ノルディック映画賞2012 発表!

 第9回ノルディック映画賞の結果が発表になりました。(10月9日)

 ノルディック映画賞(The Nordic Council Film Prize)は、ノルディック・カウンシル(The Nordic Council/日本語では「北欧理事会」と訳されることがある)が設けた映画賞で、2002年にノルディック・カウンシル50周年を記念して、アキ・カウリスマキの『過去のない男』に贈られたのが最初で、2005年以降は毎年、北欧5カ国のノミネート作品の中から1本を選んで表彰するという形式になり、現在に至っています。

 ノルディック・カウンシルは、第二次世界大戦での苦い経験を踏まえて、北欧諸国の協力関係を築くことを目的として1952年にスタートしたもので、スカンジナビア3国を中心に北欧5カ国と3つの地域(グリーンランド、フェロー諸島、オーランド諸島)で構成されています。
 映画賞は、2000年代になってようやく設けられた賞ですが、文学と音楽に関しては、既に60年の歴史があり、1962年に「文学賞」、1965年に「音楽賞」が設けられています。(文学賞は最初から常設の賞となり、音楽賞は90年から常設化しています。)

 映画賞は、2007年までは5カ国でそれぞれ2作品ずつノミネート作品を選んでいましたが、2008年以降は各国1本ずつノミネート作品を出しています。

 過去のノミネート作品、および、受賞作品は、以下の通りです。

 【2002年】
 ◎『過去のない男』“The Man Without a Past(Mies vailla menneisyyttä)” 監督:アキ・カウリスマキ [フィンランド] ★

 【2005年】
 ◎“Manslaughter(Drabet)” 監督:ペール・フライ(Per Fly) [デンマーク]
 ・“Pusher II: With Blood on My Hands” 監督:ニコラス・ウィンディング・レフン [デンマーク]
 ・“Frozen Land(Paha Maa)” 監督:アク・ロウヒミエス(Aku Louhimies) [フィンランド]
 ・“The 3 Rooms of Melancholia(Melancholian 3 huonetta)” 監督:ピルヨ・ホンカサロ(Pirjo Honkasalo) [フィンランド]
 ・『スクリーミング・マスターピース』“Screaming Masterpiece(Gargandi Snilld)” 監督:アリ・アレクサンダー(Ari Alexander)、イルギス・マグヌッソン(Ergis Magnússon) [アイスランド]
 ・“Dís” 監督:シリャー・ホウィクスドウッティル(Silja Hauksdóttir) [アイスランド]
 ・“Kissed by Winter(Vinterkyss)” 監督:Sara Johnsen [ノルウェー] ☆
 ・“Hawaii, Oslo” 監督:エリック・ポッペ(Erik Poppe) [ノルウェー] ☆
 ・“The Guitar Mongoloid(Gitarrmongot)” 監督:リューベン・オストルンド(Ruben Östlund) [スウェーデン]
 ・“A Hole in My Heart(Hål i mitt hjärta)” 監督:ルーカス・ムーディソン [スウェーデン]

 【2006年】
 ◎“Zozo” 監督:Josef Fares [スウェーデン] ☆
 ・『アフター・ウェディング』“After the Wedding(Efter bryllupet)” 監督:スザンネ・ビア [デンマーク] ★
 ・“Offscreen” 監督:クリストファー・ボー(Christoffer Boe) [デンマーク]
 ・『革命の歌』“Revolution(Kenen joukoissa seisot)” 監督:ヨルコ・アールトネン(Jouko Aaltonen) [フィンランド]
 ・“Mother of Mine(Äideistä parhain)” 監督:クラウス・ハロ [フィンランド] ☆
 ・“Thicker Than Water(Blóðbönd)” 監督:Árni Ásgeirsson [アイスランド]
 ・“A Little Trip to Heaven” 監督:バルタザール・コルマウクル [アイスランド]
 ・“Free Jimmy(Slipp Jimmy fri)” 監督:Christopher Nielsen [ノルウェー]
 ・『厄介な男…からぽな世界の生き方』“The Bothersome Man(Den brysomme mannen)” 監督:イエンス・リエン(Jens Lien) [ノルウェー]
 ・“Mouth to Mouth(Mun mot mun)” 監督:Björn Runge [スウェーデン]

