ラリー・クラーク! ドンゼッリ! ドワイヨン! シャオガン! ローマ国際映画祭2012 受賞結果!

 第7回ローマ国際映画祭(11月9日-17日)の各賞が発表されました。

 ローマ国際映画祭(Festival Internazionale del Film di Roma)は、トライベッカ映画祭に呼応する形で2002年に単発の映画祭として開催されたのが最初ですが、それが契機となって、2006年より毎年開催される映画祭として正式スタートしたまだ若い映画祭です。
 正式スタート以来まだ7回目ですが、ホストが首都ローマであり、イタリア経済のバックアップもあって、数多くの有名映画人が参加する映画祭となって、メディアの注目も集めています。

 今年は、昨年までベネチア国際映画祭のディレクターを務めていたマルコ・ミュラーが新しくディレクターに就任して、さまざまな改革が行なわれました。
 改革の内容については、後述します。

 第7回ローマ国際映画祭の受賞結果は以下の通りです。

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 【インターナショナル・コンペティション部門】

 ・“Main Dans La Main(Hand in Hand)”(仏) 監督:ヴァレリー・ドンゼッリ
 ・“Un Enfant De Toi(You, Me And Us)”(仏) 監督:ジャック・ドワイヨン
 ・“Alì Ha Gli Occhi Azzurri”(伊) 監督:Claudio Giovannesi
 ・“E La Chiamano Estate”(伊) 監督:パオロ・フランキ(Paolo Franchi)
 ・“Il Volto Di Un'altra”(伊) 監督:パッピ・コルシカート
 ・“Ixjana”(ポーランド) 監督:イエジー・スコリモフスキー、Michał Skolimowski
 ・“Večnoe Vozvraščenie(Eterno Ritorno)”(ウクライナ) 監督:キラ・ムラートワ
 ・“Nebesnye Ženy Lugovykh Mari(Spose Celestiali Dei Mari Di Pianura)”(ロシア) 監督:アレクセイ・フェドルチェンコ(Alexey Fedorchenko)
 ・“1942(Back To 1942/温故1942)”(中) 監督:フォン・シャオガン
 ・“Duzhan(Drug War)”(中) 監督:ジョニー・トー
 ・『悪の教典』“Lesson Of The Evil”(日) 監督:三池崇史
 ・“A Glimpse Inside The Mind Of Charles Swan III (米) 監督:ロマン・コッポラ
 ・“Marfa Girl”(米) 監督:ラリー・クラーク
 ・“The Motel Life”(米) 監督:Gabriel Polsky、Alan Polsky
 ・“Mai Morire”(メキシコ) 監督:エンリケ・リヴェロ

 ※審査員:ジャフ・ニコルズ(審査員長)、ティムール・ベクマンベトフ、ヴァレンティナ・チェルヴィ(Valentina Cervi:イタリアの女優)、クリス・フジワラ、レイラ・ハタミ、P・J・ホーガン、エドガルド・コザリンスキー

 ◆作品賞(Golden Marc’Aurelio Award for Best Film)
 ◎“Marfa Girl”(米) 監督:ラリー・クラーク

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 “Marfa Girl”(米) 監督:ラリー・クラーク
 出演:Adam Mediano、Drake Burnette、Jeremy St. James、Mary Farley、Mercedes Maxwell、Indigo Rael、Tina Rodriguez
 物語:セックスとドラッグとロックンロールとアートと暴力と人種差別の物語。テキサス州にある砂漠の街マーファ。ここには、白人とメキシコ系アメリカ人という2つのアーティストのコミュニティーがあって、対立している。ティーンエージャーの門限は夜の11時で、学校の規則は厳しく、幼稚園から高校まで、罪を犯せばヘラで体罰を与えられる。物語は、白人とヒスパニック系のハーフのアダムを中心に語られる。彼の母親メアリーは彼のことを愛しているが、自分が飼っている鳥にばかりかまけて、あまりアダムの面倒は見ていない。隣人のドンナは、23歳の一児の母親で、ドラッグ・ディーラーのガールフレンドが刑務所に入っていて、アダムにイネズという恋人がいると知っていながら、アダムの18歳の誕生日に、彼を誘惑しようとする。さらに、よそからやってきた娘が、アーティストたちの根城に住み着いて、アダムに性のレッスンをしようとする。国境警備隊のトムは、自分には家族らしい家族がなかったこともあって、家族に憧れがあり、アダムの家族に強い関心を寄せる。物語の終わりには、すべての罪が洗い流されて、新しい物語が始まる。そうして人生は続いていく。

