ナストロ・ダルジェント賞2012 ノミネーション発表!

 第66回ナストロ・ダルジェント賞のノミネーションが発表になりました。(6月4日)

 【ナストロ・ダルジェント賞】
 ナストロ・ダルジェント賞(Nastro d'Argento / シルバー・リボン賞)は、イタリアの映画批評家協会(The Sindacato Nazionale dei Giornalisti Cinematografici Italiani(Association of Italian Film Critics))の映画批評家たちが投票して決める賞、つまり「イタリア映画批評家協会賞」のことで、1947年にスタートして、今年で、66回目を迎えています。
 Wikipediaでは、米国アカデミー賞に次いで世界で2番目に古い映画賞であると紹介されています。「米国アカデミー賞が世界で最も古い映画賞である」という言い方には、各方面から異議申し立てが出そうですが、まあ、ナストロ・ダルジェント賞が世界でも最も古い伝統ある映画賞の1つであるということは確かなことなのだろうと思われます。

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 ◆監督賞(Regista Del Miglior Film Italiano)
 ・エマヌエーレ・クリアレーゼ 『大陸』(“Terraferma”)
 ・マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ “Romanzo Di Una Strage”
 ・フェルザン・オズペテク “Magnifica Presenza”
 ・パオロ・ソレンティーノ 『きっと ここが帰る場所』
 ・ダニエレ・ヴィカリ(Daniele Vicari) “Diaz: Don't Clean Up This Blood ”

 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞は“Cesare Deve Morire”が受賞。

 ◆主演男優賞(Migliore Attore Protagonista)
 ・ファブリッツィオ・ベンティヴォリオ 『シャッラ/いいから!』(“Scialla! (Stai Sereno)”)(監督:フランチェスコ・ブルーニ)
 ・ピエロフランチェスコ・ファヴィーノ “A.C.A.B. – All Cops Are Bastards” (監督:Stefano Sollima)、“Romanzo di una strage ”
 ・エリオ・ジェルマーノ “Magnifica Presenza”
 ・ロベルト・ヘルリッカ(Roberto Herlitzka) 『七つの慈しみ』(“Sette opere di misericordia”)(監督:ジャンルカ・デ・セリオ、マッシミリアーノ・デ・セリオ)
 ・ヴィニーチョ・マルキオーニ(Vinicio Marchioni) “Cavalli”(監督:Michele Rho)、“Sulla strada di casa(On the Way Home)”(監督:Emiliano Corapi)

 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞はミシェル・ピコリ(『ローマ法王の休日』)が受賞。

 ◆主演女優賞(Migliore Attrice Protagonista)
 ・Carolina Crescentini “L'industriale”(監督:ジュリアーノ・モンタルド)
 ・ドナテッラ・フィノッキアーロ(Donatella Finocchiaro) 『大陸』
 ・クラウディア・ジェリーニ(Claudia Gerini) “Il mio domani” (監督:Marina Spada)、“Com'è bello far l'amore”(監督:ファウスト・ブリッツィ)
 ・ヴァレリオ・ゴリーノ 『バッグにはクリプトナイト』(“La Kryptonite Nella Borsa”)(監督:イヴァン・コトロネオ(Ivan Cotroneo))
 ・ミカエラ・ラマツォッティ(Micaela Ramazzotti) “Posti in Piedi in Paradiso”(監督:カルロ・ヴェルドーネ)、“Il cuore grande delle ragazze”(監督:プーピ・アヴァーティ)

 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞は、チャオ・タオ(『シュン・リーと詩人』)が受賞。

 ◆助演男優賞(Migliore Attore Non Protagonista)
 ・Beppe Fiorello 『大陸』、“Magnifica presenza”
 ・マルコ・ジャリーニ “Posti in piedi in paradiso”、“A.C.A.B.– All Cops Are Bastards”
 ・ファブリツィオ・ジフーニ(Fabrizio Gifuni) “Romanzo Di Una Strage”
 ・リカルド・スカルマッチョ “To Rome with Love”(監督:ウディ・アレン)

