パリ映画祭2013 コンペティション部門ラインナップ!

 パリ映画祭2013(6月28日-7月9日)のコンペティション部門のラインナップです。

 【パリ映画祭】

 フランスには、カンヌ国際映画祭があり、ナント三大陸映画祭があり、アヌシー国際アニメーションフェスティバルがあり、クレモンフェラン国際短編映画祭があり、という具合に、世界的に有名な国際映画祭がいくつもありますが、いずれもなぜか地方都市での開催で、映画の都であるはずのパリにはこれまで映画祭らしい映画祭はありませんでした。

 世界的に見て、映画祭を持たない大都市というのは非常に珍しく、おそらくパリ市民もパリの映画人も不思議に思っていたのではないかと思われますが、そんなパリで2003年からスタートしたのが、パリ映画祭です。

 映画祭としては、規模も注目度もさほど大きくありませんが、パリ中の映画館を会場として使って、なかなかユニークなプログラムを組んでいます(街の映画館全体で映画祭を盛り上げようとしている感じは初期の東京国際映画祭にも似ています)。

 この時期に開催されるのは、もちろんパリ祭のプレ・イベントという意味合いもあるのでしょう。

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 【コンペティション部門】

 ・“La Bataille de Solférino(Age of Panic)”(仏) 監督:Justine Triet
 出演:Laetitia Dosch、ヴァンサン・マケーニュ(Vincent Macaigne)、Marc-Antoine Vaugeois
 物語:2012年5月6日。フランス大統領選の上位2名による決選投票が行なわれ、社会党のフランソワ・オランドが、現職のサルコジを倒す。レティシアは、2人の子供を持つバツイチのジャーナリストで、その日は、経験の浅いベビーシッターに子供たちを預け、選挙の取材に向かった。元夫のヴァンサンは、レティシアによって、子供たちに会うことを禁じられていたが、何とかして子供たちと会いたいと考えていた。レティシアが、ソルフェリーノ通りにある社会党本部の前で取材しているちょうどその時、ヴァンサンは、だましてレティシアたちの住むアパートの中に入ろうとし、やがて、ベビーシッターや子供たちもろとも、選挙で興奮した群集たちにもみくちゃにされる。養育をめぐるバトルは、レティシアが戻ってくるまで続き、さらにレティシアとヴァンサンの口論(時々手も出た)は、夜になっても続いた。
 初監督長編。
 カンヌ国際映画祭2013 ACIDプログラム出品。

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 ・“Kid”(ベルギー) 監督:Fien Troch
 物語:7歳の少年と兄が、母親と一緒に、小さな町の郊外にある農場で暮らしている。父親は、数年前に彼らを捨て、彼らは自分たちだけで生活していかなければならなくなる。そしてついに破綻し、兄弟は伯父さん夫婦のところに預けられる。2人の、母と一緒に暮らしたいという思いが募っていく。
 ゲント国際映画祭2012 インターナショナル・コンペティション部門出品。スペシャル・メンション受賞。
 テッサロニキ国際映画祭2012オープン・ホライズンズ部門出品。
 ロッテルダム国際映画祭2013スペクトラム部門出品。

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 ・“In Bloom(Grzeli nateli dgeebi/Eka & Natia, Chronique d'une Jeunesse Géorgienne)”(グルジア・独・仏) 監督:Nana Ekvtimishvili、Simon Groß
 物語:ソ連が崩壊して数年経ったグルジアのトビリシ。エカとナティアは、仲良しの10代の少女。ナティアの家は、父親が刑務所に入っていて、母と姉とで暮らしている。母の戸棚には、大切にしまわれている箱があって、その中には、手紙とソ連時代のパスポートと意味ありげなタバコが入っている。一方、エカの家は、アル中で口うるさい父親がいて、いつも騒々しい。エカには、彼女のことが好きな男の子が2人いて、1人はハンサムなラドで、もう1人は、悪い仲間とつるんでいるコテ(Kote)だ。コテは、エカをさらい、強引に妻にしようとする。コテがラドを殺した時、エカとナティアは、運命の選択を迫られる。エカには、ラドから預かった1発の銃弾が入った銃があった……。
 ベルリン国際映画祭2013 フォーラム部門出品。C.I.C.A.E.賞受賞。
 香港国際映画祭2013 ヤング・シネマ コンペティション部門出品。グランプリ受賞。国際批評家連盟賞受賞。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2013〈「ヴァラエティー」誌による、観るべきヨーロッパの10人の監督たち〉特集出品。

