女性映画批評家協会賞2012 発表!

 第9回女性映画批評家協会賞が発表されました。(12月17日)

 【女性映画批評家協会賞】

 女性映画批評家協会(Women Film Critics Circle)は、女性の見方や声を映画批評の分野に反映させるべく、2004年にアメリカで設立された団体で、国内外で、出版やラジオ、テレビで活躍している映画批評家や研究者、約60名で構成されています。メンバーの中には、日本の猿渡由紀さんの名前も見えます。
 ウーマンリブの流れを汲み、性差別や性的虐待に対し戦う姿勢を見せる映画賞だったのですが、2010年から多少スタンスを変えたようで、攻撃的な姿勢を抑えて、頑張っている女性を評価し、讃える部分を前面に押し出すようになりました。

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 ◆女性が作った映画賞(Best Movie By A Woman)
 ◎『ゼロ・ダーク・サーティ』 監督:キャスリン・ビグロー

 ◆最優秀女性映画賞(Best Movie About Women )
 ◎『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』(デンマーク・チェコ・スウェーデン・独) 監督:ニコライ・アーセル

 『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』“A Royal Affair (En Kongelig Affære)”(デンマーク・チェコ・スウェーデン・独) 監督:ニコライ・アーセル(Nikolaj Arcel)
 出演:マッツ・ミケルセン、Alicia Vikander、トリーヌ・ディルホム、ディヴィッド・デンシック、Mikkel Boe Følsgaard
 物語:ヨハン・フリードリヒ・ストルーエンセは、デンマークのアルトナの町医者であった。しかし、1768年に精神的に不安定なデンマーク王クリスチャン7世に伴って、ヨーロッパ中を旅することになる。旅の間に、彼は、王の信頼を得、王個人のお抱え医師となった。ところが、彼は、それ以上のものを望んだ。ハンサムで自信に満ちた彼に恋した女王の寵愛の下、次第に国政に口出しするようになる。ヨーロッパを啓蒙するという一大計画にタッチし、出版と表現の自由を進めた。拷問と農奴制を廃止し、学校制度を整備した。そして、貴族の特権の制限にも着手した。怒ったのは貴族で、彼らは自らの富と権力が失われるのを恐れ、これら「冒涜的な活動」を拒絶。結局、これらの改革は試論に終わってしまった。
 町医者から事実上の「摂政」にまで上り詰めたヨハン・フリードリヒ・ストルーエンセの実話の映画化。
 ベルリン国際映画祭2012 コンペティション部門出品。銀熊賞(男優賞:Mikkel Boe Følsgaard)、銀熊賞(脚本賞:ニコライ・アーセル、ラスマス・ヘイスターバング)受賞。
 トロント国際映画祭2012 GALA PRESENTATIONS部門出品。
 ヨーロッパ映画賞2012 美術賞・作曲賞ノミネート。
 米国アカデミー賞2013外国語映画賞デンマーク代表。

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 ◆脚本家賞(Best Storyteller)
 ◎ジュリー・デルピー “2 Days in New York”

 “2 Days in New York”(独・仏・ベルギー) 監督:ジュリー・デルピー
 出演:ジュリー・デルピー、クリス・ロック、ダニエル・ブリュール、アルベール・デルピー、アレクシア・ランドー、アレックス・ナオン
 物語:『パリ、恋人たちの2日間』の続編。マリオンは、ジャックとは別れて、今はニューヨークで子供たちと暮らしている。彼女の家族が彼女のもとにやってくることになって、文化的背景の異なる者たち―マリオンの新しいアメリカ人ボーイフレンドのミンガス、エキセントリックなマリオンの父親、元カレを彼女の写真展に参加させようと目論んでいるマリオンの姉ローズ―が集まって、ひと騒動起こる。

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 ◆男優賞
 ◎ダニエル=デイ・ルイス 『リンカーン』

 ◆女優賞
 ◎アン・ハサウェイ 『レ・ミゼラブル』

 ◆コメディエンヌ賞(Best Comedic Actress)
 ◎マギー・スミス 『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』

 ◆若手女優賞(Best Young Actress)
 ◎クヮヴェンジャネ・ウォリス 『ハッシュパピー~バスタブ島の少女~』

 ◆ベスト男性像(Best Male Images in a Movie)
 ◎ダニエル=デイ・ルイス 『リンカーン』

 ◆ワースト男性像(Worst Male Images)
 ×『キラー・スナイパー』 監督:ウィリアム・フリードキン

 ◆ベスト女性像(Best Female Images)
 ◎『ゼロ・ダーク・サーティ』

 ◆ワースト女性像(Worst Female Images of Women in a Movie)
 ×『キラー・スナイパー』
 דThink Like a Man” 監督:Tim Story

 ◆アニメーション賞(Best Animated Females)
 ◎『メリダとおそろしの森』

 ◆外国映画賞(Best Foreign Film By or About Women)
 ◎“Where Do We Go Now?( Et maintenant on va où?)”(仏・レバノン・エジプト・伊) 監督:ナディーン・ラバキ

 “Where Do We Go Now? (Et Maintenant On Va Ou ?)”(レバノン・仏)  監督:ナディーン・ラバキ
 出演:ナディーン・ラバキ、Claude Moussawbaa、Layla Hakim、Antoinette Noufaily、Yvonne Maalouf
 物語:墓場に向かう途中、暑い日差しが照りつける。黒をまとった女たちの行列。それぞれの夫や父親、息子達の写真をしっかりと握りしめている女たち。何人かはベールを覆い、何人かは十字架をつけていたが、不幸かつ無駄である戦争という結果が招いた死別の悲しみをすべての女性たちが分ち合っていた。墓地の入口に到着したとき、葬列が二つに分かれる。イスラム教とキリスト教。戦争によって引き裂かれた国。
 宗教の異なる女性たちは、しかし、自分達の村や家族が外部からの脅威に脅かされた時、宗教の違いを超えて団結しようとする。彼女たちは、利発で滑稽な計画で男連中の宗教の違いによる怒りや対立を忘れさせようとするが、計画は悲劇に終わる。残った者を助けるために彼女たちはどこまで出来るのだろうか?
 カンヌ国際映画祭2011 ある視点部門出品。エキュメニカル審査員賞スペシャル・メンション&Prix François Chalais受賞。
 トロント国際映画祭2011 ピープルズ・チョイス賞受賞。
 米国アカデミー賞2012外国語映画賞レバノン代表。


 ◆ファミリー映画賞(Best Family Film)
 ◎『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』 監督:アン・リー
 ◎“Rise of the Guardians”『不思議の国のガーディアン』 監督:ピーター・ラムジー

 ◆性の平等賞(Best Equality Of The Sexes)
 ◎『ゼロ・ダーク・サーティ』

 ◆最優秀未公開映画(Best Theatrically Unreleased Moviee By or About Women)
 ◎“Hemingway and Gellhorn”

 “Heminway & Gellhorn”(米) 監督:フィリップ・カウフマン
 出演:ニコール・キッドマン、クライヴ・オーウェン、デイヴィッド・ストラザーン、ロドリゴ・サントロ、モーリー・パーカー、パーカー・ポージー
 物語:1936年、アーネスト・ヘミングウェイと先駆的な戦場特派員マーサ・ゲルホーンがキーウェストで出会う。スペイン内戦からアメリカ、中国へと場所を移しつつ、2人の関係は深まっていき、ヘミングウェイの2度目の離婚成立後、1940年に2人は正式に結婚する。彼女のおかげで、ヘミングウェイは、ハリウッドや文学サークル、ホワイトハウスの社交界へと活動の舞台を広げるが、2人の結婚生活もそう長く続くことはなかった。
 HBO向けに制作されたTV映画。
 カンヌ国際映画祭2012 アウト・オブ・コンペティション部門出品。

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 ◆女性たちの仕事:最優秀アンサンブル賞(Women’s Work: Best Female Ensemble:)
 ◎マギー・スミス、ジュディー・デンチ、ペネロープ・ウィルトン、セリア・イムリー 『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』

 ◆生涯貢献賞(Lifetime Achievement Award)
 ◎バーバラ・ストライサンド

 ◆演技と社会活動賞(Acting And Activism Award)
 ◎サリー・フィールド

 ◆アドリエンヌ・シェリー賞:女性に対する暴力に最も闘った作品に贈られる(Adrienne Shelly Award: For A Film That Most Passionately Opposes Violence Against Women)
Adrienne Shelly Award
 ◎“Compliance” 監督:Craig Zobel
 ◎“The Invisible War”(米) 監督:カービー・ディック(Kirby Dick)

 “Compliance”(米) 監督:Craig Zobel
 出演:アン・ダウド(Ann Dowd)、ドリーマ・ウォーカー(Dreama Walker)、パット・ヒーリー(Pat Healy)、ビル・キャンプ(Bill Camp)、フィリップ・エッティンガー(Philip Etinger)
 物語:サンドラは、あるファーストフード店でマネージャーをしている。ある日、警察官と名乗る相手から、従業員が窃盗を働いていると電話を受ける。サンドラは、その女性従業員を事務所に呼びつけ、彼女を調べる。「犯行」は一度だけではないかもしれない。「調査」は次第にエスカレートし、コントロールできなくなる。
 マクドナルドで実際に起こり、裁判にまで発展した事件の映画化。
 サンダンス映画祭2012 NEXT部門出品。

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 ・“The Invisible War”(米) 監督:カービー・ディック(Kirby Dick)
 米国の軍隊の中にはびこるレイプに関する調査と懸命な実証。調査機関は、その存在と、そこから生じる個人的および社会的影響を探っていく。
 『ノット・レイテッド ~アメリカ映倫のウソを暴け!~』(2006)、『クローゼット ~ゲイ叩き政治家のゲイを暴け!~』(2009)で知られるカービー・ディック監督の最新作。“Twist of Faith”(2004)で米国アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞ノミネート。
 サンダンス映画祭2012 観客賞受賞。
 国際ドキュメンタリー協会賞(IDA)2012 長編部門賞ノミネート。
 米国アカデミー賞2013 長編ドキュメンタリー賞ショートリスト。

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 ◆ジョゼフィン・ベイカー賞:アメリカの有色人種の女性を最も優れて表現した作品に贈られる(Josephine Baker Award: For Best Expressing The Woman Of Color Experience In America)
 ◎“Middle of Nowhere” 監督:Ava DuVernay

 “Middle of Nowhere”(米) 監督:Ava DuVernay
 出演:Emayatzy Corinealdi、デイヴィッド・オイェロウォ(David Oyelowo)、オマリ・ハードウィック(Omari Hardwick)、Lorraine Touissant、Edwina Findley
 物語:医者を目指していた医学生のルビーは、夫が投獄されて、試練を味わい、これまで通り夢を追いかけ続けるわけにはいかなくなる。
 サンダンス映画祭2012 監督賞受賞。
 トロント国際映画祭2012 CONTEMPORARY WORLD CINEMA部門出品。
 アフリカン・アメリカン映画批評家協会賞2012 主演女優賞・脚本賞・音楽賞・インディペンデント映画賞受賞。


 ◆カレン・モーリー賞:歴史や社会における女性の立場を最もよく表わし、勇気を持って調査した作品に贈られる(Karen Morley Award: For best exemplifying a woman’s place in history or society, and a courageous search for identity)
 ◎『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』(デンマーク・チェコ・スウェーデン・独) 監督:ニコライ・アーセル

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 該当作品が見当たらなかったのか、今年は、かなり部門が整理されました。

 複数の部門で受賞を果たしたのは、『ゼロ・ダーク・サーティ』、『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』、『リンカーン』、『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』の4作品でした。

 一部では、高い評価も受けている“Killer Joe”や“Think Like a Man”がここでは厳しい評価を受けていて、かえって気になりますね。


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 *当ブログ記事

 ・女性映画批評家協会賞2011 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201112/article_48.html
 ・女性映画批評家協会賞2010 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201012/article_47.html
 ・女性映画批評家協会賞2009 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_22.html
 ・女性映画批評家協会賞2008 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_26.html

 ・全米映画賞レース2012の結果をまとめてみました:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201212/article_51.html

 ・全米の映画批評家協会系映画賞について調べてみました:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201101/article_2.html

 ・全米の映画賞について調べてみました:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201001/article_45.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2012年12月~2013年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201212/article_50.html

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