ベルリン国際映画祭2013 受賞結果!

 第63回ベルリン国際映画祭の各賞が発表されました。

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 【コンペティション部門】

 ・“Camille Claudel 1915”(仏) 監督:ブリュノ・デュモン
 ・“On My Way”(仏)  監督:エマニュエル・ベルコ
 ・“The Nun”(仏・独・ベルギー) 監督:Guillaume Nicloux
 ・“Gold”(独) 監督:トーマス・アルスラン(Thomas Arslan)

 ・“Layla Fourie”(独・南ア・仏・オランダ) 監督:Pia Marais スペシャル・メンション

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 ・“Paradise: Hope”(オーストリア・仏・独)  監督:ウルリッヒ・ザイドル

 ・“In the Name of”(ポーランド) 監督:Małgośka Szumowska テディー賞、The Siegessäule Readers 賞

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 ・“An Episode in the Life of an Iron Picker”(ボスニア ヘルツェゴビナ・仏・スヴェロニア)  監督:ダニス・タノヴィッチ 審査員グランプリ(銀熊賞)、男優賞(銀熊賞:Nazif Mujic)、エキュメニカル審査員賞スペシャル・メンション

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 ・“Child's Pose”(ルーマニア) 監督:Călin Peter Netzer 金熊賞、国際批評家連盟賞

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 ・“A Long and Happy Life”(ロシア) 監督:Boris Khlebnikov

 ・“Closed Curtain(Pardé)”(イラン) 監督:ジャファール・パナヒ、Kambozia Partovi 脚本賞(銀熊賞)

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 ・“Harmony Lessons”(独・カザフスタン) 監督:Emir Baigazin 芸術貢献賞(銀熊賞:Aziz Zhambakiyev(撮影))、ベルリナー・モルゲンポスト紙読者賞

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 ・“Nobody's Daughter Haewon”(韓) 監督:ホン・サンス

 ・“VicFlo saw a Bear (Vic+Flo ont vu un ours)”(カナダ) 監督:ドゥニ・コテ(Denis Côté) アルフレッド・バウアー賞

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 ・“The Necessary Death of Charlie Countryman”(米) 監督:Fredrik Bond

 ・“Promised Land”(米) 監督:ガス・ヴァン・サント スペシャル・メンション

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 ・“Side Effects”(米) 監督:スティーヴン・ソダーバーグ

 ・“Prince Avalanche”(米) 監督:デイヴィッド・ゴードン・グリーン(David Gordon Green) 監督賞(銀熊賞)

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 ・“Gloria”(チリ・西)  監督:Sebastián Lelio 女優賞(銀熊賞:Paulina García)、エキュメニカル審査員賞、Prize of the Guild of German Art House Cinemas

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 事前の予想と、星取表の結果から見ると、ほぼ順当と思える受賞結果になりました。

 予想外だったのは、金熊賞を取ったルーマニア映画の“Child's Pose”で、星取表での評価も「普通」でしたし、シノプシスを読んだ限りでは、小さな事件とそれに巻き込まれていく人々、および、その結末を描いて、ベルリン国際映画祭というより、サンダンス映画祭が似合うというイメージでしたが、見事、金熊賞となりました。
 国際批評家連盟賞も受賞しているところを見ると、この受賞はフロックではなくて、シノプシスから伝わるもの以上のもの、たとえば、この物語が鋭く現代社会をえぐっているとか、ヴィヴィッドに現在のルーマニア社会を現わしているとか、人間の心模様をリアルに表現している、とか、何か特別のものがこの作品にはあるのだろうと思われます。
 イメージとしては、映画のポジション的にはブルガリアにおける『ソフィアの夜明け』のようなもの、映画の内容的には『母なる証明』あたりに近い、かもしれません。

 シノプシスから見て弱いかなと感じられたウルリッヒ・ザイドル作品は、星取表では高評価だったので、ひょっとしたら上位の賞を受賞するのかもと思いましたが、無冠に終わりました。

 今回のコンペティション部門で、注目の1本だったジャファール・パナヒ作品は、星取表の評価もそれなりに高かったのですが、事前の予想と大きくズレることもなく、脚本賞に落ち着きました。

 上位の賞を受賞するのではないかと思われた“An Episode in the Life of an Iron Picker”と“Prince Avalanche”の受賞は予想通りで、星取表での評価の高かった“Gloria”の受賞も想定の範囲内でした。

 なかなか最高賞に手が届かないブリュノ・デュモンや、賞に恵まれないホン・サンスは、ともに無冠に終わりました。

 今回、ちょっと気になったのは、メインの賞以外の賞、たとえば、NETPAC賞やカリガリ賞、平和映画賞、アムネスティー・インターナショナル賞など、コンペティション部門から受賞作が出てもいいのに、他の部門に流れた賞が多かったことで、やはり今回のコンペティション部門のラインナップはちょっと弱かったのかなという印象を持ちました。