 【2007年】
 ◎“The Art of Crying(Kunsten at Græde i Kor)” 監督:Peter Schønau Fog [デンマーク] ☆
 ・“AFR ” 監督:Morten Hartz Kaplers [デンマーク]
 ・“A Man's Job(Miehen työ) 監督:Aleksi Salmenperä [フィンランド] ☆
 ・“Children(Börn)” 監督:Ragnar Bragason [アイスランド] ☆
 ・“Jar City(Mýrin)” 監督:バルタザール・コルマウクル [アイスランド] ☆
 ・“Reprise” 監督:Joachim Trier [ノルウェー] ☆
 ・“Sons(Sønner)” 監督:Erik Richter Strand [ノルウェー]
 ・“Falkenberg Farewell(Farväl Falkenberg)” 監督:Jesper Ganslandt [スウェーデン] ☆
 ・“Darling” 監督:Johan Kling [スウェーデン]

 【2008年】
 ◎『愛おしき隣人』“You, the Living(Du levande)” 監督:ロイ・アンダーソン [スウェーデン] ☆
 ・“The Early Years: Erik Nietzsche Part 1(De unge år - Erik Nietzsche Del 1)” 監督:ヤコブ・トゥーセン(Jacob Thuesen) [デンマーク]
 ・“The Home of Dark Butterflies(Tummien perhosten koti)” 監督:ドメ・カルコスキ(Dome Karukoski) [フィンランド] ☆
 ・“White Night Wedding(Brúðguminn)” 監督:バルタザール・コルマウクル [アイスランド]  ☆
 ・“The Man Who Loved Yngve(Mannen som elsket Yngve)” 監督:Stian Kristiansen [ノルウェー]

 【2009年】
 ◎『アンチクライスト』“Antichrist ” 監督:ラース・フォン・トリアー [デンマーク]
 ・“Sauna” 監督:アンティ=ジュッシ・アニラ(Antti-Jussi Annila) [フィンランド]
 ・“The Amazing Truth About Queen Raquela ” 監督:オーラフ・デ・フルル・ヨハンネスソン(Olaf de Fleur Johannesson) [アイスランド]
 ・“North(Nord)” 監督:Stian Kristiansen [ノルウェー]
 ・“Light Year(Ljusår)” 監督:Mikael Kristersson [スウェーデン]

 【2010年】
 ◎『光のほうへ』“Submarino” 監督:トマス・ヴィンターベア [デンマーク]
 ・“Steam of Life(Miesten vuoro)” 監督:Joonas Berghäll、Mika Hotakainen [フィンランド] ☆
 ・“The Good Heart” 監督:ダーグル・カウリ [アイスランド]
 ・“Upperdog” 監督:Sara Johnsen [ノルウェー]
 ・“Metropia” 監督:Tarik Saleh [スウェーデン]

 【2011年】
 ◎“Beyond(Svinalängorna)” 監督:ペルニラ・アウグスト [スウェーデン] ☆
 ・“Truth About Men(Sandheden om mænd)” 監督:ニコライ・アーセル(Nikolaj Arcel) [デンマーク]
 ・『グッド・サン』“The Good Son(Hyvä poika)” 監督:ザイダ・バリルート(Zaida Bergroth) [フィンランド]
 ・“Undercurrent(Brim)” 監督:Árni Ólafur Ásgeirsson [アイスランド]
 ・“Oslo, August 31st(Oslo, 31. August)” 監督:Joachim Trier [ノルウェー]

 【2012年】
 ◎『プレイ』“Play” 監督:リューベン・オストルンド(Ruben Östlund) [スウェーデン]
 ・“A Royal Affair(En kongelig affære)” 監督:ニコライ・アーセル(Nikolaj Arcel) [デンマーク] ☆
 ・“The Punk Syndrome(Kovasikajuttu)” 監督:Jukka Kärkkäinen、J-P Passi [フィンランド]
 ・“Either Way(Á annan veg)” 監督:Hafsteinn Gunnar Sigurdsson [アイスランド]
 ・“The Orheim Company(Kompani Orheim)” 監督:Arlid Andersen [ノルウェー]

 ※ ノミネート作品は、前年の9月1日から当年の8月31日までに各国で劇場公開された作品が対象で、各国からのノミネーションは、映画関係者および批評家らによる各国3名からなる審査員が行なう。受賞作の審査は、各国3名の審査員のうちの1名が代表となり、各国1名ずつ計5名の審査員によって行なう。

