ベルリン国際映画祭2013 コンペティション部門ラインナップ!

 第63回ベルリン国際映画祭(2月7日-17日)コンペティション部門のラインナップです。

 ・“Camille Claudel 1915”(仏) 監督:ブリュノ・デュモン
 ・“On My Way”(仏)  監督:エマニュエル・ベルコ
 ・“The Nun”(仏・独・ベルギー) 監督:Guillaume Nicloux
 ・“Gold”(独) 監督:トーマス・アルスラン(Thomas Arslan)
 ・“Layla Fourie”(独・南ア・仏・オランダ) 監督:Pia Marais
 ・“Paradise: Hope”(オーストリア・仏・独)  監督:ウルリッヒ・ザイドル
 ・“In the Name of”(ポーランド) 監督:Małgośka Szumowska
 ・“An Episode in the Life of an Iron Picker”(ボスニア ヘルツェゴビナ・仏・スヴェロニア)  監督:ダニス・タノヴィッチ
 ・“Child's Pose”(ルーマニア) 監督:Călin Peter Netzer
 ・“A Long and Happy Life”(ロシア) 監督:Boris Khlebnikov
 ・“Closed Curtain(Pardé)”(イラン) 監督:ジャファール・パナヒ、Kambozia Partovi
 ・“Harmony Lessons”(独・カザフスタン) 監督:Emir Baigazin
 ・“Nobody's Daughter Haewon”(韓) 監督:ホン・サンス
 ・“VicFlo saw a Bear (Vic+Flo ont vu un ours)”(カナダ) 監督:ドゥニ・コテ(Denis Côté)
 ・“The Necessary Death of Charlie Countryman”(米) 監督:Fredrik Bond
 ・“Promised Land”(米) 監督:ガス・ヴァン・サント
 ・“Side Effects”(米) 監督:スティーヴン・ソダーバーグ
 ・“Prince Avalanche”(米) 監督:デイヴィッド・ゴードン・グリーン(David Gordon Green)
 ・“Gloria”(チリ・西)  監督:Sebastián Lelio

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 ・“Camille Claudel 1915”(仏) 監督:ブリュノ・デュモン
 出演:ジュリエット・ビノシュ、Jean-Luc Vincent
 物語:1915年の冬。カミーユ・クローデルは、1つの石を取り上げ、じっと見つめる。彼女は、その石によって創作意欲を刺激され、それを使って何か彫刻でも始めるのかと思いきや、あっさりその石を捨ててしまう。彼女は、彼女の才能をうらやむ人々や、彼女の愛人であったロダンなどから精神的な苦痛を受けて苦しみ、家族から精神病院に入るよう仕向けられていた。しかし、彼女のことを愛し、心から心配してくれているのは、作家であり、外交官の弟ポール・クローデルだけであった。
 ブリュノ・デュモンが、クローデル姉弟がやりとりしていた手紙からインスパイアされて、制作した作品。
 [3大映画祭との関わり]
 1997年 『ジーザスの日々』 カンヌ(フランス映画部門)~カメラドール スペシャル・メンション受賞。
 1999年 『ユマニテ』 カンヌ~グランプリ受賞。
 2003年 『欲望の旅』“Twentynine Palms” ベネチア
 2006年 『フランドル』 カンヌ~グランプリ受賞。
 2011年 『アウトサイド・サタン』 カンヌ(ある視点部門)


 ・“On My Way(Elle S’en va)”(仏)  監督:エマニュエル・ベルコ
 出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、Nemo Schiffman、Gérard Garouste、Camille、Claude Gensac
 物語:ベティーは60代初めで、レストランを営んでいる。ある時、彼女は、タバコを切らしていることに気づいて、彼女の顧客も従業員も気難しい母親も放って、タバコを買いに出かける。しかし、タバコ屋のシャッターは閉まっていて、タバコを手に入れることができない。彼女の愛人は若い娘の元に走ってしまっていたし、職場や母のところに戻る気も起きない。彼女はドライブを続け、タバコをくれた年配の男性の悲しいラブストーリーを聞く。その夜、彼女は羽目を外して、パーティーで騒ぐ。翌朝、彼女はホテルで目覚めるが、隣には見知らぬ男が眠っている……。
 エマニュエル・ベルコが、カトリーヌ・ドヌーヴをイメージして脚本を書いた作品。
 [3大映画祭との関わり]
 すべてカンヌ。1997年に短編『ヴァカンス』“Les vacances”を出品して審査員賞受賞。1999年にシネ・フォンダシオン部門に『少女』“La Puce”出品。2001年にある視点部門に『彼女はなぜ愛しすぎたのか』出品。ユース賞受賞。


