ベネチア国際映画祭2012 受賞結果 完全版!

 第69回ベネチア国際映画祭の各賞が発表になりました。

画像

 【コンペティション部門】

 ・“Linhas de Wellington(Lines of Wellington)”(ポルトガル・仏) 監督:Valeria Sarmiento

 ・“Something In The Air (Apres Mai)”(仏) 監督:オリヴィエ・アサイヤス
 脚本賞(オゼッラ賞)、Fondazione Mimmo Rotella Award

画像

 ・“Superstar”(仏・ベルギー) 監督:グサヴィエ・ジャノリ

 ・“Passion”(仏・独) 監督:ブライアン・デ・パルマ

 ・“La Cinquieme Saison(The Fifth Season)”(ベルギー・オランダ・仏) 監督:Peter Brosens、Jessica Woodworth
  Arca CinemaGiovani Award Best Film Venezia 69、Green Drop Award

 ・“Dormant Beauty (Bella Addormentata)”(伊・仏) 監督:マルコ・ベロッキオ
 マルチェロ・マストロヤンニ賞/新人賞(Fabrizio Falco)、Brian Award

画像

 ・“E Stato il Figlio”(伊・仏) 監督:ダニエーレ・チプリ(Daniele Cipri)
 撮影賞(オゼッラ賞)、マルチェロ・マストロヤンニ賞/新人賞(Fabrizio Falco)

画像

 ・“Un Giorno Speciale”(伊) 監督:フランチェスカ・コメンチーニ(Francesca Comencini)

 ・“Paradise: Faith (Paradies: Glaube)”(オーストリア・仏・独) 監督:ウルリッヒ・ザイドル
 審査員特別賞、CinemAvvenir Awards Best Film Venezia 69

画像

 ・“Betrayal (Izmena)”(ロシア) 監督:キリル・セレブレンニコフ(Kirill Serebrennikov)

 ・“Fill The Void (Lemale Et Ha’Chalal)”(イスラエル) 監督:Rama Burshtein
 女優賞(Hadas Yaron)、SIGNIS賞スペシャル・メンション

画像

 ・“Thy Womb (Sinapupunan)”(フィリピン) 監督:ブリランテ・メンドーサ
 La Navicella-Venezia Cinema Award、 P. Nazareno Taddei賞スペシャル・メンション、インディペンデント批評家賞(Independent Critics Award Bisato d'Oro)最優秀女優賞(Nora Aunor)

 ・“Pieta”(韓) 監督:キム・ギドク
 金獅子賞、Leoncino d’Oro Agistcuola Award、Mouse D’oro賞、P. Nazareno Taddei賞

画像

 ・『アウトレイジ ビヨンド』“Outrage Beyond”(日) 監督:北野武

 ・“At Any Price”(米・英) 監督:ラミン・バーラニ(Ramin Bahrani)

 ・“Spring Breakers”(米) 監督:ハーモニー・コリン
 デジタル賞(Future Festival Disital Award)スペシャル・メンション

 ・“To The Wonder”(米) 監督:テレンス・マリック
 SIGNIS賞

 ・“The Master”(米) 監督:ポール・トーマス・アンダーソン
 監督賞(銀獅子賞)、男優賞(ホアキン・フェニックス、フィリップ・シーモア・ホフマン)、国際批評家連盟賞

画像

画像

--------------------------------

 【アウト・オブ・コンペティション部門】

 ◆Open Award
 ◎“The Company You Keep”(米) 監督:ロバート・レッドフォード

画像

 ◆Biografilm Lancia Award
 ◎“La nave dolce”(伊・アルバニア) 監督:ダニエレ・ヴィカリ(Daniele Vicari)
 ◎“Bad 25”(米) 監督:スパイク・リー

 ◆Francesco Pasinetti賞(イタリア映画ジャーナリスト組合) 最優秀ドキュメンタリー賞
 ◎“La nave dolce”(伊・アルバニア) 監督:ダニエレ・ヴィカリ(Daniele Vicari)

 ◆Francesco Pasinetti賞(イタリア映画ジャーナリスト組合) 特別賞
 ◎“Clarisse”(伊) 監督:リリアーナ・カヴァーニ

 ◆デジタル賞(Future Festival Disital Award)
 ◎“Bad 25”(米) 監督:スパイク・リー

 ◆Giovani Giuranti del Vittorio Veneto Film Festival Award
 ◎“The Company You Keep”(米) 監督:ロバート・レッドフォード

 ◆Mouse D’Argento賞
 ◎“Anton's Right Here (Anton tut ryadom)”(ロシア) 監督:Lyubov Arkus

 【Orizzonti部門】

 ◆最優秀作品賞
 ◎“Three Sisters (San Zi Mei)”(仏・香港・中) 監督:ワン・ビン

画像

 ◆審査員特別賞
 ◎“Tango Libre”(ベルギー・仏・ルクセンブルク 監督:フレデリック・フォンテーヌ(Frederic Fonteyne)

画像

 ◆最優秀短編賞
 ◎“Cho-De (Invitation)”(韓) 監督:Yoo Min-young

画像

 ◆ヨーロッパ映画賞2012 短編賞 ベネチア代表作品
 ◎“Titloi Telous (Out of Frame)”(ギリシャ) 監督:Yorgos Zois

 ◆国際批評家連盟賞
 ◎“L’intervallo”(伊・スイス・独 監督:Leonardo Di Costanzo

画像

 ◆C.I.C.A.E.賞
 ◎“Wadjda”(サウジアラビア・独) 監督:Haifaa Al Mansour

画像

 ◆FEDIC賞
 ◎“L’intervallo”(伊・スイス・独 監督:Leonardo Di Costanzo

 ◆FEDIC賞 スペシャル・メンション
 ◎“Bellas Mariposas”(伊) 監督:Salvatore Mereu

 ◆Lanterna Magica賞
 ◎“L’intervallo”(伊・スイス・独 監督:Leonardo Di Costanzo

 ◆AIF-Forfilmfest Award
 ◎“L’intervallo”(伊・スイス・独 監督:Leonardo Di Costanzo

 ◆Interfilm Award for Promoting Interreligious Dialogue
 ◎“Wadjda”(サウジアラビア・独) 監督:Haifaa Al Mansour

 ◆CinemAvvenir Awards Best Film Cinema for Peace and Diversity Richness
 ◎“Wadjda”(サウジアラビア・独) 監督:Haifaa Al Mansour

 ◆ユネスコ賞(CIT UNESCO Enrico Fulchignoni Award
 ◎“L’intervallo”(伊・スイス・独 監督:Leonardo Di Costanzo

 ◆Christopher D Smithers Foundation Award
 ◎“Low Tide”(米・伊・ベルギー) 監督:Roberto Minervini

画像

 ◆最優秀低予算映画賞(UK-Italy Creative Industries Award-Best Innovative Budget Award)
 ◎“L’intervallo”(伊・スイス・独 監督:Leonardo Di Costanzo

 ◆Francesco Pasinetti賞(イタリア映画ジャーナリスト組合) 最優秀作品賞
 ◎“L’intervallo”(伊・スイス・独 監督:Leonardo Di Costanzo

 ◆Francesco Pasinetti賞(イタリア映画ジャーナリスト組合) 男優賞
 ◎ヴァレリオ・マスタンドレア “Gli Equilibristi”(伊・仏) 監督:Ivano De Matteo

画像

 ◆インディペンデント批評家賞(Independent Critics Award Bisato d'Oro) 最優秀作品賞
 ◎“Bellas Mariposas”(伊) 監督:Salvatore Mereu

 ◆インディペンデント批評家賞(Independent Critics Award Bisato d'Oro) 最優秀監督賞
 ◎Jazmin Lopez “Leones”(アルゼンチン・仏・オランダ)

画像

 【ベネチア・デイズ】

 ◆Europa Cinema Label
 ◎“Crawl”(仏) 監督:Hervé Lasgouttes

 ◆Queer Lion
 ◎“The Weight”(韓) 監督:チョン・ギュファン(Jeon Kyu-Hwan)

画像

 ◆Lina Mangiacapre Award
 ◎“Queen Of Montreuil”(仏) 監督:ソルヴェイグ・アイスパック(Solveig Anspach)