--------------------------------

 『プレイ』“Play”(スウェーデン・仏・デンマーク) 監督:リューベン・オストルンド
 出演:アナス・アブディラーマン(Anas Abdirahman)、セバスチャン・ブリケット(Sebastian Blyckert)、ヤニク・ディアキィテー(Yannick Diakité)、セバスチャン・ヘグマル(Sebastian Hegmar)、アブディアジズ・ハイロウ(Abdiaziz Hilowle)、ナナ・マヌ(Nana Manu)、ヨーン・オーティス(John Ortiz)、ケヴィン・ヴァズ(Kevin Vaz)
 物語:5人組の黒人の少年グループが、ショッピング・モールで今日の獲物を探している。彼らは、裕福そうな白人少年に「携帯電話を見せてくれ」と声をかけ、相手が見せると「これは弟がなくした携帯だ。このキズが証拠だ。これをどこでみつけた? 弟に確認させるからついて来い」と言いがかりをつける。狙われた少年たちは、そんなはずはないと思いながらも、抵抗できず、彼らの言いなりになってついて行くことになる。一方、列車の中に持ち主のわからない揺りかごが見つかり、乗務員が右往左往させられる。
 本作は、2006年から2008年にかけてスウェーデンのヨーテボリで実際に起こった約40件の少年犯罪に基づいている。少年たちは、12歳から14歳まででグループを構成していて、他の少年たちから盗みを働いていた。その手口は、「リトル・ブラザー・ナンバー」とか「ブラザー・トリック」と呼ばれるもので、暴力的ではなく、もっと手の込んだもので、役割分担がなされた、ギャング顔負けのものであったという。
 監督のリューベン・オストルンドは、長編“Involuntary (De Ofrivilliga)”が米国アカデミー賞2010 スウェーデン代表作品に選ばれ、短編“Händelse Vid Bank”がベルリン国際映画祭2010 短編部門金熊賞を受賞している。
 カンヌ国際映画祭2011監督週間出品。The Séance "Coup de coeur" prize受賞。
 東京国際映画祭2011 コンペティション部門出品。監督賞受賞。

画像

--------------------------------

 過去のノミネート作品を見ると、いろんなことが思い浮かびます。

 日本での紹介については―

 ・北欧5カ国の年間代表作品のたった1本が、日本ではほとんど上映されていない。

 ・日本で上映されるとしても、大賞受賞作の1本程度。

 ・過去に1本紹介されても、その後が続かない。(ヒットしなかったから?)

 ノミネーションについては―

 ・2005年以降、アキ・カウリスマキは1本も選ばれず、ラース・フォン・トリアーも『アンチクライスト』の1本しか選ばれていない。

 ・スザンネ・ビアの米国アカデミー賞外国語映画賞受賞作品『未来を生きる君たちへ』がノミネートすらされていない。

 ・フリドリック・トール・フリドリクソン、ベント・ハーメル、ラッセ・ハルストレム、ヤン・トロエル、トーマス・アルフレッドソン(『ぼくのエリ 200歳の少女』)らも1本も選ばれていない。

 試みに、米国アカデミー賞外国語映画賞各国代表作品との一致度を調べてみたところ、米国アカデミー賞各国代表作品(☆:代表作品、★:ノミネート作品)は上記のようになっています。
 各国から2本ずつノミネート作品を出していた時には、そのうちの1本が米国アカデミー賞外国語映画賞各国代表作品になることが多かったのですが、各国1本ずつになってからは、ほとんど重ならなくなってしまいました。(同じ年に2本選ばれていることがあるのは、アカデミー賞とは対象期間にズレがあるため。)
 まあ、選者によって、結果が違ってくるのは当たり前なので、どちらがいいとか悪いとかいうことはないかもしれませんが、(どちらの賞も)国によっては、なるべく違う監督の作品を選ぼうというくらいの「配慮」はあるかもしれません。

 ノルディック映画賞2012の授賞式は、音楽賞、自然・環境賞とともに、10月31日にヘルシンキで行なわれます。

--------------------------------

 *へえ~、なるほどね!と思ったら、人気ブログランキングにクリックをお願いします。
 ↓ ↓ ↓ ↓
 
 ↑ ↑ ↑ ↑
 応援してね!

 *当ブログ記事

 ・米国アカデミー賞2013 外国語映画賞 各国代表 リスト その1(アイスランド~スロヴァキア):http://umikarahajimaru.at.webry.info/201209/article_9.html
 ・米国アカデミー賞2013 外国語映画賞 各国代表 リスト その2(スロヴェニア~南アフリカ):http://umikarahajimaru.at.webry.info/201209/article_26.html
 ・米国アカデミー賞2013 外国語映画賞 各国代表リスト! その3(メキシコ~ロシア):http://umikarahajimaru.at.webry.info/201209/article_38.html

 ・ヨーロッパ映画賞2012 ロングリスト その1:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201209/article_17.html
 ・ヨーロッパ映画賞2012 ロングリスト その2:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201209/article_18.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2012年6月~2013年1月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201206/article_9.html

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック