22週前の米国アカデミー賞2013予想!

 ポスト・トロントにおける米国アカデミー賞2013の各部門の予想を書き出しておくことにします。

 ネタ元は、IndieWireの9月15日付けの記事です(http://blogs.indiewire.com/thompsononhollywood/oscar_predicts_chart)

 的中率から言うと、IndieWireよりも、MCNの方が高いんじゃないかと思いますが、MCNのポスト・トロントの予想が出るのは、たぶんあと1週間くらいかかりそうなので、先にこちらの予想を書いておきます。

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 ◎:ノミネート有力 ○:ノミネート有望 △:ノミネート可能性あり

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 ◆作品賞
 ◎“Moonrise Kingdom”(Focus) 監督:ウェス・アンダーソン
 ◎『ザ・マスター』“The Master”(TWC) 監督:ポール・トーマス・アンダーソン
 ◎『アルゴ』“Argo”(WB) 監督:ベン・アフレック
 ◎“The Sessions”(Fox Searchlight) 監督:ベン・リューイン(Ben Lewin)
 ◎“Anna Karenina”(英・仏)(Focus) 監督:ジョー・ライト
 ◎“Silver Linings Playbook”(TWC) 監督:デイヴィッド・O・ラッセル
 ○“Lincoln”(DreamWorks/Disney) 監督:スティーヴン・スピルバーグ
 ○“Life of Pi”(Fox Searchlight) 監督:アン・リー
 ○“Zero Dark Thirty”(Sony) 監督:キャスリン・ビグロー
 ○“Amour”(オーストリア・仏・独)(SPC) 監督:ミヒャエル・ハネケ
 ○『レ・ミゼラブル』“Les Miserables”(英)(Universal) 監督:トム・フーパー
 △“Beasts of the Southern Wild”(Fox Searchlight) 監督:Benh Zeitlin
 △『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』“The Best Exotic Marigold Hotel”(英・米・UAE)(Fox Searchlight) 監督:ジョン・マッデン
 △『ダークナイト・ライジング』(WB) 監督:クリストファー・ノーラン
 △“Cloud Atlas”(WB) 監督:トム・ティクヴァ、アンディー&ラナ・ウォシャウスキー
 △『ホビット 思いがけない冒険』“The Hobbit: An Unexpected Journey”(米・ニュージーランド)(WB) 監督:ピーター・ジャクソン
 △『ジャンゴ 繋がれざる者』“Django Unchained”(TWC) 監督:クエンティン・タランティーノ

 ◆監督賞
 ◎ベン・アフレック 『アルゴ』
 ◎ポール・トーマス・アンダーソン 『ザ・マスター』
 ◎ウェス・アンダーソン “Moonrise Kingdom”
 ◎デイヴィッド・O・ラッセル “Silver Linings Playbook”
 ◎ジョー・ライト “Anna Karenina”
 ○キャスリン・ビグロー “Zero Dark Thirty”
 ○ミヒャエル・ハネケ “Amour”
 ○トム・フーパー 『レ・ミゼラブル』
 ○アン・リー “Life of Pi”
 ○ベン・リューイン “The Sessions”
 ○スティーヴン・スピルバーグ “Lincoln”
 ○クエンティン・タランティーノ 『ジャンゴ 繋がれざる者』
 △クリストファー・ノーラン 『ダークナイト・ライジング』
 △トム・ティクヴァ、アンディー&ラナ・ウォシャウスキー “Cloud Atlas”
 △Benh Zeitlin “Beasts of the Southern Wild”

 ◆主演男優賞
 ◎ジョン・ホークス “The Sessions”
 ◎ブラッドリー・クーパー “The Silver Linings Playbook”
 ◎ホアキン・フェニックス 『ザ・マスター』
 ◎ジャン=ルイ・トランティニャン “Amour”
 ○ダニエル・デイ=ルイス “Lincoln”
 ○ジェイミー・フォックス 『ジャンゴ 繋がれざる者』
 ○ヒュー・ジャックマン 『レ・ミゼラブル』
 ○デンゼル・ワシントン 『フライト』“Flight”