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 ・“Youth”(イスラエル・独) 監督:Tom Shoval
 物語:YakiとShaulは、ともに10代の兄弟で、まるでテレパシーで通じ合っているような強いつながりを持っている。彼らの家は、借金が膨れ上がり、そのために父親は鬱に陥っていて、このまま行くと、一家離散は避けられそうになかった。Yakiは、18歳になり、軍隊に入隊し、ライフルを手渡される。ライフルは、Yakiに力を与え、彼を頼りない10代の少年から大人の男へと変える。
 ベルリン国際映画祭2013 パノラマ部門出品。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2013 アナザー・ビュー部門出品。
 台北電影節2013 インターナショナル・ニュー・タレント コンペティション部門出品。

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 ・“Lifelong (Hayatboyu)”(トルコ) 監督:Aslı Özge
 物語:Nisantasiは、裕福な階級が暮らす住宅街。Canは、52歳の建築家で、妻のElaの方も芸術家だったが、彼女の芸術家としてのピークはとっくに過ぎてしまっていた。娘のNilは、勉強のために家を出てアンカラに行ってしまった。気づくともう夫婦間に昔のような情熱はなかったが、だからと言って、この結婚生活をどうこうしようということもなかった。これはこれで居心地がよかったのだ。夫が電話で話しているのをElaが聞いてしまうまでは……。
 ベルリン国際映画祭2013 パノラマ部門出品。
 イスタンブール国際映画祭2013 インターナショナル・ゴールデン・チューリップ・コンペティション部門&ナショナル・ゴールデン・チューリップ・コンペティション部門出品。監督賞、撮影監督賞受賞。
 トランシルヴァニア国際映画祭2013 〈This is End〉特集出品。

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 ・“Ilo Ilo(爸媽不在家)”(シンガポール) 監督:Anthony Chen
 出演:Koh Jia Ler、アンジェリ・バヤニ(Angeli Bayani)、Chen Tian Wen、ヤオ・ヤンヤン(Yeo Yann Yann)
 物語:1997年のシンガポール。リム家に、フィリピン人のメイド、テレサがやってくる。一家の家族関係は、元々悪くなりかけていたが、テレサがやってきた後、それはさらにひどくなる。問題ばかり起こしている息子Jialeは、しゃべらなくなったテレサと仲良くなっていく。その年、アジアに経済危機が訪れるが、それが一家にも影響を及ぼす。
 初監督作品。
 カンヌ国際映画祭2013 監督週間出品。カメラドール受賞。

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 ・“Vic+Flo ont vu un ours (VicFlo saw a Bear)”(カナダ) 監督:ドゥニ・コテ(Denis Côté)
 出演:Pierrette Robitaille、ロマーヌ・ボーランジェ、マルク=アンドレ・グロンダン(Marc-André Grondin)
 物語:ヴィクは、刑務所から出所したばかりで、平安と静けさを求めていた。彼女は、カナダの森の中にある親戚の家に向かい、そこで生活することになるが、それを待ちかねたように、恋人のフロが訪ねてくる。2人は、ゴルフカートで田舎を探索したり、風景を愛でたりして楽しんだ。しかし、うれしいことばかりではなかった。執行猶予係官がルール無用で、しょっちゅう様子を見にくるし、女友だちが地元のバーに繰り出して行くのも彼女を不安にさせた。親切な庭師の隣人は、実は、彼女の過去と関わりがあって、彼女の先行きに暗い影を落とした。そして、次第に、森までもが彼女にとって脅威に思えてきた……。
 ベルリン国際映画祭2013 コンペティション部門出品。アルフレッド・バウアー賞受賞。
 トランシルヴァニア国際映画祭2013 Supernova部門出品。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2013 ホライズンズ部門出品。

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 ・“Prince Avalanche”(米) 監督:デイヴィッド・ゴードン・グリーン(David Gordon Green)
 出演:ポール・ラッド、エミール・ハーシュ
 物語:1988年夏。ランスとアルヴィンは、山火事の被害に遭った森で、果てしなく続く田舎道のマーキングの塗り直しをしていた。ランスにとって、女もパーティーもないここでの生活は孤独でつらいものだったが、真面目なアルヴィンにとっては必ずしもそんなこともなくて、恋人であるランスの姉にせっせと手紙を書いていた。アルヴィンは、仕事が終わった後、荒れ果てた森に入って、ゴーストや打ち捨てられた家の残骸をハンティングしたりして過ごした。2人は、小さな車で、森を迂回し、ケンカしたり、議論したりした。その夏、彼らが会ったのは、貨物を積んだ車の運転手だけで、彼は、彼らに自家製のお酒をごちそうし、そして去った。
 アイスランド映画“Á annan veg(Either Way)”(2011)のリメイク作品。
 インディペンデント・スピリット・アワード2013 ピアジェ・プロデューサー賞ノミネート。
 ベルリン国際映画祭2013 コンペティション部門出品。監督賞(銀熊賞)受賞。
 トランシルヴァニア国際映画祭2013 Unirii Square部門出品。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2013 ホライズンズ部門出品。

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 ・“Celui que nous laisserons(O Que Se Move/ The Moving Creatures)”(ブラジル) 監督:Caetano Gotardo
 物語:異なる状況にある3つの家族の物語。彼らは、それぞれに喪失や出会いによって引き起こされた突然の状況の変化に対応を迫られる。1) 教師の母親と17歳の息子がいて、新学期の準備をしている。少年の内面にはダークな部分があり、ある日、彼は、公園でひとりの少女と出会う。2)妻は、生まれたばかりの赤ん坊をデイケアに預けて、友人宅を訪ねる。一方、夫は、仕事中にふいに暗い感情に襲われる。3) 病院で子供をさらわれた女性が子供を取り戻そうとする。
 実際に新聞に掲載された3つの記事を元に映画化した作品。
 初監督作品。
 サンパウロ国際映画祭2012出品。
 マイアミ国際映画祭2013 イベロ・アメリカン コンペティション部門出品。

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 コンペティション部門のエントリー作品は、全部で9作品で、ヨーロッパを中心に、アジアと北米と南米から1本ずつは入れるという、ほぼ例年通りのラインナップで、9作品のうち、ベルリン国際映画祭でプレミア上映された作品が5本も入っています。

 既にどこかで賞を受賞しているような作品ばかりなので、何が受賞してもおかしくはありませんが、あえて有力そうな作品を書き出してみると、“In Bloom”、“Ilo Ilo(爸媽不在家)”、“Prince Avalanche”、“Celui que nous laisserons”あたりでしょうか。

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 コンペティション部門以外の主なプログラムは以下の通りです。

 ・オープニング作品:“Venus in Fur”(仏・ポーランド) 監督:ロマン・ポランスキー

 ・クロージング作品:“The Broken circle breakdown”(ベルギー・オランダ) 監督:Felix van Groeningen

 ・プレミア部門(Premieres):世界各国の新作のプレミア上映と、ニュープリントのクラシック作品の上映
 クラシック作品は、今年は、ビリー・ワイルダー、ヒッチコック、ビル・ダグラス、小津安二郎(『秋刀魚の味』『東京物語』)を2作品ずつ上映。

 ・Focus on South Africa:南アフリカ映画の特集(7作品)

 ・Guest of Honor (ゲスト特集):今年はアスガー・ファルハディとナターシャ・レニエ

 ・レトロスペクティヴ&トリビュート(Retrospectives and Tributes)
 南アフリカの映像作家ウィリアム・ケントリッジ(William Kentridge)のレトロスペクティヴ。監督作品13作品と、カルト・ブランシュ(『牡蠣の王女』『海底王キートン』『アクメッド王子の冒険』『キートンのカメラマン』『アンダルシアの犬』『十月』『カメラを持った男』『我輩はカモである』『アメリカの夜』、および、ジョルジュ・メリエスの短編5作品)とシネ・コンサート
 アラン・ロブ=グリエのレトロスペクティヴ(8作品)
 Centquatreとパリ現代美術館で行なわれるキース・ヘリングの展覧会“Keith Haring, The Political Line”に合わせた“Whispers of the city”というストリート・アートをテーマにした特集で、バンクシーの『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』やアニエス・ヴァルダの“Murs Murs”(1981)、クリス・マルケルの“Chats Perchés”(2003)などを含む9作品を上映。

 ・外国映画フォーカス(Foreign Cinema Focus)
 今年は、“Made In Belgiëque”と題したベルギー映画の特集で、その中に、
 ナターシャ・レニエの特集(Tribute to Natacha Régnier)
 Joachim Lafosseの特集(Focus Joachim Lafosse)
 Felix van Groeningenの特集(Focus Felix van Groeningen)
 コメディー特集
 パノラマ部門(長編&短編)
 が組み込まれています。

 ・Cinema Night:ナイト・プログラム。
 今年は、ジャン・クロード・ヴァン・ダム・ナイトと、ベルギー・ナイト、および、ジャパニメーション・ナイト(『ブッダ』『アオノエ青の祓魔師 劇場版』『REDLINE』『マルドゥック・スクランブル 圧縮』『マルドゥック・スクランブル 燃焼』)の3つ。

 ・Cine-Karaoke:屋外のビッグ・スクリーンでの上映会

 ・Paris Project:フランスとヨーロッパの製作プロジェクトための、共同製作(助成と金銭的支援)に向けたプレゼンテーション

 ・シネマ・フリー・マーケット(Cinema Flea Market)

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 *当ブログ記事

 ・パリ映画祭2012 ラインナップ&受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201207/article_8.html
 ・パリ映画祭2010 日本映画特集ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201006/article_17.html
 ・パリ映画祭2010 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201006/article_24.html
 ・パリ映画祭2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201007/article_15.html
 ・パリ映画祭2009:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200907/article_13.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2013年5月~12月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_9.html

 追記:
 ・パリ映画祭2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201307/article_10.html

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