アヌシー国際アニメーションフェスティバル2013 各賞発表!

 第53回アヌシー国際アニメーションフェスティバル(6月10日-15日)の各賞が発表になりました。

 【長編部門】

 ◆グランプリ(The Cristal for best feature)
 ◎“Uma História De Amor E Fúria”(ブラジル) 監督:Luiz Bolognesi

 ◆特別賞(Special Distinction)
 ◎“Ma Maman Est En Amérique, Elle A Rencontré Buffalo Bill(My Mommy is in America, she met Buffalo Bill)”(仏・ルクセンブルク) 監督:Marc Boréal、Thibaut Chatel

 ◆観客賞
 ◎“O Apóstolo(The Apostle)”(西) 監督:Fernando Cortizo

 【短編部門】

 ◆グランプリ(Short films The Cristal for best short)
 ◎“Subconscious Password”(カナダ) 監督:クリス・ランドレス(Chris Landreth)
 物語:チャールズは、友人の名前が思い出せなくて、動揺しているのに、その動揺を隠そうとする。
 往年の人気TV番組PASSWORDからインスパイアされた作品。

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 ◆審査員特別賞(Special Jury Award)
 ◎“Obida”(ロシア) 監督:Anna Budanova
 物語:少女の怒りは、彼女が親友になったもじゃもじゃの生き物に投影され、両者はともに大きくなっていく。

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 ◆第1回作品賞(Distinction for a first film)
 ◎“Trespass”(オーストリア) 監督:Paul Wenninger
 物語:監督の分身が、世界を旅する。「世界」とは、四方を壁に囲まれた空間で、最初は、一面、緑だったものが、窓ができたり、エリトリアやブリュッセル、ヘルシンキ、ウィーン、フランスなどの風景がバックに映し出されたりする。

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 ◆"Jean-Luc Xiberras" Award for a first film
 ◎“Norman”(ベルギー) 監督:Robbe Vervaeke
 物語:ノーマンは、物事をじっくり見すぎるきらいがある。彼には、奇妙な癖があり、細かいディテールにこだわる。彼は、独りで神経質に街をうろつきまわり、おかしな人々を観察する。

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 ◆特別賞(Special Distinction)
 ◎『トライアングル・ラブ』(トライアングル・アフェア)“Kolmnurga Afäär”(エストニア) 監督:Andres Tenusaar
 物語:「角の無い三角はない。三角の無い方角はない。そして方角の無い動きはない。」
 国際短編&アニメーション映画祭 2012(ロシア)特別審査員賞受賞。ストップトリック国際映画祭 2012(スロヴェニア)特別賞受賞。クレルモンフェラン国際短編映画祭 2013 審査員特別賞受賞。
 ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2013、EUフィルムデーズ エストニア短編アニメ集にて上映。

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 ◆音楽賞(Sacem Award for original music)
 ◎“Lonely Bones”(オランダ) 監督:Rosto
 物語:片目の男がホテルの部屋を出て、地獄めぐりをする。“No Place Like Home”(2008)に続く、音楽プロジェクトThee Wreckers 4部作の第2作。
 ロッテルダム国際映画祭2013出品。クレモンフェラン国際短編映画祭2013出品。

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 ◆ヤング審査員賞(Junior Jury Award for a short film)
 ◎“Feral”(米) 監督:Daniel Sousa
 物語:森の中でハンターによって野性の少年が発見され、人間社会に連れ戻される。彼は、都市生活に順応しようとして、森の中で生き抜くために身につけたやり方を使おうとする。

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 ◆観客賞
 ◎“Lettres De Femmes (Women's Letters)”(仏) 監督:Augusto Zanovello
 物語:第一次世界大戦の最前線で、看護師のシモンは、ケガをした兵士たちに、女性からのラブレターを手渡して、彼らを元気づける。愛の言葉は、兵士たちを癒し、力を与える。しかし、死は思いがけない瞬間にやってくる。

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 ◆"CANAL+ creative aid" Award for a short film
 ◎“Autour Du Lac”(ベルギー) 監督:Carl Roosens、Noémie Marsily
 物語:ランナーの息づかい、壊された蟻塚、水たまり、ベンチに忘れられたトースト、リス、生活の断片……。こういったものがわれわれを湖畔の散歩へと誘う。

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 ◆国際批評家連盟賞
 ◎“Gloria Victoria”(カナダ) 監督:セオドア・ウシェフ
 物語:戦争の最前線と大虐殺。ロシアから、中国を経て、ドレスデン、ゲルニカ、さらにスペイン内戦からスター・ウォーズへ。黒鳥が墓の上を舞い、バンパイアと死神が暗躍する。ショスタコヴィッチの交響曲第七番「レニングラード」に載せて、激しい戦争、大衆の翻弄、死者への哀悼、怒りの声、平和の希求、が描かれる。

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 ◆国際批評家連盟賞特別賞(Fipresci Special Distinction)
 ◎“Feral”(米) 監督:Daniel Sousa