 ◆主演女優賞
 ◎キーラ・ナイトレイ “Anna Karenina”
 ◎ジェニファー・ローレンス “The Silver Linings Playbook”
 ◎エマニュエル・リヴァ “Amour”
 ◎Quvenzhane Wallis “Beasts of the Southern Wild”
 ○ヴィオラ・デイヴィス “Won't Back Down”
 ○ジュリアン・ムーア 『メイジーの知ったこと』“What Maisie Knew”
 ○ナオミ・ワッツ 『インポッシブル』“The Impossible”
 △トニ・コレット “Jesus Henry Christ”
 △マリオン・コティヤール “Rust & Bone”
 △レイチェル・ワイズ “The Deep Blue Sea”

 ◆助演男優賞
 ◎ジム・ブロードベント “Cloud Atlas”
 ◎ジュード・ロウ “Anna Karenina”
 ◎ウィリアム・H・メイシー “The Sessions”
 ◎フィリップ・シーモア・ホフマン 『ザ・マスター』
 ○アラン・アーキン 『アルゴ』
 ○レオナルド・ディカプリオ 『ジャンゴ 繋がれざる者』
 ○ロバート・デニーロ “The Silver Linings Playbook”
 ○トミー・リー・ジョーンズ “Lincoln”
 ○デイヴィッド・ストラザーン “Lincoln”
 △マイケル・ケイン 『ダークナイト・ライジング』
 △ラッセル・クロウ 『レ・ミゼラブル』

 ◆助演女優賞
 ◎エイミー・アダムス 『ザ・マスター』
 ◎ヘレン・ハント “The Sessions”
 ○サマンサ・バークス 『レ・ミゼラブル』
 ○サリー・フィールド “Lincoln”
 ○アン・ハサウェイ 『レ・ミゼラブル』
 ○ヴァネッサ・レッドグレイブ “Song For Marion”
 △マギー・ギレンホール “Won't Back Down”
 △クリステン・スチュワート “On the Road”

 ◆オリジナル脚本賞
 ◎ポール・トーマス・アンダーソン 『ザ・マスター』
 ◎ウェス・アンダーソン、ロマン・コッポラ “Moonrise Kingdom”
 ◎ベン・リューイン “The Sessions”
 ○マーク・ボール “Zero Dark Thirty”
 ○クエンティン・タランティーノ 『ジャンゴ 繋がれざる者』
 △ウディ・アレン “To Rome with Love”
 △ブレンダ・チャップマン、アイリーン・メッキ 『メリダとおそろしの森』

 ◆脚色賞
 ◎デイヴィッド・O・ラッセル “The Silver Linings Playbook”
 ◎トム・ストッパード “Anna Karenina”
 ◎クリス・テリオ 『アルゴ』
 ○トニー・クシュナー、ジョン・ローガン、ポール・ウェブ “Lincoln”
 ○デイヴィッド・マギー “Life of Pi”
 ○ウィリアム・ニコルソン 『レ・ミゼラブル』
 ○ホセ・リベーラ “On The Road”
 ○フラン・ウォルシュ、フィリッパ・ボウエン、ギレルモ・デル・トロ、ピーター・ジャクソン 『ホビット 思いがけない冒険』

 ◆長編アニメーション賞
 ○『メリダとおそろしの森』 監督:マーク・アンドリュース、ブレンダ・チャップマン
 △『ロラックスおじさんの秘密の種』 監督:クリス・ルノー

 ◆外国語映画賞
 ◎“Amour”(オーストリア) 監督:ミヒャエル・ハネケ
 ◎“Beyond the Hills”(ルーマニア) 監督:クリスティアン・ムンジウ
 ◎『NO』“No”(チリ) 監督:パブロ・ラライン

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 上記の予想が、どのくらい的中するかというと、昨年度のデータは取っていないので、一昨年のデータ(文末のリンク先参照)で検証すると、以下のようになります。

 ◎印「ノミネート有力」と実際の米国アカデミー賞2011ノミネーションとの合致度

 作品賞:9/10
 監督賞:2/5
 主演男優賞:3/5
 主演女優賞:3/5
 助演男優賞:3/5
 助演女優賞:3/5
 オリジナル脚本賞:5/5
 脚色賞:4/5
 長編アニメーション賞:3/3(5)
 外国語映画賞:2/5

 これだけみると、約60%の的中率ということになります。

 しかし、「ノミネート有力」には入っていなかったノミニーも、外国語映画賞を除けば、ほとんどは「ノミネート有望」の中に含まれているので、「ノミネート有力」+「ノミネート有望」の中に、米国アカデミー賞2013のノミニーがほぼ含まれている、ということになります。

 これらは、まだ大半の作品が公開前ですが、それなのにどうしてこういう予想が立てられ、そして実際に的中するかというと、全米映画賞レースは、ほぼ映画会社が敷いたライン通りに進み、票を投じる側の人間もほぼそれに乗っかる(という言い方が悪ければ、基本的には映画会社が強力にプッシュしてくるノミニーの中からチョイスする)ことになるからで、各映画会社サイドも、そうした「規定路線」に耐えうるような布陣(監督・脚本・キャスト・スタッフ)でプロダクションに臨み、作品を仕上げてくるので、実際のところ、そうした「計画」や「計算」が大幅に狂うということはありません。

 また、米国アカデミー賞は、一度ノミネートされると、次から候補に挙がりやすくなるという傾向があり、そういうことも含めて、プロダクションが組まれ、予想が立てられているということもあります。

 作品が完成した後に一気に評価を落とす作品もあり、ダークホース的に賞レースを駆け上がってくる作品もありますが、そう多くはありません。

 米国アカデミー賞に限って言えば、誰も予想していなかったようなインディーズ作品や外国映画からノミネートしてくることもありますが、それは全く下馬評に上がっていないようなところからピックアップしてくるので、それらのノミニーに関しては本当に予想のしようがありません。

 もちろん、これらのことは、主にアメリカ国内で製作される長編のフィクション作品限定の話で、長編・短編のドキュメンタリーとアニメーション、そして短編のフィクション作品に関してはこの限りではありません。

 サンダンス・プレミアの作品や秋以前に全米公開されて、高い評価を得、その後、賞レースで頭角を現わしてくる作品だって少なからずありますが、そうした「計算外」の作品こそ映画賞レースを面白くしている、とも言えます。

 ま、いろいろ書いてきましたが、とりあえず、脚色賞までの8部門までに関しては、上記の中に、米国アカデミー賞2013のノミニーが含まれているのはほぼ確実、ということになります。

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 さて、ここで、上記の予想リストから気がついたことを挙げておくと―

 ・作品賞の「ノミネート有力」+「ノミネート有望」のうち、作品賞にノミネートされたことのある監督は、ウェス・アンダーソン、ベン・アフレック、ベン・リューイン、ミヒャエル・ハネケを除く、7人(実際に監督本人が作品賞にノミネートされたかどうかは別にして)。受賞を果たしているのは、スティーヴン・スピルバーグ、キャスリン・ビグロー、トム・フーパーの3人。

 ・監督のみに注目すれば、トム・フーパー、デイヴィッド・O・ラッセル、クリストファー・ノーラン、コーエン兄弟、ベン・アフレック、イーストウッドが揃っていて、2010年度の賞レースに似ている。

 ・全米公開済み作品で、有力候補として残っているのは、“Moonrise Kingdom”、“Beasts of the Southern Wild”、『ダークナイト・ライジング』の3本。あとは、ほとんどが公開待機中の作品。

 ・製作段階では有望視されていながら、現時点では既に下馬評から外れてしまっている作品は、『プロメテウス』、オリバー・ストーンの“Saveges”。ジョン・ヒルコートの“Lawless”もやや望み薄。

 ・イーストウッドの『人生の特等席』は、全米では9月21日公開だが、現時点では主要部門には浮上してきていない。

 ・ハリウッド・メジャー作品で、2012年度映画賞レースに大きく絡んでくるのはワーナーの『アルゴ』のみ。

 ・サンダンス映画祭で上映され、その後、カンヌほかで受賞を重ねている“Beasts of the Southern Wild”は、ノミネートされるかされないか、けっこう微妙なポジションにいる。

 ・2000年代になって、脚本部門の1枠を確保し、作品賞のノミネーション枠拡大によって作品賞にまで手を伸ばしかけた長編アニメーションは、前回以降、パワーダウンの傾向にあり、本年度は作品賞はおろか、オリジナル脚本賞ノミネートも厳しいかもしれない。

 ・今回、英語圏以外から、“Amour”の作品賞ノミネートが有望視されている。
 英語圏以外の製作作品が作品賞にノミネートされるのは2003年の『戦場のピアニスト』以来。英語圏以外の製作作品で、しかも英語作品でない作品としては2001年の『グリーン・デスティニー』以来。英語圏以外の製作作品で、英語作品でない作品で、しかもアメリカ資本の入っていない作品としては、1999年の『ライフ・イズ・ビューティフル』以来。
 「外国語映画」が作品賞にノミネートされるのは、2007年の『硫黄島からの手紙』以来。

 ・外国語映画賞ノミネート有資格作品で、作品賞にノミネートされたのは、これまで8作品。『大いなる幻影』、『Z』、『移民者たち』、『叫びとささやき』、『イル・ポスティーノ』、『ライフ・イズ・ビューティフル』、『グリーン・デスティニー』、『硫黄島からの手紙』。
 ただし、『大いなる幻影』は、外国語映画賞部門創設以前のノミネート。
 以上のうち、作品賞受賞作品はなし。
 『Z』、『移民者たち』、『ライフ・イズ・ビューティフル』、『グリーン・デスティニー』は、外国語映画賞にもノミネートされ、『Z』、『ライフ・イズ・ビューティフル』、『グリーン・デスティニー』は、外国語映画賞を受賞している。
 『Z』、『ライフ・イズ・ビューティフル』、『グリーン・デスティニー』は、作品賞と外国語映画賞同時ノミネートだが、『移民者たち』は1972年に外国語映画賞にノミネートされ、1973年に作品賞にノミネートされた。(外国語映画賞と作品賞に同時ノミネートされれば、外国語映画賞の受賞確率は100%。)

 ・“Amour”が、外国語映画賞と作品賞に同時ノミネートされれば、2001年の『グリーン・デスティニー』以来。

 ・外国語映画賞と作品賞に同時ノミネートされた最初の作品『Z』には、“Amour”の出演者であるジャン=ルイ・トランティニャンが出演している。

 ・オーストリアから“Amour”が参戦してくるほか、イギリスから“Anna Karenina”と『レ・ミゼラブル』と『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』、ニュージーランドから『ホビット 思いがけない冒険』が参戦してくる可能性が高い。

 ・複数部門でのノミネートが特に期待できるのは、ベネチア国際映画祭2部門受賞の『ザ・マスター』と、トロント国際映画祭ピープルズ・チョイス賞受賞の“The Silver Linings Playbook”、そして“Anna Karenina”。

 ・“The Silver Linings Playbook”は、元々、下馬評に挙がっていなかったわけでもなかったが、トロントでの受賞で、確実に注目度をアップさせた。

 ・2年連続で、作品賞にノミネートされそうなのは、スティーヴン・スピルバーグのみ。しかも、本年度は、久々に多数の部門にノミネートされる可能性が高い。
 作品賞にノミネートされる可能性だけで言えば、テレンス・マリックとウディ・アレンもそれぞれ連続ノミネートされる可能性がある。

 ・キャスリン・ビグローが監督賞にノミネートされれば、自身2度目で、女性監督として初めて2度の監督賞ノミネートとなる。女性監督のノミネートは、これまで4人で、それぞれ1回ずつ。

 ・キャスト陣で連続ノミネートの可能性があるのは、ヴィオラ・デイヴィスのみ。メリル・ストリープにも対象作品はあるが、現時点では挙がっていない。

 ・ジャン=ルイ・トランティニャンが、主演男優賞を受賞すれば、フランス人男優として2年連続、非米国俳優の主演男優賞受賞としては3年連続となる。受賞すれば、フランス人俳優として2人目。

 ・外国語映画賞は、ミヒャエル・ハネケが前作でノミネートまで進んだが落選し、クリスティアン・ムンジウは、前作でノミネートにも進めずに落選し、今回、ともに雪辱戦となる。チリ作品は、ノミネートされれば、史上初。
 ちなみに、現時点で、私が各映画サイトをチェックした限り、外国語映画賞の受賞予想は“Amour”ばかりでした。

 ・現時点で、日本人もしくは日本作品がノミネートされる可能性は低い。ノミネートされる可能性があるとすれば、その可能性が最も高いのは、上記には挙がっていないが、長編アニメーション賞か(『借りぐらしのアリエッティ』?)。

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 細かく見ていけば、まだまだいろいろ注目点がありそうですが、とりあえず、今回はここまでとすることにします。

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 *当ブログ記事

 ・ポスト・トロントでのオスカー予想2010:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201009/article_41.html

 ・早くも2013年米国アカデミー賞を予想してみました(2012年3月):http://umikarahajimaru.at.webry.info/201203/article_6.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2012年6月~2013年1月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201206/article_9.html

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