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 ◆監督賞
 ◎パオロ・フランキ(Paolo Franchi) “E La Chiamano Estate”(伊)

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 “E La Chiamano Estate”(伊) 監督:Paolo Franchi
 出演:イザベラ・フェラーリ(Isabella Ferrari)、ジャン=マルク・バール、ルカ・アルジェンテーロ(Luca Argentero)、フィリッポ・ニグロ(Filippo Nigro)、エヴァ。リッコボーノ(Eva Riccobono)、アニタ・クラヴォス(Anita Kravos)、ジャン=ピエール・ロリ(Jean-Pierre Lorit)、Christian Burruano、マウリツィオ・ドナドーニ(Maurizio Donadoni)
 物語:ディーノとアンナは40代の夫婦だが、夫婦とは名ばかりで、うまくいっていない。ディーノは、娼婦を買ったり、フリーセックスをしたりして、夫婦生活に足りないものを補っている。あげくに、彼は、アンナの昔のボーイフレンドと話をして、昔どういうセックスをしていたのかと聞いたり、アンナとやり直してみたらどうかと言ってみたりもする。アンナはどうしていいのかわからないし、終わりにしたくもない。いい解決策はないように見える……。

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 ◆審査員特別賞
 ◎“Alì Ha Gli Occhi Azzurri”(伊) 監督:Claudio Giovannesi

 “Alì Ha Gli Occhi Azzurri”(伊) 監督:Claudio Giovannesi
 出演:Nader Sarhan、Stefano Rabatti、Brigitte Apruzzesi、Marian Valenti Adrian
 物語:ローマ郊外のオスティア。冬のビーチ。2人のティーンエージャーが朝8時にスクーターを盗み、店で万引きをして、9時には学校に登校している。ナダールは、ローマ生まれのエジプト人で、ステファノはイタリア人。ステファノの親友で、ナダールの恋人であるブリジットもイタリア人だ。しかし、ナダールの両親は、イタリア人とつきあうことに反対で、彼は家を飛び出してしまう。

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 ◆男優賞
 ◎ジェレミー・エルカイム(Jérémie Elkaïm) “Main Dans La Main(Hand in Hand)”(仏)

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 “Main Dans La Main(Hand in Hand)”(仏) 監督:ヴァレリー・ドンゼッリ
 出演:ヴァレリー・ルメルシエ(Valérie Lemercier)、ジェレミー・エルカイム、ベアトリス・ドゥ・スタエル(Béatrice De Staël)、ヴァレリー・ドンゼッリ
 物語:エレナはスノッブで名門のバレエ学校に通っている。ジョアキムは、趣味がスケートボードで、地方の鏡メーカーで働いている。そんな何の共通点も持たない2人が出会って、恋をする。どうして恋に落ちたのか、なぜ惹かれ合うのか、2人にもわからない。わかっているのは、互いに相手から離れられなくなっていることだけだ。

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 ◆女優賞
 ◎イザベラ・フェラーリ(Isabella Ferrari) “E La Chiamano Estate”(伊)

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 ◆エマージング賞(Award for Emerging Actor or Actress)
 ◎Marilyne Fointaine “Un Enfant De Toi(You, Me And Us)”(仏)