 ・“The Nun(La Religieuse)”(仏・独・ベルギー) 監督:Guillaume Nicloux
 出演:ポーリン・エチエンヌ(Pauline Etienne)、イザベル・ユペール、ルイーズ・ブルゴワン(Louise Bourgoin)、マルティナ・ゲデック
 物語:シュザンヌは、これまでの自分の人生について手紙に綴っている。彼女は、自分の意思に反して、修道院に入れられたが、それは、彼女の階級に見合った持参金が用意できないからという理由からだった。彼女の自由への希望が消えることはなかったが、彼女は、修道女長によって、修道院での生活の仕方を学んでいく。しかし、先輩の修道女が亡くなって、彼女は新しい修道女長やそのほかの修道女から報復やいじめを受けることになる。
 ジャック・リヴェットが、アンナ・カリーナ主演で1966年に映画化した、ドゥニ・ディドロの『修道女』の再映画化。
 [3大映画祭との関わり] 初めて。1992年ロカルノ国際映画祭コンペティション部門に“La vie crevée”を出品。


 ・“Gold”(独) 監督:トーマス・アルスラン(Thomas Arslan)
 出演:ニーナ・ホス、Marko Mandic、ウヴェ・ボーム(Uwe Bohm)、ラルス・ルドルフ(Lars Rudolph)、Peter Kurth、Rosa Enskat、Wolfgang Packhäuser
 物語:1898年夏のカナダ。ドイツ人入植者たちが、鉄道の最後の駅アシュクロフトから、幌馬車で北に向かっている。彼らのリーダー、ヴィルヘルムはやり手のビジネスマンで、最近、ドーソンで金鉱が発見されたこともあり、彼らの未来は明るいように思われた。しかし、季節も寒くなり、2500キロも旅をした疲労もたまり、諍いも多くなってきた。そして、彼らの旅は、さらなる厳しい原野に向かおうとしていた……。
 [3大映画祭との関わり] 1999年にベルリン国際映画祭フォーラム部門に『売人』“Dealer”を出品し、国際批評家連盟賞&エキュメニカル審査員賞受賞。


 ・“Layla Fourie”(独・南ア・仏・オランダ) 監督:Pia Marais
 出演:Rayna Campbell、アウグスト・ディール、Rapule Hendricks、山下結穂
 物語:ライラは、シングルマザーで、ヨハナスブルクで、息子と暮らしている。彼女は、ポリグラフ・オペレーターとしての訓練を受けた後、嘘発見器を扱う会社での仕事を手に入れる。しかし、ある事故に巻き込まれて、ウソと欺瞞のがんじがらめとなり、息子を失ってしまうような状況にまで追い込まれる。
 [3大映画祭との関わり] 初めて。2007年にはロッテルダム国際映画祭コンペティション部門に“Die Unerzogenen”でタイガー・アワード受賞。2010年にはロカルノ国際映画祭コンペティション部門に“Im Alter von Ellen”を出品。


 ・“Paradise: Hope(Paradies: Hoffnung)”(オーストリア・仏・独)  監督:ウルリッヒ・ザイドル
 出演:Melanie Lenz、Vivian Bartsch、Joseph Lorenz、Michael Thomas
 物語:母親は、ケニヤに若い男を漁りに行き、厳格なカトリック信者の叔母は、戸別の訪問伝道に夢中になっている。残された13歳のメラニーは、オーストリアの山中で、ダイエット・キャンプに励むことになる。昼は、肉体的なエクササイズと栄養カウンセリングが行なわれるが、夜は、一緒に夜を過ごす相手を求めて、ディズコで乱痴気騒ぎが行なわれる。メラニーは、キャンプを指導している40代の医師に恋をして、彼を落とすための計画を練る。
 [3大映画祭との関わり]
 2001年 『ドッグ・デイズ』 ベネチア~審査員特別賞受賞。
 2007年 “Import/Export” カンヌ
 2012年 “Paradise : Love(Paradies : Liebe)” カンヌ
 2012年 “Paradise: Faith (Paradies: Glaube)” ベネチア~審査員特別賞、CinemAvvenir Awards Best Film Venezia 69受賞。