 ◆フェスティバル・コネクション賞(Festivals Connexion Award - Région Rhône-Alpes with Lumières Numériques)
 ◎“Feral”(米) 監督:Daniel Sousa

 【卒業制作コンペティション部門】

 ◆最優秀作品(Graduation films Award for best graduation film)
 ◎“Ab Ovo”(ポーランド) 監督:Anita Kwiatkowska-Naqvi
 物語:自分の中で何かが成長し始める。それはどんどん大きくなって破裂しそうになる。

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 ◆審査員特別賞(Special Jury Award)
 ◎“I Am Tom Moody”(英) 監督:Ainslie Henderson
 物語:懸命に歌おうとして息ができなくなってしまった音楽家の潜在意識をめぐるシュールな旅。

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 ◆特別賞(Special Distinction)
 ◎“Pandy(Pandas)”(スロヴァキア) 監督:Matus Vizar
 物語:竹林の中で生きていくように進化したパンダ。ある日、人類に発見され、彼らのゲームの源になる。
 カンヌ国際映画祭2013 シネフォンダシオン部門出品。第3席。

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 ◆ヤング審査員賞(Junior Jury Award for a graduation film)
 ◎“Nyuszi És Őz”(ハンガリー) 監督:Peter Vacz
 物語:ウサギとシカは友だちだったが、3次元を求めるシカの強迫観念が、2人の友情に試練を与える。

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 【TVシリーズ部門】

 ◆特別賞(Special Award for a TV series)
 ◎“Tom & The Queen Bee”(独) 監督:アンドレアス・ヒュカーデ(Andreas Hykade)
 物語:ハチたちは、女王蜂を待っているので、トムを手助けすることができない。だが、トムは全く気にしていなかった。彼が欲しかったのは、イチゴ・ジャムとハチミツが塗ってある1切れのパンだった。

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 【TVスペシャル部門】

 ◆グランプリ(The Cristal for best TV production)
 ◎“Room on the Broom”(英) 監督:Jan Lachauer、Max Lang
 物語:親切な魔法使いが、動物たちを空飛ぶホウキに乗せるが、彼女のネコにとって、それは我慢のならないことであった。

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 ◆最優秀TVスペシャル賞(Award for best TV special)
 ◎“L'Automne de Pougne(秋のハリネズミ)”(仏) 監督:ピエール=リュック・グランジョン(Pierre-Luc Granjon)、アントワーヌ・ランショー(Antoine Lanciaux)
 物語:王国の本という本の中身が空っぽになる。そのおかげで、バルタザール王は退屈で死にたくなり、多くの人々も深い絶望感に包まれる。ひねくれもののハリネズミは「またボニファシオの仕業なんじゃないか」と言うが、証拠が見つからない……。
 フォリマージュ製作の「レオンとメリー」シリーズ4部作の最終話。

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 【広告作品部門】

 ◆グランプリ(The Cristal for best commissioned film)
 ◎“Dumb Ways To Die”(オーストラリア) 監督:Julian Frost


 【教育・科学・産業作品部門】

 ◆ユニセフ賞(Unicef Award)
 ◎“Because I'm A Girl”(英) 監督:Raj Yagnik、Mary Matheson、Shona Hamilton
 貧困や紛争や差別のためにまともな教育も受けられず、夢を叶えることなど到底望めない少女たちの現状を訴えた作品。実写+ピクシレーション。
 *動画:http://www.wiredvideo.net/films/because-im-a-girl.html
 *関連サイト:http://www.wiredvideo.net/raj-yagnik-documentary-videographer-photographer/?p=263

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 【ミュージック・ビデオ部門】

 ◆審査員特別賞(Special Jury Award)
 ◎Benjamin Scheuer “The Lion”(英) 監督:Peter Baynton
 物語:ボール紙のライオンが、問題を抱えるシンガーソングライターPeter Bayntonの家族の歴史を語る。

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 【その他の賞】

 ◆アヌシー観客チョイス(Annecy audience choice)
 ◎『KJFG No 5』“KJFG No 5”(ハンガリー/2007) 監督:アレクセイ・アレクセーフ(Alexey Alekseev) [ファニー・フィルムズ特集]
 物語:クマ、ウサギ、オオカミというプロのミュージシャンが森の中で演奏しているところに、ハンターがやってくる。

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 〈Mifa(国際アニメーション映画マーケット)〉

 【短編部門】

 ◆Abbaye de Fontevraud Prize
 ◎“10 Stvari Koje Trebate Znati o Jelenima”(クロアチア) 監督:Veljko Popovic

 ◆Cube Creative Productions Prize
 ◎“La Vache !”(仏・ポーランド) 監督:Joanna Szelag、Nicolas Kovalenko

 ◆"La Résidence" Folimage Prize
 ◎“Mamie”(カナダ) 監督:Janice Nadeau

 ◆Arte France Prize
 ◎“Peripheria”(仏) 監督:David Coquard-Dassault

 ◆Double Mètre Animation Prize
 ◎“The Little Quest of Petrovsky”(米) 監督:Andres Montenegro