 ブリュノ・デュモンもダニス・タノヴィッチもホン・サンスも、ビターズ・エンドと関わりのある映画監督ですが、3本ともビターズ・エンドが買う(買える)ということもないのではないかと思いますが、どうでしょうか。1本だけ選んで買うとしたら、やはり一番評価の高いダニス・タノヴィッチ作品でしょうか。ま、みんなが買いたがる作品からはちょっと距離をおいて、思い入れがある作品を買うというのがビターズ・エンドらしいやり方だとも思うのですが。

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 【短編部門】

 ◆金熊賞
 ◎“ La Fugue (The Runaway)”(仏) 監督:Jean-Bernard Marlin

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 ◆審査員賞(銀熊賞)
 ◎“Die ruhe bleibt (Remains Quiet)”(独) 監督:Stefan Kriekhaus

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 ◆DAAD Short Film
 ◎“Aşura (Ashura)”(トルコ・独) 監督:Köken Ergun

 ◆ヨーロッパ映画賞短編賞 ベルリン代表
 ◎“Misterio (Mystery)”(西) 監督:Chema García Ibarra

 ◆テディー賞 短編部門
 ◎“Ta av mig (Undress Me)”(スウェーデン) 監督:Victor Lindgren

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 【パノラマ部門】

 ◆国際批評家連盟賞
 ◎“Inch'Allah”(カナダ・独) 監督:Anaïs Barbeau-Lavalette

 ◆エキュメニカル審査員賞
 ◎“The Act of Killing”(デンマーク・ノルウェー・英) 監督:Joshua Oppenheimer

 ◆エキュメニカル審査員賞 スペシャル・メンション
 ◎“Inch'Allah”(カナダ・独) 監督:Anaïs Barbeau-Lavalette

 ◆Label Europa Cinemas
 ◎“The Broken Circle Breakdown”(ベルギー・オランダ) 監督:Felix van Groeningen

 ◆C.I.C.A.E.賞
 ◎“Rock the Casbah”(イスラエル・仏) 監督:Yariv Horowitz

 ◆テディー賞 審査員賞
 ◎“Concussion”(米) 監督:Stacie Passon

 ◆テディー賞 ドキュメンタリー賞
 ◎“Bambi”(仏) 監督:Sébastien Lifshitz

 ◆平和映画賞(Peace Film Prize)
 ◎“A World Not Ours”(レバノン・英・デンマーク) 監督:Mahdi Fleifel

 ◆Heiner Carow Prize
 ◎“Naked Opera”(ルクセンブルク・独) 監督:Angela Chirstlieb

 [観客賞]

 ◇フィクション部門
 1位:“The Broken Circle Breakdown”(ベルギー・オランダ) 監督:Felix van Groeningen
 2位:“Flores Raras (Reaching for the Moon)”(ブラジル) 監督:Bruno Barreto
 3位:“Inch'Allah”(カナダ・独) 監督:Anaïs Barbeau-Lavalette

 ◇ドキュメンタリー部門
 1位:“The Act of Killing”(デンマーク・ノルウェー・英) 監督:Joshua Oppenheimer
 2位:“Salma”(英) 監督:キム・ロンジノット
 3位:“A World Not Ours”(レバノン・英・デンマーク) 監督:Mahdi Fleifel

 【フォーラム部門】

 ◆第1回作品賞スペシャル・メンション
 ◎“A batalha de Tabatô (The Battle of Tabatô)”(ギニア ビサウ・ポルトガル) 監督:João Viana

 ◆国際批評家連盟賞
 ◎“Hélio Oiticica”(ブラジル) 監督:Cesar Oiticica Filho

 ◆エキュメニカル審査員賞
 ◎“Krugovi (Circles)”(セルビア・独・クロアチア・スロヴェニア・仏) 監督:Srdan Golubović

 ◆エキュメニカル審査員賞 スペシャル・メンション
 ◎『先祖になる』“Senzo ni naru (Roots)”(日) 監督:池谷薫

 ◆NETPAC賞
 ◎“Lamma shofak (When I Saw You)”(パレスチナ・ヨルダン・UAE・ギリシャ) 監督:Annemarie Jacir

 ◆C.I.C.A.E.賞
 ◎“Grzeli nateli dgeebi (In Bloom)”(グルジア・独・仏) 監督:Nana Ekvtimishvili、Simon Groß

 ◆カリガリ賞
 ◎“Hélio Oiticica”(ブラジル) 監督:Cesar Oiticica Filho

 ◆The Tagesspiegel Readers賞
 ◎“Die Liebe meiner Eltern (Father's Garden - The Love of My Parents)”(スイス) 監督:Peter Liechti

 【ジェネレーション 14plus部門】

 ◆作品賞 青少年審査員賞(Crystal Bear)
 ◎“Baby Blues”(ポーランド) 監督:Kasia Roslaniec

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 ◆スペシャル・メンション 青少年審査員賞
 ◎“Pluto”(韓) 監督:Shin Su-won

 ◆作品賞 インターナショナル審査員賞(Grand Prix for Best Film)
 ◎“Shopping”(ニュージーランド) 監督:Mark Albiston、Louis Sutherland

 ◆スペシャル・メンション インターナショナル審査員賞
 ◎“Baby Blues”(ポーランド) 監督:Kasia Roslaniec

 ◆短編部門 作品賞 青少年審査員賞(Crystal Bear for Best Short Film)
 ◎“Rabbitland”(セルビア) 監督:Ana Nedeljković、Nikola Majdak

 ◆短編部門 スペシャル・メンション 青少年審査員賞
 ◎“Treffit (The Date)”(フィンランド) 監督:Jenni Toivoniemi

 ◆短編部門特別賞 インターナショナル審査員賞(Special Prize Best Short Film)
 ◎“Första gången (The First Time)”(スウェーデン) 監督:Anders Hazelius

 ◆短編部門スペシャル・メンション インターナショナル審査員賞
 ◎“Barefoot”(カナダ) 監督:Danis Goulet

 【ジェネレーション Kplus部門】

 ◆作品賞 児童審査員賞(Crystal Bear for Best Film)
 ◎“The Rocket”(オーストラリア) 監督:Kim Mordaunt

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 ◆スペシャル・メンション 児童審査員賞
 ◎“Satellite Boy”(オーストラリア) 監督:Catriona McKenzie

 ◆作品賞 インターナショナル審査員賞(Grand Prix for Best Film)
 ◎“Mammu, es Tevi mīlu (Mother, I Love You)”(ラトヴィア) 監督:Jānis Nords

 ◆スペシャル・メンション インターナショナル審査員賞
 ◎“Satellite Boy”(オーストラリア) 監督:Catriona McKenzie

 ◆短編部門 作品賞 児童審査員賞(Crystal Bear for Best Short Film)
 ◎“The Amber Amulet”(オーストラリア) 監督:Matthew Moore

 ◆短編部門スペシャル・メンション 児童審査員賞
 ◎“Ezi un lielpilseta (Hedgehogs and the City)”(ラトヴィア) 監督:Ēvalds Lācis

 ◆短編部門 特別賞 インターナショナル審査員賞(Special Prize for Best Short Film)
 ◎“Cheong”(韓) 監督:Kim Jun-in

 ◆短編部門 スペシャル・メンション インターナショナル審査員賞
 ◎“Ezi un lielpilseta (Hedgehogs and the City)”(ラトヴィア) 監督:Ēvalds Lācis

 ◆第1回作品賞
 ◎“The Rocket”(オーストラリア) 監督:Kim Mordaunt

 ◆アムネスティー・インターナショナル賞(Amnesty International Film Prize)
 ◎“The Rocket”(オーストラリア) 監督:Kim Mordaunt

 【パースペクティヴ・ドイツ映画部門】

 ◆FGYO-Dialogue en Perspective
 ◎“Zwei Mütter (Two Mothers)”(独) 監督:Anne Zohra Berrached

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 ◆FGYO-Dialogue en Perspective スペシャル・メンション
 ◎“Chiralia”(独) 監督:Santiago Gil

 【ベルリナーレ・タレント・キャンパス】 (Berlinale Talent Campus)

 ◆Arte International Prize
 ◎Peter Valchanov “The Lesson(Urok)”(ブルガリア)

 ◆Dolby Sound Mark Award
 ◎Rutger Reinders(オランダ)

 ◆VFF Talent Highlight Pitch Award
 ◎Geordie Sabbagh “Two Guys who Sold the World”(カナダ)

 【その他の部門・その他の賞】

 ◆特別テディー賞(Special Teddy Award for HIV Awareness)
 ◎“Steps for the Future”(南ア)

 ◆Made in Germany - Prespektive Fellowship
 ◎Jan Speckenbach “Das Klopfen der Steine (The Sounds of Stones)”

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 ◆Thomas Strittmatter Screenplay Award
 ◎クリス・クラウス(Chris Kraus) “Die Blumen von gesten”

 ◆ベルリナーレ・カメラ2013
 ◎イザベラ・ロッセリーニ

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 ◎ローザ・フォン・プラウンハイム

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 ◆ベルリナーレ・カメラ サプライズ賞(Surprise Berlinale Camera)
 ◎リチャード・リンクレイター

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 ◆名誉金熊賞
 ◎クロード・ランズマン

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 コンペティション部門以外では、コンペティション部門に作品が選出されなかった国からの受賞が目立っています。コンペティション部門のエントリーから外された作品が、他の部門にまわされて、その結果、そこで受賞を果たしたということもあるのかもしれません。

 注目されるのは、複数の賞を受賞した作品で、“Inch'Allah”、“The Act of Killing”、“Hélio Oiticica”、“Baby Blues”、“The Rocket”があります。

 とりわけ注目なのは、サンダンス映画祭でも受賞を果たしている“Krugovi (Circles)”と、サンダンス映画祭では無冠に終わったものの、ゴッサム・アワードで受賞を果たしている“Concussion”です。少し気が早いですが、“Krugovi (Circles)”は、次回の米国アカデミー賞外国語映画賞を狙えるのではないでしょうか。

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 *当ブログ記事

 ・ベルリン国際映画祭2013 コンペティション部門ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201302/article_25.html

 ・ベルリン国際映画祭2013 星取表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201302/article_26.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2012年12月~2013年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201212/article_50.html

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