 ・“In the Name of(W imie...)”(ポーランド) 監督:Małgośka Szumowska(Malgorzata Szumowska)
 出演:アンジェイ・ヒラ(Andrzej Chyra)、Mateusz Kosciukiewicz、マヤ・オスタシェフスカ(Maja Ostaszewska)
 物語:アダムは、21歳になってから、神に仕えることが天命だと悟り、神の道に入ったカトリックの司祭である。彼は、ポーランドの田舎の村で、行動に問題のある10代の若者たちと過ごしている。彼が独身を貫いているのは、単に彼が結婚したくないからではない。実は、彼は、自分が男性が好きなことがわかっていて、神の道に入った1つの理由は、そうした自分のセクシュアリティーから逃げるためでもあった。そんな彼の前にŁukaszが現れる。Łukaszには、ちょっと変わったところがあったが、シンプルな田舎の家庭に育った無口な青年に過ぎなかった。しかし、アダムは、彼に会ってから、自分の禁欲生活が重荷となり、次第に耐え切れなくなっていった……。
 [3大映画祭との関わり] 初めて。2004年にサンダンス映画祭に“Ono”を出品。2008年に“33 sceny z zycia”でロカルノ国際映画祭コンペティション部門審査員特別賞受賞。


 ・“An Episode in the Life of an Iron Picker(Epizoda u zivotu beraca zeljeza)”(ボスニア ヘルツェゴビナ・仏・スヴェロニア)  監督:ダニス・タノヴィッチ
 出演:Senada Alimanovic、Nazif Mujic、Sandra Mujic、Semsa Mujic
 物語:ロマ人の家族が、ボスニア・ヘルツェゴビナの片田舎に住んでいる。父親のNazifは、廃車から金属を回収して、業者に売って金にし、母親のSenadaは、家事をし、小さな2人の娘の世話をしている。ある日、彼女は、腹部に鋭い痛みを覚える。医者に診てもらうと、彼女のお腹の中で赤ん坊が死に、敗血症になっていると言われる。緊急の手術が必要だが、彼女は保険に入っておらず、手術の費用をまかなえるだけの収入もない。手遅れにならずに済ますためには残された時間は少ない……。
 [3大映画祭との関わり] 2001年にカンヌのコンペ部門に『ノー・マンズ・ランド』を出品し、脚本賞受賞。


 ・“Child's Pose(Pozitia Copilului)”(ルーマニア) 監督:Călin Peter Netzer
 出演:ルミニツァ・ゲオルギウ(Luminita Gheorghiu)、Bogdan Dumitrache、Florin Zamfirescu
 物語:3月の寒い夕べ。バルブは、時速50キロで車を走らせていた。彼は、子供をはね、その子はまもなく死んでしまう。彼には、3年から15年の刑が予想された。ここに、彼の母親コルネリアが介入してくる。ベテランの建築家で、ルーマニアの上流階級の一員である彼女は、読んでもいない本が詰まった美しい本棚が自慢で、財布にはクレジットカードがぎっしり詰まっていた。ここから、思いつめ、生きる気力を失った息子を救うためのキャンペーンが始まる。彼女は、賄賂を使って、目撃者にウソの証言をさせることもできたし、死んだ子供の両親にお金をつかませて、懐柔することすらできそうだった。
 [3大映画祭との関わり] 初めて。2003年に“Maria”をロカルノ国際映画祭に出品し、審査員特別賞&ヤング審査員賞スペシャル・メンション受賞。