 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞は、ピエロフランチェスコ・ファヴィーノが“Romanzo di una strage ”で受賞。

 ◆助演女優賞(Migliore Attrice Non Protagonista)
 ・バルボラ・ボブローヴァ(Barbora Bobulova) 『シャッラ/いいから!』
 ・ミケーラ・チェスコン(Michela Cescon) “Romanzo Di Una Strage”
 ・アレッサンドラ・マストロナルディ(Alessandra Mastronardi) “To Rome with Love”
 ・パオラ・ミナッチョーニ(Paola Minaccioni) “Magnifica presenza”
 ・Elisa Di Eusanio “Good as You”(監督:Mariano Lamberti)

 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞は、ミケーラ・チェスコンが受賞。

 ◆脚本賞(Migliore Sceneggiatura)
 ・カルロ・ヴェルドーネ、パスクァーレ・プラスティノ(Pasquale Plastino)、Maruska Albertazzi “Posti in piedi in paradiso”
 ・ダニエレ・ヴィカリ、Laura Paolucci “Diaz: Don't Clean Up This Blood”
 ・マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ、サンドロ・ペトラリア(Sandro Petraglia)、ステファノ・ルッリ(Stefano Rulli) “Romanzo Di Una Strage”
 ・パオロ・ソレンティーノ、ウンベルト・コンタレッロ(Umberto Contarello) 『きっと ここが帰る場所』
 ・フランチェスコ・ブルーニ 『シャッラ/いいから!』

 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞は、『きっと ここが帰る場所』が受賞。

 ◆オリジナル・ストーリー賞(Migliore Soggetto)
 ・ジュリアーノ・モルタルド(Giuliano Montaldo)、Vera Pescarolo “L'industriale”
 ・フェルザン・オズペテク、フェデリカ・ポントレモーリ(Federica Pontremoli) “Magnifica presenza”
 ・Renzo Lulli “I primi della lista”(監督:Roan Johnson)
 ・アンドレア・セグレ(Andrea Segre) 『シュン・リーと詩人』(“Io sono Li”)(監督:フランチェスコ・ブルーニ)
 ・Raffaele Verzillo、Pier Francesco Corona “100 metri dal paradiso”(監督:Raffaele Verzillo)

 ◆最優秀撮影賞(Migliore Fotografia)
 ・ルカ・ビガッツィ 『きっと ここが帰る場所』
 ・パオロ・カルネラ(Paolo Carnera) “A.C.A.B.– All Cops Are Bastards”
 ・マウリツィオ・カルヴェージ(Maurizio Calvesi) “Magnifica presenza”
 ・アルナルド・カティナーリ(Arnaldo Catinari) “L'industriale”
 ・ファビオ・チャンチェッティ(Fabio Cianchetti) 『大陸』

 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞は、ルカ・ビガッツィが受賞。

 ◆最優秀編集賞(Migliore Montaggio)
 ・ベニー・アトリア(Benni Atria) “Diaz: Don't Clean Up This Blood”
 ・フランチェスカ・カルヴェリ(Francesca Calvelli) “Romanzo Di Una Strage”
 ・パトリツィオ・マローネ(Patrizio Marone) “A.C.A.B.– All Cops Are Bastards”
 ・ウォルター・ファサーノ(Walter Fasano) “Magnifica presenza”
 ・Carlo Simeoni “Il primo uomo”(監督:ジャンニ・アメリオ)

 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞は、“Cesare Deve Morire”が受賞。
 フランチェスカ・カルヴェリは2年連続ノミネート。

 ◆最優秀美術賞(Migliore Scenografia)
 ・ジャンカルロ・バージリ(Giancarlo Basili) “Romanzo Di Una Strage”
 ・ステファニア・セッラ(Stefania Cella) 『きっと ここが帰る場所』
 ・フランチェスコ・フリジェッリ(Francesco Frigeri) “L'industriale”
 ・Carmine Guarino “Mozzarella Stories”(監督:Edoardo De Angelis)
 ・マルタ・マッフッチ(Marta Maffucci) “Diaz: Don't Clean Up This Blood”

 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞は、『ローマ法王の休日』が受賞。
 フランチェスコ・フリジェッリは2年連続ノミネート。

 ◆最優秀衣裳賞(Migliori Costumi)
 ・アレッサンドロ・ライ(Alessandro Lai) “Magnifica Presenza”
 ・Catia Dottori “Il cuore grande delle ragazze”
 ・パオラ・マルケジン(Paola Marchesin) “La scomparsa di Patò”(監督:Rocco Mortelliti)
 ・Rossano Marchi 『バッグにはクリプトナイト』
 ・ヴァレンティナ・タヴィアーニ(Valentina Taviani) “L'ultimo terrestre”(監督:Gian Alfonso Pacinotti)

 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞は、『ローマ法王の休日』が受賞。

 ◆最優秀録音賞(Migliore Sonoro In Presa Diretta)
 ・フルジェンツィオ・チェッコン(Fulgenzio Ceccon) “Romanzo di una strage”
 ・Mirko Guerra、Sonia Portoghese 『七つの慈しみ』
 ・レモ・ウゴリネッリ(Remo Ugolinelli)、Alessandro Palmerini “Diaz: Don't Clean Up This Blood ”
 ・アレッサンドロ・ザノン(Alessandro Zanon) 『シュン・リーと詩人』
 ・Davide Mastropaolo、Leandro Sorrentino “Là-bas”(監督:Guido Lombardi)

 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞は、“Cesare Deve Morire”が受賞。

 ◆最優秀作曲賞(Migliore Colonna Sonora)
 ・パスクァーレ・カタラーノ(Pasquale Catalano) “Magnifica presenza”
 ・ルドヴィコ・エイナウディ(Ludovico Einaudi) 『最強のふたり』“Quasi amici”(監督:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ)
 ・Teho Teardo “Diaz: Don't Clean Up This Blood”
 ・フランコ・ピエルサンティ(Franco Piersanti) 『大陸』、“Il primo uomo”
 ・Carlo Virzì “I più grandi di tutti”(監督:Carlo Virzì)

 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞は、デイヴィッド・バーン(『きっと ここが帰る場所』)が受賞。
 パスクァーレ・カタラーノは3年連続ノミネート。

 ◆最優秀オリジナル歌曲賞(Migliore Canzone Originale)
 ・“Immaturi -Il viaggio”(監督:Paolo Genovese)-‘Il viaggio’ Daniele Silvestri
 ・“Un giorno questo dolore ti sarà utile”(監督:ロベルト・ファエンツァ(Roberto Faenza))-‘Love is required’ アンドレア・グエラ(Andrea Guerra)、Michele von Buren、Elisa
 ・“Posti in Piedi in Paradiso”-‘Therese’ Angelica Caronia、ガエターノ・クレリ(Gaetano Curreri)、Andrea Fornili
 ・『シャッラ/いいから!』-‘Scialla!’ Amir Issaa & Caesar Productions
 ・“Il giorno in più”(監督:Massimo Venier)-‘Something is changing’ Malika Ayane、パオロ・ブオンヴィーノ(Paolo Buonvino)

 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞は、『きっと ここが帰る場所』が受賞。
 ガエターノ・クレリは2年連続ノミネート。

 ◆プロデューサー賞(Migliore Produttore)
 ・“Romanzo Di Una Strage” リカルド・トッツィ(Riccardo Tozzi)、ジョヴァンニ・スタビリーニ(Giovanni Stabilini)、マルコ・キメンツ(Marco Chimenz)(Cattleya)、共同製作:Rai Cinema
 ・“Un giorno questo dolore ti sarà utile” エルダ・フェリ(Elda Ferri)、ミレーナ・カノネロ(Milena Canonero)
 ・『きっと ここが帰る場所』 フランチェスカ・シーマ(Francesca Cima)、ニコラ・ジュリアーノ(Nicola Giuliano)、Medusa Film、アンドレア・オキピンティ(Andrea Occhipinti)
 ・“Là-bas” Dario Formisano、Gaetano di Vaio、ジャンルカ・カルティ(Gianluca Curti)
 ・“Diaz: Don't Clean Up This Blood” ドメニコ・プロカッチ(Domenico Procacci)

 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞(プロダクション賞)は、“Cesare Deve Morire”が受賞。
 ドメニカ・プロカッチは、前回『ローマ法王の休日』で受賞しています。3年連続ノミネート。

 ◆新人監督賞(Regista Esordiente)
 ・フランチェスコ・ブルーニ 『シャッラ/いいから!』
 ・ジャンルカ・デ・セリオ(Gianluca De Serio)、マッシミリアーノ・デ・セリオ(Massimiliano De Serio) 『七つの慈しみ』
 ・Guido Lombardi “La-Bas”
 ・アンドレア・セグレ(Andrea Segre) 『シュン・リーと詩人』
 ・Stefano Sollima “A.C.A.B.– All Cops Are Bastards”

 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞は、フランチェスコ・ブルーニが受賞。

 ◆最優秀コメディー賞(Migliore Commedia)
 ・ラウラ・モランテ “Ciliegine”
 ・Paolo Genovese “Immaturi - Il viaggio”
 ・Carlo Virzì “I più grandi di tutti”
 ・イヴァン・コトロネオ(Ivan Cotroneo) 『バッグにはクリプトナイト』
 ・カルロ・ヴェルドーネ “Posti in piedi in paradiso”

 “Ciliegine”は、女優ラウラ・モランテの初監督作品。

 ◆ヨーロッパ映画賞(Miglior Film Europeo)
 ・『アーティスト』(仏) 監督:ミシェル・アザナヴィシウス
 ・『おとなのけんか』(仏・独・ポーランド) 監督:ロマン・ポランスキー
 ・『ファウスト』(ロシア) 監督:アレクサンドル・ソクーロフ
 ・『メランコリア』(デンマーク・スウェーデン・仏・独) 監督:ラース・フォン・トリアー
 ・『SHAME-シェイム-』(英) 監督:スティーヴ・マックイーン

 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞(EU映画賞)は、『最強のふたり』が受賞。

 ◆非ヨーロッパ映画賞(Miglior Film Extraeuropeo)
 ・『ドライヴ』(米) 監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
 ・『ヒューゴの不思議な発明』(米)  監督:マーティン・スコセッシ
 ・ウディ・アレン 『ミッドナイト・イン・パリ』
 ・『ツリー・オブ・ライフ』(米)  監督:テレンス・マリック
 ・『別離』(イラン) 監督:アスガー・ファルハディ

 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞は、『別離』が受賞。

 ◆ナストロ・ダルジェント賞2012(Nastro dell'anno 2012)
 ◎“Cesare deve morire” パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ

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 主な作品のノミネート状況は以下の通りです。

 ・“Magnifica Presenza”(9):監督・主演男優・助演男優・助演女優・ストーリー・撮影・編集・衣裳・作曲
 ・“Romanzo Di Una Strage”(9):監督・主演男優・助演男優・助演女優・脚本・編集・美術・録音・プロデューサー
 ・“Diaz: Don't Clean Up This Blood”(7):監督・脚本・編集・美術・録音・作曲・プロデューサー
 ・『大陸』(5):監督・主演女優・助演男優・撮影・作曲
 ・『きっと ここが帰る場所』(5):監督・脚本・撮影・美術・プロデューサー
 ・『シャッラ/いいから!』(5):主演男優・助演女優・脚本・歌曲・新人監督
 ・“A.C.A.B. – All Cops Are Bastards”(5):主演男優・助演男優・撮影・編集・新人監督
 ・“Posti in Piedi in Paradiso”(5):主演女優・助演男優・脚本・歌曲・コメディー
 ・“L'industriale”(4):主演女優・ストーリー・撮影・美術
 ・『七つの慈しみ』(3):主演男優・録音・新人監督
 ・『バッグにはクリプトナイト』(3):主演女優・衣裳・コメディー
 ・『シュン・リーと詩人』(3):ストーリー・録音・新人監督
 ・“Là-bas”(3):録音・プロデューサー・新人監督
 ・“Il cuore grande delle ragazze”(2):主演女優・衣裳
 ・“To Rome with Love”(2):助演男優・助演女優
 ・“Il primo uomo”(2):編集・作曲
 ・“I più grandi di tutti”(2):作曲・コメディー
 ・“Immaturi -Il viaggio”(2):歌曲・コメディー
 ・“Un giorno questo dolore ti sarà utile”(2):歌曲・プロデューサー

 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞では最多受賞となったナンニ・モレッティの『ローマ法王の休日』は、ナストロ・ダルジェント賞では前回の対象作品で前回最多受賞になっています。

 今回の上位8作品は、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞2012ノミネーションから『ローマ法王の休日』を除いた上位作品と5作品で重なっていますから、ノミネーション状況はほぼ似たものであるということになります。

 ただ、あれっと思ったのは、ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した“Cesare deve morire”が特別賞は受賞しているものの、そのほかの部門にはノミネートされていないことで、同じくベルリン国際映画祭でお披露目された“Diaz: Don't Clean Up This Blood”がノミネートされているのに、これはどういうことなのか、よくわかりません。
 “Cesare deve morire”がイタリアでもまだ劇場公開されていないのに対し、“Diaz: Don't Clean Up This Blood”はイタリアで劇場公開されているのかと思って、調べてみたのですが、“Cesare deve morire”は3月に、“Diaz: Don't Clean Up This Blood”は4月に劇場公開されています。

 作曲賞に、イタリア資本が入っていないフランス映画『最強のふたり』が入っているのもよくわかりませんが、イタリアの作曲家による映画音楽ということでOKになったのでしょうか。
 たぶん何らかの規定があるはずですが。

 2部門でノミネートされているウディ・アレンの“To Rome with Love”は、米・伊・西の共同製作作品で、ノミネートされているのもイタリア人俳優です。

 本命と思われる“Cesare deve morire”がノミネート外となったので、本命が不在となった本年度のナストロ・ダルジェント賞は、『愛の勝利を』が前倒しになって、それに代わる作品がなかった2010年と状況が似ています。
 2010年は結果的に「一強」とはならずに複数の作品で賞を分け合う形になったのですが、今年もそうなるのでしょうか。

 受賞結果の発表は、6月30日です。

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 主なノミネート作品を簡単に紹介しておきます。

 ・“Romanzo Di Una Strage(Story of a Massacre)”(2012/伊・仏)
 監督:マリオ・トゥリオ・ジョルダーナ
 出演:ヴァレリオ・マスタンドレア、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、ファブリツィオ・ジフーニ、ラウラ・キアッティ(Laura Chiatti)、ルイジ・ロ・カーショ、ミケーラ・チェスコン、ジョルジョ・コランジェリ(Giorgio Colangeli)、ジョルジョ・ティラバッシ(Giorgio Tirabassi)
 物語:1969年12月12日、ミラノのフォンターナ広場に面した全国農業銀行が爆破され(フォンターナ広場爆破事件)、17人の死者と88人の負傷者が出る。この事件は、無能な政府に対して、民衆を暴動に導こうとして、右翼団体が仕かけたものだと報じられるが、真相は現在に至るまで明らかになっていない。警察は、無政府主義者のピネッリ(ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ)を犯人として逮捕するが、ピネッリは4階から飛び降りて死ぬ。警察は「自殺」と発表するが、無政府主義者は「他殺」と考え、赤い旅団は、ミラノ警察分署長のルイジ・キャラブレシ(ヴァレリオ・マスタンドレア)を殺す。時代は、武装テロが頻発する70年代「鉛の時代」へと突入する……。以後、30年以上におよぶクロニクル。
 Paolo Cucchiarelli が、長い時間をかけて調べて、著した“Il segreto di Piazza Fontana”を自由に翻案して、映画化した作品。

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 ・“Magnifica Presenza(Magnificent Presence)”(2012/伊)
 監督:フェルザン・オズペテク
 出演:エリオ・ジェルマーノ、マルゲリータ・ブイ、ヴィットリア・プッチーニ(Vittoria Puccini)、Beppe Fiorello、アンドレア・ボスカ(Andrea Bosca)、Alessandro Roja、Paola Minaccioni、Cem Yilmaz、Ambrogio Maestri、Claudia Potenza
 物語:ピエトロは、28歳で、俳優を目指している。ローマにやってきて、最初はいとこと一緒に住んで、パン屋で働きながら、俳優になるための修行を続ける。のちに、自分で家を借りるが、その家では、家具が勝手に動いたり、奇妙なことが起こり始める。彼はこれをこの家に住み着いている幽霊のせいだと考えるが、それが彼の冒険の始まりだった……。

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 ・“Diaz: Don't Clean Up This Blood”(2012/伊・ルーマニア・仏)
 監督:ダニエレ・ヴィカリ(Daniele Vicari)
 出演:エリオ・ジェルマーノ、ジェニファー・ウルリッヒ、クラウディオ・サンタマリア
 物語:2001年イタリアのジェノバでG8サミットが開かれる。その近くにあるDiaz Pascoli校では、ジャーナリストのための公開討論会の準備が行なわれていた。他国と同様にイタリアでも反グローバリゼーションの抗議運動が起こり、ここ数日間でデモ隊と警察との衝突が起きていたが、ここの若者たちは、いたって善良で、警察との衝突など予想もしていなかった。そこにはヨーロッパ中から人々が集まってきていた。真夜中過ぎ、警察が学校を襲撃する。2時間ほどで、彼らのほとんどは病院送りになり、その後、拘置所に送られた。警察は自分たちの行動を正当化するために、建物に火炎瓶を投げ入れた。サミットが終わるまでにそのうちの1人が死亡する。
 ベルリン国際映画祭2012 パノラマ部門出品。観客賞第2位。

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 ・『大陸』“Terraferma”(2011/伊・仏)
 監督:エマヌエーレ・クリアレーゼ(Emanuele Crialese)
 出演:Filippo Pucillo、Donatella Finocchiaro、Giuseppe Fiorello、クラウディオ・サンタマリア
 物語:プチーロ一家は孤島で暮らしている。エルネストは漁師だが、70歳で、船ももうスクラップ同然だった。孫のフィリッポは、20歳で、父親を海で亡くし、エルネストと叔父のニノに育てられていた。フィリッポの母はまだ若く、自分のためにも、フィリッポのためにも、もうここを去らなければならないと考えていた。そんな時、島によそ者であるサラとその息子がやってくる。エルネストは、島のしきたりに従って、彼らを追い出そうとするがうまくいかない。彼らがやってきたことで、プチーロ一家は動揺し、新たな決断を余儀なくされる……。
 ベネチア国際映画祭2011 コンペティション部門出品。審査員特別賞、ユニセフ賞(Cinema for UNICEF Commendation)、Francesco Pasinetti (SNGCI) Award受賞。
 米国アカデミー賞2012 外国語映画賞イタリア代表作品。
 イタリア映画祭2012にて上映。

