ロサンゼルス映画祭2013 受賞結果!

 ロサンゼルス映画祭(6月13日-23日)2013の受賞結果です。

 【ロサンゼルス映画祭】

 ロサンゼルス映画祭は、前身がロサンゼルス・インディペンデント映画祭(1995年スタート)で、2001年よりロサンゼルスを拠点とするFilm Independent(前身はIFP)に吸収されて、ロサンゼルス映画祭となり、インディペンデント映画、ドキュメンタリー映画、短編映画、ミュージック・ビデオに特化した映画祭となっています。

 米国内で開催される映画祭規模としては、中規模で、約40カ国から、100本の長編、100本の短編、50本のミュージック・ビデオが上映され、約8万人の観客が来場する、という風に説明されています。(東京国際映画祭で総来場者数は公称約30万人です。)

 基本的には、無名の監督の知られざる作品ばかりですが、その中から新たな才能を見出すところに、この映画祭の醍醐味があるのだろうと思います。(ラインナップには、先行する映画祭で上映されて、話題になった作品も少なからず含まれている一方で、ワールド・プレミア作品のエントリーにも積極的であるようです。)

 過去の受賞作品の中には、米国アカデミー賞ドキュメンタリー賞にノミネートされた『フロム・イーブル~バチカンを震撼させた悪魔の神父~』“Deliver Us from Evil”や『ヤング@ハート』、『ソウル・パワー』、昨年の東京国際映画祭で上映されたチリ映画『木曜から日曜まで』、短編では、米国アカデミー賞2010短編映画賞にもノミネートされた『アブラカタブラ』“Instead of Abracadabra”などがあります。

 また、昨年は、『ハッシュパピー~バスタブ島の少女~』や『シュガーマン 奇跡に愛された男』が観客賞を受賞しています。

 今年の受賞結果は、以下の通りです。

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 【ナラティヴ・コンペティション部門】

 ◆最優秀ナラティヴ作品賞(DIRECTV Narrative Award (for Best Narrative Feature))
 ◎“Mother, I Love You(Mammu, es Tevi mīlu)”(ラトヴィア) 監督:Janis Nords [北米プレミア]
 物語:Raimondsは、思春期にあり、好奇心旺盛で、機転が利き、サキソフォンが得意だった。彼の母親は、忙しく、母が戻るまで、彼はよく独りで過ごしていた。ある放課後、彼は、友だちのPeterisと一緒にいて、旅行中のビジネスマンの住むアパートの鍵を見つけ、中に入り込む。彼らは、その部屋からお金を盗むが、住人には気づかれないだろうと考えた。ところが、母親とケンカして、家を飛び出したことがきっかけとなって、すべてが狂い出す。拙い判断をしたおかげで大事なサキソフォンを無くしてしまうし、Peterisとの友情や母親との信頼関係にもひびが入りそうになる……。
 ベルリン国際映画祭2013 ジェネレーション Kplus部門出品。インターナショナル審査員賞受賞。
 ズリーン国際映画祭2013 パノラマ部門出品。ECFA Award受賞。

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 ◆最優秀パフォーマンス賞(Best Performance in the Narrative Competition)
 ◎Geetanjali Thapa “I.D.”(インド) 監督:Kamal K.M. [北米プレミア]
 物語:壁の塗装職人が、インドの若い中流階級の女性のフラットで仕事をしている最中に倒れる。彼女は、彼を病院に連れて行くが、彼はそのまま亡くなってしまう。彼について身元も何も知らない彼女は、快適なフラットを出て、彼の身柄を渡せる相手を探して、数百万もの移民が住む、インドのスラム街をさまよう。
 実話に基づく物語。
 釜山国際映画祭2012 アジアの窓部門出品。
 ムンバイ映画祭2012 インディア・ゴールド部門出品。
 エジンバラ国際映画祭2013 インターナショナル長編コンペティション部門出品。

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 [その他のナラティヴ・コンペティション部門エントリー作品]
 ・“My Sister’s Quinceanera”(オランダ・米) 監督:Aaron Douglas Johnston [北米プレミア]
 ・“All Together Now”(米) 監督:Alexander Mirecki [ワールド・プレミア]
 ・“Forev”(米) 監督:Molly Green、James Leffler [ワールド・プレミア]
 ・“Forty Years From Yesterday”(米) 監督:Robert Machoian、Rodrigo Ojeda-Beck [ワールド・プレミア]
 ・“Four Dogs”(米) 監督:Joe Burke [ワールド・プレミア]
 ・“Goodbye World”(米) 監督:Denis Henry Hennelly [ワールド・プレミア]
 ・“The House That Jack Built”(米) 監督:Henry Barrial [ワールド・プレミア]
 ・“Pollywogs”(米) 監督:Karl Jacob、T. Arthur Cottam [ワールド・プレミア]
 ・“Winter in the Blood”(米) 監督:Andrew Smith、Alex Smith [ワールド・プレミア]
 ・“Workers”(メキシコ・独) 監督:José Luis Valle [USプレミア]

