ベネチア国際映画祭2012 ラインナップ その2

 【コンペティション部門 追加作品】

 ・“The Master”(米) 監督:ポール・トーマス・アンダーソン
 出演:エイミー・アダムス、ホアキン・フェニックス、フィリップ・シーモア・ホフマン、ローラ・ダーン
 物語:1950年代。「マスター」と呼ばれるカリスマ的な男性と彼の片腕となる若き風来坊の作った組織がアメリカで人気を博していく。
 元々はサイエントロジーの創始者L・ロン・ハバートの物語として企画されたが、その後、全く異なる物語になったと伝えられている。
 [3大映画祭との関わり]
 2000年 『マグノリア』~ベルリン Reader Jury of the “Berliner Morgenpost”受賞。
 2002年 『パンチドランク・ラブ』~カンヌ 監督賞受賞。
 2008年 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』~ベルリン 銀熊賞(監督賞)受賞


 【アウト・オブ・コンペティション部門】

 ・“O Gebo e a Sombra”(ポルトガル・仏) 監督:マノエル・デ・オリヴェイラ
 出演:クラウディア・カルディナーレ、ジャンヌ・モロー、マイケル・ロンズデール、レオノーラ・シルヴェイラ、Ricardo Trêpa、ルイス・ミゲル・シントラ
 物語:Geboは、妻と息子の嫁と3人で暮らしている。息子は行方知れずで、嫁とは連絡を取り合っているらしいが、彼は、息子はよからぬことに関わっているのではないかと疑っている。そんなある日、息子が戻ってくる。妻は、息子が帰ってきたものと喜ぶが、Geboは信じない。会計士をしている彼は、会社の大金を家に置いていて、あえて隠そうとしなかったが、息子はそれを盗んで再び姿をくらましてしまう。Geboは息子のせいで、窮地に追い込まれることになる……。


 ・“Cherchez Hortense”(仏) 監督:パスカル・ボニゼール
 出演:ジャン=ピエール・バクリ、イザベル・カレ、クリスティン・スコット・トーマス
 物語:ダミアンは、中国文化の教授で、妻のイヴァは演劇のプロデューサーをしており、息子のノアと家族3人で暮らしていた。夫婦の愛情生活は、マンネリで、すっかり冷え切っていた。ある日、イヴァは、ダミアンに、公務員である父に助言して、彼を助けてもらえないかと頼まれる。義父とはすっかり疎遠になっていたダミアンだったが、この頼み事を引き受けることで、とんでもない目に遭うことになる。


 ・“The Tightrope”(仏・伊) 監督:サイモン・ブルック(Simon Brook)
 出演:ピーター・ブルック、ヨシ・オイダ、シャンタラ・シヴァリガッパ(Shantala Shivalingappa)、マルチェロ・マグニ(Marcello Magni)
 悲劇なら悲劇、喜劇なら喜劇にしてしまえば、話は簡単だ。しかし、物事は必ずしも悲劇か喜劇かでは決めつけられない。リアルな物語というものは、両者の間をバランスを取りながら、進んでいくものだ。まさに綱渡りように。ピーター・ブルックは、舞台演出家として40年のキャリアを持つ。彼は、息子のサイモン・ブルックに、ワークショップの撮影を許可し、舞台作りの裏側を示して、哲学的とも言っていい彼の経験世界へと誘う。


 ・“L’homme qui rit”(仏・チェコ) 監督:ジャン=ピエール・アメリス (Jean-Pierre Ameris)
 出演:ジェラール・ドパルデュー、マルク=アンドレ・グロンダン(Marc-André Grondin)、Christa Theret、エマニュエル・セニエ
 物語:Gwynplaineは、顔にキズがあり、そのせいでいつも笑っているように見える。彼は、幼い頃に誘拐され、顔にキズをつけられて、棄てられたのだ。そんな彼を引き取ったのが、Ursusで、彼は、盲目の少女Déaとともに、彼を村から村へと連れ歩き、ショーを開いて見せてまわった。やがて彼がショーのスターになり、「笑う男」を見に、お客さんがやってくるようになる。時が経ち、彼が有名な一族の相続人であることがわかる。突然舞い降りてきた富に彼は動転し、本当の彼を愛してくれている2人とも距離を置いてしまう……。
 ヴィクトル・ユーゴーの『笑う男』の映画化。
 『デルフィーヌの場合』『ベティの小さな秘密』『匿名レンアイ相談所』のジャン=ピエール・アメリス監督最新作。
 クロージング作品