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 ・『きっと ここが帰る場所』“This Must Be The Place”(2011/伊・仏・アイルランド)
 監督:パオロ・ソレンティーノ
 出演:ショーン・ペン、ジャド・ハーシュ(Judd Hirsch)、イヴ・ヒューソン(Eve Hewson)、ケリー・コンドン、ハリー・ディーン・スタントン、フランシス・マクドーマンド
 物語:かつてロックスターだったシェイエン。50歳となった現在、いまだに「ゴス」調ファッションを守りつつ、ダブリンで印税生活を送っていた。絶縁していた父が死んで、ニューヨークへ渡った彼は、そこで父があることに固執していたことを知る。それはかつて受けた侮辱の恨みを晴らすというものだった。シェイエンはその真相を探ろうとして、アメリカ横断の旅へと出かける。
 カンヌ国際映画祭2011 コンペティション部門出品。エキュメニカル審査員賞受賞。
 スターサンズ=セテラ配給にて2012年6月公開予定。

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 ・『シャッラ/いいから!』“Scialla!(Easy!)”(2011/伊)
 監督:フランチェスコ・ブルーニ(Francesco Bruni)
 出演:ファブリツィオ・ベンテヴォリオ(Fabrizio Bentivoglio)、Filippo Scicchitano、バルボラ・ボブローヴァ(Barbora Bobulova)、ヴィルニーチョ・マルチオーニ(Vinicio Marchioni)、Giuseppe Guarino、Prince Manujibeya、Arianna Scommegna、Giacomo Ceccarelli、Raffaella Lebboroni
 物語:ブルーノ・ベルトラミは、かつてはゴーストライターとして、サッカー選手やテレビ・タレントの伝記を書いたりもしてきたが、今は、無関心な生徒たちのために教壇に立つ無関心な教師でしかなかった。15歳のルカのそんな生徒のひとりだったが、ある日、ルカの母親が訪ねてきて、彼は驚かされることになる。というのも、ルカは、彼の実の息子だというのだ。ルカの母親は、半年間アフリカにボランティアに行くので、ルカを預かって、面倒を見てくれとブルーノに頼む。しかも、ルカ本人には、彼が実の息子であることは明かしてほしくないというのだった……。
 ベネチア国際映画祭2011 Controcampo Italiano部門出品。Controcampo賞 長編部門、AIF – FORFILMFEST Award、Vittorio Veneto Film Festival Award受賞。
 『見わたすかぎり人生』『副王家の一族』『ナポレオンの愛人』などで知られる脚本家フランチェスコ・ブルーニの初監督作品。
 イタリア映画祭2012にて上映。

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 ・“A.C.A.B.- All Cops Are Bastards”(2012/伊)
 監督:Stefano Sollima
 出演:ピエロフランチェスコ・ファヴィーノ、マルコ・ジャリーニ、フィリッポ・ネグロ、Domenico Diele、Andrea Sartoretti
 物語:コブラ(ピエロフランチェスコ・ファヴィーノ)、ネロ(フィリッポ・ネグロ)、マツィンガ(マルコ・ジャリーニ)は、対暴力が専門の警官のチームを組んでいる。彼らは、暴力を憎しみに支配された社会の混沌を映し出す鏡と考え、暴力を封じ込め、秩序を取り戻すことを任務としている。結果的に、それらの中には、2001年のG8ジェノバ・サミットでの抗議者の殺害や、2007年のサッカー・ファンの射殺も含まれていた。ある日、新人のアドリアノ(Domenico Diele)が入ってくるが、彼らは彼をチームの一員とするために、彼に彼らのルールや考えを教え込んでいく。
 「A.C.A.B.:All Cops Are Bastards」は、1970年代にイギリスでスキンヘッズによって使われ始めたスローガンで、都市派ゲリラを通じて、世界中に広まった。