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 “Un Enfant De Toi(You, Me And Us)”(仏) 監督:ジャック・ドワイヨン
 出演:ルー・ドワイヨン、サミュエル・ベンシェトリ(Samuel Benchetrit)、マリック・ジディ(Malik Zidi)、Marilyne Fontaine、Olga Milshtein
 物語:リナは7歳。彼女は、愛し合っているように見えた両親が離婚してことで、頭を悩ませる。何か自分が知らないような秘密があるのだろうか。ママに尋ねたら、もう1人子供が欲しいのだという。自分ひとりじゃダメなのだと言われたような気もしてショックだったが、それよりも、赤ん坊が欲しいとしたら、父親は誰なのだろうか? パパなのか? それとも……。

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 ◆脚本賞
 ◎ノア・ハープスター(Noah Harpster)、Micah Fitzerman-Blue “The Motel Life”(米)

 “The Motel Life”(米) 監督:Gabriel Polsky、Alan Polsky
 出演:エミール・ハーシュ、ダコタ・ファニング、スティーヴン・ドーフ、クリス・クリストファーソン、ジョシュア・レナード(Joshua Leonard)、ノア・ハープスター
 物語:ネバダ州リノの辺境。幼くして孤児になった兄弟がいて、彼らは、一時的にこの地に住み着いた移民たちに頼って生きてきた。彼らの一方が事故に遭った時、彼らは逃げ出すか、厳しい現実と向き合うか、選択を迫られることになる。

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 ◆技術貢献賞
 ◎アルナウ・バイス・コロメル(Arnau Valls Colomer)(撮影) “Mai Morire”(メキシコ)

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 “Mai Morire”(メキシコ) 監督:エンリケ・リヴェロ
 出演:Margarita Saldaña、Amalia Salas、Juan Chirinos
 物語:チャヨは、都会でメイドとして働いていたが、年老いて、死の床にある母親の面倒をみるために、故郷のソチミルコに戻ってくる。家には、小学校に通う2人娘と夫がいる。チャヨは、母が亡くなるまで、母に付き添うことに決める。ここでは都会とは時間の流れ方が異なり、都会のルールも通用しない。チャヨは、何かの予兆のように真鍮のお守りを発見するが、それはいつか夢の中で見たものだった。

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 ◆第1-2回監督作品賞(Best Debut and Second Film Award)
 ◎“Alì Ha Gli Occhi Azzurri”(伊) 監督:Claudio Giovannesi

 ◆撮影賞(A.I.C. Award for Best Cinematography)
 ◎ルー・ユエ “1942(Back To 1942)”(中)

 “1942(Back To 1942/温故1942)”(中) 監督:フォン・シャオガン
 出演:シュイ・ファン、チャン・グオリー(張国立)、エイドリアン・ブロディー、チェン・ダオミン、チャン・ モー(張黙)、ティム・ロビンス、チャン・ハンユー、ワン・ツィウェン
 物語:1942年、河南地方で300万人が亡くなる大飢饉が起こる。それだけの犠牲者が出たのは、飢饉に、イナゴや台風や地震という自然災害が重なったからだった。夜、農夫たちが、唯一、食糧を蓄えている地主ファンの家に鎌や松明を持って集まってくる。ファンは恐れをなして、農夫たちのために宴を開こうとするが、偶然も手伝って、ファンの屋敷は焼け落ちてしまう。その頃、河南の北部では日本軍と国民党の戦いが起こっていて、食糧は中国軍に提供してければならない。危機感を募らせた地方長官のリーは、重慶のチャン将軍に相談に行くが、打ち明けることができない。家を失い、食べる物もないファンは、陝西省へと向かう難民の列に加わる。幸いなことに彼には、彼についてきてくれる娘とロバと使用人のシャンと借地人のファとがいた。ファンは、旅の途上で、3人の人物と出会う。アメリカ人ジャーナリストのセオドア・ホワイト(エイドリアン・ブロディー)、判事から料理人になったマ老人、神に対する信仰を失ってイタリア人司祭(ティム・ロビンス)にアドバイスを求めている神父。ファンと使用人たちの身分の違いは消え、彼らは、戦争が終わったら、一緒に土地を耕そうと夢見るようになる。ファンは、食べるためには娘を売ろうとまで考える。シャンは、マ老人から求愛されて、受け入れ、初夜を迎えた後、飢えた子供たちを守ろうとしている新しい夫を救うために、自分を奴隷商人に売る。一行は、無事に陝西省に入る。ファンは死ぬために、河南へ戻り、ホワイトは、記事をタイム誌に送る。彼の記事は、チャン将軍の目に触れることになり、驚いた彼は、日本軍と戦っていた軍隊を後退させることに決める。

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 ◆編集賞(A.M.C. Best Editing Award)
 ◎ヒューズ・ウィンボーン(Hughes Winborne)、ファビアンヌ・ローリー(Fabienne Rawley) “The Motel Life”(米)

 ◆AGISCUOLA Golden Butterfly Award
 ◎“1942(Back To 1942)”(中) 監督:フォン・シャオガン

 ◆Golden Mouse for Best Film In Competition(オンライン批評家賞)
 ◎“The Motel Life”(米) 監督:Gabriel Polsky、Alan Polsky

 ◆観客賞
 ◎“The Motel Life”(米) 監督:Gabriel Polsky、Alan Polsky

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 【CinemaXXI部門】

 ワールドシネマの長編・中短編のコンペティションとアウト・オブ・コンペティション部門。

 ◆CinemaXXI Award
 ◎“Avanti Popolo”(ブラジル) 監督:Michael Wahrmann

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 “Avanti Popolo”(ブラジル) 監督:Michael Wahrmann
 物語:アンドレが、スーツケーツ1つ持って、サンパウロの生家に帰ってくる。家には、年老いた父親と彼の愛犬しかいない。彼は、30年前にソ連に旅立って、一度も帰郷していなかったのだ。彼は、この30年間の旅路を回想する。魅力的に見えた共産主義の理想、薄気味悪い独裁者、映画や音楽への情熱、イデオロギーが崩壊したことへの後悔、そして少しの名残り……。

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 ◆審査員特別賞
 ◎“Picas (Pizzas)”(ラトビア) 監督:Laila Pakalnina

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 “Picas (Pizzas)”(ラトビア) 監督:Laila Pakalnina
 物語:Oskarsはもうすぐ18歳で、Matissはもう18歳になっていて、2人はピザ屋で一緒に働いていた。しかし、それはアルバイトに過ぎず、彼らにはオックスフォード大学へ進むという夢があった。ところが、ある晩、彼らは児童誘拐の嫌疑をかけられてしまう。

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 ◆Enel Cuore for Social Cinema
 ◎“El Ojo del Tiburón”(西・アルゼンチン) 監督:Alejo Hoijman

 “El Ojo del Tiburón(The Shark’s Eye)”(西・アルゼンチン) 監督:Alejo Hoijman
 物語:マイコルとブライアンは、カリブ海に面した川の河口にあるニカラグアのグレイタウンに暮らす親友で、村は町から離れていることもあって、2人はジャングルや川やビーチで遊んだり、狩りをしたりしていた。しかし、彼らももう家業であるサメ狩りを学ばなければならない年齢に差し掛かっていた。マイコルの父親は、優しく勇敢な男で、村一番のシャーク・ハンターで、革命時には兵士として活躍していた。ブライアンは、小さく、デリケートで、心配性だったが、初めて舟に乗ることに期待を膨らませていた。一方、マイコルは、強いがシャイで、何日も舟に乗ることに気乗りがしていなかった。彼は、サメ狩りよりも、兄の後を追ってドラッグ・ディーラーへの道に進みたいと考えていた。グレイタウンでもシャーク・ハンターは減少し、都会から入り込んだドラッグが蔓延しつつあった……。

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 ◆TAODUE Camera d'Oro Awards 新人監督賞
 ◎Alina Marazzi “Tutto Parla Di Te”(伊)

 Alina Marazzi “Tutto Parla Di Te”(伊)
 出演:シャーロット・ランプリング、Elena Radonicich、Valerio Binasco、Maria Grazia Mandruzzato、Alice Torriani
 物語:ポーリーヌが、長年離れていた故郷のトリノに戻ってくる。彼女は、マタニティー・センターをしているアンジェラと連絡を取り、今日の母親が抱える問題について調査を始める。ある日、センターにエマというダンサーをしている女性がやってくる。彼女は、母親としての責任をうまく果たせずに苦しんでいる。ポーリーヌとエマは、次第に親密さを増していくが、それはポーリーヌが過去に体験したある悲劇とも関係していて、彼女は、エマが母親として新しいアイデンティティーを獲得する手助けをする。

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 ◆TAODUE Camera d'Oro Awards 最優秀プロデューサー賞
 ◎Gianfilippo Pedote “Tutto Parla Di Te”(伊)

 ◆短編賞(CinemaXXI Award for Short Films and Medium-length Films)
 ◎“Panihida”(独・マケドニア) 監督:Ana-Felicia Scutelnicu

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 ◆Silver Mouse for Best Film Out of the main Competition
 ◎“Goltzius and the Pelican Company”(オランダ・英・仏・クロアチア) 監督:ピーター・グリーナウェイ

 “Goltzius and the Pelican Company”(オランダ・英・仏・クロアチア) 監督:ピーター・グリーナウェイ
 出演:F・マーリー・エイブラハム、ラムゼイ・ナスル(Ramsey Nasr)、Kate Moran、ジュリオ・ベルーチ(Giulio Berruti)、アンヌ・ルイーセ・ハシング(Anne Louise Hassing)、フラヴィオ・パレンティ(Flavio Parenti)、ラース・アイディガー(Lars Eidinger)、ピッポ・デルボーノ(Pippo Delbono)
 物語:オランダの版画家ヘンドリック・ホルツィウス(1558-1617)の人生に基づく物語。ヘンドリック・ホルツィウスは、アルザス辺境伯を誘惑して、本を作り、出版する費用を捻出させている。彼は、伯爵に、旧約聖書の中からエロティックな物語を選んで、特別な本を作ると約束する。ロトとその娘の物語、ダビデ、バト・シャバ、サムソンとデリラ、洗礼者ヨハネ、サロメ……。ホルツィウスは、伯爵の興味を引き続けるために、聖書の物語を演じてみせましょうと申し出る。
 『レンブラントの夜警』に続く、ピーター・グリーナウェイの「オランダの巨匠たち」シリーズの第2弾。

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 【プロスペクティヴ・イタリア部門】(Prospective Italia)

 ◆最優秀長編賞
 ◎“Cosimo e Nicole”(伊) 監督:フランチェスコ・アマート(Francesco Amato)

 “Cosimo e Nicole”(伊) 監督:Francesco Amato
 出演:リッカルド・スカルマチョ、クララ・ポンソ(Clara Ponsot)、パオロ・サッサネッリ(Paolo Sassanelli)、Souleymane Sow、Giorgia Salari
 物語:コジモはイタリア人で、ニコルはフランス人。2人は、ジャノバのG8の喧騒の中で出会い、片時も離れたくないと思うほどの恋に落ちる。2人は、ジェノバでコンサートを運営している友人のために一緒に働くことを決めて、いったん別れるが、あるアクシデントが起こって、2人の愛が試されることになる。

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 ◆最優秀ドキュメンタリー賞
 ◎“Pezzi”(伊) 監督:Luca Ferrari

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 ◆最優秀短編賞
 ◎“Il gatto del Maine”(伊) 監督:Antonello Schioppa

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 ◆スペシャル・メンション
 ◎コジモ・チニエリ(Cosimo Cinieri) 、アンナ・オルソ(in memory of Anna Orso) ”La prima legge di Newton”(伊)(監督:Piero Messina)

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 ◆第1-2回監督作品賞 スペシャル・メンション
 ◎“Razzabastarda”(伊) 監督:Alessandro Gassman

 ◆最優秀イタリア俳優賞(L.A.R.A. Award to Best Italian Actor)
 ◎Paolo Sassanelli “Cosimo e Nicole”(伊) 監督:フランチェスコ・アマート(Francesco Amato)

 【都会のアリス部門】(Alice Nella Città)

 外部団体が主催する児童映画の上映部門。

 ◆最優秀作品賞
 ◎“Meu pé de laranja Lima (My Sweet Orange Tree)”(ブラジル) 監督:Marcos Berstein

 ◆スペシャル・メンション
 ◎“Pulce non c’è”(伊) 監督:Giuseppe Bonito

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 マルコ・ミュラーが行なった(と思われる)改革は、部門から見ていくと―

 1.児童映画を上映する「都会のアリス部門」(Alice in the City/ Alice nella città)を除けば、そのままの部門として残ったのは、インターナショナル・コンペティション部門ノミネーションのみで、
 2.ドキュメンタリーから短編、特定の俳優のレトロスペクティヴまでなんでも上映していたExtra部門は廃止になって、その代わりに、ベネチア国際映画祭のOrizzonti部門に当たるCinemaXXI部門を創設。
 3.昨年までベネチア国際映画祭にあったControcampo Italianoに相当する、最新イタリア映画の上映部門「プロスペクティヴ・イタリア」(Prospective Italia)を新設。
 4.レトロスペクティヴは、部門として残したものの、特集上映を行なっていたフォーカス部門(Focus)は廃止。

 改革の一番のポイントは、コンペティション部門の強化で、インターナショナル・コンペティション部門をワールド・プレミア作品に限定するという思い切った決断をし、マルコ・ミュラーのこれまでのコネクションを最大限に生かしたプログラミングを行なっています。

 3大映画祭のコンペティション部門と比べるなら、あと3大映画祭の最高賞受賞クラスの監督作品を2~3本、知られざる新鋭の作品を2~3本欲しいような気もしますし、出品国・地域も偏っていますが、贅沢は言えません。この時期、ワールド・プレミアに限定して、これだけの監督の作品を揃えられる映画祭などないのですから。

 その代わりといっては何ですが、インターナショナル・コンペティション部門の中のイタリア映画が減り、また、今回はこれといった特集上映もなくて、その面ではパワーダウンしたと言ってもいいかもしれません。ドキュメンタリーも、どこにエントリーしたらいいのかわからないくらいで、プログラムからあぶれてしまいました。

 映画祭の目玉を、メインのコンペティション部門と割り切って、とりあえずそこに持てる力を全力で投入した、というところでしょうか。
 これまでのローマ国際映画祭は、イタリア映画に関しては、まずまずの作品が並ぶものの、そのほかのコンペ作品は、既にトロント国際映画祭などで上映されたことのある作品ばかりとかだったので、かなりの意識転換が行なわれたことになります。

 まだまだベネチア国際映画祭には、質でも規模でも敵いませんが、既にベネチア国際映画祭(やサンセバスチャン国際映画祭)のプログラミングに影響を及ぼしていることは明らかで、大きな脅威となっていることは間違いありません。

 ジャンルや監督のキャリアで作品を絞り込んだりしない、プレミア作品中心のコンペ・タイプの国際映画祭としては、まず、ベルリン、カンヌ、ベネチアがあり、その次に、カルロヴィ・ヴァリ、モントリオール、サンセバスチャンがありますが、ローマが今年のようなプログラミングを続けられるようであれば、国際映画祭の勢力図は変わってくるのかもしれません。
 ローマで受賞した作品が世界的に大きな話題を巻き起こせば、そしてそういうことが2~3年続けば、こうした流れは一気に加速するはずですが、さあ、どうなるでしょうか。

 今年は、マルコ・ミュラーの手腕はどれほどのものかと、新生ローマ国際映画祭に注目が集まっていたわけですが、来年は今年以上に注目が集まるはずで、他の映画祭にとっては戦々恐々でしょうが、外野で見守る分には非常に興味深くて面白いですね。

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 *当ブログ記事

 ・ローマ国際映画祭2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_30.html
 ・ローマ国際映画祭2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201011/article_13.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2012年6月~2013年1月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201206/article_9.html

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