 ・“Enzo Avitabile Music Life”(伊・英) 監督:ジョナサン・デミ
 ナポリの音楽家エンツォ・アヴィタビーレについてのドキュメンタリー。ジョナサン・デミは、彼が、研究熱心で、実験的な音楽家として、ワールド・ミュージックの世界でよく知られた人物でありながら、その音楽が、歴史的遺産と矛盾とを併せ持つナポリという街と分かちがたく結びついていることを示そうとする。


 ・“Love Is All You Need (Den skaldede frisor)”(デンマーク・スウェーデン) 監督:スザンネ・ビア
 出演:ピアース・ブロスナン、トリーネ・ディアホルム(Trine Dyrholm)、Sebastian Jessen、 Molly Blixt Egelind
 物語:全く異なる2つの家族が、結婚式で、イタリアの古い別荘に集まってくる。計画は綿密に練られたはずだったが、何一つうまくいかない。しかし、そうでありながら、最後にはすべて収まるところにちゃんと収まっていく……。


 ・“Lullaby To My Father”(イスラエル・仏・スイス) 監督:アモス・ギタイ
 出演:ヤエル・アベカシス(Yael Abecassis)、ジャンヌ・モロー、ハンナ・シグラ、Keren Gitai、Ben Gitai
 ポーランドのシレジア地方に生まれ、バウハウスに学んで、建築家となるも、ナチス政権を逃れて、パレスチナに亡命したムニオ・ワインロープ・ギタイ(1909-1970)。彼の息子であるアモス・ギタイが、父の人生を振り返り、父が残した建造物をたどる。


 ・“The Reluctant Fundamentalist”(インド・パキスタン・米) 監督:ミラ・ナーイル
 出演:リズ・アーメッド、ケイト・ハドソン、キーファー・サザーランド、リーヴ・シュレイバー
 物語:若くしてウォールストリートで成功したパキスタン人の主人公は、911以降、アラブ人やテロリストと間違えられて、敵外視されるようになり、アメリカン・ドリームと故郷に戻って来いという家族の希望との間で葛藤していく。
 Mohsin Hamidの同名小説の映画化。
 トロント国際映画祭2012 GALA PRESENTATIONS部門出品。


 ・“Tai Chi 0”(中) 監督:スティーヴン・フォン
 物語:若き天才ヤン・ルーチャンは、チェン村を旅して、マーシャル・アーツの隠された奥義を発見する。そのすぐ後で、彼は、村が手ごわい大群の兵士たちによってオぼやかされていることを知る。村民は、彼を信用して、“太極”の奥義を授け、外敵から村を守ってもらわなくてはならない。
 トロント国際映画祭2012 SPECIAL PRESENTATIONS部門出品。
 [北米プレミア]


 ・『贖罪』“Penance (Shokuzai)”(日) 監督:黒沢清

 ・“Shark (Bait 3D) ”(オーストラリア・シンガポール・中) 監督:キンブル・レンドール(Kimble Rendall)
 物語:海沿いの静かな町にある地下のショッピングセンターを津波が襲う。溺れまいと逃げまどう買い物客たちは、狂った悪党連中に脅かされ、血に飢えた獰猛なサメたちからも逃げなければならなくなるのだった……。


 ・“Bad 25”(米) 監督:スパイク・リー
 マイケル・ジャクソンのアルバム『Bad』の25周年記念作品。未公開映像と、マイケルに影響を受けたミュージシャン、ソングライター、技術者、エンジニア、レーベル関係者などへのインタビュー。マライヤ・キャリー、L・A・リード、Badツアーでバック・コーラスを務めたシェリル・クロウらも出演。


 ・“The Company You Keep”(米) 監督:ロバート・レッドフォード
 出演:ロバート・レッドフォード、シャイア・ラブーフ、スーザン・サランドン、テレンス・ハワード、アナ・ケンドリック、スタンリー・トゥッチ、クリス・クーパー、ニック・ノルティー
 物語:ジム・グラント(ロバート・レッドフォード)は、人権擁護派の弁護士で、シングル・ファーザーだった。彼は、性急な若いリポーター(シャイア・ラブーフ)に、70年代に殺人を犯して逃げた犯人なのではないかという疑いをかけられて、アメリカ中を旅して、真犯人を捜し、自分にかけられた汚名を晴らさなければなれなくなる。
 トロント国際映画祭2012 GALA PRESENTATIONS部門出品。