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 ・“Posti in Piedi in Paradiso(A Flat for Three)”(2012/伊)
 監督:カルロ・ヴェルドーネ
 出演:マルコ・ジャリーニ、ミカエラ・ラマゾッティ、ピエロフランチェスコ・ファヴィーノ、ディアーヌ・フレリ(Diane Fleri)、ニコレッタ・ロマノフ(Nicoletta Romanoff)、 ヴァレンティーナ・ダゴスティーノ(Valentina D'Agostino)、ナディール・カゼッリ(Nadir Caselli)、Giulia Greco
 物語:ユリシーズは、かつて人気のあったミュージシャンで、今は昔のヒット曲を細々とe-bayで売って暮らしている。娘がいるが、彼女は別れた妻とともにパリに住んでいる。フルヴィオは映画批評家だったが、今は寄宿学校に住んで、ゴシップ記事を書いている。彼にも3歳の子どもがいたが、別れた妻の元にいて、会ったこともなかった。ドミニクは、前は裕福なビジネスマンだったが、今は不動産屋をしている。彼にも別れた妻と子どもがいる。ドミニクは、ある世代の女性たちに人気があり、ジゴロをして暮らし、友人の船に寝泊りしていたが、そろそろ住む家を捜そうとして、似たような境遇にあるユリシーズとフルヴィオと出会う。彼らは3人で一軒の家で暮らすことに決める。

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 ・“L'industriale”(2011/伊)
 監督:ジュリアーノ・モンタルド
 出演:ピエロフランチェスコ・ファヴィーノ、カロリーナ・クレセンティ(Carolina Crescentini)、Eduard Gabia、フランチェスコ・シャンア(Francesco Scianna)、Elena Di Cioccio、Elisabetta Piccolomini、アンドレア・ティドナ(Andrea Tidona)
 物語:40代のニコラは、トリノで工場を経営していたが、国を揺さぶるような不況の打撃を受けて倒産の危機にあった。だが、まだあきらめたくはなかった。また私生活でも、妻と疎遠になっていて、関係修復は不可能だった。工場の従業員からも突き上げを食らう。彼は、なんとかして状況を打開するが、それは汚い手段を使ったものだった。

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 ・『七つの慈しみ』“Sette opere di misericordia(Seven Acts of Mercy)”(2011/伊・ルーマニア/103分)
 監督:ジャンルカ&マッシミリアーノ・デ・セリオ(Gianluca e Massimiliano De Serio)
 出演:ステファノ・カセッティ(Stefano Cassetti)、Cosmin Corniciuc、ロベルト・ヘンリッカ(Roberto Herlitzka)、Olimpia Melinte、イグナチオ・オリヴァ(Ignazio Oliva)
 物語:ルミニツァは、ルーマニア出身の不法移民で、トリノのスラム街の片隅で暮らしていた。彼女は、スリをして生計を立てていたが、わずかな戦利品も、仲間に掠め取られてしまうため、早くこんな生活を抜け出したいと考えていた。そのためには、偽造の身分証が必要で、それを手に入れるために彼女は行動を起こすが、その過程で、ミステリアスで重い病にかかっている老人アントニオと出会う。2人の出会いは、2人を思いもよらぬ運命に導いていく……。
 タイトルは、「マタイ福音書」の「慈悲の七つのおこない」(もしくは、それを題材としたカラヴァッジオ作品)に由来しているようです。七つのおこないとは、「死者の埋葬」「囚人の慰問」「食物の施与」「衣服の施与」「病気の治癒」「巡礼者の歓待」「飲物の施与」のこと・
 ロカルノ国際映画祭2011 インターナショナル・コンペティション部門出品。
 マラケシュ国際映画祭2011 監督賞受賞。
 初監督作品。
 イタリア映画祭2012にて上映。

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 *当ブログ記事
 ・ナストロ・ダルジェント賞2011 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201105/article_29.html
 ・ナストロ・ダルジェント賞2011 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201106/article_16.html
 ・ナストロ・ダルジェント賞2010 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201006/article_2.html
 ・ナストロ・ダルジェント賞2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201006/article_23.html
 ・ナストロ・ダルジェント賞2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200906/article_29.html

 ・ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞2012 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201204/article_13.html
 ・ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞2012 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201205/article_10.html

 ・イタリア・オンライン映画賞2012 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201205/article_11.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2012年6月~2013年1月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201206/article_9.html

 追記:
 ・ナストロ・ダルジェント賞2012 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201207/article_1.html

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