モンペリエ地中海国際映画祭2012 受賞結果!

 第34回モンペリエ地中海国際映画祭(10月26日-11月3日)の各賞の結果――

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 【モンペリエ地中海国際映画祭】

 モンペリエ地中海国際映画祭(Cinemed Montpellier International Festival of Mediterranean Films)は、地中海周諸国の作品に限った映画祭で、日本ではそんなに知られてはいないと思いますが、今年で34回を迎えます。(似たような趣向を持った映画祭には、アジア太平洋映画祭(今年で57回)、ハワイ映画祭(今年で32回)があります。)

 地中海をはさんで、国どうしが向かい合っているとはいえ、この30年間、国家間レベルではいろいろあったはずで、そうでありながらも、この映画祭が現在まで続いているというのは、たぶん、政治や信条、国境を超えて、個人レベルではわりと簡単に交流ができ、実際にいろんな形で近隣諸国の人々とつきあいがあるからであり、また、開催地が移民を受け入れるのにわりと積極的な(という風に見える)フランスだからこうした催しがやりやすい、ということもあるのでしょうか。

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 【長編コンペティション部門】

 ・“Blancanieves(Blancanieves) ”(西・仏) 監督:Pablo Berger
 ・“Keep Smiling(Gaigimet) ”(仏・グルジア・ルクセンブルク) 監督:Rusudan Chkonia
 ・“Playground Chronicles(Chroniques d'une cour de récré) ”(仏・モロッコ) 監督:Brahim Fritah
 ・“The Bag of Flour(Le Sac de farine)”(ベルギー・モロッコ) 監督:Kadija Leclere
 ・“Steel(Acciaio) ”(伊) 監督:Stefano Mordini
 ・『パレード』“The Parade(Parada) ”(セルビア・クロアチア) 監督:スルジャン・ドラゴエヴィッチ(Srdjan Dragojevic)
 ・“Feed Me With Your Words”(スロヴェニア) 監督:マルティン・シュリーク
 ・“Children of Sarajevo(Djeca) ”(ボスニア・独・仏・トルコ) 監督:Aida Begic
 ・“Yossi”(イスラエル) 監督:Eytan Fox
 ・“Beyond the Hill(Tepenin ardi) ”(トルコ・ギリシャ) 監督:Emin Alper
 ・“Winter of Discontent(El sheita elli fat) ”(エジプト) 監督:Ibrahim El Batout
 ・“Horses of God (Les Chevaux de Dieu)”(モロッコ・仏・ベルギー) 監督:Nabil Ayouch

 ※審査員:ルブナ・アザバル(Lubna Azabal:ベルギーの女優)、シルヴィー・ピアラ(Sylvie Pialat:フランスのプロデューサー)、パスカル・エルベ(Pascal Elbé:フランスの俳優・監督)、マニュエル・プラダル(Manuel Pradal:フランスの監督)、Youssef Cherif Rizkallah (エジプトの批評家、カイロ国際映画祭の芸術監督).

 ◆作品賞(Golden Antigone)
 ◎“Keep Smiling(Gaigimet) ”(仏・グルジア・ルクセンブルク) 監督:Rusudan Chkonia

 “Keep Smiling(Gaigimet) ”(仏・グルジア・ルクセンブルク) 監督:Rusudan Chkonia
 物語:10人の母親を含む参加者たちによって、美人コンテストが行なわれる。そのうちの5人は、低所得階級で、なんとしても優勝商品のアパートと賞金の2万5千ドルが欲しト考えていた。しかし、すべては茶番だったことがわかり、夢は瞬く間に消え去る。メディアと運営組織は、参加者の不幸を見世物にしようとしていたのだ。グルジア人女性たちとアブハジアン紛争と愛国心は、観客を面白がらせるためのかっこうの題材だったのだ……。
 ベネチア国際映画祭2012 ベネチア・デイズ部門出品。
 米国アカデミー賞2013 外国語映画賞 グルジア代表。

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 ◆スペシャル・メンション
 ◎“Winter of Discontent(El sheita elli fat) ”(エジプト) 監督:Ibrahim El Batout

