シドニー映画祭2013 受賞結果!

 第60回シドニー映画祭(6月5日-16日)の各賞が発表になりました。

 【シドニー映画祭】

 シドニー映画祭は、1947年からスタートしたエジンバラ国際映画祭に参加した映画人たちによって1954年から始められた映画祭で、初期は小じんまりした映画祭で、1967年までは、シドニー大学を会場として開催されていました。

 シドニー映画祭は、オーストラリアで開催される映画祭としては、おそらく、約1ヶ月後に開催されるメルボルン国際映画祭を相当に意識していると思われ、
 ・歴史的には、メルボルン国際映画祭の方が2年先輩
 ・上映作品数では、メルボルン国際映画祭が約400本なのに対し、シドニー映画祭は約200本
 ・シドニー映画祭は、メルボルン国際映画祭より1ヶ月早く開催されるため、必然的にプレミア作品が多くなる
 ・シドニー映画祭は、オーストラリアで、唯一、国際映画製作者連盟(FIAPF)公認の映画祭で、「New Directions in Films」でコンペティティヴ・スペシャライズド長編映画祭として認定されている
 という風に特徴を出して(差別化を図って)きています。

 2013年を例にとると、シドニー映画祭では、12日間で、54カ国から出品された192本の作品(長編フィクション作品が82本、ドキュメンタリーが51本、短編が30本)が上映され、そのうち、ワールド・プレミアが20本、インターナショナル・プレミアが4本、オーストラリア・プレミアが124本ありました。(公式発表より)

 カンヌ国際映画祭でプレミア上映になったばかりの作品も多数上映されます。

 映画祭で設けている賞はごくわずかですが、過去には以下のような作品にグランプリを贈っています。

 2008年 『ハンガー』(英) 監督:スティーヴ・マックイーン
 2009年 『ブロンソン』“Bronson”(英) 監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
 2010年 “Heartbeats”(カナダ) 監督:グザヴィエ・ドラン
 2011年 『別離』(イラン) 監督:アスガー・ファルハディ
 2012年 “Alps”(ギリシャ) 監督:ヨルゴス・ランティモス

 いずれもワールド・プレミアではありませんが、受賞結果には、新しい才能を見出そうという姿勢が感じられます。

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 【オフィシャル・コンペティション部門】

 ・“For Those in Peril”(英) 監督:Paul Wright
 ・“Grigris”(仏) 監督:マハマット=サレー・ハルーン
 ・“Only God Forgives”(仏・デンマーク) 監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
 ・“The Broken Circle Breakdown”(ベルギー・オランダ) 監督:Felix van Groeningen
 ・“Borgman”(オランダ) 監督:アレックス・ヴァン・ヴァーメルダム
 ・“Oh Boy”(独) 監督:Jan Ole Gerster
 ・“Child’s Pose”(ルーマニア) 監督:Călin Peter Netzer
 ・“The Act of Killing”(デンマーク・ノルウェー・英) 監督:ジョシュア・オッペンハイマー(Joshua Oppenheimer) 共同監督:Christine Cynn、Anonymous
 ・“Wadjda”(サウジアラビア・独) 監督:Haifaa Al Mansour
 ・“Monsoon Shootout”(インド) 監督:Amit Kumar
 ・“The Rocket”(オーストラリア) 監督:Kim Mordaunt
 ・“Stories We Tell”(カナダ) 監督:サラ・ポーリー
 ※すべてオーストラリア・プレミアです。

 ※審査員:ヒューゴ・ウィーヴィング、Paolo Bertlin(プログラム・コンサルタント/元ベネチア国際映画祭選定委員)、Pia Marais(南アの監督)、アーナンド・ガーンディー、Kath Shelper(オーストラリアのヴィジュアル・アーティスト/プロデューサー)

 ◆グランプリ(The Sydney Film Prize)
 ◎“Only God Forgives”(仏・デンマーク) 監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
 出演:クリスティン・スコット・トーマス、ライアン・ゴスリング、Vithaya Pansringarm、 Gordon Brown、トム・バーク
 物語:10年前、ジュリアンは、バンコクで殺人を犯して、逃亡し、今は、ムエタイ・クラブを隠れ蓑にして、麻薬の売買をしている。彼は、闇の世界ではあがめられる存在だったが、心は空疎だった。ある時、彼の弟が娼婦を殺してしまう。警察は、復讐の天使と呼ばれる元刑事チャンにたどりつく。チャンは、殺された娘の父親を手助けして、復讐を果たさせ、その代わりに、彼の右腕を切り落とすことで落とし前をつけさせる。怒りが収まらないのは、ジュリアンの母で、闇の世界のボスである彼女は、どんな手段を使っても復讐しようとする。一方、ジュリアンは、チャンを倒すことで、精神的な安らぎが得られるのではないかと考え、チャンとムエタイのリングで戦うことに決める。
 カンヌ国際映画祭2013 コンペティション部門出品。

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 【その他の賞】

 ◆優秀ドキュメンタリー賞(The FOXTEL Australian Documentary Prize)

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 ◎“Buckskin”(オーストラリア) 監督:Dylan McDonald
 Jack Buckskinは、他の若いアボリジニと同じように、アボリジニの言語や文化とはほとんど無縁に育った。実際に、アボリジニの文化は、100年前に滅んだものと思っていた。しかし、転機が訪れて、彼は、新たな道を進むことになる。今、彼は、アデレード平原に伝わるKaurnaの言葉と文化を再生させ、多くの人々に伝えようとしている。

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 ◆ドキュメンタリー部門 スペシャル・メンション

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 ◎『タイガー・ガールズ~ミャンマーのアイドルグループ~』“Miss Nikki and the Tiger Girls”(オーストラリア) 監督:Juliet Lamont
 「2010年、軍事政権下のミャンマーで、オーストラリア人アーティスト、ミス・ニッキーと金儲け主義のミャンマー人起業家ピーターの奇妙なコンビによって、少女5人のアイドルグループ「タイガー・ガールズ」が結成された。メンバーは、音痴で混乱すると過呼吸になるワイ、ダンスが苦手なティクティク、仕切り屋アームーン、美声なのに「カワイくない」キミー、そして軍人の父を嫌うチャチャ。出資者の撤退やグループ名変更などの危機を乗り越え、5人は懸命にミス・ニッキーについて行く。抑圧が身に染みついた若者たちは、成功が唯一の突破口だと信じているのだ。アウン・サン・スー・チーが政治に復帰し、2012年4月の選挙が近づく中、新グループ名「ミャンマー・ガールズ」としてアルバムの発売許可を得た5人は各地で脚光を浴びる。そして、5人が自力で歩き始めるのを確認したミス・ニッキーは、出産に向けてオーストラリアに帰国することを告げる。ミス・ニッキーの置き土産はアメリカ、ロサンゼルスでのレコーディング。そして、その先には何が待ち受けているのだろうか・・・。」
 BS世界のドキュメンタリー〈シリーズ アーティストたちの素顔〉にて放映。

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 ◇ドキュメンタリー部門 highly commended

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 ◎“Big Name No Blanket”(オーストラリア) 監督:Steven McGregor
 80年代にオーストラリアのアリス・スプリングス北西部にあるPapunyaを拠点に活動し、アボリジニの言葉で、最初にポップスをレコーディングしたバンドWarumpi Bandに関するドキュメンタリー。バンドのフロント・メンバー、George Rrurrambu Burarrawanga(1957-2007/オーストラリア北部のアーヘムランド沖合いのエルコ島出身で、肺がんにより死去)の人生を中心に、多くのインタビューやクリップを交えて、Warumpi Bandの軌跡をたどる。

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 ◆The Dendy Award/最優秀短編ライブ・アクション賞

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 ◎“Perception”(オーストラリア) 監督:Miranda Nation
 物語:クリスタルは、母であり、娘であり、ストリッパーであり、日々の生活を必死に生き抜こうとしている。彼女は、死に直面して、欺瞞なしに、自分自身と向き合う覚悟を決める。

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 ◆ルーベン・マムーリアン賞(The Rouben Mamoulian Award/オーストラリア短編監督賞)
 ◎デイヴィッド・ライオンズ(David Lyons) “Record”(米)

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 “Record”(米) 監督:デイヴィッド・ライオンズ(David Lyons)
 物語:妻に先立たれた男が、目の見えない娘の面倒をみることになる。さまざまな記憶が甦ってくる中で、彼は、悲しみにもいろんな色があり、見えない目を通して見えてくることがあることを悟る。
 『ER』にも出演している俳優デイヴィッド・ライオンズの監督デビュー作。

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 ◆最優秀オーストラリア短編アニメーション賞(The Yoram Gross Animation Award)
 ◎“Butterflies”(オーストラリア) 監督:Isabel Peppard
 声の出演:レイチェル・グリフィス、ニコラス・ホープ(Nicholas Hope)、ヘンリー・ニクソン(Henry Nixon)
 物語:若い画家が、通行人をつかまえては、絵を描いて、それで生計を立てている。あるビジネスマンが、そんな彼女の才能に目をつける。明るい未来が開けたかのように思えたが、現実は厳しく、彼女のイマジネーションは押しつぶされそうになる。
 メイキャップ・アーティスト出身のIsabel Peppardの、ストップ・モーション・アニメーションの第2作。
 シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭2012 アニメーション部門出品。
 アヌシー国際アニメーションフェスティバル2013 短編コンペティション部門出品。

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 ◆観客賞 最優秀ナラティヴ作品

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 ◎“The Rocket”(オーストラリア) 監督:Kim Mordaunt
 物語:アフロは、生まれた時から、まわりに不幸をもたらしていた。幼少期は病気がちだったし、ダムのおかげで家も立ち退かなければならなかった。父と祖母と一緒に避難所に引っ越すが、まわりの人々はアフロが来ることを喜ばなかった。アフロは、呪われていて、まわりに不幸をもたらすと信じられていたからだ。唯一の友だちは、キアだけだった。キアは、パープルおじさんと暮らしていて、パープルおじさんは、仲間はずれにされることがどういうことか、よく理解していた。アフロ一家とキアとパープルおじさんは、新しい家を求めて、まだ戦禍の傷跡の残るラオス国内を旅する。ある村に入った時、彼らは、そこでロケット・フェスティバルが開催されていることを知る。アフロは、巨大なロケットを出品し、自分が不運な少年などではないことを自ら証明する。
 ベルリン国際映画祭2013 ジェネレーションKplus部門出品。ジェネレーションKplus部門作品賞、第1回作品賞受賞。
 トライベッカ映画祭2013 最優秀ナラティヴ作品賞受賞。
 ズリーン国際映画祭2013 パノラマ部門出品。

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 ◆観客賞 最優秀ドキュメンタリー作品

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 ◎“The Crossing”(オーストラリア) 監督:Julian Harvey
 若い2人のオーストラリア人Clark Carter とChris Brayが、サポートなしで、北極圏にあるヴィクトリア島を横断する計画を立てる。実現すれば、世界初だ。しかし、その冒険は、全く計画通りには進まない。膝まで泥につかったり、カミソリのような岩がゴロゴロしていたりする悪路で、なぜこれまで誰もこれをやってみようとしなかったのか、明らかだった。やがて彼らは凍てついた荒野に突入する……。
 2人が自ら撮影した100時間以上のフッテージを編集して、製作されたドキュメンタリー。

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 コンペティション部門には、カンヌ国際映画祭のコンペティション部門にも出品されていた“Grigris”と“Only God Forgives”と“Borgman”という3作品、ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した“Child’s Pose”などのほか、既に高い評価を得てきている作品が多数エントリーされています。

 その中で、グランプリを受賞したのは、カンヌでは無冠に終わった“Only God Forgives”でした。
 けっこう高い評価の作品が多い中で、いろいろ選択肢もあったはずですが、そうした中で、これまで他の映画祭では賞を得ていない作品に賞を与えて、シドニー映画祭の独自性を示そうとした、ということもあったのかもしれません。

 受賞結果は、全体的にはなかなかいいものになっているのではないでしょうか。

 “The Rocket”は、もう既に2013年のオーストラリア映画を代表する1本になっていますし、短編の“Record”や“Butterflies”もよさそうです。

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 *当ブログ記事

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2013年5月~12月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_9.html

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