『ももへの手紙』も受賞! アジア太平洋映画賞2012 受賞結果!

 第6回アジア太平洋映画賞の受賞結果が発表されました。(11月23日)

 【アジア太平洋映画賞(Asia Pacific Screen Awards)】

 アジア太平洋映画賞といっても、世界各地で開催される様々な映画祭・映画賞の1つに過ぎませんが、スポンサーにユネスコとCNNと国際映画製作者連盟がついているというのがユニークで、そんな映画賞がなぜかオーストラリアのクイーンズランドを拠点として開催されています(音頭取りをしているのが、クイーンズランドだからなんですが)。

 アジア太平洋映画賞は、2007年ニスタートしていて、中東までを含めたアジア全域と、オセアニアの映画の振興を目的とする賞で、対象国は70カ国にも及んでいます。
 スケールや認知度・注目度は格段に違いますが、おそらくヨーロッパ映画賞を意識はしていて、アジア太平洋地域におけるヨーロッパ映画賞のような映画賞を目指しているのだろうと思われます。

 今年は、264本のエントリーがあり、その中からノミネーションが行なわれました。

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 ◆作品賞(Best Feature Film)
 ○“Bumchoiwaui Junjaeng (Nameless Gangster: Rules of the Time)”(韓) 監督:ユン・ジョンビン
 ・“Khers (Bear)”(イラン) 監督:Khosro Masoumi
 ・“Orda (The Horde)”(ロシア) 監督:Andrei Proshkin
 ◎“Tepenin Ardi (Beyond the Hill)”(トルコ・ギリシャ) 監督:Emin Alper
 ・『捜査官X』“Wu Xia”(香港・中) 監督:ピーター・チャン

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 “Tepenin Ardi (Beyond the Hill)”(トルコ・ギリシャ) 監督:Emin Alper
 物語:晩夏。Nusretは、息子のCanerとZaferを連れて、田舎で暮らしている元林務官の父Faikの家を訪れる。Faikは、地元の遊牧民との間にトラブルを抱えていて、いつも警戒が必要だった。一方、孫のZaferは、兵役以来、メンタル的な問題を抱えていた。やがて残りの家族も集まり、一家が勢ぞろいする。それぞれ気質も違い、社会階級も違うが、衝突することはなかった。脅威なのは、見えざる敵の遊牧民たちだった。夏の終わりにしては、辺りはやけに静かだった……。
 ベルリン国際映画祭2012 フォーラム部門出品。スペシャル・メンション&カリガリ賞受賞。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2012 NETPAC賞受賞。
 台北電影節2012 審査員特別賞受賞。

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 ◆監督賞(Achievement In Directing)
 ・アヌラーグ・カシヤプ(Anurag Kashyap) “Gangs of Wasseypur”(インド)
 ◎ブリランテ・メンドーサ “Sinapupunan (Thy Womb)”(フィリピン)
 ○程耳(Cheng Er) “Lethal Hostage(辺境風雲)”(中)
 ・Khosro Masoumi “Khers (Bear)”(イラン)
 ・レイス・チェリッキ(Reis Çelik) 『沈黙の夜』“Lal gece (Night of Silence)”(トルコ)

 “Sinapupunan (Thy Womb)”(フィリピン) 監督:ブリランテ・メンドーサ
 出演:Nora Aunor、ベンボル・ロッコ(Bembol Rocco)
 物語:主人公は、バジャオの助産婦で、彼女は、満足に生活できないTawi-Tawiのジプシー・コミュニティーの中で、自らの劣等感を皮肉たっぷりに交えつつ、日々の仕事をしている。そうして、邪悪な情熱と島国の伝統の間で、島の物語は積み重ねられていく。
 ベネチア国際映画祭2012 コンペティション部門出品。La Navicella-Venezia Cinema Award、 P. Nazareno Taddei賞スペシャル・メンション、インディペンデント批評家賞(Independent Critics Award Bisato d'Oro)最優秀女優賞(Nora Aunor)受賞。