 ◆SACD Prize
 ◎“Tis”(仏) 監督:Chloé Lesueur

 ◆Ciclic Prize & Rhône-Alpes Cinéma/Bourse des festivals Prize
 ◎“Yùl et le Serpent”(仏) 監督:Gabriel Harel

 【長編部門】

 ◆Ficam/Tomato Sound Factory prize
 ◎“Funan”(仏) 監督:Denis Do

 【TVシリーズ&TVスペシャル部門】
 ◆Adobe Education Prize
 ◎“Poilyphonies”(仏) 監督:Cyrille Drevon、Élise Garcette

 【クロス・メディア部門】
 ◆CITIA Imaginove Prize
 ◎“390”(伊) 監督:Giovanni Scarfini
 ◆France Télévisions New Writing Prize
 ◎“Je suis super”(仏) 監督:Christophe Blanc

 ◆Ina EXPERT Prize
 ◎“Les Hiboux”(仏) 監督:Marc Dutriez

 ◆SACD Interactive Works Prize
 ◎“Pirates millésime”(仏) 監督:

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 長編部門は、受賞するならこの3作品だろうなと予想していた3作品が順当にそれぞれ賞を獲得しました。

 短編作品に関しては、個人的には、今回、あまりピンと来ませんでした。

 ノミネーションの記事でも挙げていた、先行する映画祭で受賞を果たしていた注目の作品は(『ツィーゲノルト』とか“Miss Todd”)は、軒並み敗退しましたし、日本作品も全く入賞しませんでした。ジョルジュ・シュヴィツゲベルやイザベラ・プリュシンスカ、イジー・バルタ、ビル・プリンプトンといった好きなアニメーション作家も入賞しませんでした。

 内容的に、「ちょっと面白そう」と感じられる作品が少なかったということもありますが、アニメーションらしいアニメーションが少ないということも、「ピンと来なかった」原因の1つかもしれません。

 短編コンペティション部門と卒業制作コンペティション部門の入賞作品に関し、それぞれがどういう技術を使ったアニメーションなのか書き出してみると、以下のようになっています。

 ・“Subconscious Password”:3DCG
 ・“Obida”:2DCG
 ・“Trespass”:2DCG+写真+実写
 ・“Norman”:ペイント・オン・グラス
 ・『トライアングル・ラブ』:パペット・アニメーション
 ・“Lonely Bones”:2DCG+3DCG+実写
 ・“Feral”:ドローイング・オン・ペーパー
 ・“Lettres De Femmes”:オブジェクト+特殊効果+カットアウト・アニメーション+パペット・アニメーション+実写
 ・“Autour Du Lac”:ドローイング・オン・ペーパー
 ・“Gloria Victoria”:Diverse technique
 ・“Ab Ovo”:パペット・アニメーション+クレイ・アニメーション
 ・“I Am Tom Moody”:パペット・アニメーション
 ・“Pandy”:2DCG
 ・“Nyuszi És Őz”:パペット・アニメーション+2DCG

 ま、それは、ともかく―
 入賞作品の中で、特に注目される作品はと言えば、“Gloria Victoria”と“Feral”と“L'Automne de Pougne(秋のハリネズミ)”あたりでしょうか。

 3つの賞を受賞した“Feral”は、短編アニメーションの賞レース(カトゥーン・ドールや米国アカデミー賞2014短編アニメーション賞、アニー賞など)でいいところまで行けるかもしれません。

 “Gloria Victoria”は、どうやら前作の“Rossignols En Décembre(Nightingales in December)”に連なるメッセージ性の強い作品らしく、アニメーション作家として円熟味を増したセオドア・ウシェフの作品世界を堪能できる作品になっているのではないでしょうか。そろそろ日本でのレトロスペクティヴも期待したいところです。

 “L'Automne de Pougne(秋のハリネズミ)”は、フランス=カナダのアニメーションの良質の部分が楽しめる作品に仕上がっているはずで、シリーズ前2作がNHKで放映されていますから、第3作と併せて、日本でのリリースを楽しみに待ちたいと思います。

 個人的には、全体的に見て、ちょっと違和感の残る受賞結果でしたが、これが順当なものかそうでないかは、受賞した各作品、受賞しなかった注目の各作品、の今後の展開で明らかにされるだろうと思います。さあ、どうなるでしょうか……。

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 *当ブログ記事
 ・アヌシー国際アニメーションフェスティバル2013 ラインナップ その1:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_42.html
 ・アヌシー国際アニメーションフェスティバル2013 ラインナップ その2:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201306/article_1.html
 ・アヌシー国際アニメーションフェスティバル2013 ラインナップ その3:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201306/article_2.html

 ・ザグレブ国際アニメーションフェスティバル2013 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_38.html
 ・ザグレブ国際アニメーションフェスティバル2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201306/article_10.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2013年5月~12月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_9.html

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