 【ドキュメンタリー・コンペティション部門】

 ◆最優秀ドキュメンタリー賞(DIRECTV Documentary Award (for Best Documentary Feature))
 ◎“Code Black”(米) 監督:Ryan McGarry [ワールド・プレミア]
 人手も予算も少なく、公共病院の待合室は、いつも救急患者であふれている……。
 1968年に、ロサンゼルス郡立病院は、USCとの連携を得て、LAC-USCメディカル・センターを設立したが、それはアメリカで初めてのアカデミックな救急医療機関となった。本作は、世代交代が進むロサンゼルス郡で、救急医療のために働く、理想主義的で、エネルギッシュな若い医師たちのチームの活動を追う。

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 ◆観客賞 ドキュメンタリー部門(Audience Award for Best Documentary Feature)
 ◎“American Revolutionary: The Evolution of Grace Lee Boggs”(米) 監督:Grace Lee [ワールド・プレミア]
 フェミニスト、社会活動家として知られるGrace Lee Boggsに関するドキュメンタリー。ロードアイランドの中流の中国系移民の一家に生まれたGrace Lee Boggsは、1930年代にアメリカのバーナード大学で教育を受け、アメリカ社会の不平等性を痛感する。以後、80年にわたって、彼女は、優れた教育方針と知性により、アメリカ社会の現状を変えることに尽力し、アフリカン・アメリカンの人権運動におけるアイコンになった。97歳になった現在もまだ、彼女は、休むことなく働き、老若男女に教育指導している。

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 [その他のドキュメンタリー・コンペティション部門エントリー作品]
 ・“Rain”(ベルギー) 監督:Olivia Rochette、Gerard-Jan Claes [USプレミア]
 ・“My Stolen Revolution”(ノルウェー・スウェーデン・英・米) 監督:Nahid Persson Sarvestani
 ・“All of Me”(米) 監督:Alexandra Lescaze [ワールド・プレミア]
 ・“The Island of St. Matthews”(米) 監督:Kevin Jerome Everson [ワールド・プレミア]
 ・“Llyn Foulkes One Man Band”(米) 監督:Tamar Halpern、Chris Quilty [ワールド・プレミア]
 ・“The New Black”(米) 監督:Yoruba Richen [ワールド・プレミア]
 ・“Tapia”(米) 監督:Eddie Alcazar [ワールド・プレミア]
 ・“Purgatorio”(メキシコ・米) 監督:Rodrigo Reyes [USプレミア]

 【その他の賞】

 ◆観客賞 ナラティヴ部門(Audience Award for Best Narrative Feature)
 ◎“Short Term 12”(米) 監督:Destin Daniel Cretton
 物語:グレースは、20代で、保護の必要なティーンエージャーをケアする保護施設の職員をしている。彼女は、情熱的でタフであり、同僚で、長い間つきあっているボーイフレンドのメイソンとともに子供たちの面倒を見ている。しかし、才能があるが、問題を抱えている少女が新しい入居者としてやってきたことで、彼女は、自分の過去と将来に向き合わざるを得なくなり、混乱に陥る。
 出演:ブリー・ラーソン(Brie Larson)、ジョン・ギャラガー・ジュニア(John Gallagher Jr.)、ケイトリン・デヴァー(Kaitlyn Dever)、ラミ・マレック(Rami Malek)、Keith Stanfield、Kevin Hernandez、メローラ・ウォルターズ(Melora Walters)、ステファニー・ベアトリス(Stephanie Beatriz)、Lydia Du Veaux、Alex Calloway
 SXSW映画祭2013 長編ナラティヴ・コンペティション部門出品。グランプリ受賞。

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 ◆観客賞 インターナショナル長編部門(Audience Award for Best International Feature)
 ◎“Wadjda”(サウジアラビア・独・UAE) 監督:Haifaa Al Mansour
 物語:Wadjdaは、リヤド郊外に住む10歳の少女。彼女は、保守的な世界に住んでいるが、楽しいことが好きで、どんどん自分の行動範囲を広げている。友だちのアブドゥラとケンカした後、彼女は、素敵な緑の自転車が売られているのを見つけて、これならアブドゥラにも競争で勝てると考える。しかし、お母さんは自転車を買うことを許してくれない。それは、自転車に乗ることが、少女としての美徳に反していて、そのことで世間から非難を浴びるのが怖かったからだ。それでも、Wadjdaはあきらめずに、自分でお金を貯めて買おうと考える。お母さんは、夫が二番目の妻をもらおうとしているのに気を取られてWadjdaが何をしようとしているのかに気づかない。Wadjdaは、頑張ってお金を貯めようとするが、学校の行事が忙しくて、なかなかお金が貯まらない。そんな時、コーランの朗読大会があることを知る。彼女は、その賞金があれば自転車が買えると考えて、一所懸命にコーランの暗記と朗読に励んでいく……。
 ベネチア国際映画祭2012 Orizzonti部門出品。C.I.C.A.E.賞、他受賞。
 BFIロンドン映画祭2012 第1回作品コンペティション部門出品。
 ドバイ国際映画祭2013 アラブ長編コンペティション部門出品。作品賞受賞。
 ロッテルダム国際映画祭2013 The Dioraphte Award for best Hubert Bals受賞。
 ヨーテボリ国際映画祭2013出品。観客賞受賞。
 トランシルヴァニア国際映画祭2013 コンペティション部門出品。観客賞受賞。
 シドニー映画祭2013 オフィシャル・コンペティション部門出品。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2013 アナザー・ビュー部門出品。


 ◆ホノルル・フィルム・オフィス賞 短編ナラティヴ部門(HONOLULU FILM OFFICE AWARD for Best Narrative Short Film)
 ◎“Walker (行者)”(中・香港) 監督:ツァイ・ミンリャン
 服喪。精神的な探求。スピードを落としてみること。赤い僧衣を着たリー・カンシャンが騒々しい香港のストリートを歩く。
 “sleepwalking(梦游)”、“Diamond Sutra(金剛経)”とあわせて連作を構成する1本。
 トロント国際映画祭2012 WAVELENGTHS部門出品。

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 ◆ホノルル・フィルム・オフィス賞 短編ドキュメンタリー部門(HONOLULU FILM OFFICE AWARD for Best Documentary Short Film)
 ◎“Stone”(米) 監督:Kevin Jerome Everson
 ひっくり返した3つのカップを移動させて、ボールがどのカップの中に隠れているか当てさせるゲームをやって、お金を稼いでいるストリート・ハスラーに関するドキュメンタリー。

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 ◆ホノルル・フィルム・オフィス賞 短編アニメーション/実験映画部門(HONOLULU FILM OFFICE AWARD for Best Animated/Experimental Short Film)
 ◎『オー、ウィリー』“Oh Willy...”(ベルギー・仏・オランダ) 監督:エマ・ドゥ・スワーフ(Emma De Swaef)、マーク・ジェイムス・ロエルズ(Marc James Roels)
 物語:ウィリーは、50代の、ふっくらした男性。彼は、母が死にかけているという連絡を受けて、不安で落ち着かず、久しぶりに帰郷する。故郷は裸体主義者のコミュニティーで、母がついに死んでしまった後、よい思い出のみならず、思い出したくもなかった思い出もよみがえってきて、彼は精神的危機に陥る。
 オランダ・アニメーション映画祭2012グランプリ受賞。
 ザグレブ国際アニメーションフェスティバル2012 グランプリ&観客賞受賞。
 カトゥーン・ドール2012受賞。
 シカゴ国際映画祭2012 最優秀短編アニメーション賞受賞。
 AFIフェスト2012 短編賞受賞。
 セザール賞2013 アニメーション賞ノミネート。
 SXSW映画祭2013 最優秀アニメーション・ショート賞受賞。
 〈『グレートラビット』と世界のアニメーション傑作選〉(2012)にて上映。

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 ◆観客賞 短編映画部門(Audience Award for Best Short Film)
 ◎“Grandpa and Me and a Helicopter to Heaven(Morfar och jag och helikoptern till himlen)”(スウェーデン) 監督:Åsa Blanck、Johan Palmgren
 ショート・ドキュメンタリー。寝たきりの老人がいて、彼には、死ぬ前にどうしても孫に伝えたいと思っていることがある。2人は、森へと最後の冒険にでかける。

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 ◆観客賞 ミュージック・ビデオ部門(Audience Award for Best Music Video)
 ◎“Katachi”(ポーランド) 監督:Przemyslaw Adamski、Katarzyna Kijek 音楽:トクマル シューゴ
 アヌシー国際アニメーションフェスティバル2013 ミュージック・ビデオ部門出品。


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 ナラティヴ・コンペティション部門は、せっかくワールド・プレミア作品を揃えたのに、受賞したのは、既に他の映画祭でお墨付きをもらっている作品だったという、非常に皮肉な結果になってしまいました。

 1年遅れ、半年遅れの作品もありますが、既に高い評価を得ていたり、さらに受賞を重ねていくだろうと思われる作品が、いくつも並んでいます。

 今後の展開を期待したいのは、“Short Term 12”や“Grandpa and Me and a Helicopter to Heaven”あたりでしょうか。“Grandpa and Me and a Helicopter to Heaven”は、トレーラーを観てみましたが、ちょっとずるいんじゃないかと思わせるほど、琴線に触れてくるような作品に仕上がっているようです。

 ツァイ・ミンリャンの3部作は、昨年の東京国際映画祭でも東京フィルメックスでも上映されなかったことから、もう日本では上映のチャンスはないのかなと思っていましたが、まだ海外の映画祭をまわっているところを見ると、そんなこともないのでしょうか。ひょっとすると、劇場公開に向けて準備が進められているところなのかもしれませんが。

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 *当ブログ記事

 ・ロサンゼルス映画祭2012 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201207/article_13.html
 ・ロサンゼルス映画祭2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201007/article_4.html
 ・ロサンゼルス映画祭2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200907/article_2.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2013年5月~12月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_9.html

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