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 ◆脚本賞(Best Screenplay)
 ・程耳(Cheng Er) “Lethal Hostage(辺境風雲)”(中)
 ・クリストファー・マルティネス(Chris Martinez) 『浄化槽の貴婦人』“Ang Babae sa Septic Tank (The Woman in the Septic Tank)”(フィリピン)(監督:マーロン・N・リベラ)
 ・Emin Alper “Tepenin Ardi (Beyond the Hill)”(トルコ・ギリシャ)
 ◎レイス・チェリッキ(Reis Çelik) 『沈黙の夜』“Lal gece (Night of Silence)”(トルコ)
 ・Shoaib Mansoor “Bol”(パキスタン)(監督:Shoaib Mansoor)

 『沈黙の夜』“Lal gece (Night of Silence)”(トルコ) 監督:レイス・チェリッキ(Reis Çelik)
 物語:「都会から離れた地方の村で見合い結婚のセレモニーが行われる。花婿は刑務所帰りの60歳の男。赤いヴェールをまとった花嫁の顔は見えない。互いに面識のないままふたりは寝室に入るが、花嫁のヴェールの下からあらわれたのは、怖れてふるえる14歳の少女の顔だった。男は新婚初夜の“つとめ”を全うしなければならず、少女に優しく接するが、少女は何かと煙に巻いて男を混乱させるばかり。ふたりは駆け引きを繰り返すが埒があかないまま、夜が更けて次第に朝が近づいてくる…。」
 ベルリン国際映画祭2012 ジェネレーション14plus部門出品。クリスタル・ベア受賞。

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 ◆撮影賞(Achievement In Cinematography)
 ・Charin Pengpanich “Bunohan (Bunohan: Return to Murder)”(マレーシア)(監督:Dain Said)
 ・チン・ディンチャン(Chin Ting-Chang) 『セデック・バレ』“Seediq Bale (Warriors of the Rainbow: Seediq Bale)”(台湾)(監督:ウェイ・ダーション)
 ・ジェイク・ポロック、ライ・イウファイ(Lai Yiu-fai) 『捜査官X』“Wu Xia”(香港・中)
 ◎Touraj Aslani 『サイの季節』“Fasle Kargadan (Rhino Season)”(イラク(クルディスタン)・トルコ)(監督:バフマン・ゴバディー)
 ・Yury Raysky “Orda (The Horde)”(ロシア)

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 『サイの季節』“Fasle Kargadan(Rhino Season)”(イラク・クルディスタン・トルコ) 監督:バフマン・ゴバディ
 出演:Behrouz Vossoughi、モニカ・ベルッチ、Yilmaz Erdoğan
 物語:クルド系イラン人の詩人サヘルは、30年の刑務所暮らしを経て、釈放される。彼の頭にあるのは、妻のミナを捜すことだけで、彼女は夫が死んだと思い込んで、トルコに去ってしまったと聞かされる。サヘルは、イスタンブール中を、妻wo捜してまわる。
 トロント国際映画祭2012 SPECIAL PRESENTATIONS部門出品。
 サンセバスチャン国際映画祭2012 コンペティション部門出品。撮影賞受賞。

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 ◆男優賞(Best Performance By An Actor)
 ◎チェ・ミンシク “Bumchoiwaui Junjaeng (Nameless Gangster: Rules of the Time)”(韓)
 ○Lior Ashkenazi “Hearat shulayim (Footnote)”(イスラエル)(監督:ヨセフ・シダー)
 ・Manoj Bajpayee “Gangs of Wasseypur”(インド)
 ・Tamer Levent “Tepenin Ardi (Beyond the Hill)”(トルコ・ギリシャ)
 ・ウー・ティエンミン 『老人ホームを飛びだして』“Full Circle”(中)(監督:チャン・ヤン)

 “Bumchoiwaui Junjaeng (Nameless Gangster: Rules of the Time)”(韓) 監督:ユン・ジョンビン
 出演:チェ・ミンシク、ハ・ジョンウ、チョ・ジヌン、マ・ドンソク、グァク・ドンウォン
 物語:1982年の釜山。解雇の危機に直面した税関員チェ・イクヒョンは、釜山の最大組織のボス、チェ・ヒョンベと組んで、摘発した覚せい剤を日本に密輸して、ひと儲けしようと企む。
 百想芸術大賞2012 8部門ノミネート、映画部門大賞、新人男優賞(キム・ソンギュン)受賞。
 韓国映画評論家協会賞2012 脚本賞受賞。