 ・“Disconnect”(米) 監督:Henry-Alex Rubin
 出演:アレクサンダー・スカルスガルド(Alexander Skarsgård)、ミカエル・ニクヴィスト(Michael Nyqvist)、ジェイソン・ベイトマン、アンドレア・ライズブロー
 物語:この今日の奇妙な世界で、人とのつながりを求める人々の物語。

 ・“The Iceman”(米) 監督:アリエル・ヴロメン(Ariel Vromen)
 出演:ウィノナ・ライダー、クリス・エヴァンズ、デイヴィッド・シュワイマー、マイケル・シャノン、レイ・リオッタ
 物語:愛すべき夫であり、献身的な父親であると信じられていたRichard Kuklinskが、実は、1954年から1985年までの間に250人以上の人を殺した殺人鬼であった、という実話に基づく物語。
 トロント国際映画祭2012 SPECIAL PRESENTATIONS部門出品。


 ・“Come voglio che sia il mio futuro?”(伊) 監督:Maurizio Zaccaro

 ・“Du hast es versprochen (Forgotten)”(独) 監督:Alex Schmidt
 物語:子供時代、ハンナとクラリッサは、仲良しで、バケーションには、それぞれの親たちとともに、小さな島で過ごした。ところが、9歳の誕生日の後、クラリッサは突然姿を消し、連絡が取れなくなる。25年後、ハンナは、35歳で、結婚して、ひとり娘の母親となり、医者として大きな病院に勤めていた。ある日、彼女の勤める病院に、睡眠薬の過剰摂取で、クラリッサが運ばれてくる。再会した2人は、旧交を温めるべく、昔、2人が一緒に過ごした小さな島へ向う。ハンナは、25年前、なぜクラリッサが突然いなくなったのか知ろうとして、過去の暗い秘密に行き当たる。


 【アウト・オブ・コンペティション部門 スペシャル・イベント】

 ・“Clarisse”(伊) 監督:リリアーナ・カヴァーニ
 修道女たちへのインタビューを通し、彼女たちが、何を考え、どういう生活をしているかを見せる。

 ・“Sfiorando il muro”(伊) 監督:Silvia Giralucci、Luca Ricciardi
 70年代のイタリアを知るためのユニークなドキュメンタリー。
 少女の70年代の記憶は、デモと落書きだった。というのも、本作の監督であるSilvia Giralucciの実父Graziano Giralucciは、70年代のイタリアに吹き荒れたテロリズムの最初の犠牲者の1人だったからだ。彼女たちは、どうしてこのようなことが起こり、なぜ政治的暴力を避けることができなかったのか、ということを理解するために、事件の関係者を探り出していく……。


 ・“Medici con l'Africa”(伊) 監督:カルロ・マッツァクラーティ
 サハラ以南のアフリカ全域で医療活動を行ない、と同時に、アフリカの医療を大学病院レベルにまで引き上げるために若いアフリカの医師への教育を行なって、“Doctors With Africa”と呼ばれた2人の医師(であり、司祭の)、Don Dante CarraroとDon Luigi Mazzucatoに関するドキュメンタリー。


 ・“La nave dolce”(伊・アルバニア) 監督:ダニエレ・ヴィカリ(Daniele Vicari)
 1991年8月8日、2万人のアルバニア人を乗せた船が、イタリアのバーリ港に着く。船は、係留することができず、人々は、海に飛び込んで、陸地に向って泳ぎ出す。人々は、希望の言葉でもあるかのように、「イタリア!イタリア!」と口々に叫ぶ―。
 その船Vlora号は、古い船で、キューバから10000トンの砂糖をアルバニアに運んでいたが、その前日、アルバニアのドゥラス港で砂糖の荷卸しをしているところを、おびただしい数のアルバニア人に襲われたのだ。共産主義が崩壊した国から逃げ出そうとする人々。船長は、衝突を避けるために、彼らの乗船を許し、あまりの重量に悲鳴を上げるエンジンに無理を言わせて、船をイタリアへと向わせる。
 人々は、いったんサッカースタジアムに運ばれ、長い時間をかけて、下船許可を受ける。あれから21年経って、Vlora号に乗ってきたアルバニア人たちは、そのほとんどがアルバニアに送り返されるが、彼らの多くは今でも自分たちの居場所を探し続けている。現在、イタリアには450万人の外国人が住んでいる。


 ・“Convitto Falcone”(伊) 監督:パスクアーレ・シメカ(Pasquale Scimeca) [トリビュート・トゥ・ジョヴァンニ・ファルコーネ](a tribute to Giovanni Falcone)
 出演:Pietro D’agostino、マルチェロ・マッツァレッラ(Marcello Mazzarella)、Donatella Finocchiaro、グヤ・イェーロ(Guja Jelo)、David Coco、エンリコ・ロ・ヴェルソ(Enrico Lo Verso)、ヴィンセンツォ・アルバネーゼ(Vincenzo Albanese)、Filippo Luna、 Salvatore Sclafani、 ジョヴァンニ・ファルコーネ校の生徒たち
 物語:アントニオは、奨学金を獲得して、山中の小さな村からパレルモの学校「ジョヴァンニ・ファルコーネ校」に進学する。しかし、彼は、ホームシックにかかり、物憂げで、非友好的な態度を取るようになる。教師が働きかけるが、うまくいかない。学校でサッカーのトーナメントが行なわれることになり、彼は、審判をやることになっているサルバトーレを恐喝して、試合を操作しようとする。しかし、疑念と自責の念が襲い、先生から言われた「君もこのジョヴァンニ・ファルコーネ校の生徒なんだよ」という言葉が思い浮かぶ。
 ※ジョヴァンニ・ファルコーネ(1939-92)は、マフィアの撲滅に尽力した裁判官で、マフィアによって殺害された。


 ・Omaggio A Simone Massi
 イタリアのアニメーション作家Simone Massiの特集上映。
 “Immemoria”(1995, 1’00”)
 “In aprile”(1995, 2’00”)
 “Millennio”(1995, 2’00”)
 “Racconti”(1996, 2’00”)
 “Niente”(1996, 2’30”)
 “Keep on! Keepin’ on!”(1997, 3’00”)
 “Adombra”(1999, 11’00”)
 “Pittore, aereo”(2001, 4’00”)
 “Tengo la posizione”(2001, 4’00”)
 “Piccola mare”(2003, 4’00”)
 “Io so chi sono”(2004, 3’00”)
 “La memoria dei cani”(2006, 8’00”)
 “Nuvole, mani”(2009, 8’00”)
 “Dell’ammazzare il maiale”(2011, 6’00”)
 “Fare fuoco”(2011, 10’)
 “Lieve, dilaga”(2012, 1’00”)

 ・“Anton's Right Here (Anton tut ryadom)”(ロシア) 監督:Lyubov Arkus
 ドキュメンタリー。アントンは、自閉症の少年で、大きな都市の郊外にある壁に囲まれたアパートと精神病院を往復するだけの生活をしている。そんな彼が、精神神経科の施設に入居する。そこは、長くは生きられないような人ばかりが入っている施設だ。カメラは、そんな施設に入り込み、彼らと徐々に距離を縮めていく。しかし、この映画は、人々が協力しあって生きていこうとするのを見せようという映画ではない。自分が他人とは違う人間であることを発見していくのを見せる、そんな映画である。

 ・“Carmel”(イスラエル・仏・伊) 監督:アモス・ギタイ
 声の出演:ジャンヌ・モロー、サミュエル・フラー
 アモス・ギタイによる、集合的で個人的な記憶が、万華鏡のようにちりばめられる。ユダヤ人がたどった過去の歴史から現在のイスラエルまで。テレビは、真実の半分しか伝えず、半分は嘘を流す。戦争は果てしなく続き、今、彼の息子は戦闘に参加している。彼はただ息子の無事を祈るほかない……。

 ・“Witness: Libya”(米) 監督:Abdallah Omeish
 カダフィー大佐の死から数ヵ月後、撮影クルーは、戦場カメラマンのChristopher Brownに同行して、リビアを旅する。リビアでは、かつて、迫撃砲によって、仲間のカメラマン2人が殺され、彼自身負傷した。ストリートでは新たな衝突が起こっていて、彼は、実際に起こったことと、仲間が払った重い代償について考える。