 ・“A Long and Happy Life(Dolgaya schastlivaya zhizn)”(ロシア) 監督:Boris Khlebnikov
 出演:Alexander Yatsenko、Eugene Sitiy、Anna Kotova
 物語:サーシャは、ロシア北部のコラ半島で、集団農場を引継いだ古い農場を営んでいる。使用人たちは彼を信頼していて、彼は、地元の役所で秘書をしているアーニャとの情事を楽しんで、それなりに満足していた。そこに、欲深い地区の行政官がやってきて、農場を売って、ひと儲けしないかと話を持ちかけてくる。農場は、金銭的なやりとりなしで引き継いだもので、法的には彼に売買の権利はない。かといって、行政官に楯突くこともできない。もし農場が売られてしまったら、立ち退かなければならなくなる使用人たちからも反対されて、彼は窮地に追い込まれる。
 [3大映画祭との関わり] 2003年に“Koktebel(Roads to Koktebel)”をモスクワ国際映画祭コンペティション部門に出品し、審査員特別賞受賞。2004年にカンヌ国際映画祭批評家週間に出品し、国際批評家連盟賞ディカヴァリー賞受賞。


 ・“Closed Curtain(Pardé)”(イラン) 監督:ジャファール・パナヒ、Kambozia Partovi
 出演:Kamboziya Partovi、Maryam Moghadam、ジャファール・パナヒ、Hadi Saeedi、Azadeh Toradi、Agha Olia、Zeynab Khanum
 物語:2人はともに逃走中である。犬を連れた男は、犬を飼うことを認められていない。というのも、犬はイスラム法上では汚らしいものと見なされているからだ。一方、若い女はカスピ海沿岸で違法のパーティーに参加した。彼らは、ともに、人里はなれた山荘に閉じこもって、カーテンを閉め、相手の様子を窺っている。彼はなぜ頭を丸めたのか? 彼女はどうして彼が警察に包囲されていることを知ったのか? 遠くで警察の声が聞こえるが、それも海の音にかき消される。一度だけ、彼らが同時に夜空の星を見上げたことがあったが、すぐにまた彼らは壁の中へと姿を消していった。
 [3大映画祭との関わり]
 1995年 『白い風船』 カンヌ(監督週間)~カメラドール受賞。
 2000年 『チャドルと生きる』 ベネチア~金獅子賞、国際批評家連盟賞受賞。
 2003年 『クリムゾン・ゴールド』 カンヌ(ある視点部門)~審査員員受賞。
 2006年 『オフサイド・ガールズ』 ベルリン~銀熊賞(審査員グランプリ)受賞。
 2010年 “The Acordion” ベネチア(ベネチア・デイズ)
 2011年 『これは映画ではない』 カンヌ(特別上映作品)


 ・“Harmony Lessons(Uroki Garmonii)”(独・カザフスタン) 監督:Emir Baigazin
 出演:Timur Aidarbekov、Aslan Anarbayev、Mukhtar Anadassov、Anelya Adilbekova、Beibitzhan Muslimov
 物語:13歳のアルスランは、健康診断で、みんなの前で恥をかかされて、それがその後の彼の性格に影を落とすことになった。彼は、潔癖症で、完璧主義になり、自分の身の回りのことをすべてコントロールしないではいられなくなった。彼は。カザフスタンの村におばあちゃんと一緒に暮らしていたが、そうした生活も限界に近づいていた。アルスランのいじめっ子の1人、ボラットは、年少者を恐喝し、彼らを守るためと称して、彼らからお金を巻き上げていたが、アルスランのことは侮蔑し、仲間はずれにしていた。
 [3大映画祭との関わり] 初監督作品。