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 ◆女優賞(Best Performance By An Actress)
 ・チョ・ミンス 『ピエタ』“Pieta”(韓)(監督:キム・ギドク)
 ○Darya Ekamasova “Zila bila odna baba (Once Upon a Time There Lived a Simple Woman)”(ロシア)(監督:Andrei Smirnov)
 ・Humaima Malick “Bol”(パキスタン)
 ◎Nora Aunor “Sinapupunan (Thy Womb)”(フィリピン)
 ・Vidya Balan “The Dirty Picture”(インド)(監督:Milan Luthria)

 ◆長編ドキュメンタリー賞(Best Documentary Feature Film)
 ・『壊された5つのカメラ パレスチナ・ビリンの叫び』“Hams Caeraten Maksura(Hamesh Matzlemot Shvurot /Five Broken Cameras)”(イスラエル・パレスチナ・仏) 監督:イマード・ブルナート、ガイ・ダビディ
 ◎“In My Mother’s Arms”(イラク・英・オランダ) 監督:モハメド・アルダラジー(Atea Al Daradji)、モハメド・アルダラジー(Mohamed Al Daradji)、
 ・“Negeri di Bawah Kabut (The Land Beneath the Fog)”(インドネシア・独) 監督:Shalahuddin Siregar
 ○“Planet of Snail”(韓・日・ポーランド) 監督:Yi Seung-jun
 ・“Shiton Hachok (The Law in These Parts)”(イスラエル・米・独) 監督:Ra'anan Alexandrowicz

 “In My Mother's Arms”(イラク・オランダ・英) 監督:アティア・アルダラジー(Atia Al-Daradji )& モハメド・アルダラジー(Mohamed Al Daradji)
 Husham Al Thabeは、バグダッドの最も危険な地域で、孤児院を開いて、32人の子供たちの面倒を見ている。しかし、大家から2週間で家を明け渡せと言われる。
 『バビロンの陽光』の監督のモハメド・アルダラジーとその兄でプロデューサーのアティア・アルダラジーが、『バビロンの陽光』制作中に、Husham Al Thabeのことを聞きつけ、制作されることになったドキュメンタリー。
 トロント国際映画祭2011 REAL TO REEL部門出品。

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 ◆長編アニメーション賞(Best Animated Feature Film)
 ・『ハッピーフィート2 踊るペンギンレスキュー隊』“Happy Feet Two”(オーストラリア・米) 監督:ジョージ・ミラー
 ・『コクリコ坂から』“Kokurikozaka Kara (From Up on Poppy Hill)”(日) 監督:宮崎吾朗
 ◎『ももへの手紙』“Momo e no tegami (A Letter to Momo)”(日) 監督:沖浦啓之
 ・『虹色ほたる~永遠の夏休み~』“Nijiiro Hotaru (Rainbow Fireflies)”(日) 監督:宇田鋼之介
 ・『おおかみこどもの雨と雪』“Ookamikodomo no Ame to Yuki (Wolf Children)”(日) 監督:細田守

 ◆児童映画賞(Best Children’S Feature Film)
 ・“Australia Sheli (My Australia)”(ポーランド・イスラエル) 監督:Ami Drozd
 ・“Gattu”(インド) 監督:Rajan Khosa
 ・『奇跡』“Kiseki (I Wish)”(日) 監督:是枝裕和
 ◎『鏡は嘘をつかない』“Laut Bercermin (The Mirror Never Lies)”(インドネシア) 監督:カミーラ・アンディニ
 ・“Orchim Lerega (Off White Lies)”(イスラエル) 監督:Maya Kenig

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 『鏡は嘘をつかない』“The Mirror Never Lies”(インドネシア) 監督:カミーラ・アンディニ(Kamila Andini)
 物語:「パキス(12歳)の父親は海釣りに出かけたまま行方不明となる。再会できると信じるパキスの唯一の希望は父親からもらった鏡だ。行方不明となった人々を探すバジョの儀式では鏡と水を使う。そこで彼女は決して鏡に現れない父親の像をじっと待ち続ける。母親のタユン(32歳)は、自分たちが暮らす小さな漁村にやってきた調査員と、行方不明の夫への思いとの間で苦悩する。」
 「12歳の少女パキスの宝物は父の形見の鏡。彼女は鏡が世界の真実をうつし出すと信じている…。美しい海辺の村で展開するファンタジーに満ちた一篇。日本の「3.11」の映像も挿入される。監督はガリン・ヌグロホ監督(『枕の上の葉』)の長女。」
 台北電影節2012 ニュー・タレント・コンペティション部門出品。スペシャル・メンション受賞。 

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 ◆審査員グランプリ(Screen International Jury Grand Prizes)
 ◎アヌラーグ・カシヤプ(Anurag Kashyap)(監督) “Gangs of Wasseypur”(インド)

 ◎チョ・ミンス(女優) 『ピエタ』“Pieta”(韓)(監督:キム・ギドク)

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 ○Hearat Shulayim(脚本)  “Hearat shulayim (Footnote)”(イスラエル)(監督:ヨセフ・シダー)

 “Gangs of Wasseypur”(インド) 監督:アヌラーグ・カシヤプ(Anurag Kashyap)
 出演:Manoj Bajpayee、Richa Chadda、Reema Sen
 物語:10年に及ぶギャングもののクロニクル。インド独立と工業化という激動の時代に、2つのライバルのギャング・ファミリーが、血で血を洗う争いを繰り広げる。争いは次第にエスカレートして、緊張感が高まっていき、決定的な対決は避けようもなく、運命の日に向かって突き進んでいく。
 トロント国際映画祭2012 CITY TO CITY部門出品。

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 『ピエタ』“Pieta”(韓) 監督:キム・ギドク
 出演:チェ・ミンス、イ・ジョンジン
 物語:カンドは、孤独に育ち、今は、サラ金の依頼を受けて取立てを行なう冷酷な取り立て屋となっている。そんな彼の前に、母親だと名乗る女性が現れる。サンドは、彼女にも冷酷な態度を取るが、やがて残酷な秘密が明らかになってくる……。
 「お金中心の資本主義社会で、不信と憎悪が人々を破滅に向かわせている。この映画は、そんな残酷な私たちの自画像ともいうべき警告の映画だ」とキム・ギドク。
 ベネチア国際映画祭2012 コンペティション部門出品。金獅子賞受賞。
 大鐘賞2012 主演女優賞受賞。
 韓国映画評論家協会賞2012 作品賞・監督賞・女優賞・国際批評家連盟賞受賞。
 米国アカデミー賞2013 外国語映画賞 韓国代表。
 
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 ◆映画への貢献賞(FIAPF Award for Outstanding Achievement in Film)
 ◎坂本龍一

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 ◆ユネスコ賞(UNESCO Award for Outstanding Contribution to The Promotion and Preservation of Cultural Diversity Through Film)
 ◎『セデック・バレ』“Seediq Bale (Warriors of the Rainbow: Seediq Bale)”(台湾) 監督:ウェイ・ダーション

 ※ ◎が受賞者、○は次点(High Commendation)です。

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 主な作品のノミネート&受賞状況は以下の通り。

 ・“Tepenin Ardi (Beyond the Hill)”(1/3):作品・脚本・男優
 ・“Bumchoiwaui Junjaeng (Nameless Gangster: Rules of the Time)”(1/2):作品・男優
 ・“Khers (Bear)”(0/2):作品・監督
 ・“Orda (The Horde)”(0/2):作品・監督
 ・『捜査官X』(0/2):作品・撮影
 ・“Gangs of Wasseypur”(0/2):監督・男優 +審査員グランプリ
 ・“Sinapupunan (Thy Womb)”(2/2):監督・女優
 ・“Lethal Hostage(辺境風雲)”(0/2):監督・脚本
 ・『沈黙の夜』(1/2):監督・脚本
 ・“Bol”(0/2):脚本・女優
 ・『浄化槽の貴婦人』(0/1):脚本
 ・“Bunohan (Bunohan: Return to Murder)”(0/1):撮影
 ・『セデック・バレ』(1):撮影 +ユネスコ賞
 ・『サイの季節』(1/1):撮影

 トルコ、フィリピン、イラク、韓国、インドネシアと、昨今のアジア映画をめぐる状況を反映した受賞結果ということができるでしょうか。

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 *当ブログ記事
 ・アジア太平洋映画賞2008 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200811/article_7.html
 ・アジア太平洋映画賞2009 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_44.html
 ・アジア太平洋映画賞2010 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201010/article_32.html
 ・アジア太平洋映画賞2010 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201012/article_6.html
 ・アジア太平洋映画賞2011 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201111/article_23.html
 ・アジア太平洋映画賞2012 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201210/article_20.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2012年6月~2013年1月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201206/article_9.html

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