今年もひと味違うね! アンリ・ラングロワ賞2013発表!

 第8回アンリ・ラングロワ賞が発表になりました。(1月28日)

 【アンリ・ラングロワ賞】
 アンリ・ラングロワ(1914~77)は、シネマテーク・フランセーズの創設者で、アンリ・ラングロワ賞は、2006年に開催された、映画遺産と映画修復に関する国際ミーティングin ヴァンセーヌ(Rencontres internationales du cinéma de patrimoine et de films restaurés de Vincennes)をきっかけに始まった映画賞です。

 なので、映画の保存と修復に貢献した人に贈られる賞ももちろんありますが、過去だけに目を向けるのではなく、現役の映画人で、近い将来、確実に“映画遺産”の仲間入りをするような人にも贈られています。
 といっても、引退寸前の功労者に名誉賞的に贈るのではなく、まだまだ現役バリバリの人にも贈られています。
 受賞者の顔ぶれを見ると、大きな映画賞ではどうしてもこぼれ落ちてしまいそうな映画人にスポットライトを当てたり、1年やそこらではなく、もっと長いスパンでフランス映画界、あるいは、フランス語映画世界全体を見ていることが感じ取れます。

 本年度の受賞者は以下の通りです。

 ◆名誉賞 監督賞(Prix Henri Langlois d’Honneur-réalisateur)
 ◎エドゥアール・モリナロ
 エドゥアール・モリナロは、『ひと夏の情事』『Mr.レディMr.マダム』『エレベーターを降りて左』『ボーマルシェ/フィガロの誕生』などで知られる監督。

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 ◆名誉賞 男優賞(Prix Henri Langlois d’honneur Comédien)
 ◎オマー・シェリフ

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 ◆名誉賞 女優賞(Prix Henri Langlois d’Honneur Comédienne)
 ◎ダニエル・ドロルム(Danièle Delorme)
 プロデューサーと女優としてのキャリアに対して(pour sa carrière de productrice et de comédienne) 孫で監督のユーゴ・ゲランが代理で授賞式に出席。

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 ◆シネマ・オブ・ザ・ワールド こことよそ名誉賞(Prix Henri Langlois Cinémas du monde, d’ici et d’ailleurs d’Honneur)
 ◎ユーザン・パルシー(Euzhan Palcy)
 ユーザン・パルシーは、『マルチニックの少年』や『白く乾いた季節』で知られる監督。

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 ◆女優賞(Prix Henri Langlois Comédienne)
 ◎カトリーヌ・フロ

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 ◆シネマ・オブ・ザ・ワールド こことよそ賞(Prix Henri Langlois « Cinémas du monde, d’ici et d’ailleurs»)
 ◎アブデラマン・シサコ(Abderrahmane Sissako)
 なぜか2年連続受賞です。アブデラマン・シサコは、オムニバス映画『8-Eight-』などが紹介されているモーリタニアの監督です。

 ◆作曲家賞(Prix Henri Langlois Compositeur de Musique pour l’image)
 ◎ジャン=クロード・プティ(Jean-Claude Petit)
 ジャン=クロード・プティは、『美しさと哀しみと』『愛と宿命の泉』『シラノ・ド・ベルジュラック』『妻への恋文』『プロヴァンスの恋』『ルムンバの叫び』『ヴィサージュ』などを手がける作曲家。

 ◆ヒューマニズム賞(Prix Henri Langlois Humanisme & Engagement)
 ◎アニエス・ジャウイ

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 ◆アニメーション賞(Prix Henri Langlois- Film d’animation)
 ◎レミ・ブザンソン(Rémi Bezançon)、ジャン=クリストフ・リー(Jean-Christophe Lie)  “Zarafa”(仏・ベルギー)

 “Zarafa”(仏・ベルギー) 監督:レミ・ブザンソン(Rémi Bezançon)、ジャン=クリストフ・リー(Jean-Christophe Lie)
 物語:バオバブの木の下で老人が子どもたちに話をしている。それは10歳の少年マキと、エジプトのパシャがフランス国王シャルル10世に贈った孤児のキリン、ザラファとの友情の物語だ、
 レミ・ブザンソン監督が、『ターザン』や『ヘラクレス』などでアニメーターを務めたジャン=クリストフ・リーと組んで、完成させた初のアニメーション作品。
 アヌシー国際アニメーションフェスティバル2012 長編コンペティション部門出品。

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 ◆フランス語アーティスト・トロフィー(Prix Henri Langlois - Trophée artiste francophone)
 ◎ユッスーン・ンドゥール(Youssou N’Dour)

 ◆フランス語映画トロフィー(Prix Henri Langlois Trophée du Cinéma Francophone)
 ◎Moussa Touré “La Pirogue”(仏・セネガル・独)

 『小舟』“La Pirogue(The Pirogue)”(セネガル・仏・独) 監督:Moussa Touré
 物語:Baye Layeは、漁を生業とするカヌーの船長だった。彼も、ほとんどのセネガルの同胞と同じく、家族のよりよい生活のために、どこかよそで暮らしたいと考えていた。彼は、何人かで、30人の男たちを、カナリア諸島経由でヨーロッパに運ぶという仕事を引き受ける。彼は、あまり気が進まなかったが、それはその航海がどんなに危険なものかを知っていたからだ。30人の男たちの中には言葉が通じない者がいたり、海を見るのが初めてだという者もいたりして、前途多難が予想された。
 カンヌ国際映画祭2012 ある視点部門出品。
 リュミエール賞2013 フランス語映画賞受賞。
 第3回My French Film Festivalにて配信。

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 ◆ドキュメンタリー賞(Prix Henri Langlois -Film Documentaire)
 ◎ブルノ・ル・ジャン(Bruno Le Jean) “Les Fils du Vent”(仏)

 “Les Fils du Vent”(仏) 監督:ブルノ・ル・ジャン(Bruno Le Jean)
 IDではなく、旅行許可証を持ち、ジャンゴ・ラインハルトの系譜につながり、ギターを愛でるように演奏する、「風の兄弟たち」とも言うべき4人のロマ人ミュージシャンAngelo Debarre、Ninine Garcia、Tchavolo Schmitt、Morenoを追ったドキュメンタリー。コンサート・フィルムではなく、むしろ、エモーションやユーモア、詩情といった彼らの魂をとらえようとした作品。

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 ◆普及&保存賞(Henri Langlois - Promotion et défense du cinema)
 ◎Axel Brucker Le Trailers Museum(予告編ミュージアム)

 ◆ヴァンサンヌ市賞 シネマテーク&修復賞(Prix Henri Langlois -Ville de Vincennes « cinémathèque et restaurations »)
 ◎Serge Bromberg
 L’association Retour de Flammeの20年に関して( à l’occasion des 20 ans de l’association Retour de Flamme)

 [メラニー・ロランとジョスラン・キヴランによる、男優または女優、あるいは双方が初監督作品を手がけようとするのを祝福するためのトロフィー]
 (Trophée parrainé par Mélanie Laurent et Jocelyn Quivrin destiné à saluer le passage réussi d’un comédien, d’une comédienne voire des deux à la réalisation de son premier long-métrage)

 ◇男性監督賞(Prix Henri Langlois –Révélation réalisateur)
 ◎パトリック・ミル(Patrick Mille) “Mauvaise Fille”

 “Mauvaise Fille”(仏) 監督:パトリック・ミル(Patrick Mille)
 出演:Izia Higelin、キャロル・ブーケ、ボブ・ゲルドフ
 物語:ルイーズは母親になろうとしている。彼女の母親は化学療法に凝っていて、一方、彼女の父親は、女好きのロック・シンガーだった。
 リュミエール賞2013新人女優賞(Izia Higelin)ノミネート。
 セザール賞2013有望若手女優賞(Izia Higelin)ノミネート。