 “Winter of Discontent(El sheita elli fat) ”(エジプト) 監督:Ibrahim El Batout
 物語:ムバラク大統領による独裁が行なわれていた2009年から、エジプト革命が起こった2011年までのエジプトの出来事を、活動家のアミール、ジャーナリストのファラー、国家安全保障担当官のアデルという3人の目を通して描く。アデルは、かつて宗教的指導者にトイレに行くことなしに水を飲まされ続けたという屈辱的経験をしたことがあり、今では残忍な方法で自分の獲物を痛めつけることに喜びを見出している。アミールは、年老いた母親と古いアパートで暮らしていたが、2009年に逮捕され、アデルによって激しい拷問を受ける。その後、彼は突然釈放されるが、母親は彼が刑務所にいる間に亡くなり、彼は孤独で、恐怖に怯えてしまっている。一方、彼の恋人ファラーは、TVでジャーナリストとして活躍するようになっていた……。
 ベネチア国際映画祭2012 Orizzonti部門出品。

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 ◆批評家賞(Critics’ Award)
 ◎“Winter of Discontent(El sheita elli fat) ”(エジプト) 監督:Ibrahim El Batout

 ◆Filmgoers’ Award
 ◎『パレード』“The Parade(Parada) ”(セルビア・クロアチア) 監督:スルジャン・ドラゴエヴィッチ(Srdjan Dragojevic)

 『パレード』“The Parade(Parada) ”(セルビア・クロアチア) 監督:スルジャン・ドラゴエヴィッチ(Srdjan Dragojevic)
 物語:セルビアやボスニア、コソボで活躍してきた退役軍人たちが、これまで無縁だったゲイに関わることになって、ナショナリストやネオ・ナチからゲイ・プライドのパレードを守り、イベントを成功させる。
 ベルリン国際映画祭2012 パノラマ部門出品。エキュメニカル審査員賞スペシャル・メンション、テディー賞 Zuschauerpreis der Siegessaeule/Else、Siegessäule Readers’ Award受賞。観客賞1位。
 トランシルヴァニア国際映画祭2012 Unirii Square部門出品。
 プーラ映画祭2012出品。主演女優賞(Hristina Popović)・脚本賞・ヤング審査員賞受賞。
 大阪ヨーロッパ映画祭にて上映。

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 ◆音楽賞/JAM award for best music
 ◎“Playground Chronicles(Chroniques d'une cour de récré) ”(仏・モロッコ) 監督:Brahim Fritah

 “Playground Chronicles(Chroniques d'une cour de récré) ”(仏・モロッコ) 監督:Brahim Fritah
 物語:1980年にブラヒムは10歳だった。彼はモロッコ人移民で、父親は工場で用務員をして働いていた。彼は、チリ人難民のサルバドールと出会って、友達になり、一緒に遊ぶようになる。また、彼はナタリーと出会って、初めての恋を経験し、その一方で、写真への興味を目覚めさせていく……。
 2009年の当映画祭でDevelopment Grantsを受賞した作品。
 ワルシャワ国際映画祭2012 1-2コンペティション部門出品。

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 ◆ヤング審査員賞(Young People’s Award)
 ◎“Horses of God (Les Chevaux de Dieu)”(モロッコ・仏・ベルギー) 監督:Nabil Ayouch

 “Horses of God(Les Chevaux de Dieu)”(モロッコ・仏・ベルギー) 監督:Nabil Ayouch
 物語: Yachineは、10歳で、カサブランカにあるシディ・ムーメンのスラム街で家族とともに暮らしていた。母Yemmaは、うつ気味の父親に代わって、家族をまとめていた。長兄は軍に所属し、次兄は自閉症。三番目の兄Hamid(13歳)はガキ大将で、Yachineの良き理解者だった。Hamidが刑務所に入れられると、Yachineは暴力や貧困、ドラッグが渦巻くこの沈うつな状況から抜け出そうと働き始める。一方、Hamidは、拘置中に過激派イスラム教徒となり、すっかり人が変わっていた。彼は、Yachineとその友人たちを彼らの「仲間」になるよう説得し始める。精神的指導者のイマームAbou Zoubeirが、彼らの心身のトレーニングにとりかかり、ある日、彼らが殉教者に選ばれたと告げる。
 2003年5月16日、モロッコのカサブランカで起こったテロ事件をモチーフに作られた作品。
 カンヌ国際映画祭2012 ある視点部門出品。Prix François Chalais受賞。
 バリャドリッド国際映画祭2012 グランプリ受賞。
 釜山国際映画祭2012 ワールド・シネマ部門出品。

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 【短編部門】

 ◆グランプリ(Grand Prix for Short Films)
 ◎“Danzantes (Dancers)”(西) 監督:Liz Lobato

 ◆Filmgoers’ Award
 ◎“Babylon Fast Food”(伊) 監督:Alessandro Valori

 ◆ヤング観客賞(Young audience Award)
 ◎“When They Slept”(モロッコ) 監督:Maryam Touzani

 ◆Beaumarchais Association Award
 ◎“The Last Caravan”(仏) 監督:Foued Mansour

 ◆Cinecourts Award
 ◎“Bardo”(マケドニア) 監督:Marija Apcevska

 ◆Canal+ Award
 ◎“The Finnish Cow”(ルーマニア) 監督:Gheorghe Preda

 【ドキュメンタリー部門】

 ◆Ulysses Award
 ◎“Soldier/Citizen(Bagrut Lochamim)”(イスラエル) 監督:Silvina Landsmann

 “Soldier/Citizen(Bagrut Lochamim)”(イスラエル) 監督:Silvina Landsmann
 兵役が終わりに近づき、イスラエルの若き兵士たちに学校の卒業の免状を手に入れる機会が与えられる。続く3週間での日課は、市民的教育だ。学生は、ユニフォームを着て、手の届く範囲に銃を置き、多元的共存や人種差別、人権、ユダヤ人国家についての複雑な定義、イスラエルとパレスチナの紛争について議論をする。リベラルな教師を別にすれば、平和的共存を信じる者はいない。アラブ人はテロリストであり、権利を与える必要がない。これに同意できない者は「左翼」だと決めつけられる。カメラは、彼らの熱のこもったディベートをとらえていく。
 ベルリン国際映画祭2012 カリガリ賞スペシャル・メンション受賞。

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 ◆スペシャル・メンション
 ◎“Family Albums”(パレスチナ・仏・UAE) 監督:Maïs Darwazeh、Nassim Amaouche、 Erige Sehiri、Sameh Zoabi
 物語:4人のフィルムメーカーによってモザイクのように描かれる現代アラブ世界(アルジェリアから、ガラリア、チュニジア、ヨルダン)。家族関係を通して、1つの世代から次の世代へと、伝統が引き継いでいかれる様が映し出される。

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 【製作支援・奨学金(Development Grants)】

 ・One €7,000 grant(funded by the CNC(フランス国立映画映像センター) )
 ◎“Les Mémoires du vent”(トルコ・グルジア・アルメニア・仏) 監督:Özcan Alper  製作:Guillaume de Seille

 ・One €7,000 grant(funded byフランス外務省)
 ◎“Thala mon amour”(チュニジア) 監督:Mehdi Hmili 製作:Ali Ben Hamra

 ・One €7,000 grant(funded by フランコフォニー国際機関)
 ◎“Tazzeka”(モロッコ・仏) 監督:Jean-Philippe Gaud 製作:Sébastien de Fonseca,

 ・One €4,000 grant(funded by ラングドック=ルシヨン地域)
 ◎“Avant de partir”(アルジェリア) 監督:Mohammed Latrèche

 ・One €3,000 grant(funded by the Association Beaumarchais)+€5,500( in technical services by Éclair Group)
 ◎“Josep”(仏) 監督:Aurel & Jean-Charles Mbotti 製作:Xavier Julliot

 ・脚本研修(One writing residency)(by the Centre des écritures cinématographiques Le Moulin d’Andé)
 ◎“La Marche”(トルコ) 監督:Ramin Matin 製作:Bertrand Glosset

 【その他の賞】

 ◆Insomnia World Sales Export Support Prize
 ◎“Love in the Medina”(モロッコ・伊) 監督:Abdelhai Laraki (Morocco/Italy)

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 この映画祭の特徴なのでしょうか。非常に強い社会意識を感じさせる作品ばかり選ばれています。

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 *当ブログ記事

 ・モンペリエ地中海映画祭2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_40.html
 ・モンペリエ地中海映画祭2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201011/article_8.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2012年6月~2013年1月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201206/article_9.html

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