画像

 ◆Premo Cinematografico Civitas Vitae Prossima Award
 ◎“Terramatta - Il Novecento Italiano Di Vincenzo Rabito Analfabeta Siciliano”(伊) 監督:Costanza Quatriglio

 【批評家週間】

 ◆新人監督賞/ルイジ・ディ・ラウエンティス賞(Future of the Lion)
 ◎“Mold (Kuf)”(トルコ・独) 監督:Ali Aydin

画像

 ◆Arca CinemaGiovani Award 最優秀イタリア映画賞
 ◎“The Ideal City (La Citta Ideale)”(伊) 監督:ルイジ・ロ・カーショ

画像

 ◆観客賞(RaroVideo Audience Award)
 ◎“Eat Sleep Die (Ata Sova Do)”(スウェーデン) 監督:Gabriela Pichler

 【その他の賞】

 ◆生涯金獅子賞(Golden Lion for Lifetime Achievement)
 ◎フランチェスコ・ロージ

画像

 ◆ロベール・ブレッソン賞(Robert Bresson Award for Lifetime Achievement)
 ◎ケン・ローチ

画像

 ◆グローリー・トゥ・ザ・フィルムメーカー賞(The Jaeger-LeCoultre Glory to the Filmmaker 2012)
 ◎スパイク・リー

画像

 ◆The Persol 2012 Award
 国際的に活躍するフィルムメーカーに贈られる。
 ◎マイケル・チミノ

画像

 ◆イタリア映画ジャーナリスト組合 ピエトロ・ビアンキ賞(SNGCI Pietro Bianchi Award)
 ◎ジャンニ・アメリオ

 ◆グッチ賞(Gucci Award for Women in Cinema)
 ◎セルマ・スクーンメイカー(Thelma Schoonmaker)

画像

 ◆ロレアル・パリ賞(L’Oreal Paris Award for Cinema)
 ◎Gulia Bevilacqua
 Gulia Bevilacquaは、まだ日本で紹介されている作品はないが、“Come trovare nel modo giusto l'uomo sbagliato”(2011) (監督:Salvatore Allocca、Daniela Cursi Masella)、“100 metri dal paradise”(2011)(監督:Raffaele Verzillo)などに出演している女優。

画像

 ◆ジッロ・ポンテコルヴォ 虹のラテン賞(Gillo Pontecorvo- Arcobalento Latino Award)
 ◎Laura Delli Colli
 Laura Delli Colliは、撮影監督フランコ・デリ・コリの娘で、モニカ・ヴィッティの伝記、〈イタリアのテレビの30年史〉、〈100のレシピによるイタリア映画の味わい〉など、映画に関する数多くの著作を持つジャーナリスト。2003年からイタリア映画ジャーナリスト組合会長。

画像

 ◆Giovani Giuranti del Vittorio Veneto Film Festival Award スペシャル・メンション
 ◎トニ・セルヴィッロ

 ◆第1回Your Film Festival
 YouTube と Emiratesが、ベネチア国際映画祭とスコット・フリー・プロダクションをパートナーとして開催したオンライン・コンペティション。
 ◎グランプリ:“The Guilty”(西) 監督:David Victori

画像

--------------------------------

 星取り表の評価では、“The Master”がダントツで評価が高く、それに続くのが、“To The Wonder”、そして“Spring Breakers”で、あとは、キム・ギドク、ブリランテ・メンドーサ、そしてイスラエル作品が気になっていたところで、果たして審査員長のマイケル・マンがどういう判断を下すのか、アメリカ映画ばかり選ぶのかというあたりで、審査結果が注目されたのですが、結果は上記のようになりました。

 マイケル・マンなら、直球勝負のオーソドックスな作品しか選ばないのではないかということも危惧されたんですが、全然そんなことはありませんでした。

 外部の賞もオフィシャルの賞とほぼ同様の作品に与えられているところを見ると、まあ、順当な受賞結果だったと言えるかもしれません。

 英語の媒体がこぞって“The Master”に最高の評価を与えているので、“The Master”は、2012年度の全米映画賞レースでもかなりいいところに行けるのではないでしょうか。ベネチアの受賞作品が全米映画賞レースで無視され、その逆に、ベネチアで全く評価されなかった作品がアカデミー賞を獲るということも過去にはありましたが、今回は、そんなことはないと思われます。

 テレンス・マリックは、三大映画祭の最高賞制覇がかかっていましたが、今回は残念ながら外してしまいました。

 ラインナップ発表時点で、私が書いていた受賞予想は、今回、かなり当たったことになりますが、逆に言うと、映画本編を見ないでも当たるような受賞結果だった、とも言えるかもしれません。

 結果的に、今回の受賞結果は、審査員の国籍とかぶっている、一致度が高い、とも見て取れます。

 今後の楽しみは、いろいろあります。

 ・今回のアメリカ映画の受賞作そして受賞しなかった作品が、2012年度の映画賞レースでどのような動きを見せるか。

 ・ベネチア国際映画祭は、アメリカ映画の俳優に男優賞を与えることが多いが、全米映画賞レースには全く反映されない。果たして今回はどうか。(関係ありませんが、ホアキン・フェニックスとポール・トーマス・アンダーソンは顔が似てきたようです。だから、自分の分身として起用したんでしょうか?)

 ・キム・ギドクは、海外の映画祭での評判は高いが、韓国国内の映画賞での評価は概して低い。今年はどうか。“Pieta”が米国アカデミー賞2013外国語映画賞韓国代表作品に選ばれることがあったりするのだろうか。

 ・ウルリッヒ・ザイドルは、“Paradise”三部作の完結編(ベルリン? カンヌ?)でどういう評価を受けるか。無冠、審査員特別賞と来て、第三作で、最高賞を受賞できるか。

 ・ブリランテ・メンドーサは『キナタイ』でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞しながら、その時はさほど注目はされなかった。今回の受賞でブレイクしたりするのか。日本での劇場公開はあるのか。

 などなど。

 受賞データをまとめておくと―

 ・韓国映画の金獅子賞受賞は史上初。三大映画祭の最高賞を韓国映画が射止めたのもこれが初めて。

 ・アメリカ映画が、監督賞を受賞するのは、監督賞=銀獅子賞となった1990年以降では、2006年のブライアン・デ・パルマ以来、4人目。

 ・フィリピン映画の審査員特別賞は、ベネチア国際映画祭では過去最高位の受賞。

 ・イスラエル映画から俳優が受賞するのは、ベネチア国際映画祭では、男女あわせて、これが初めて。

 ・アメリカ人俳優が男優賞を受賞するのは、過去10年で、ショーン・ペン、デイヴィッド・ストラザーン、ベン・アフレック、ブラッド・ピット、ヴィンセント・ギャロに続いて、6組目!

 コンペティション部門以外では、注目作品はいろいろありますが、中でも、複数の賞に輝いている“Wadjda”や“L’intervallo”が注目されます。どちらも子どもが主人公の作品で、特に“Wadjda”は、シノプシスを読んだ限りでは、『運動靴と赤い金魚』を思わせたりもし、サウジアラビア映画というのも珍しくていいし、日本での劇場公開があってもいいんじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。劇場公開されれば、サウジアラビア映画としては第1号になります。(映画祭でもサウジアラビア映画というのはほとんど上映していないはずです。)

 あと、ベネチア国際映画祭とは直接関係ありませんが、今回、外国の星取りをあれこれチェックしていて、『おおかみこどもの雨と雪』が海外でもの凄く評価が高いことがわかりました。ひょっとしたら米国アカデミー賞長編アニメーション賞も狙えるかも、というような評価の高さだったんですが、アカデミー賞を狙うにはしっかりした下準備が必要なはずで、今からではちょっと間に合わないでしょうか。

--------------------------------

 *この記事がなかなか参考になった!と思ったら、人気ブログランキングにクリックをお願いします。
 ↓ ↓ ↓ ↓
 
 ↑ ↑ ↑ ↑
 応援してね!

 *当ブログ記事

 第69回ベネチア国際映画祭
 ・コンペティション部門ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201207/article_19.html
 ・ラインナップ その2:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201208/article_28.html
 ・ラインナップ その3:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201208/article_29.html
 ・星取表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201208/article_30.html
 ・北野武 in ベネチア国際映画祭2012:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201209/article_4.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2012年6月~2013年1月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201206/article_9.html

 [ おまけ ]

 黒沢清の『贖罪』もかなりの高評価でした!

画像

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック