barreto
 出演:トリート・ウィリアムズ、ミランダ・オットー、Glória Pires、トレイシー・ミッテンドーフ
 物語:1951年、大学から得た奨学金を元に南米一周の旅に出たエリザベス・ビショップは、短期間滞在するつもりだったブラジルで、リオ・デ・ジャネイロの名士で建築家のロタ・デ・マチェード・ソアレスと出会い、その後、15年間にわたって、リオで同棲することになる。彼女は、そこで詩人としての才能を花開かせるが、ソアレスの建築プロジェクトの難航、彼女にソアレスを奪われたマリーの恨み、政府のクーデターなどあり、彼女自身もアル中になって、2人の関係は悪化の一途をたどり、エリザベスはアメリカへと帰ることになる。ソアレスは、彼女を追って、アメリカに向かうが、関係の修復はかなわず、1967年に自殺してしまう……。
 原作はCarmen Oliveiraの“Rare and Common Place Flowers”。
 ベルリン国際映画祭2013 パノラマ部門出品。観客賞2位。

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 ◆観客賞 ドキュメンタリー部門(The Audience award for Best Documentary)
 ◎“The New Black”(米) 監督:Yoruba Richen

 ◆観客賞 短編部門
 ◎“Dik”(オーストラリア) 監督:クリストファー・ストレーリー(Chris Stollery)
 物語:6歳の少年が、学校の課題を家に持ち帰る。それを見た両親は、息子(と自分たち)の性的指向について、考えさせられることになる。
 俳優クリストファー・ストレーリーが監督した短編。
 オーストラリアKodak Inside Film Awards 2011 短編賞ノミネート。

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 ◆フレームライン・アワード(2013 Frameline Award)
 ◎ジェイミー・バビット(『GO!GO!チアーズ!』などで知られる監督)

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 フレームライン・アワードは、LBGTQに貢献したと認められた個人に贈られる賞で、過去には、ディヴァイン、ロバート・エプスタイン、スタンリー・クワン、バーバラ・ハマー、アイザック・ジュリアン、グレッグ・アラキ、フランソワ・オゾンらに贈られています。

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 LGBTというカテゴリーでくくられた映画祭の受賞作品ですが、もう既にいくつもの映画祭・映画賞で受賞を重ねている作品もあり、今後の賞レースでも善戦するのではないかと期待させてくれる作品が多数あります。

 たぶん、いくつかの作品は何らかの形で日本でも紹介されることになるのでないでしょうか。

 要注目ですね。

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 *当ブログ記事

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2013年5月~12月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_9.html

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