 ・“Nobody's Daughter Haewon”(韓) 監督:ホン・サンス
 出演:チョン・ウンチェ(Jung Eunchae)、イ・ソンギュン(Lee Sunkyun)
 物語:ヘウォンは、すべてに見放されたように感じている。母親は、カナダへの移民を計画しているし、ひそかにつきあいを続けたきた教授は、彼女に協力的ではないので、別れようと考えている。ところが、同級生たちに教授との仲をかぎつけられ、その一方で、教授は、彼女と別れるのを拒む。彼女は、ふさぎこんで、自分の殻に閉じこもるが、男たちが彼女をソウル郊外の古い要塞に連れ出す。彼女は、そこで日本酒と懐かしい曲に出会い、現在おかれている状況から抜け出す糸口を見つける。
 [3大映画祭との関わり]
 2000年 『秘花~スジョンの愛~』 カンヌ(ある視点部門)
 2004年 『女は男の未来だ』 カンヌ
 2005年 『映画館の恋』 カンヌ
 2007年 『浜辺の女』(2006) ベルリン(パノラマ部門)
 2008年 『アバンチュールはパリで』 ベルリン
 2009年 『よく知りもしないくせに』 カンヌ(監督週間)
 2010年 『ハハハ』 カンヌ(ある視点部門)~ある視点賞受賞
 2010年 『教授とわたし、そして映画』 ベネチア(Orizzonti部門)
 2011年 『次の朝は他人』 カンヌ(ある視点部門)
 2012年 『3人のアンヌ』 カンヌ


 ・“VicFlo saw a Bear (Vic+Flo ont vu un ours)”(カナダ) 監督:ドゥニ・コテ(Denis Côté)
 出演:Pierrette Robitaille、ロマーヌ・ボーランジェ、マルク=アンドレ・グロンダン(Marc-André Grondin)
 物語:ヴィクは、刑務所から出所したばかりで、平安と静けさを求めていた。彼女は、カナダの森の中にある親戚の家に向かい、そこで生活することになるが、それを待ちかねたように、恋人のフロが訪ねてくる。2人は、ゴルフカートで田舎を探索したり、風景を愛でたりして楽しんだ。しかし、うれしいことばかりではなかった。執行猶予係官がルール無用で、しょっちゅう様子を見にくるし、女友だちが地元のバーに繰り出して行くのも彼女を不安にさせた。親切な庭師の隣人は、実は、彼女の過去と関わりがあって、彼女の先行きに暗い影を落とした。そして、次第に、森までもが彼女にとって脅威に思えてきた……。
 [3大映画祭との関わり] コンペティション部門出品は初めて。
 “Carcassess”をカンヌ国際映画祭2009監督週間に出品。『檻の中の楽園』をベルリン国際映画祭2012フォーラム部門に出品。


 ・“The Necessary Death of Charlie Countryman”(米) 監督:Fredrik Bond
 出演:シャイア・ラブーフ、エヴァン・レイチェル・ウッド、マッツ・ミケルセン、ティル・シュヴァイガー、ルパート・グリント
 物語:チャーリーの母が癌で亡くなり、彼はブカレストへと旅をする。それは、死んだ母が幻影となって現れ、彼にブカレストに行って、心と魂を解放するようにと告げたからだった。ところが、ブカレストに向かう途中の飛行機で、会ったばかりの乗客が亡くなり、チャーリーは、彼の荷物を彼の娘ガビに届けるよう託されることになる。彼は、ガビに会って一目ぼれするが、麻薬カルテルのボスにじゃまされる。麻薬カルテルのボスは、精神異常者で、あらゆる手を使って、無知なアメリカ人からガビを引き離そうとするが、それでもチャーリーは、心から彼女を愛していることを証明しようとする。彼は、薄汚いユース・ホステルや麻薬常習者の夢に出てくるようなストリップ・クラブを抜け、ルーマニアの殺し屋から逃げる……。
 [3大映画祭との関わり] 初めて。初監督長編。


 ・“Promised Land”(米) 監督:ガス・ヴァン・サント
 出演:マット・デイモン、ジョン・クラシンスキー、フランシス・マクドーマンド、ローズマリー・デウィット、ハル・ホルブルック
 物語:スティーヴ・バトラーは、将来は約束されていると思っていた。少なくとも彼のボスたちを見ているといずれ彼もそうなると予想された。ところが、新しい天然ガスの採掘計画が決まって、事情が変わる。彼は、計画予定地の農場主たちを説得して、その土地を買い取る仕事の担当になる。採掘方法は、新しいもので、これまでのやり方では採掘できなかったガスを採掘する方法だったが、それは危険を伴うものであり、その部分は伏せられていた。採算の取れない農場はこの機会に高く売った方がよい。そう説得してまわったが、住人の中に反対する者が現れ、やがて環境運動の活動家がこれに加わった。ここに来て、彼も考える。自分は、大きなエネルギー企業が不当利益を獲得するための代理人であっていいだろうか、それとも、同じような田舎で育った自分のルーツに立ち返るべきなのではないだろうか。
 [3大映画祭との関わり]
 1987年 “Five Ways to Kill Yourself” ベルリン(短編コンペティション部門)~テディー賞受賞。
 1990年 『ドラッグストア・カウボーイ』 ベルリン(フォーラム部門)~CICAE Award受賞。
 1991年 『マイ・プライベート・アイダホ』 ベネチア
 1995年 『誘う女』 カンヌ(特別上映作品)
 1998年 『グッド・ウィル・ハンティング』 ベルリン
 2001年 『小説家を見つけたら』 ベルリン~Prize of the Guild of German Art House Cinemas受賞。
 2003年 『エレファント』 カンヌ~パルムドール、監督賞、Cinema Prize of the French National Education System受賞。
 2005年 『ラスト・デイズ』 カンヌ
 2007年 『パラノイドパーク』 カンヌ
 2009年 『ミルク』 ベルリン(パノラマ部門)
 2011年 『永遠の僕たち』 カンヌ(ある視点部門)


 ・“Side Effects”(米) 監督:スティーヴン・ソダーバーグ
 出演:ジュード・ロウ、ルーニー・マーラ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、チャニング・テイタム
 物語:エミリー・タイラーは、汗っかきで、動悸が激しく、不安症で、神経質で、それが彼女の人生をみじめなものにしていた。しかし、そんな彼女にもうれしいことがあった。それは刑務所に服役していた夫が帰ってくることだ。ところが、夫が帰ってきた後、状況はさらに悪化する。医者に処方してもらった向精神薬を飲んだが、その後、気を失い、目覚めると、アパートで夫が死んでいるのを見つける。血のりは、彼女が犯人であることを示しているが、彼女は何も覚えていない。野心家の医師ジョナサン・バンクスが登場して、彼女の投薬の効果について調べることになる。
 [3大映画祭との関わり]
 1989年 『セックスと嘘とビデオテープ』 カンヌ~パルムドール受賞。
 1993年 『わが街 セントルイス』 カンヌ
 1998年 『アウト・オブ・サイト』 ベネチア(Nottie e Stelle部門)
 1999年 『イギリスから来た男』 カンヌ(アウト・オブ・コンペティション部門)
 2001年 『トラフィック』 ベルリン~男優賞受賞。
 2003年 『ソラリス』 ベルリン
 2005年 『Buble/バブル』 ベネチア(アウト・オブ・コンペティション部門)
 2007年 『さらば、ベルリン』 ベルリン
 2007年 『オーシャンズ13』 カンヌ(特別上映作品)
 2008年 『チェ 28歳の革命』『チェ39歳 別れの手紙』 カンヌ~男優賞受賞。
 2009年 『インフォーマント!』 ベネチア(アウト・オブ・コンペティション部門)
 2011年 『コンテイジョン』 ベネチア(アウト・オブ・コンペティション部門)
 2012年 『エージェント・マロリー』 ベルリン(特別上映作品)


 ・“Prince Avalanche”(米) 監督:デイヴィッド・ゴードン・グリーン(David Gordon Green)
 出演:ポール・ラッド、エミール・ハーシュ
 物語:1988年夏。ランスとアルヴィンは、山火事の被害に遭った森で、果てしなく続く田舎道のマーキングの塗り直しをしていた。ランスにとって、女もパーティーもないここでの生活は孤独でつらいものだったが、真面目なアルヴィンにとっては必ずしもそんなこともなくて、恋人であるランスの姉にせっせと手紙を書いていた。アルヴィンは、仕事が終わった後、荒れ果てた森に入って、ゴーストや打ち捨てられた家の残骸をハンティングしたりして過ごした。2人は、小さな車で、森を迂回し、ケンカしたり、議論したりした。その夏、彼らが会ったのは、貨物を積んだ車の運転手だけで、彼は、彼らに自家製のお酒をごちそうし、そして去った。
 アイスランド映画“Á annan veg(Either Way)”(2011)のリメイク作品。
 [3大映画祭との関わり] 初めて。サンダンス映画祭に『アンダートウ 決死の逃亡』(2003)と『スノー・エンジェル』(2007)を出品。前者で審査員特別賞受賞。


