園子温も受賞! トロント国際映画祭2012 各賞発表!

 第37回トロント国際映画祭の各賞が発表されました。(9月16日)

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 【ピープルズ・チョイス賞】

 ◆長編部門
 ◎“Silver Linings Playbook”(米) 監督:デイヴィッド・O・ラッセル [GALA PRESENTATIONS部門]
 出演:ブラッドリー・クーパー、ジェニファー・ローレンス、ロバート・デニーロ、ジャッキー・ウィーバー、クリス・タッカー
 物語:精神科施設での労働奉仕を終えて、元教師のパットは、両親の住む家に戻ってくる。彼は、別れた妻との関係を回復しようとするが、ミステリアスな少女ティファニーと出会ったことで、事態はより複雑になる。

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 ◆長編部門次点
 ◎“Argo”(米) 監督:ベン・アフレック 監督:デイヴィッド・O・ラッセル [GALA PRESENTATIONS部門]
 出演:ブライアン・クランストン、ベン・アフレック、ジョン・グッドマン、カイル・チャンドラー、アラン・アーキン
 物語:1979年、CIAの救出チームが、イランのアメリカ大使館人質事件に際し、6人のアメリカ人を救出するための計画(イーグルクロー作戦)を立案する。
 30年近く秘密にされていた実話の映画化。
 プロデューサーは、ジョージ・クルーニー、グラント・ヘスロヴ、ベン・アフレック。

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 ◆長編部門次点2位
 ◎“Zaytoun”(英・イスラエル) 監督:エラン・リクリス [GALA PRESENTATIONS部門]
 出演:スティーヴン・ドーフ
 物語:パレスチナの難民と、1982年にベイルートで撃ち落されたイスラエルの戦闘機のパイロットの、12年におよぶ友情の物語。最初は、お互いに不信感を募らせていたが、やがて友情へと発展し、戦火のレバノンを横切って、互いに家と呼び合う場所に旅するようになる。

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 ◆ドキュメンタリー部門
 ◎“Artifact”(米) 監督:Bartholomew Cubbins
 バンド「サーティー・セカンズ・トゥ・マーズ」(Thirty Seconds to Mars)とリード・シンガーのジャレッド・レトは、契約期間中に、規定枚数のアルバムを製作しなかったとして、ヴァージン・レコードから訴えられる。その後、EMIからヴァージン・レコードに戻って、アルバム“This is War”が発売され、裁判は取り下げられることになるが、本作は、この訴訟にまつわるドキュメンタリー。

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 ◆ドキュメンタリー部門次点
 ◎“Storm Surfers 3D”(オーストラリア) 監督:Christopher Nelius、Justin McMillan
 オーストラリアの伝説的なサーファーRoss Clarke-Jonesと、2度の世界チャンピオンに輝くサーファーTom Carrollは、大きな波を求め、大嵐を追って、南氷洋を旅をする。

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 ◆ドキュメンタリー次点2位
 ◎“Revolution”(カナダ) 監督:ロブ・スチュワート(Rob Stewart)
 映画監督で写真家でもあるロブ・スチュワートは、環境運動家に転じて、地球規模で起こっている環境の変化を食い止めようとして、解決への糸口を探る。
 『シャークウォーター 神秘なる海の世界』(2006)のロブ・スチュワート監督最新作。

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 ◆Midnight Madness部門
 ◎“Seven Psychopaths”(米・英) 監督:マーティン・マクドナー(Martin McDonagh)
 出演:コリン・ファレル、クリストファー・ウォーケン、サム・ロックウェル、ウッディー・ハレルソン、アビー・コーニッシュ、トム・ウェイツ、オルガ・キュリレンコ、ジェリコ・イヴァネク(Zeljko Ivanek)
 物語:仕事に手こずっている脚本家がいて、彼の変わり者の友人がギャングがかわいがっているシーズーをさらってしまったことから、ロサンゼルスの闇社会に巻き込まれてしまう。
 『ヒットマンズ・レクイエム』のマーティン・マクドナー監督最新作。

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 ◆Midnight Madness部門次点
 ◎“The Bay”(米) 監督:バリー・レビンソン
 出演:クリステン・コノリー、ジェーン・マクニール、マイケル・ビーズリー、クリストファー・デンハム、アンディー・スタール、アンソニー・レイノルズ
 物語:チェサピーク湾に面した古風な趣のある町。ここの人々の活力源は、チェサピーク湾の水だった。ここにフランスから2人の生物学者がやってきて、調査を行なう。彼らは、湾の水に毒性を検出し、市長に警告するが、市長は、市民をパニックに陥らせたくなくて、これを無視する。その結果、恐ろしい疫病が発生し、人々が寄生虫によって精神をコントロールされ、さらには体まで乗っ取られてしまう。

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 ◆Midnight Madness部門次点2位
 ◎“John Dies at the End”(米) 監督:ドン・コスカレリ(Don Coscarelli)
 出演:ロブ・メイズ(Rob Mayes)、Chase Williamson、クランシー・ブラウン、ポール・ジアマッティ
 物語:“ソイ・ソース”は、体外離脱を経験できるドラッグで、これを使うと、時間や次元を超えた経験ができる。しかし、戻ってきたものは、もはや人間ではない。一方、他の世界からの侵略が静かに進行する。人類にはヒーローが必要だ。そこに当時したのは、大学中退で、仕事も長続きしないジョンとデイヴィッドという2人組だ。彼らに人類が救えるのだろうか?
 David Wongの小説の映画化。『ファンタズム』シリーズのドン・コスカレリ監督最新作。

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 【カナダ映画部門】

 ◆最優秀作品賞
 ◎“Laurence Anyways”(カナダ) 監督:グザヴィエ・ドラン(Xavier Dolan) [SPECIAL PRESENTATIONS部門]
 出演:メルヴィル・プポー、Suzanne Clément、Monia Chokri、ナタリー・バイ、Sophie Faucher、Adele Jacques
 物語:90年代。男性が、女性になりたいという願望を持っていることをフィアンセに告白し、その後、そのことで壊れかけた2人の関係を修復しようと躍起になる。
 カンヌ国際映画祭2012 ある視点部門出品。

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 ◆第一回作品賞
 ◎“Antiviral”(カナダ・米) 監督:Brandon Cronenberg [SPECIAL PRESENTATIONS部門]
 出演:ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(Caleb Landry Jones)、サラ・ガドン、マルコム・マクダウェル、ダグラス・スミス、ジョー・ピングー
 物語:シド・マーシュは、クリニックに務めているが、そこではセレブから採取した生体ウィルスを熱狂的なファンに売るという、商売をしていた。シドもまた、自分の体に摂取することで、クリニックからウィルスのサンプルを違法に持ち出して、秘密のグループに売りさばいていた。ある日、彼が摂取したウィルスの元の持ち主である超人気者がそのウィルスが原因で死ぬ。彼は、早急にそのウィルスに打ち勝つ治療法を見出さなければならなくなる一方で、噂を聞きつけた熱狂的なコレクターから狙われることになる。
 カンヌ国際映画祭2012 ある視点部門出品。

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 ◎“Blackbird”(カナダ) 監督:Jason Buxton [DISCOVERY部門]
 物語:精神的に不安定なティーンエージャーが、ネットを通じて、小さなコミュニティーを恐怖に陥れる。やがてに、事態は、殺人騒ぎにまで発展する。

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 ◆最優秀短編賞
 ◎“Keep a Modest Head (Ne crâne pas sois modeste)”(マニトバ州/20’) 監督:Deco Dawson
 監督Deco Dawsonの自伝的ドキュメンタリーで、子ども時代の記憶(それも非常に性的なもの)が描かれる。

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 ◆最優秀短編賞スペシャル・メンション
 ◎“Crackin’ Down Hard”(ノバスコシア州/10’) 監督:Mike Clattenburg

 【その他の賞】

 ◆国際批評家連盟賞 SPECIAL PRESENTATIONS部門
 ◎“In the House(Dans La Maison)”(仏) 監督:フランソワ・オゾン
 出演:クリスティン・スコット・トーマス、エマニュエル・セニエ、ファブリス・ルキーニ、ドゥニ・メノーシュ
 物語:16歳の少年が、文学クラスから学生仲間の家に入り込み、それに関するエッセイを書き、フランス人教師に提出する。教師は、少年の才能を発見して、興奮するが、少年の侵入によって、手に負えない事件が立て続けに起こる。

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 ◆国際批評家連盟賞 DISCOVERY部門
 ◎“Call Girl”(スウェーデン・アイルランド・ノルウェー・フィンランド) 監督:Mikael Marcimain
 出演:ペルニラ・アウグスト、Sofia Karemyr、Simon J Berger、Sven Nordin、デイヴィッド・デンシック(David Dencik)、Ruth Vega Fernandez、ヨセフィン・アスプルンド(Josefin Asplund)、マグヌス・クレッペル(Magnus Krepper)、クリストッフェル・ヨーネル(Kristoffer Joner)
 物語:1970年代末のストックホルム。政府のビルと少年院から石を投げれば届く範囲に、セックス・クラブやディスコや民家がある歓楽街が広がっている。コールガールは、どうやって社会の底辺からイリスをスカウトして、力があれば何でも手に入る過酷な世界に飛び込ませたのかを話し始める。

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 ◆NETPAC賞
 ◎『希望の国』“The Land of Hope”(日) 監督:園子温 [CONTEMPORARY WORLD CINEMA部門]

 ◆Grolsch Film Works Discovery Award
 ◎“Detroit Unleaded”(米) 監督:Rola Nashef [DISCOVERY部門]
 出演:E.J. Assi、Nada Shouhayib、マイク・バタヤ(Mike Batayeh)、Mary Assel、Akram El-Ahmar、Steven Soro
 物語:現代的なカルチャーとアラブ系アメリカ人の伝統が共存する街デトロイト。サミは、防弾ガラスに守られた24時間制のガソリンスタンドで、いとこのマイクとともに働いている。彼は、一度は大学を目指したものの、夢を諦めて、ジャンクフードや高価なタイガースの記念グッズや安い長距離用テレフォンカードなどといったもので成り立っている世界で満足することにした。そんなことを考えていると、店に美しいナジが入ってきた……。

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 トロント国際映画祭の受賞が米国アカデミー賞に直結しているということで、数年前からその受賞結果に注目が集まるようになりましたが、今回のピープルズ・チョイス賞の“Argo”と“Silver Linings Playbook”は、もう既に全米映画賞レースの下馬評に挙がっていたので、2012年度の全米映画賞レースにはトロント国際映画祭の受賞結果はあまり関係がなかった、ということになりそうです。

 とはいうものの、このどちらかが作品賞を受賞したりすれば、やっぱりトロント国際映画祭は米国アカデミー賞を占う云々と言われたりするのかもしれませんが、今のところこの2作品は全米映画賞レースにからんでくることは確実でも、本命にまではなっていないので、そういう心配はいらないかもしれません。

 あと、注目の作品を挙げてみるなら、

 ・ドキュメンタリー部門受賞の3作が全米映画賞レースにからんでくるか(からんでくるとしたら、たぶん2013年度)
 ・“Laurence Anyways”がカナダ国内の映画賞で作品賞を受賞できるか
 ・このところ映画作家というより職業監督になってしまった感のあるフランソワ・オゾンが、“In the House(Dans La Maison)”でフランスの映画賞の上位に食い込めるか

 といったところでしょうか。

 これはどうだったの?という作品はいくつか(いくつも)ありますが、今後の動きを見守りたいと思います。

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 【PHOTO GALLERY】

 会期中、日本作品のゲストを写真がネット上にアップされないかといろいろ探していたんですが、GALA部門で上映された『テルマエ・ロマエ』が大きく注目されたくらいで、あとはそれほどでもありませんでした。まあ、作品が多いですからね。仕方ありません。

 ・内田けんじ

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 ・園子温

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 ・西川美和

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 *当ブログ記事

 第37回トロント国際映画祭
 ・ラインナップ その1 GALA、SPECIAL PRSENTATIONS :http://umikarahajimaru.at.webry.info/201207/article_17.html
 ・ラインナップ その2 SPECIAL PRESENTAIONS :http://umikarahajimaru.at.webry.info/201207/article_18.html
 ・ラインナップ その3 CITY TO CITY、DOCS :http://umikarahajimaru.at.webry.info/201208/article_4.html
 ・ラインナップ その4 MIDNIGHT MADNESS、KIDS、VANGURD、CINEMATHEQUE :http://umikarahajimaru.at.webry.info/201208/article_5.html
 ・ラインナップ その5 カナダ作品 :http://umikarahajimaru.at.webry.info/201208/article_8.html
 ・ラインナップ その6 CONTEMPORARY WORLD CINEMA :http://umikarahajimaru.at.webry.info/201209/article_1.html
 ・ラインナップ その7 SPECIAL PRESENTATIONS、WAVELENGHS :http://umikarahajimaru.at.webry.info/201209/article_2.html
 ・ラインナップ その8 MASTERS、DISCOVERY :http://umikarahajimaru.at.webry.info/201209/article_3.html
 ・ラインナップ 補遺 :http://umikarahajimaru.at.webry.info/201209/article_6.html
 ・全上映作品 リスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201209/article_7.html

 ・『テルマエ・ロマエ』 in トロント国際映画祭2012:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201209/article_12.html

 ・“Emperor” in トロント国際映画祭2012:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201209/article_22.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2012年6月~2013年1月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201206/article_9.html

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