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 ◇女性監督賞(Prix Henri Langlois- Révélation Réalisatrice)
 シルヴィー・テステュー “La Vie d’une autre”

 “La Vie d’une autre”(仏・ベルギー・ルクセンブルク) 監督:シルヴィー・テステュー
 出演:ジュリエット・ビノシュ、マチュー・カソヴィッツ
 物語:マリーは、26歳でポールと出会う。が、夢から覚めると、自分は、既に40歳で、ポールと結婚して一児の母となり、義父の大企業のトップに立っている。しかし、この15年間の記憶が全くない。しかも、漫画家ポールとは離婚の危機にある。マリーは、なんとか現状を打開し、夫の愛を取り戻そうとするが……。
 北村薫の『スキップ』を彷彿とさせる作品。

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 ◆アンリ・ラングロワの友協会賞(Prix de l’Association des amis d’Henri Langlois)
 ◎Alice Winocour “Augustine”

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 “Augustine”(仏) 監督:Alice Winocour
 出演:Soko、ヴァンサン・ランドン、キアラ・マストロヤンニ
 物語:1885年冬。Pitié-Salpêtriere病院の医師シャルコー教授は、奇妙な病気ヒステリーについて研究していた。19歳のオーギュスティーヌは、彼のお気に入りのモルモットで、彼の催眠術の実験台になった。やがて彼の研究の対象は彼の欲望の対象に変わる。
 カンヌ国際映画祭2012 批評家週間特別上映作品。
 トロント国際映画祭2012 DISCOVRY部門出品。
 リュミエール賞2013 新人女優賞(Soko)ノミネート。


 [クロード・ルルーシュと、ジャン=マルク・バールのMedia Mundus出資によるLe label Eye on Films協賛の、第1回作品コンペティティヴ・セレクション]
 (Sélection compétitive de premiers films parrainée par Claude Lelouch en collaboration avec le label Eye on Films soutenu par Media Mundus parrainé par Jean-Marc-Barr)

 ◇外国人記者審査員賞(Trophée Coup de Cœur de la Presse Etrangère)
 ◎“The House with the turret”(ウクライナ) 監督:Eva Neymann

 “House with a Turret(Dom s bashenkoy)”(ウクライナ) 監督:Eva Neymann
 慢性的に食べ物が不足し、永遠に終わりそうにない戦争が続いた戦時中の様子を、少年の目を通して描く。
 ウクライナの作家Friedrich Gorensteinの小説の映画化。
 ウクライナの新鋭Eva Neymannの第2作。
 上海国際映画祭2012 金爵奨コンペティション出品。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2012 イースト・オブ・ウェスト コンペティション部門出品。イースト・オブ・ウェスト賞受賞。

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 ◇映画学生審査員賞(Trophée Coup de Cœur des étudiants de cinema)
 ◎“Le paradis des Bêtes”(仏) 監督:エステル・ラリヴァ(Estelle Larrivaz)

  “Le paradis des Bêtes”(仏) 監督:エステル・ラリヴァ(Estelle Larrivaz)
 物語:ドミニクは、ペットショップ「動物天国」の店長をしている。妻キャシーとのケンカが修復不可能なところまで行き、妻は2人の子供をつれて家を出て行ってしまう。

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 ◆スペシャル・メンション(Mention spéciale au film)
 ◎『はちみつ色のユン』(仏・ベルギー・韓) 監督:ユン、ローラン・ボアロー

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 この映画賞の趣旨に賛同する人が増えたのか、今回は、部門や賞が多くなったようです。

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 *当ブログ記事

 ・アンリ・ラングロワ賞2012:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201202/article_17.html
 ・アンリ・ラングロワ賞2011:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201102/article_7.html

 ・セザール賞2013 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201301/article_61.html

 ・リュミエール賞2013ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201212/article_60.html
 ・リュミエール賞2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201301/article_49.html

 ・ルイ・デリュック賞2012 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201210/article_34.html
 ・ルイ・デリュック賞2012 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201212/article_29.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2012年12月~2013年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201212/article_50.html

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