 ・“Gloria”(チリ・西)  監督:Sebastián Lelio
 出演:Paulina García、セルヒオ・エルナンデス(Sergio Hernández)、ディエゴ・フォンテシージャ(Diego Fontecilla)、Fabiola Zamora
 物語:グロリアは58歳で、夫はなく、子供たちも既に家を出ている。彼女は、昼も夜も独りで孤独に過ごしていたが、つかの間の気晴らしをするために、シングルズ・パーティーに参加する。失望ばかりで、気に入った相手が見つけられずにいたが、ある日、彼女より7つ年上の元海軍将校ロドルフォと出会う。彼女は、この関係が永遠に続くことを期待するが、やがて自分自身の暗い過去と向き合わなければならなくなる。
 サンセバスチャン国際映画祭2012 Films in Progress Industry Award獲得。
 [3大映画祭との関わり] 初めて。2001年にロカルノ国際映画祭 コンペティション部門に“El año del tigre”を出品。ヤング審査員賞"Environment Is Quality of Life" Prize受賞。


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 【作品の傾向】

 今回のコンペティション部門出品は、共同製作作品が多いこともあって、地域・国的にはかなりの国を網羅しています。
 今回、エントリーされなかったのは、イギリス、ポルトガル、イタリア、北欧、ギリシャ、イスラエル、トルコ、東南アジア、台湾、香港、中国、日本、オセアニア、メキシコ、チリを除く南米、南アを除くアフリカ、といったところでしょうか。

 ポルトガル、イタリア、スイス、ギリシャ、フィリピン、中国は、前回エントリーがあったので、作品のバランスを考えて、今回は見送られた可能性もあります。

 開催国のドイツ作品は、共同製作作品は多いものの、ドイツ単独で製作した作品はわずかに1本しかありません。例年だと、エース級というか、第一線で活躍している監督の作品を2~3本は送り込んでくるのですが、今回はそうした作品は1本もありませんでした。

 知られざる国の知られざる監督の作品を1つぐらい入れておきたいところですが、今回のそれはカザフスタンのEmir Baigazin監督ということになるでしょうか。

 監督の受賞歴で見てみると―

 初監督作品:2人
 3大国際映画祭初参加:6人(たぶん)
 3大国際映画祭コンペティション部門初参加:4人
 金熊賞受賞者:なし
 パルムドール受賞者:ガス・ヴァン・サント、スティーヴン・ソダーバーグ
 金獅子賞受賞者:ジャファール・パナヒ

 3大国際映画祭初参加+3大国際映画祭コンペティション部門初参加で10人というのは、ちょっと多くて、3大国際映画祭最高賞受賞者があと2人くらい欲しかった気もします。

 テーマやモチーフとしては―

 キリスト教にまつわる作品:2本
 13歳が主人公(?):2本
 50代、60代の女性が主人公:2本
 刑務所帰りをモチーフに含む作品:2本
 LGBTをモチーフに含む作品:2本

 今回のベルリン国際映画祭コンペティション部門出品作品の特徴は、何と言っても、女性が主人公の作品ばかりだ(つまり女性の生き方を描いた作品が多い)ということで。昨年のカンヌ国際映画祭が男性が主人公の作品ばかりだったのと対照的です。
 したがって、女優賞は、激戦になりますが、男優賞は、かなり候補が絞られることになります。

 女性監督が3人いますが、これは(調べてはいませんが)やや多い方かもしれません。

 全体的には、ラインナップをざっと見た感じでは、けっこういいんじゃないかと思ったんですが、個々の作品について調べた限りでは、これというような作品が大してなかった、という印象です。
 まあ、シノプシスではわからない部分もあるので、なんとも言えませんが、昨年がわりと豊作だっただけに、今年はちょっとパワーダウンしているようにも感じられました。

 【受賞予想】

 今年の審査員は以下の通り。

 ウォン・カーウァイ(審査員長)、スザンネ・ビア、アンドレアス・ドレーゼン、エレン・クラス(Ellen Kuras:アメリカの撮影監督)、シリン・ネシャット、ティム・ロビンス、Athina Rachel Tsangari。

 俳優はティム・ロビンスだけ。監督と撮影監督ばかりで、評論家やプロデューサー、文化人などはひとりもいません。
 7人中4人が女性というのもちょっと珍しいですが、「女性映画」の年にふさわしい布陣といえるかもしれません。

 ウォン・カーウァイが審査員長だと、『花様年華』に通じるような、芸術性の高い作品を選びそうな気はしましたが、どうやら今回はそうした作品は見当たらないようです。
 だとしたら、ここは、見ごたえのある「女性の生き方」を描いた作品が選ばれる、と考えてもいいかもしれません。

 以上を踏まえつつ、ラフな予想をしてみると、以下の通りです。

 金熊賞:“An Episode in the Life of an Iron Picker”

 監督賞:ダニス・タノヴィッチ、ジャファール・パナヒ

 男優賞:アンジェイ・ヒラ(“In the Name of(W imie...)”)、エミール・ハーシュ(“Prince Avalanche”)

 女優賞:ジュリエット・ビノシュ(“Camille Claudel 1915”)、カトリーヌ・ドヌーヴ(“On My Way(Elle S’en va)”)、ポーリン・エチエンヌ(“The Nun(La Religieuse)”)、Rayna Campbell(“Layla Fourie”)、ルミニツァ・ゲオルギウ(“Child's Pose(Pozitia Copilului)”)、チョン・ウンチェ(“Nobody's Daughter Haewon”)、Paulina García(“Gloria”)

 脚本賞:“Closed Curtain(Pardé)”、“Prince Avalanche”

 ポイント1:ジャファール・パナヒに関しては、よほどひどい作品でない限り、何らかの賞は贈らざるを得ないだろうというのが当然のように予想されます。しかし、金熊賞を贈るほどのものでもないかなという気もして、ここでは監督賞もしくは脚本賞、ということにしておきました。

 ポイント2:ウルリッヒ・ザイドルに関しては、3部作の完結編ということで、大きな賞をあげたいところですが、どうも落としどころが見つかりません。ひょっとすると、審査員グランプリあたりが妥当かもしれません。

 ポイント3:コンペティション部門出品をずっと見ていくと、くたびれるというか、なんだか気詰まりがするような(感じがするような)気がしますが、そんな時にストレートに感動できる、あるいは、ホッとひと息つける作品が、“An Episode in the Life of an Iron Picker”もしくは“Prince Avalanche”という気がしますね。
 と考えて、“An Episode in the Life of an Iron Picker”を金熊賞に、“Prince Avalanche”を脚本賞と男優賞に選んでみました。(ま、“Prince Avalanche”はそれほどの作品ではない可能性もありますが。)

 ポイント4:女優賞候補はたくさんいますが、まだあまり知られていない女優に賞を贈って、賞を有効に使おうと審査員が考えるかもしれません。だとしたら、ポーリン・エチエンヌとRayna Campbellが有力候補となります。

 ポイント5:ガス・ヴァン・サントとソダーバーグは、これまでのキャリアに照らしても、どうもベスト級の作品ではないように思えるので、受賞は難しいかもしれません。

 ポイント6:大きな国際映画祭で、なかなか大きな賞を受賞できないホン・サンス。ウォン・カーウァイだったら、ひょっとしてひょっとするということもある? でしょうか。

 ポイント7:新しい才能を見つけては、自分を売り込むことに熱心だという印象があるイザベル・ユペールが、“The Nun(La Religieuse)”に出演しているのが、ちょっと気になります。この監督は注目しておいてもいいかもしれません。

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 *当ブログ記事

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2012年12月~2013年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201212/article_50.html

 追記:
 ・ベルリン国際映画祭2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201302/article_28.html

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