 ・“El impenetrable”(アルゼンチン・仏) 監督:Daniele Incalcaterra、Fausta Quattrini
 まだ人の手が入っていないパラグアイのジャングル“El impenetrable”。その5000ヘクタールの土地を父から相続した「私」は、征服時代に獲得したその土地を元々の地権者に返そうと思って、現地を訪れるが、現地の事情を知るにつれ、もっと別の解決法を考えなければならないのではないかと思い始める。

 ・“It Was Better Tomorrow (Ya Man Aach) ”(チュニジア) 監督:Hinde Boujemaa
 革命騒ぎの渦中にあるチュニジアで、自分の人生を立て直そうとしている女性の姿を追う。彼女は、自分と子どもたちが雨露を凌げる場所を求めて、貧しい近隣を転々とする。自分のまわりで、歴史的な出来事が起こっていることは気に留めない。革命が称えられていることは知っているが、彼女にとって、自分たちが行きぬく道を見つけることが最優先なのだ。


 【Orizzonti部門】

 ・“Boxing Day”(英・米) 監督:バーナード・ローズ
 出演:ダニー・ヒューストン、マシュー・ジェイコブス(Matthew Jacobs)
 物語:クリスマスの後、借金を抱えた男が、すべての問題を解決してくれるほどのお金を手に入れようと、家族の元を飛び出す。彼の考えは、抵当流れになった土地を安く手に入れて、高く売ることだった。彼は、地元の運転手を24時間雇って、山間の土地を見てまわる。しかし、日が落ちて、天候も悪くなり、道路も凍って、身動きが取れなくなってしまう。


 ・“Tango Libre”(ベルギー・仏・ルクセンブルク 監督:フレデリック・フォンテーヌ(Frederic Fonteyne)
 出演:フランソワ・ダミアン(François Damiens)、セルジ・ロペス、Jan Hammenecker、アンヌ・パウリスヴィック(Anne Paulicevich)、Zacharie Chasseriaud
 物語:JCは、刑務所の看守をしているが、私生活は平穏で、取り柄といえば、週に一度タンゴ教室でタンゴを踊ることくらいだ。ある日、30代の女性、アリスがやってきて、彼は彼女と踊る。彼女は、15歳の娘の母親だったが、華やいだ雰囲気があった。翌日、彼は、面会の待合室に彼女の姿を見つける。彼女の面会相手は2人いて、1人は夫で、もう1人は愛人で、2人は事件の共犯者だった。刑務所の看守は、受刑者の家族とつきあってはいけない決まりがあるが、JCは、自分とは違う生き方をしているアリスに惹かれ、決まりなど破ってしまってもいいと考える。


 ・“Gli Equilibristi”(伊・仏) 監督:Ivano De Matteo
 出演:ヴァレリオ・マスタンドレア、バルボラ・ボブローヴァ
 物語:ジュリオは、40代で、落ち着いた生活を送っている。家は借家だが、定職はあるし、分割払いで車も買った。娘は反抗的だが、愛らしいし、息子はかわいい。そして妻は彼のことを愛してくれている。しかし、いくつか悲劇が続き、皮肉な出来事があって、彼の完璧な生活は崩壊してしまう。


 ・“L’intervallo”(伊・スイス・独 監督:Leonardo Di Costanzo
 出演:Francesca Riso、Alessio Gallo、カルミネ・パテルノステル(Carmine Paternoster)、Salvatore Ruocco、Antonio Buil、Jean Yves Morard
 物語:1人の少年と1人の少女が大きな廃ビルに閉じ込められている。少年の方は、カモラのギャングの命令によって、少女の監視のために、そこにいたのだが、時間が経つにつれ、閉じ込められている者と監視している者という互いの立場は忘れられていく。夕陽が沈む頃、2人の様子を見に来たギャングは、予想していたものとは雰囲気が違っているのに気づく。
 トロント国際映画祭2012 DISCOVERY部門出品。

 ・“Bellas Mariposas”(伊) 監督:Salvatore Mereu
 出演:Sara Podda、Maya Mulas、ミカエラ・ラマツォッティ
 物語:Cateは、朝の3時に悲鳴で起こされて、家を飛び出す。父親は暴君だし、姉妹は問題ばかり抱えていた。長女は13歳で妊娠していたし、次女も尻軽で、彼女は姉たちのようにはなりたくなかった。彼女が心を許せるのはGigiだけだった。そんなGigiに危険が迫っていた。彼女の兄のTonioが彼を殺そうとしているのだ。彼女は親友のLunaとともに長い一日を過ごす。そんな彼女たちの前に未来が見えるというミステリアスな女性が現れる……。


 ・“A Hijacking (Kapringen)”(デンマーク) 監督:トビアス・リンホルム(Tobias Lindholm)
 物語:インド洋で、貨物船MV Rosen号が海賊に乗っ取られる。船員は人質にされ、海賊は船舶会社に身代金数百万ドルを要求する。そこから、海賊と船舶会社の経営者との生と死を賭けた心理戦が始まる。


 ・“I Also Want It (Ja Tozhe Hochu)”(ロシア) 監督:アレクセイ・バラバノフ
 物語:悪徒、その友人のMavei、Maveiの父親の音楽家、美しいガールフレンドの4人が、大きな黒いジープに乗って、幸福の鐘楼を探している。伝説によれば、それは、セント・ペテルスブルグからウグリチの間のどこか、古い見捨てられた原子力発電所からそう遠くないところに隠されているという。鐘楼には人を消す力があるが、それは誰にでもできるものではない。彼らはこの中の誰かならそれができるのではないかと考えている。

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 ・“The Cutoff Man (Menatek Ha-Maim)”(イスラエル) 監督:Idan Hubel
 物語:ガビは、お金の払えない家の水道を止めてまわっている。選択の余地はない。泥棒のように裏庭に入り込んでは水道メーターをチェックし、執行人のように街をうろつきまわる。水道を止めれば止めるほどお金が入ってくる。人々は彼のことを悪し様に言うが、彼にも守っていかなければいけない家族があるのだ。しかし、こんなことがいつまで続くのだろう?


 ・“Araf - Somewhere In Between”(トルコ・仏・独) 監督:イエスィム・ウスタオウル(Yesim Ustaoglu)
 物語:ゼーラとオルグンは、毎日、24時間シフト制でガソリンスタンドで働いている。無意味で単調な日々。彼らは、自由時間をテレビを観て過ごす。ふと、夢と現実の間で、バラバラになりそうな自分を感じる。そんな時、貨物自動車に乗った男性マフールが現れて、恋のトライアングルが生まれる。しかし、うっとりするような情熱と本物の愛との違いに気づかされ、幻想は打ち砕かれる。彼らは、痛みを通して、現実に立ち返り、新たな希望を見出す。子供のような無邪気さはもう取り戻せない。


 ・“Wadjda”(サウジアラビア・独) 監督:Haifaa Al Mansour
 物語:Wadjdaは、リヤド郊外に住む10歳の少女。彼女は、保守的な世界に住んでいるが、楽しいことが好きで、どんどん自分の行動範囲を広げている。友だちのアブドゥラとケンカした後、彼女は、素敵な緑の自転車が売られているのを見つけて、これならアブドゥラにも競争で勝てると考える。しかし、お母さんは自転車を買うことを許してくれない。それは、自転車に乗ることが、少女としての美徳に反していて、そのことで世間から非難を浴びるのが怖かったからだ。それでも、Wadjdaはあきらめずに、自分でお金を貯めて買おうと考える。お母さんは、夫が二番目の妻をもらおうとしているのに気を取られてWadjdaが何をしようとしているのかに気づかない。Wadjdaは、頑張ってお金を貯めようとするが、学校の行事が忙しくて、なかなかお金が貯まらない。そんな時、コーランの朗読大会があることを知る。彼女は、その賞金があれば自転車が買えると考えて、一所懸命にコーランの暗記と朗読に励んでいく……。

 ・“The Paternal House (Khaneh Pedari)”(イラン) 監督:Kianoosh Ayari
 物語:85年前、道徳上の問題から、父と息子が自分の娘を殺し、家の地下に埋める。家族は、代々、その隠れた墓を引き継いでいくことになる。


 ・“Three Sisters (San Zi Mei)”(仏・香港・中) 監督:ワン・ビン
 物語:3人姉妹が雲南の山中の小さな村で暮らしている。親の姿は見えない。彼らは、日々、野に出ているか、村を歩き回って過ごしている。叔母は、彼らに食べ物をあげたくとも、それはかなわない。父親が帰ってきて、姉妹を都会に連れて行こうとする。しかし、祖父の意見で、長女だけ残していくことになる。

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 ・“Fly With The Crane (Gaosu tame, wo cheng baihe qu le)”(中) 監督:Li Ruijun
 物語:ラオ・マとラオ・カオは、73歳で、棺おけ作りを手がける大工だったが、今はもう以前ほど体が動かなくなって、引退していた。ラオ・カオは、もし自分が死んだら、ラオ・マに棺おけを作ってくれるように頼む。中秋の季節に、ラオ・マの娘が訪ねてきて、一緒に休日を過ごそうと誘い出す。彼が、村に戻ってきた時、ラオ・カオの姿がないことに気づく。ある者がこっそりラオ・カオは死んだのだと告げる。それ以来、ラオ・マは、湖のほとりに行って、白鶴を待つようになる。村人に笑いものにされても気にしない。孫がラオ・マにどうしてそんなことをするのかと聞く。ラオ・マは言う。「一所懸命子供たちを育てたが、見返りは何もなかった。今は、白鶴がやってきて、天国に連れて行ってくれるのを待つだけだ」と。孫は、祖父の願いをかなえてあげようとする。


 ・『千年の愉楽』“The Millennial Rapture (Sennen no Yuraku)”(日) 監督:若松孝二

 ・“Low Tide”(米・伊・ベルギー) 監督:Roberto Minervini
 物語:12歳の少年とそのシングル・マザーがバラバラの生活を送っている。母親は仕事にでかけ、友人たちとでかけるのに対し、少年はいつも独りだ。独りぼっちでいることは、自由の源であり、悲しみの原因でもある。彼の探検は、次第に社会のルールと自然の摂理のコントラストを照らし出すようになる。しかし、まもなく思いがけないことが起こり、内なるバランスは崩れていく。

 ・“Leones”(アルゼンチン・仏・オランダ) 監督:Jazmin Lopez
 物語:5人の仲間が、森の奥深くに入って、戯れている。彼らは、ライオンの群れのように、互いにふざけ合い、誘惑し合う。それぞれが、もう大人にならなければならないことはわかっているが、大人の領域に入りかけては後ずさりを繰り返す。まるで予定調和の人生を歩むのを恐れるように。

 ・“Winter of Discontent (El Sheita Elli Fat)”(エジプト) 監督:Ibrahim El Batout

 ・“Yema”(アルジェリア・仏) 監督:Djamila Sahraoui

 [短編部門]

 ・“Luisa no está en casa”(西) 監督:Celia Rico Clavellino

 ・“Frank-Étienne vers la béatitude”(仏) 監督:Constance Meyer

 ・“Living Still Life”(仏・ベルギー・独) 監督:Bertrand Mandico

 ・“La sala”(伊) 監督:Alessio Giannone

 ・“Cargo”(伊) 監督:Carlo Sironi

 ・“Titloi Telous (Out of Frame)”(ギリシャ) 監督:Yorgos Zois

 ・“Resistente”(デンマーク・フィンランド・パラグアイ) 監督:Renate Costa、Salla Sorri

 ・“Bansulli (The Flute)”(ネパール) 監督:Min Bham

 ・“Diamond Sutra”(台湾) 監督:ツァイ・ミンリャン
 出演:リー・カンシャン
 物語:赤い僧衣を着たシャオカン。電気炊飯器が米を炊き上げるのをじっと見つめる。ふと、ブッダの言葉を思い出す。「一切有為法,如夢幻泡影,如露亦如電,應作如是觀」(夢と影の如くはかなく 露と雷鳴の如く定まらぬ それ人生なり)。普段、人は電気炊飯器をじっと見つめたりはしないが、そうすることでこれまで気づかなかったものに気づいたりするものだ。
 クロージング作品。


 ・“Cho-De (Invitation)”(韓) 監督:Yoo Min-young

 ・“Marla”(オーストラリア) 監督:Nick King

 ・“I'm the One”(オーストラリア) 監督:Paola Morabito

 ・“Miracle Boy”(米) 監督:Jake Mahaffy

 ・“Las manos limpias”(メキシコ) 監督:Carlos Armella

 ・“O Afinador”(ブラジル) 監督:Fernando Camargo、Matheus Parizi

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 *当ブログ記事

 ・ベネチア国際映画祭2012 コンペティション部門ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201207/article_19.html

 ・ベネチア国際映画祭2012 ラインナップ その3:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201208/article_29.html

 追記:
 ・ベネチア国際映画祭2012 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201209/article_11.html

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